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■
行政書士津留信康の『身近な法務サポートマガジン』<第102号/2007/4/15>■
1.はじめに
2.「
会社法務編/中小企業・
ベンチャー経営者&
起業予定者のための“
会社法”等のポイント(46)」
3.「市
民法務編/ビジネスに役立つ“
民法”の基礎(29)」
4.編集後記
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1.はじめに
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皆様、こんにちは。
行政書士の津留信康です。
2007/4/1のADR法の施行に伴い、
「法務大臣による裁判外紛争解決手続きの認証制度(※1)」がスタートしました。
「日本スポーツ
仲裁機構(※2)」が、認証申請第1号とのことですが、
一般にはなじみの薄い同制度が、今後いかに浸透していくのか、
注目しておきたいですね。
※1)
http://www.moj.go.jp/KANBOU/ADR/adr01.html
※2)
http://www.jsaa.jp/doc/gaiyou.html
それでは、今回も、どうぞ最後までおつきあいください。
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2.「
会社法務編―中小企業・
ベンチャー経営者&
起業予定者のための“
会社法”等のポイント(46)」
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★本号より、「平成18年度以前の
司法書士試験問題」の解説を通じて、
“
会社法”等に関する理解を深めていただきますが、
第1回目は、「
株式会社の設立」に関する問題です。
※)実際の問題は、組み合わせ問題ですが、
便宜上、単純な正誤問題に変更しているため、
設問肢を一部変更している場合がありますので、ご了承ください。
■
株式会社の設立に関する次の1~5の記述のうち、誤っているものはどれか。
1.発起設立において、設立時の
取締役および
監査役を
定款で定めたときは、
取締役および
監査役の選任に関する書面として、
定款を添付することができる(H17-商登法)。
□正解: ○
□解説
会社法第38条第3項、商業
登記法第47条第2項第1号を参照のこと。
なお、設立時の
取締役および
監査役を
定款で定めないときについては、
会社法第38条第1項・第2項、同法第40条第1項、商業
登記法第47条第3項
を参照のこと。
2.募集設立において、
発起人は、株式の
引受けをすることを要しない(H17-
商法・
会社法)。
□正解: ×
□解説
各発起人は、
株式会社の設立に際し、
設立時発行株式を1株以上引き受けなければならず(
会社法第25条第2項)、
発起設立(同法同条第1項第1号)、募集設立(同法同条第1項第2号)、
のいずれの場合においても該当します。
3.募集設立において、
設立時の
取締役は、創立総会において選任される(H17-
商法・
会社法)。
□正解: ○
□解説
会社法第88条を参照のこと。
4.発起設立、募集設立のいずれ場合においても、
定款に、発行可能株式総数に関する記載があるときは、
発行可能株式総数を定めたことを証する書面として、
定款を添付することができる(H17-商登法)。
□正解: ○
□解説
商業
登記法第47条第2項第1号を参照のこと。
なお、
定款に、発行可能株式総数に関する記載がないときについては、
会社法第37条第1項、商業
登記法第47条第3項(発起設立の場合)、
会社法第98条、商業
登記法第47条第2項第9号(募集設立の場合)、
を、それぞれ参照のこと。
5.発起設立、募集設立のいずれ場合においても、
株主名簿管理人を置いた場合には、
定款でその氏名および住所ならびに営業所を定めたときであっても、
当該
株主名簿管理人との
契約を証する書面
を添付しなければならない(H17-商登法)。
□正解: ○
□解説
商業
登記法第47条第2項第6号を参照のこと。
★次号(2007/5/1発行予定の第103号)では、
「株式」について、ご紹介する予定です。
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3.「市
民法務編―ビジネスに役立つ“
民法”の基礎(29)」
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★本号では、「
民法(全5編/全1044条)」のうち、
「第3編
債権―第2章
契約
―第8節~第14節
雇用・
請負・
委任・
寄託・組合・終身定期金・
和解」
の概要について、ご紹介します。
■
雇用・
請負・
委任・
寄託
□「
雇用(第623条~第631条)」は、
当事者の一方が、相手方に対して、労働に従事することを約し、
相手方が、これに対してその
報酬を与えることを約することによって、
その効力を生じます(第623条)。
民法には、
使用者・
労働者双方の義務が定められていますが、
使用者の義務については、
労働基準法など、特別法にも規定されています。
□「
請負(第632条~第642条)」は、
当事者の一方が、ある仕事を完成することを約し、
相手方が、その仕事の結果に対する
報酬を支払うことを約することによって、
その効力を生じます(第632条)。
□「
委任(第643条~第656条)」は、
当事者の一方が、
法律行為をすることを相手方に委託し、
相手方が、これを承諾することによって、その効力を生じます(第634条)。
□「
寄託(第657条~第666条)」は、
当事者の一方が、
相手方のために保管することを約してある物を受け取ることによって、
その効力を生じます(第657条)。
■組合(第667条~第688条)
□組合
契約は、
各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約することによって、
その効力を生じます(第667条)。
□組合には、
民法上の組合以外に、
有限責任事業組合(※LLP)、
商法上の
匿名組合(同法第535条)、
農業共同組合など、特別法に規定されたものがあります。
※)経済産業省
http://www.meti.go.jp/policy/economic_oganization/llp_seido.html
■終身定期金(第689条~第694条)
□終身定期金
契約は、
当事者の一方が、自己、相手方または第三者の死亡に至るまで、
定期に金銭その他の物を、
相手方または第三者に給付することを約することによって、
その効力を生じます(第689条)。
■
和解(第695条・第696条)
□
和解は、当事者が互いに譲歩をして、
その間に存する争いをやめることを約することによって、
その効力を生じます(第695条)。
□
和解には、「裁判外の
和解」と「裁判上の
和解」があり、
民法上の
和解は、前者に該当します。
□裁判上の
和解には、
「訴え提起前の
和解(
即決和解/民事訴訟法第275条)」と
「訴訟上の
和解(同法第89条)」があり、
どちらの場合でも、
作成された
和解調書は、確定判決と同一の効力を有します(同法第267条)。
★次号(2007/5/1発行予定の第103号)では、
「第3章~第5章
事務管理・
不当利得・
不法行為」について、
ご紹介する予定です。
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4.編集後記
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■「
民法第772条」を巡って・・・
現在、「
民法第772条(※)」、いわゆる「300日規定」の改正を巡って、
議論が白熱しています。
法律の改正には慎重に対処すべきではありますが、
明治時代に制定された同規定が、実情にそぐわなくなっているのは事実ですし、
何とか良い方向での結論が得られることを期待しています。
※)
民法第772条
第1項:妻が
婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
第2項:
婚姻の成立の日から200日を経過した後、または、
婚姻の解消もしくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、
婚姻中に懐胎したものと推定する。
■第102号は、いかがでしたか?
次号(第103号)は、2007/5/1発行予定です。
■編集責任者:
行政書士 津留信康
□津留
行政書士事務所
http://www.n-tsuru.com
□ご連絡専用アドレス
n-tsuru@mbr.nifty.com
■当メルマガの発行は、「まぐまぐ(
http://www.mag2.com/)」を利用しており、
購読の解除は、「
http://www.mag2.com/m/0000106995.html」からできます。
■当メールマガジンの無断転載等を禁じます。
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■行政書士津留信康の『身近な法務サポートマガジン』<第102号/2007/4/15>■
1.はじめに
2.「会社法務編/中小企業・ベンチャー経営者&
起業予定者のための“会社法”等のポイント(46)」
3.「市民法務編/ビジネスに役立つ“民法”の基礎(29)」
4.編集後記
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1.はじめに
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皆様、こんにちは。行政書士の津留信康です。
2007/4/1のADR法の施行に伴い、
「法務大臣による裁判外紛争解決手続きの認証制度(※1)」がスタートしました。
「日本スポーツ仲裁機構(※2)」が、認証申請第1号とのことですが、
一般にはなじみの薄い同制度が、今後いかに浸透していくのか、
注目しておきたいですね。
※1)
http://www.moj.go.jp/KANBOU/ADR/adr01.html
※2)
http://www.jsaa.jp/doc/gaiyou.html
それでは、今回も、どうぞ最後までおつきあいください。
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2.「会社法務編―中小企業・ベンチャー経営者&
起業予定者のための“会社法”等のポイント(46)」
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★本号より、「平成18年度以前の司法書士試験問題」の解説を通じて、
“会社法”等に関する理解を深めていただきますが、
第1回目は、「株式会社の設立」に関する問題です。
※)実際の問題は、組み合わせ問題ですが、
便宜上、単純な正誤問題に変更しているため、
設問肢を一部変更している場合がありますので、ご了承ください。
■株式会社の設立に関する次の1~5の記述のうち、誤っているものはどれか。
1.発起設立において、設立時の取締役および監査役を定款で定めたときは、
取締役および監査役の選任に関する書面として、
定款を添付することができる(H17-商登法)。
□正解: ○
□解説
会社法第38条第3項、商業登記法第47条第2項第1号を参照のこと。
なお、設立時の取締役および監査役を定款で定めないときについては、
会社法第38条第1項・第2項、同法第40条第1項、商業登記法第47条第3項
を参照のこと。
2.募集設立において、
発起人は、株式の引受けをすることを要しない(H17-商法・会社法)。
□正解: ×
□解説
各発起人は、株式会社の設立に際し、
設立時発行株式を1株以上引き受けなければならず(会社法第25条第2項)、
発起設立(同法同条第1項第1号)、募集設立(同法同条第1項第2号)、
のいずれの場合においても該当します。
3.募集設立において、
設立時の取締役は、創立総会において選任される(H17-商法・会社法)。
□正解: ○
□解説
会社法第88条を参照のこと。
4.発起設立、募集設立のいずれ場合においても、
定款に、発行可能株式総数に関する記載があるときは、
発行可能株式総数を定めたことを証する書面として、
定款を添付することができる(H17-商登法)。
□正解: ○
□解説
商業登記法第47条第2項第1号を参照のこと。
なお、定款に、発行可能株式総数に関する記載がないときについては、
会社法第37条第1項、商業登記法第47条第3項(発起設立の場合)、
会社法第98条、商業登記法第47条第2項第9号(募集設立の場合)、
を、それぞれ参照のこと。
5.発起設立、募集設立のいずれ場合においても、
株主名簿管理人を置いた場合には、
定款でその氏名および住所ならびに営業所を定めたときであっても、
当該株主名簿管理人との契約を証する書面
を添付しなければならない(H17-商登法)。
□正解: ○
□解説
商業登記法第47条第2項第6号を参照のこと。
★次号(2007/5/1発行予定の第103号)では、
「株式」について、ご紹介する予定です。
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3.「市民法務編―ビジネスに役立つ“民法”の基礎(29)」
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★本号では、「民法(全5編/全1044条)」のうち、
「第3編 債権―第2章 契約
―第8節~第14節 雇用・請負・委任・寄託・組合・終身定期金・和解」
の概要について、ご紹介します。
■雇用・請負・委任・寄託
□「雇用(第623条~第631条)」は、
当事者の一方が、相手方に対して、労働に従事することを約し、
相手方が、これに対してその報酬を与えることを約することによって、
その効力を生じます(第623条)。
民法には、使用者・労働者双方の義務が定められていますが、
使用者の義務については、労働基準法など、特別法にも規定されています。
□「請負(第632条~第642条)」は、
当事者の一方が、ある仕事を完成することを約し、
相手方が、その仕事の結果に対する報酬を支払うことを約することによって、
その効力を生じます(第632条)。
□「委任(第643条~第656条)」は、
当事者の一方が、法律行為をすることを相手方に委託し、
相手方が、これを承諾することによって、その効力を生じます(第634条)。
□「寄託(第657条~第666条)」は、
当事者の一方が、
相手方のために保管することを約してある物を受け取ることによって、
その効力を生じます(第657条)。
■組合(第667条~第688条)
□組合契約は、
各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約することによって、
その効力を生じます(第667条)。
□組合には、民法上の組合以外に、
有限責任事業組合(※LLP)、商法上の匿名組合(同法第535条)、
農業共同組合など、特別法に規定されたものがあります。
※)経済産業省
http://www.meti.go.jp/policy/economic_oganization/llp_seido.html
■終身定期金(第689条~第694条)
□終身定期金契約は、
当事者の一方が、自己、相手方または第三者の死亡に至るまで、
定期に金銭その他の物を、
相手方または第三者に給付することを約することによって、
その効力を生じます(第689条)。
■和解(第695条・第696条)
□和解は、当事者が互いに譲歩をして、
その間に存する争いをやめることを約することによって、
その効力を生じます(第695条)。
□和解には、「裁判外の和解」と「裁判上の和解」があり、
民法上の和解は、前者に該当します。
□裁判上の和解には、
「訴え提起前の和解(即決和解/民事訴訟法第275条)」と
「訴訟上の和解(同法第89条)」があり、
どちらの場合でも、
作成された和解調書は、確定判決と同一の効力を有します(同法第267条)。
★次号(2007/5/1発行予定の第103号)では、
「第3章~第5章 事務管理・不当利得・不法行為」について、
ご紹介する予定です。
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4.編集後記
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■「民法第772条」を巡って・・・
現在、「民法第772条(※)」、いわゆる「300日規定」の改正を巡って、
議論が白熱しています。
法律の改正には慎重に対処すべきではありますが、
明治時代に制定された同規定が、実情にそぐわなくなっているのは事実ですし、
何とか良い方向での結論が得られることを期待しています。
※)民法第772条
第1項:妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
第2項:婚姻の成立の日から200日を経過した後、または、
婚姻の解消もしくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、
婚姻中に懐胎したものと推定する。
■第102号は、いかがでしたか?
次号(第103号)は、2007/5/1発行予定です。
■編集責任者:行政書士 津留信康
□津留行政書士事務所
http://www.n-tsuru.com
□ご連絡専用アドレス
n-tsuru@mbr.nifty.com
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