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“会社法”等のポイント(80)

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行政書士津留信康の『身近な法務サポートマガジン』<第136号/2008/11/15>■
 1.はじめに
 2.「会社法務編/中小企業・ベンチャー経営者&
             起業予定者のための“会社法”等のポイント(80)」
 3.「市民法務編/ビジネスに役立つ“民法”の基礎(63)」
 4.編集後記
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 1.はじめに
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 こんにちは。行政書士の津留信康です。

 今月9日(日)、「平成20年度行政書士試験」が実施されました。
「合格者および正解(例)等」については、
2009/1/26(月)、(財)行政書士試験研究センターから公表されますが、
「解答速報(正解予想)」をご覧になりたい方は、こちら(※)をどうぞ。
 ちなみに、当日の宮崎会場は生憎の雨、しかも肌寒い・・・ということもあり、
欠席者が目立ちました。
※)http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2008/11/post-246a.html

 それでは、今回も、どうぞ最後までおつきあいください。

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 2.「会社法務編―中小企業・ベンチャー経営者&
             起業予定者のための“会社法”等のポイント(80)」
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★本稿では、「平成20年度司法書士試験問題」の解説を通じて、
 “会社法”等に関する理解を深めていただいておりますが、
 第6回は、「株式会社の成立後の株式の発行」に関する問題です。
  ※)便宜上、問題文・設問肢の内容を一部変更している場合がありますので、
    ご了承ください。

株式会社の成立後の株式の発行に関する次の記述のうち、
 会社法上の公開会社公開会社でない株式会社のいずれにも当てはまるもの
 はどれか(午前―第29問)。
1.定款を変更して発行可能株式総数を増加する場合には、
  変更後の発行可能株式総数は、
  当該定款の変更が効力を生じた時における発行済株式の総数の4倍
  を超えることができない。
 □正解: ×(会社法上の公開会社にのみ当てはまる)
 □解説
  本肢のような制限は、
  「公開会社」にのみ当てはまり(会社法113条3項本文)、
  「公開会社でない株式会社」は、
  その例外とされています(同条同項但書)。
2.募集株式の発行の無効の訴えを提起することができる期間は、
  当該株式の発行の効力が生じた日から6ヶ月以内である。
 □正解: ×(会社法上の公開会社にのみ当てはまる)
 □解説
  本肢のような出訴期間についての規定は、
  「公開会社」にのみ当てはまり(会社法828条1項2号)、
  「公開会社でない株式会社」については、
  「当該株式の発行の効力が生じた日から1年以内」
  と規定されています(同条同項同号括弧書)。
3.種類株式発行会社において、
  縁故者に対してのみ募集株式の発行を行う場合には、
  種類株主総会特別決議により募集事項を決定しなければ、
  当該募集株式の効力が生じないことがある。
 □正解: ○(いずれにも当てはまる)
 □解説
  会社法199条4項本文、200条4項、201条1項、324条2項2号を参照のこと。
4.株主に株式の割当てを受ける権利を与えてされる募集株式の発行に際し、
  募集事項を取締役会の決議により定めることができる。
 □正解: ×(会社法上の公開会社にのみ当てはまる)
 □解説
  本肢のような内容は、
  「公開会社」にのみ当てはまり(会社法202条3項3号)、
  「公開会社でない株式会社」には、当てはまりません(同法同条同項4号)。
5.募集株式の発行に係る募集事項の決定を株主総会で行う場合において、
  当該募集株式の払込金額が、
  募集株式を引き受ける者に特別に有利な金額であるときは、
  取締役は、当該株主総会において、
  当該払込金額でその者の募集をすることを必要とする理由
  を説明しなければならない。
 □正解: ○(いずれにも当てはまる)
 □解説
  会社法199条1項2号・2項・3項、201条1項を参照のこと。

★次号(2008/12/1発行予定の第137号)では、
 「株式に関する登記」について、ご紹介する予定です。

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 3.「市民法務編―ビジネスに役立つ“民法”の基礎(63)」
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★本稿では、「平成20年度司法書士試験問題」の解説を通じて、
 民法各編についての理解を深めていただいておりますが、
 第6回目は「詐害行為取消権」に関する問題です。
  ※)便宜上、問題文・設問肢の内容を一部変更している場合がありますので、
    ご了承ください。

詐害行為取消権に関する次の記述のうち、
 判例の趣旨に照らし、正しいものはどれか(午前―第18問)。
1.共同相続人の間で成立した遺産分割協議は、
  詐害行為取消権の行使の対象とすることができる。
 □正解: ○
 □解説
  判例(※最判平成11年6月11日)を参照のこと。
※)http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=25388&hanreiKbn=01
2.不動産の引渡請求権を保全するために、
  債務者から受益者への目的不動産の処分行為を
  詐害行為として取り消す場合には、債権者は、
  受益者から債権者への所有権移転登記手続を請求することができる。
 □正解: ×
 □解説
  前段が、判例(※1:最判昭和36年7月19日)の趣旨に照らし、
  正しい記述であるのに対し、
  判例(※2:最判昭和53年10月5日)が、
  「不動産の引渡請求権者は、
  目的不動産についてされた債務者の処分行為を詐害行為として取り消す場合に、
  直接自己に対する所有権移転登記手続を請求することはできない」
  と判示していることから、後段の記述は、誤りです。
※1)http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=28875&hanreiKbn=01
※2)http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=26540&hanreiKbn=01
3.抵当権が設定された不動産についてされた譲渡担保契約
  詐害行為として取り消す場合には、債権者は、
  不動産の価額から抵当権の被担保債権の額を控除した額の価格賠償を
  請求することはできるが、不動産の返還を請求することはできない。
 □正解: ×
 □解説
  前段が、判例(※1:最判昭和36年7月19日)の趣旨に照らし、
  正しい記述であるのに対し、
  判例(※2:最判昭和54年1月25日)が、
  「抵当権の付着する土地についてされた譲渡担保契約
  が詐害行為に該当する場合において、
  譲渡担保権者が当該抵当権者以外の債権者であり、
  右土地の価額から右抵当権の被担保債権の額を控除した額が
  詐害行為取消権の基礎となつている債権の額を下回つているときは、
  譲渡担保契約の全部を取り消して土地自体の原状回復をすること
  を認めるべきである」と判示していることから、後段の記述は、誤りです。
※1)前述肢2の判例(※1)を参照のこと。
※2)http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=26519&hanreiKbn=01
4.詐害行為の受益者が、債権者を害すべき事実について善意であるときは、
  転得者が悪意であっても、
  債権者は、転得者に対して、詐害行為取消権を行使することができない。
 □正解: ×
 □解説
  判例(最判昭和49年12月12日)は、
  「詐害行為の受益者が、債権者を害すべき事実について善意であっても、
  転得者が悪意であるときは、
  債権者は、転得者に対して、詐害行為取消権を行使することができる」
  と判示していることから、本肢の記述は、誤りです。
5.債権者が、受益者を相手方として、
  詐害行為取消しの訴えを提起した場合であっても、
  その被保全債権消滅時効は、中断しない。
 □正解: ○
 □解説
  判例(※最判昭和37年10月12日)を参照のこと。
※)http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=28598&hanreiKbn=01

★次号(2008/12/1発行予定の第137号)では、
 「消費貸借寄託」について、ご紹介する予定です。

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 4.編集後記
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★職業能力開発促進法に基づく「国家試験(技能検定)」、
 「知的財産管理技能検定」にご興味のある方は、こちら(※)をご覧ください。
※)http://m-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2008/11/post-8251.html
■第136号は、いかがでしたか?
 次号(第137号)は、2008/12/1発行予定です。
■編集責任者:行政書士 津留信康
 □津留行政書士事務所 http://www.n-tsuru.com
 □当事務所へのご連絡は、
  上記Webサイト・トップページのメールリンクをご利用ください。
■当メルマガの発行は、「まぐまぐ(http://www.mag2.com/)」を利用しており、
 購読の解除は、「http://www.mag2.com/m/0000106995.html」からできます。
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