2010年7月24日号 (no. 658)
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---3分労働ぷちコラム---
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本日のテーマ【遺族年金の男女差】
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■「子のある妻」と「子のない妻」で対応が違う。
2012年2月14日に公表された第11回社会保障審議会年金部会資料(
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000022giz.html)にて、遺族基礎年金の取り扱いに関する資料がありました。
「資料3 遺族基礎年金について」(PDF:151KB
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000022giz-att/2r98520000022gnf.pdf)
上記の資料では、遺族基礎年金特有の受給要件である「子のある妻」について書かれています。
遺族基礎年金と子のある妻がどのように関係があるのか。年金についてある程度知っている人だとピンと来るかもしれませんが、大多数の人には何のことか分からないかと思います。
まず、遺族基礎年金というのは、国民年金のことだと考えてください。国民年金のことを基礎年金という別称で呼ぶことは良くありますので、「基礎年金=国民年金」と理解しておくと、ニュースや新聞を読む時にも内容が分かりやすくなります。
次に、子のある妻というのは、子供を持っている妻のことですね。
国民年金に加入している人(20歳以上の人。なお、中学校や高校を卒業して就職し、厚生年金に加入している人は20歳未満でも国民年金に加入する)が死亡すると、遺族基礎年金を受給するかどうかが問題になります。
遺族基礎年金を受給できるのは、大きく分けて子もしくは子のある妻の2者です。子の障害の有無によっては年齢制限の水準が変わるのですが、今回はこの点には触れず、子はすべて18歳以下であると仮定しておきます。
まず、子が遺族基礎年金を受給する具体的な場面を想定すると、母親を以前に亡くし、父親(国民年金に加入している)と子(18歳以下)の2人で生活していて、父親が何らかの理由で死亡した後、子だけが1人になったとき。この子に遺族基礎年金が支給される。(なお、遺族基礎年金には他にも条件が色々とあるのですが、分かりやすくするために省略している部分があります)
次に、子のある妻が遺族基礎年金を受給する場合だと、会社員の夫が交通事故で死亡し、主婦の妻と子の2人が残った。この場合、子のある妻に遺族基礎年金が支給される。(しつこいですが、ここも分かりやすくするために省略している部分があります)
では、妻が死亡した場合だけでなく、夫でも遺族基礎年金を受給できるのでしょうか。「妻が死亡して、夫と子供が残ったら遺族基礎年金は支給されるの?」と思いますよね。上記の場面と逆のパターンです。交通事故で死亡したのが妻であったならば、子供と夫が残るわけですが、この場合には遺族基礎年金が支給されるのかどうか。
「妻の場合にできることは夫の場合にもできるだろう」と思いたいところですが、実際はどうなのでしょうか。
また、子供はいないけれども、夫が死亡して妻だけが残されたら、この場合にも遺族基礎年金は支給されるのかどうか。子供がいるかどうかという違いで対応が違うのかどうか。つまり、子のない妻でも遺族基礎年金を受給できるのか。
夫への遺族基礎年金。子のない妻への遺族基礎年金。この2点が今回の焦点です。
■男性と女性で顔色を変える年金。
結論から言えば、夫へは遺族基礎年金は支給されません。また、子供を持たない妻にも遺族基礎年金は支給されません。
遺族基礎年金は「子」もしくは「子のある妻」の2者だけが受給対象ですので、妻が死亡して夫が受給することはありませんし、妻であっても子供がいなければ対象にならない。
でも、ちょっとヘンな感じだと思いますよね。なぜ女性は対象になって男性は対象にならないのか。
男性は女性に比べて経済力が高いことが多いので、遺族基礎年金の対象にならなくても大丈夫という判断があるのは分かります。しかし、男性だから経済力が必ず高いわけではないし、"主夫"として生活している男性もいるでしょうから、一律に男性を除外するのも不都合に思える。
もっと変わっているのは、子供の有無で妻を分けている点です。男性が対象外になるのは妥協できるとしても、子供の有無で遺族基礎年金を受給できるかどうかを分けるのは違和感がある。私が遺族基礎年金の仕組みを知ったのは大学生の頃で、その頃に社会保険労務士試験の学習をしていたためですが、その頃からこの点には変な感覚を抱いていました。なぜ「妻」ではなく「子のある妻」に限定したのか。
会社員として働いている人は多いから、夫は厚生年金に加入しているだろう。もし遺族基礎年金を受給できなくても、遺族厚生年金でフォローできるだろう。こう考えて、あえて「子のある妻」に限定したとも想像できる。また、子供がいない家庭は、子供の生活費や学費の負担が直接にはない(子供がいなくても、税金経由で学校への補助金を間接的には負担している)ので家計に余裕がある。だから、遺族基礎年金の対象から外したと考えることもできる。
男性も遺族基礎年金を受給できるようにするといいのではないか。子供がいなくても妻は遺族基礎年金を受給できるようにするのがいいのではないか。この点について書かれたのが 第11回社会保障審議会年金部会資料の3 です。
夫も対象にするために、対象者を「子のある配偶者」に切り替える案もあるとのこと。単に「配偶者」とすれば、夫も子のない妻も対象にできるのですが、ここまでは話されていないのかもしれない。
遺族基礎年金に限らず、他の部分でも男女差はあります。
例えば、60歳代前半の老齢厚生年金では、男性よりも女性のほうが支給開始年齢が早くなっています。同年令でも、女性のほうが約2年ほど支給開始が早い。
細かいところでは、遺族厚生年金の中高齢寡婦加算も女性限定の仕組みです。
年金制度は、「女性よりも男性のほうが経済力が高い」という前提で全体が設計されているのでしょうね。
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