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■
行政書士津留信康の『身近な法務サポートマガジン』<第107号/2007/7/1>■
1.はじめに
2.「
会社法務編/中小企業・
ベンチャー経営者&
起業予定者のための“
会社法”等のポイント(51)」
3.「市
民法務編/ビジネスに役立つ“
民法”の基礎(34)」
4.編集後記
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1.はじめに
**********************************************************************
皆様、こんにちは。
行政書士の津留信康です。
今日から7月。早いもので、2007年も、後半戦に突入ですが、
読者の皆様は、いかがお過ごしでしょうか?
ここ宮崎は、6/2(土)の梅雨入り以降、蒸し暑く、ぐずついたお天気が続き、
モチベーションを保つには、なかなかしんどい状況です。
とは言っても、仕事は待ってくれませんので、
眩しい太陽輝く“夏”を待ちわびつつ、精一杯の努力を続けたい、と思う毎日です。
それでは、今回も、どうぞ最後までおつきあいください。
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2.「
会社法務編―中小企業・
ベンチャー経営者&
起業予定者のための“
会社法”等のポイント(51)」
**********************************************************************
★「2007/4/15発行の第102号」より、
「平成18年度以前の
司法書士試験問題」の解説を通じて、
“
会社法”等に関する理解を深めていただいておりますが、
第6回目は、「会社の計算(
違法配当)」に関する問題です。
※)法改正等に応じて、
問題文・設問肢の内容を一部変更している場合がありますので、
ご了承ください。
■
株式会社(
委員会設置会社を除く)において
違法配当がされた場合に、
株式会社の財産を回復するために採ることができる手段に関する
1~5までの記述のうち、誤っているものはどれか(H17-
商法・
会社法)。
1.
株式会社の
債権者は、
株主に対して、その
善意・悪意を問わず、
違法配当により受領した金額を、
株式会社に支払わせることができる。
□正解: ○
□解説
会社法第463条第2項を参照のこと。
2.違法な
配当をした
株式会社は、
配当を受けた
株主に対して、
株主が受領した金額の返還を求めることができる。
□正解: ○
□解説
株主が受領した
違法配当は、
不当利得(
民法第703条・第704条)に該当するため、
会社は、その返還を請求することができます。
3.
監査役は、
違法配当に関して、その任務を怠っていなかったとしても、
株式会社に対して、違法に
配当された額を
弁済する責任を負う。
□正解: ×
□解説
違法配当に関して、
監査役がその任務を怠っていたときは、
損害賠償の責任を負います(
会社法第423条第1項)が、
そうでないときには、責任を負いません。
4.
株式会社が、
違法配当を行った
代表取締役に対し、
弁済の請求をしないときは、
株式会社の
債権者は、6ヶ月前から引き続き
債権を有する場合に限り、
自ら
株式会社のために、支払いを求める訴えを提起することができる。
□正解: ×
□解説
設問肢のような訴えを提起することができる者は、
6ヶ月前から引き続き“
債権”を有する「
債権者」ではなく、
6ヶ月前から引き続き“株式”を有する「
株主」
です(
会社法第847条第1項)。
5.
株式会社に対して
違法配当額の
弁済をした
代表取締役等は、
悪意の
株主に対してのみ、求償をすることができる。
□正解: ○
□解説
会社法第463条第1項を参照のこと。
★次号(2007/7/15発行予定の第108号)では、
「組織再編行為等」について、ご紹介する予定です。
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3.「市
民法務編―ビジネスに役立つ“
民法”の基礎(34)」
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★本号から、「平成18年度
司法書士試験問題」の解説を通じて、
民法各編についての理解を深めていただきますが、
第4回目は、「
代理」に関する問題です。
※)便宜上、問題文・設問肢の内容を一部変更している場合がありますので、
ご了承ください。
■Aが、Bの
代理人または代表者として、
Cとの間で
法律行為を行った場合に関する次の1~5の記述のうち、
判例の趣旨に照らし、正しいものはどれか。
なお、A、BおよびCは、いずれも商人でないものとする。
1.車の購入資金の調達のために、
Cから100万円を借り入れる旨の
契約を締結する
代理権を、
Bから授与されたAは、自己の遊興費として費消する目的で、
Cから100万円を借り入れ、これを費消した。
この場合、Cが、Aの目的につき悪意であっても、
Bは、Cからの貸金返還請求を拒むことができない。
□正解: ×
□解説
判例(※最判S.42.4.20)では、
「相手方(本肢の場合、C)が、
代理人(本肢の場合、A)の意図を知り、
または、知ることができた場合に限り、
民法第93条但書の規定を類推適用し、
代理行為の効力は本人(本肢の場合、B)に帰属しない」としていますので、
Bは、Cからの貸金返還請求を拒むことができます。
※)
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=27857&hanreiKbn=01
2.Bの
代理人Aは、
Cから、C所有のマンションを購入する旨の
契約を締結した。
この場合、
契約当時、
Aが、当該マンションに
瑕疵があることを知っていたときは、
Bは、Cに対して、
瑕疵担保責任を追及することができない。
□正解: ○
□解説
民法第570条・第566条(売主の
瑕疵担保責任)、
同法第101条第1項(
代理行為の
瑕疵)を、それぞれ参照のこと。
3.Bの
代理人Aは、Bのためにすることを示さずに、
Cから、C所有のマンションを購入する旨の
契約を締結した。
この場合、当該
契約をAがBのために締結することを、
契約当時、Cが知っていたときは、
Bは、当該マンションの
所有権を取得することができる。
□正解: ○
□解説
民法第99条・第100条を参照のこと。
4.Bの妻Aは、Bの
実印を無断で使用して、
Aを
代理人とする旨のB名義の
委任状を作成した上で、
Bの
代理人として、B所有の土地をCに売却した。
この場合、Aに売却の権限がなかったことにつき、
Cが善意無過失であったときは、
Cは、当該土地の
所有権を取得することができる。
□正解: ×
□解説
判例(最判S.44.12.18)では、
「相手方(本肢の場合、C)において、
当該
無権代理行為が、夫婦の日常家事に関してなされたと信じたことにつき、
正当な理由があるときは、
民法第110条の趣旨を類推し、相手方を保護する」としていますが、
設問肢の記述において、C(相手方)が善意無過失であったのは、
A(
代理人)に売却の権限がなかったことについてのみですから、
Cは、当該土地の
所有権を取得することができません。
※)
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=27382&hanreiKbn=01
5.Bは社団
法人であり、
その
定款において、その所有する不動産を売却するにあたっては、
理事会の事前の承認を要するものとされていたところ、
Bの理事であるAは、
理事会の承認を経ることなく、B所有の土地をCに売却した。
この場合、Cは、上記
定款の定めがあることを知っていたときは、
過失なく理事会の承認を経たものと誤信した場合でも、
当該土地の
所有権を取得することができない。
□正解: ×
□解説
判例(最判S.60.11.29)では、
「社団
法人(本肢の場合、B)の理事(本肢の場合、A)の代表権につき、
定款で制限されていることを知っていたときでも、
その制限の解消要件の充足を信じ、
かつ、信じるにつき正当な理由があるときは、
民法第110条の類推適用により、相手方(本肢の場合、C)を保護する」
としていますので、Cは、当該土地の
所有権を取得することができます。
※)
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=26063&hanreiKbn=01
★次号(2007/7/15発行予定の第108号)では、
「
詐欺・
強迫&
時効・除斥期間」について、ご紹介する予定です。
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4.編集後記
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★業務のご案内(
遺言・
相続・任意
後見サポート)★
当事務所では、
遺言書の作成、各種
相続手続き、任意
後見契約など、
「
遺言・
相続・任意
後見」に関するサポートを行っています。
1)
遺言書がある場合
http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2007/03/post_2906_1.html
2)
遺言書が無い場合
http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2007/03/post_2906.html
■第107号は、いかがでしたか?
次号(第108号)は、2007/7/15発行予定です。
■編集責任者:
行政書士 津留信康
□津留
行政書士事務所
http://www.n-tsuru.com
□ご連絡専用アドレス
n-tsuru@mbr.nifty.com
■当メルマガの発行は、「まぐまぐ(
http://www.mag2.com/)」を利用しており、
購読の解除は、「
http://www.mag2.com/m/0000106995.html」からできます。
■当メールマガジンの無断転載等を禁じます。
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■行政書士津留信康の『身近な法務サポートマガジン』<第107号/2007/7/1>■
1.はじめに
2.「会社法務編/中小企業・ベンチャー経営者&
起業予定者のための“会社法”等のポイント(51)」
3.「市民法務編/ビジネスに役立つ“民法”の基礎(34)」
4.編集後記
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1.はじめに
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皆様、こんにちは。行政書士の津留信康です。
今日から7月。早いもので、2007年も、後半戦に突入ですが、
読者の皆様は、いかがお過ごしでしょうか?
ここ宮崎は、6/2(土)の梅雨入り以降、蒸し暑く、ぐずついたお天気が続き、
モチベーションを保つには、なかなかしんどい状況です。
とは言っても、仕事は待ってくれませんので、
眩しい太陽輝く“夏”を待ちわびつつ、精一杯の努力を続けたい、と思う毎日です。
それでは、今回も、どうぞ最後までおつきあいください。
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2.「会社法務編―中小企業・ベンチャー経営者&
起業予定者のための“会社法”等のポイント(51)」
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★「2007/4/15発行の第102号」より、
「平成18年度以前の司法書士試験問題」の解説を通じて、
“会社法”等に関する理解を深めていただいておりますが、
第6回目は、「会社の計算(違法配当)」に関する問題です。
※)法改正等に応じて、
問題文・設問肢の内容を一部変更している場合がありますので、
ご了承ください。
■株式会社(委員会設置会社を除く)において違法配当がされた場合に、
株式会社の財産を回復するために採ることができる手段に関する
1~5までの記述のうち、誤っているものはどれか(H17-商法・会社法)。
1.株式会社の債権者は、株主に対して、その善意・悪意を問わず、
違法配当により受領した金額を、株式会社に支払わせることができる。
□正解: ○
□解説
会社法第463条第2項を参照のこと。
2.違法な配当をした株式会社は、配当を受けた株主に対して、
株主が受領した金額の返還を求めることができる。
□正解: ○
□解説
株主が受領した違法配当は、
不当利得(民法第703条・第704条)に該当するため、
会社は、その返還を請求することができます。
3.監査役は、違法配当に関して、その任務を怠っていなかったとしても、
株式会社に対して、違法に配当された額を弁済する責任を負う。
□正解: ×
□解説
違法配当に関して、監査役がその任務を怠っていたときは、
損害賠償の責任を負います(会社法第423条第1項)が、
そうでないときには、責任を負いません。
4.株式会社が、違法配当を行った代表取締役に対し、
弁済の請求をしないときは、
株式会社の債権者は、6ヶ月前から引き続き債権を有する場合に限り、
自ら株式会社のために、支払いを求める訴えを提起することができる。
□正解: ×
□解説
設問肢のような訴えを提起することができる者は、
6ヶ月前から引き続き“債権”を有する「債権者」ではなく、
6ヶ月前から引き続き“株式”を有する「株主」
です(会社法第847条第1項)。
5.株式会社に対して違法配当額の弁済をした代表取締役等は、
悪意の株主に対してのみ、求償をすることができる。
□正解: ○
□解説
会社法第463条第1項を参照のこと。
★次号(2007/7/15発行予定の第108号)では、
「組織再編行為等」について、ご紹介する予定です。
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3.「市民法務編―ビジネスに役立つ“民法”の基礎(34)」
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★本号から、「平成18年度司法書士試験問題」の解説を通じて、
民法各編についての理解を深めていただきますが、
第4回目は、「代理」に関する問題です。
※)便宜上、問題文・設問肢の内容を一部変更している場合がありますので、
ご了承ください。
■Aが、Bの代理人または代表者として、
Cとの間で法律行為を行った場合に関する次の1~5の記述のうち、
判例の趣旨に照らし、正しいものはどれか。
なお、A、BおよびCは、いずれも商人でないものとする。
1.車の購入資金の調達のために、
Cから100万円を借り入れる旨の契約を締結する代理権を、
Bから授与されたAは、自己の遊興費として費消する目的で、
Cから100万円を借り入れ、これを費消した。
この場合、Cが、Aの目的につき悪意であっても、
Bは、Cからの貸金返還請求を拒むことができない。
□正解: ×
□解説
判例(※最判S.42.4.20)では、
「相手方(本肢の場合、C)が、代理人(本肢の場合、A)の意図を知り、
または、知ることができた場合に限り、民法第93条但書の規定を類推適用し、
代理行為の効力は本人(本肢の場合、B)に帰属しない」としていますので、
Bは、Cからの貸金返還請求を拒むことができます。
※)
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=27857&hanreiKbn=01
2.Bの代理人Aは、
Cから、C所有のマンションを購入する旨の契約を締結した。
この場合、契約当時、
Aが、当該マンションに瑕疵があることを知っていたときは、
Bは、Cに対して、瑕疵担保責任を追及することができない。
□正解: ○
□解説
民法第570条・第566条(売主の瑕疵担保責任)、
同法第101条第1項(代理行為の瑕疵)を、それぞれ参照のこと。
3.Bの代理人Aは、Bのためにすることを示さずに、
Cから、C所有のマンションを購入する旨の契約を締結した。
この場合、当該契約をAがBのために締結することを、
契約当時、Cが知っていたときは、
Bは、当該マンションの所有権を取得することができる。
□正解: ○
□解説
民法第99条・第100条を参照のこと。
4.Bの妻Aは、Bの実印を無断で使用して、
Aを代理人とする旨のB名義の委任状を作成した上で、
Bの代理人として、B所有の土地をCに売却した。
この場合、Aに売却の権限がなかったことにつき、
Cが善意無過失であったときは、
Cは、当該土地の所有権を取得することができる。
□正解: ×
□解説
判例(最判S.44.12.18)では、
「相手方(本肢の場合、C)において、
当該無権代理行為が、夫婦の日常家事に関してなされたと信じたことにつき、
正当な理由があるときは、
民法第110条の趣旨を類推し、相手方を保護する」としていますが、
設問肢の記述において、C(相手方)が善意無過失であったのは、
A(代理人)に売却の権限がなかったことについてのみですから、
Cは、当該土地の所有権を取得することができません。
※)
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=27382&hanreiKbn=01
5.Bは社団法人であり、
その定款において、その所有する不動産を売却するにあたっては、
理事会の事前の承認を要するものとされていたところ、
Bの理事であるAは、
理事会の承認を経ることなく、B所有の土地をCに売却した。
この場合、Cは、上記定款の定めがあることを知っていたときは、
過失なく理事会の承認を経たものと誤信した場合でも、
当該土地の所有権を取得することができない。
□正解: ×
□解説
判例(最判S.60.11.29)では、
「社団法人(本肢の場合、B)の理事(本肢の場合、A)の代表権につき、
定款で制限されていることを知っていたときでも、
その制限の解消要件の充足を信じ、
かつ、信じるにつき正当な理由があるときは、
民法第110条の類推適用により、相手方(本肢の場合、C)を保護する」
としていますので、Cは、当該土地の所有権を取得することができます。
※)
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=26063&hanreiKbn=01
★次号(2007/7/15発行予定の第108号)では、
「詐欺・強迫&時効・除斥期間」について、ご紹介する予定です。
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4.編集後記
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1)遺言書がある場合
http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2007/03/post_2906_1.html
2)遺言書が無い場合
http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2007/03/post_2906.html
■第107号は、いかがでしたか?
次号(第108号)は、2007/7/15発行予定です。
■編集責任者:行政書士 津留信康
□津留行政書士事務所
http://www.n-tsuru.com
□ご連絡専用アドレス
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