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【最高裁】「専門家への丸投げ」の善管注意義務違反

 こんにちは、産業医・労働衛生コンサルタントの朝長健太です。
 従業員の健康問題(従業員主治医の診断書が起因)が企業の経営に直結し、時には社長・役員の辞任、売上減少、株主代表訴訟にまで発展するケースが顕在化しています。また、従業員の健康を第一に守るという目的により、企業ガバナンスの逆転現象が起き、結果的に健康を守りきれなかったという矛盾も生じています。
 健康管理は、ケガからハラスメントまで、対策の範囲が広いです。そこで、企業ガバナンスを経営者主体という本来の形にすることで、会社と経営者を第一に守り、その結果、従業員の健康を守るという目的で、下記の日本規格協会規格(JSA 規格)「JSA-S1025 ヒューマンリソースマネジメント-組織(企業)が⾏う健康管理-職域健康専⾨家の活⽤の指針」を開発しました。
 また、認証機関も立ち上げております。
なお、日本規格協会は、経済産業省による認定産業標準作成機関であり、唯一のマネジメントシステム作成機関です。
 企業主体の健康管理体制の構築について、ぜひJSA-S1025をご活用ください。

※ホームページを、改訂しました。
https://www.kenpomerit.com/

 今回は、「【最高裁】「専門家への丸投げ」の善管注意義務違反」について作成しました。
 企業利益の向上という、精神的・社会的健康を向上させるために、弊社をご活用ください。

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【最高裁】「専門家への丸投げ」の善管注意義務違反
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 職域健康管理について、「産業医を選任しているから大丈夫です」と社長や管理職が発言することがありますが、同時に「具体的に何をしているのかは把握していない」というケースが多々見受けられます。
 今回は、無認可添加物混入という食品事故において、取締役らが積極的な公表や適切な是正措置を怠ったことが「善管注意義務違反」に当たるとされた株主代表訴訟『ダスキン事件(最高裁決定:平成20年2月12日、大阪高裁判決:平成18年6月9日)』を基に、「専門家に丸投げする」ことの危険性について解説します。

〇ダスキン事件の概要
 「ダスキン事件」は、同社が販売した肉まんに無認可の食品添加物(TBHQ)が混入していたことが発覚した際、当時の経営陣がその事実を公表せず、販売を継続し、さらに事実隠蔽のための工作を行った事件です。後に内部告発等で発覚して甚大な損害を被った結果、株主代表訴訟において経営陣の「善管注意義務違反」が厳しく問われました。

〇弁護士の意見の「どこ」を参考にすべきだったか
 この事件で経営陣は、対応を決定する過程で顧問弁護士等の外部専門家に相談していました。そして、弁護士からは「食品衛生法上、直ちに商品を回収する法的な義務があるわけではない」といった見解を得ており、経営陣はこの助言を拠り所として「公表・回収をしない」という判断を下しました。
 しかし裁判所は、この経営陣の対応を善管注意義務違反と認定しました。裁判所が示したのは、「弁護士の意見は、特定の法令(食品衛生法など)に基づく限定的な法解釈に過ぎない」という点です。経営者は、弁護士の意見を「法的な最低ラインの確認」や「法解釈のひとつの情報」として参考にするにとどめるべきでした。

〇経営者は「どうするべき」であったか
 裁判所は、経営者が本来どうするべきであったかについて、次のように示しています。

・企業倫理と社会的責任に基づく独自の判断
法令上の回収義務の有無にかかわらず、消費者の健康や安全に対する不安を払拭し、企業の信用失墜を防ぐために、経営者として自らの責任で「事実の公表」や「商品の回収」を行うべきであった。

・専門家への「丸投げ」の否定
弁護士が「直ちに違法とは言えない」と述べたからといって、それに従えば経営者としての責任を免れるわけではない。専門家の助言を隠れ蓑にして、企業経営としての総合的な判断(経営判断)を放棄することは許されない。

・再発防止と内部統制システムの構築
企業においては、法令を遵守するだけでなく、企業倫理を実践し、リスクが発覚した際に迅速かつ適切に対応できる「内部統制システム(リスク管理体制)」を構築・運用する義務がある。

 つまり、専門家の意見はあくまで「判断材料の一つ」であり、最終的に企業として社会的責任を全うするための決断は、経営者自身が下さなければならないということが明確に示されたのです。

〇産業医に丸投げすることの危険性
 このダスキン事件で示された裁判所の判断は、「産業医の活用」にも大いに参考になります。
 従業員のメンタルヘルス不調、休職・復職の判定、あるいはハラスメント関連疾病の対応において、「産業医が良いと言ったから」「すべて産業医に任せているから」と、就業上の措置等の判断を専門家に丸投げすることは非常に危険です。
 産業医はあくまで「医学的見地から意見を述べる専門家」に過ぎず、人事労務の最終決定権者ではありません。会社の業務内容、職場の人間関係、労働契約法や労働安全衛生法等に基づく安全配慮義務の履行状況を総合的に勘案し、最終的な就業上の配慮や措置を決定するのは、他でもない「事業者(会社)」の責任なのです。

〇経営層主体の対応を放棄してはいけない
 もし産業医に判断を丸投げした結果、従業員に不利益な人事措置を行ってしまったり、逆に職場の実態に合わない配慮をして症状を悪化させてしまった場合、後から「産業医に従っただけだ」と主張しても、裁判所がそれを免責事由として認める可能性は極めて低いです。ダスキン事件のケースと同様に、経営者としての独自の検討・判断を放棄した「丸投げ」は、安全配慮義務や善管注意義務の違反とみなされるリスクが非常に高いと言えます。
 専門家である産業医の意見を十分に尊重することは大前提ですが、それを「絶対的な免罪符」とするのではなく、あくまで自社が適正な経営判断を下すための「重要な情報の一つ」として扱う姿勢が不可欠です。
 会社と従業員を守るためにも、弁護士への丸投げが許されなかったように、産業医への丸投げも決して良くないということを、ぜひ心に留めておいてください。

〇「丸投げしていなかった」という客観的な証拠が必要
 ダスキン事件の教訓から得られることとして、経営層の役割と産業医の役割を明確に切り分けておくことが必要です。特に、従業員の健康を扱う医学的実務は、産業医にしかできません。
 経営層は、産業医の業務を記録として残し、それに基づく報告書を提出させたうえで、その内容からさらなる改善や対応を産業医に指示することが重要です。産業医から適切に判断材料となる報告書を提出させ、不明な点は説明を求め、経営判断に必要な情報を収集することが求められます。それが、産業医を有効に活用し、「丸投げではない」と断言するための客観的な証拠になります。
 以下のコラムに示すように、労働安全衛生法を中心とした法整備により、企業側が主体となって産業医の職務を定義し、適切に「コントロール」できる制度が確立されています。役割を果たさない産業医に、無目的に報酬を支払い続ける必要はありません。

https://www.soumunomori.com/column/article/atc-177955/

 過去の判例を教訓に、産業医を有効に活用し、自らの責任と判断で従業員の健康を守る体制を構築してください。

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JSA-S1025 ヒューマンリソースマネジメント-組織(企業)が⾏う健康管理-職域健康専⾨家の活⽤の指針

JSA-S1025ページ
https://webdesk.jsa.or.jp/books/W11M0090/index/?bunsyo_id=JSA-S1025%3A2025

JSA-S1025紹介
https://webdesk.jsa.or.jp/pdf/jsa/pdf_jsa_372.pdf

【JSA-S1025】開発の解説
https://www.soumunomori.com/column/article/atc-177724/

リサーチマップ(朝長健太)
https://researchmap.jp/yobouigyou

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