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“会社法”等のポイント(24)

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行政書士津留信康の『身近な法務サポートマガジン』<第80号/2006/5/15>■
 1.はじめに
 2.「会社法務編/中小企業・ベンチャー経営者&
             起業予定者のための“会社法”等のポイント(24)」
 3.「市民法務編/ビジネスに役立つ“民法”の基礎(7)」
 4.編集後記
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 1.はじめに
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 皆様、こんにちは。行政書士の津留信康です。

 会社法施行から約2週間が経過しましたが、各地の法務局は、
会社設立に関する相談や登記申請で、大変混雑しているようです。
TVなどのマスコミでも、既に廃止された最低資本金規制の特例制度のとき以上に、
「起業がしやすくなった!」と盛んに報道しており、
いわゆる「起業ブーム」は、ますます加熱していきそうな勢いです。
確かに、今まで以上に設立手続きが簡素化されたことから、
会社設立の手続き自体は容易になりましたが、本当にそうでしょうか?
 私個人としては、決して、「起業がしやすくなった」とは思っていません。
なぜなら、「会社設立=起業(事業を起こす)」ではなく、
会社を設立すること自体は、事業を行うための態勢を整えているだけに過ぎず、
あくまで、「真の起業における本当の勝負は、会社の設立後から」だからです。
 多くの賢明な起業予定者の方々にとっては、当たり前の話かもしれませんが、
私がご相談を受ける方々の中には、残念ながら、この点についてのご認識が甘く、
会社の設立自体がゴールになっているような方も、散見されます。
 起業においては、斬新な発想を基に、「会社を作れば何とかなるさ!」
という大胆な行動に打って出ることも、時として必要なのかもしれませんが、
あくまで、「慎重な思考」と「入念な準備」があればこそ・・・という点が、
起業を志す方々すべての基本認識となることを、願ってやみません。

 それでは、今回も、どうぞ最後までおつきあいください。

★当事務所へのご連絡(メルマガに関するご質問・ご要望&業務のご相談・ご依頼)
 には、専用アドレス(n-tsuru@mbr.nifty.com)をご利用ください。

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 2.「会社法務編―中小企業・ベンチャー経営者&
             起業予定者のための“会社法”等のポイント(24)」
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★本号では、『会社法(全8編/全979条)―「第2編 株式会社」』の中から、
 「第4章 機関―第1節 株主総会および種類株主総会」の概要について、
 ご紹介します。

■第1款 株主総会&第2款 種類株主総会(第295条~第325条)
 □株主総会の権限
   株主総会は、会社法に規定する事項および
  株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項について、
  決議することができます(第295条第1項)。
   ただし、取締役会設置会社においては、
  株主総会は、会社法に規定する事項および定款で定めた事項に限り、
  決議することができます(同条第2項)。
 □株主総会招集
   株主総会は、毎事業年度終了後、
  一定の時期に招集しなければなりません(定時株主総会/第296条第1項)が、
  必要がある場合には、
  いつでも招集することができます(臨時株主総会/同条第2項)。
   また、株主総会は、原則として、
  一定の手続きにより、取締役招集します(第297条~第299条)が、
  株主全員の同意があるときは、
  招集の手続きを経ることなく、開催することもできます(第300条)。
   なお、招集地に係る規制(旧商法第233条)は、撤廃されました。
 □株主総会の決議要件
  株主総会の決議は、原則として、
  次のような「普通決議」で行われます(※第309条第1項)が、
  一定の場合には、特別決議(同条第2項)や特殊決議(同条第3項)が、
  要求されます。
   ※定足数議決権を行使することができる株主議決権
         の過半数を有する株主の出席
    決議方法:出席した当該株主議決権の過半数
 □種類株主総会
  種類株主総会とは、
  「種類株主種類株式発行会社における、ある種類の株式の株主)の総会」
  のことであり(第2条第14号)、会社法に規定する事項および
  定款で定めた事項に限り決議することができます(第321条)。

★次号(2006/6/1発行予定の第81号)では、
 第2節~第4節に規定された「取締役」を中心に、ご紹介する予定です。

★当事務所では、「会社法の施行に伴う諸手続き」(※)に関して、
 ご相談・ご依頼を承っておりますので、
 専用アドレス(n-tsuru@mbr.nifty.com)をご利用の上、
 どうぞお気軽にご連絡ください。
  ※)http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2006/05/post_ac8d.html

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 3.「市民法務編―ビジネスに役立つ“民法”の基礎(7)」
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★本号では、「民法第1編 総則―第2章 人&第3章 法人」の基礎について、
 行政書士試験の過去問(○×式)を通じて、確認していただきます。
  ※「第1章 通則」は、スペースの都合上、割愛しましたので、ご了承ください。

■第2章 人(第3条~第32条の2)
 □未成年者でも、婚姻をすると、成年に達したものとみなされる(S63)。
  ⇒○ 民法は、年齢20歳をもって成年としています(第4条)が、
     753条により、婚姻による成年擬制を認めています。
 □未成年者の法律行為は、
  単に権利を得または義務を免れるべき行為といえども、
  法定代理人の同意を必要とする(S63)。
  ⇒× 未成年者が法律行為をするには、原則として、
     その法定代理人の同意を得なければなりません(第5条第1項本文)が、
     上記の行為(例:贈与を受けること、債務を免除されることなど)
     の場合は、その例外とされています(同上但書)。
 □未成年者は、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産については、
  その目的の範囲内であれば、随意にこれを処分することができる(S63)。
  ⇒○ 第5条第3項をご参照ください。
 □未成年者は、法定代理人から営業の許可をされた場合には、
  その営業に関しては成年者と同一の能力を有する(S63)。
  ⇒○ 第6条第1項をご参照ください。
 □成年被後見人が、成年後見人によって営業を許可され、
  その営業の範囲内でなした行為でも、取り消すことができる(H10)。
  ⇒○ 成年被後見人法律行為は、
     日用品の購入その他日常生活に関する行為を除き、
     原則として、取り消すことができます(第9条)。
 □被保佐人が、保佐人の同意を得ることなく、
  自己が居住するための住宅を建築するために土地の購入の申込み
  をなす行為は、取り消すことができる(H10)。
  ⇒○ 被保佐人が、上記の行為(第13条第1項第3号)をするためには、
     保佐人の同意が必要ですので、取り消すことができます(同条第4項)。
 □被保佐人が、保佐人の同意を得ることなく、土地の贈与を受ける行為は、
  取り消すことができる(H10)。
  ⇒× 上記のような単に贈与を受ける行為については、
     保佐人の同意が必要である旨の民法の規定がないため、
     有効な行為とされ、取り消すことはできません。
 □法定代理人の同意なくしてなされた未成年者の財産行為で、
  相手方が法定代理人に対し、1ヶ月以上の期間内に、
  当該財産行為を追認するか否か確答すべき旨を催告したが、
  確答が発せられなかった場合のその未成年者の行為は、
  取り消すことができる(H10)。
  ⇒× 上記のような場合、制限能力者(未成年者、成年被後見人、被佐人、
     被補助人)の行為は追認したものとみなされ、
     取り消すことができなくなります(第20条第1項)。
 ☆上記のような制限能力者については、
  ビジネス上、事業の許認可申請における欠格要件などでしか、
  目にする機会はないかもしれません。しかし、高齢化社会の到来に伴い、
  任意後見契約を含む「成年後見制度」については、
  今後、ご自身のみならず、身近な親族における問題として、
  避けては通れないかもしれません。

■第3章 法人(第33条~第84条)
 □社団法人を管理・運営するための根本原則を定款といい、
  目的・名称・事務所の所在地・資産に関する規定および理事の職務権限
  に関する規定を記載しなければならない(H10)。
  ⇒× 社団法人定款の絶対的記載事項は、理事の職務権限ではなく、
     「理事の任免に関する規定、社員の資格の得喪に関する規定」
     を加えた6つです(第37条第1号~第6号)。
 □定款の変更については、定款に別段の定めのない限り、
  総社員の4分の3以上の同意を得なければならず、その変更の効力は、
  主務官庁の認可を受けなければ生じない(H10)。
  ⇒○ 第38条をご参照ください。
 □理事は、法人の不可欠の執行機関であり、外部に対しては法人を代表し、
  内部にあっては法人の業務を執行するが、理事の定員が欠けた場合は、
  仮理事を選任しなければならない(H10)。
  ⇒× 理事が欠けた場合に、
     必ず仮理事を選任しなければならないわけではなく、
     事務が遅滞することにより損害を生ずるおそれがあるとき
     に限られます(第56条)。
 □社団法人および財団法人に共通する解散事由として、
  総会の決議・破産手続開始の決定・設立許可の取消しおよび
  法人の目的である事業の成功または成功の不能が挙げられる(H10)。
  ⇒× 社団法人・財団法人に共通する解散事由は、
     「総会の決議」を除く3つの事由に、「定款または寄付行為に定めた
     解散事由の発生」を加えた4つです(第68条第1項第1号~第4号)。
     ちなみに、「総会の決議」は、「社員が欠けたこと」とともに、
     社団法人固有の解散事由です(同条第2項)。
 □法人の解散および清算は、裁判所の監督に属し、清算が結了したときは、
  清算人は、これを裁判所に届け出なければならない(H10)。
  ⇒× 前段は正しい記述です(第82条第1項)が、
     清算結了時の届出先は、裁判所ではなく、主務官庁です(第83条)。
 ☆ご自身で、民法法人を設立・運営することは、ほとんどないかもしれませんが、
  ビジネスの相手方となることは、十分考えられますので、
  その概要程度については、把握しておく必要はあると思われます。

★次号(2006/6/1発行予定の第81号)では、
 「民法第1編 総則―第5章 法律行為&第7章 時効」をご紹介する予定です。

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 4.編集後記
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■あっと言う間のGWでしたが、読者の皆様は、どのように過ごされましたか?
 私は、比較的のんびり(ダラダラ?)とした1週間でしたが、1日だけ、
 県南の「飫肥(※1おび/全国に点在する小京都の1つ)」を散策してきました。
 NHK連続テレビ小説「わかば」の舞台(※1)にもなった「飫肥」は、
 田舎ゆえに何も無いところではありますが、
 都会の喧騒を忘れ、リフレッシュするにはうってつけのスポットですので、
 皆様も、機会がありましたら、是非お越しください!
  ちなみに、「飫肥」へのアクセスは、宮崎駅または宮崎空港から約2時間、
 日南海岸を左手に眺めながらのバスルートがオススメです。
  ※1)日南市HP
    http://www.city-nichinan.jp/shoukou-kankou/kankou-meguri/obi.asp
  ※2)連続テレビ小説「わかば」日南活性化連絡協議会HP
    http://www.kankou-nichinan.jp/wakaba/index.html
■第80号は、いかがでしたか?次号(第81号)は、2006/6/1発行予定です。
■編集責任者:行政書士 津留信康
 □津留行政書士事務所 http://www.n-tsuru.com
 □行政書士・津留信康の法務サポートblog http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/
 □ご連絡専用アドレス n-tsuru@mbr.nifty.com
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