札幌市豊平区の
税理士 溝江 諭(みぞえさとし) です。
わが国の国家予算を調べてみると、平成21年度の一般
会計の予算額は88.5兆円です。これに対し、特別
会計の歳出総額は169.4兆円(
会計間相互の重複計上額を除いた「純額」。)となっており、一般
会計予算の約2倍の規模になっています。一般
会計を本来の財布とするならば、特別
会計はへそくり用の財布にたとえると分かりやすいですね。現在ではへそくり用の財布を通過するお金の方が本来の財布を通過するお金より約2倍も多いことになります。
特別
会計は、年金や
労働保険などの
社会保障関連の他に道路整備や港湾整備、空港整備などの社会
資本整備関連、自賠責や
車検などの自動車安全関連、食糧管理や農業経営基盤強化措置などの食料安定供給関連、その他、
登記、財政投融資、外国為替資金などいろいろな分野で存在しています。その数は平成18年度で31。20年度で21。政府は23年度までに17
会計まで減らそうとしています。
特別
会計については、一部の官僚と族議員の利権の温床になっているのではないかと問題視されているところですが、今回は、現在21もあるとされているわが国の特別
会計のうちから、
労働保険特別
会計を取り上げて、その中身について少し見てみましょう。
さて、平成21年度に予定されている
雇用保険料や
労災保険料の引下げについてはKSC
会計事務所のホームページ上の「お知らせ」で触れましたが、その原稿を書くうちに、ふとした疑問が湧いてきました。それは、「
労働保険料として徴収された保険料のうち、実際の
保険給付にどの位使われているのか?
社会保障制度として十分に活用されているのか?はたまた、
労働保険の特別
会計にはどれほどの積立金が積立てられているのか?」という点です。そこで早速これについて調べてみようと思い立ちました。
以下がその調べた内容です。
労働保険特別
会計は、「
労働者災害補償保険法」(昭22)による
労働者災害補償保険事業及び「
雇用保険法」(昭49)による
雇用保険事業に関する経理を行うために設けられたもので,労災勘定、
雇用勘定及び徴収勘定の3勘定より成っています。
労働保険料は徴収勘定に集められ、そこから労災勘定と
雇用勘定へ繰入れられています。
ここでは、平成20年度の予算の数字を使います。
まず、
雇用保険についての
雇用勘定を見てみましょう。
1 収入総額 2兆6,780億円
保険収入 2兆4,606億円
一般
会計より 1,612億円
運用収入他 562億円
2 支出総額 2兆1,853億円
失業給付費 1兆4,853億円
職業紹介等 2,083億円
業務取扱費等 1,959億円
他の資金への繰入れ 1,979億円
独立行政
法人の運営費等 979億円
3 資金余剰(積立金の増加) 4,927億円
収入総額は2兆6,780億円。「保険収入」が2兆4,606億円、運用収入や
雑収入、さらには一般
会計からの繰入などの保険料以外の収入が2,174億円あります。
支出総額は2兆1,853億円。
雇用保険の本来の目的である
失業給付に使われる「
失業等給付金」は1兆4,853億円。なんと保険収入の60.4%しか本来の目的に使われていないことになります。
雇用保険では、
失業給付の他に職業紹介や職業能力開発、高齢者等
雇用促進などの活動を行っており、これには2,083億円予算をとっています。これらも本来業務と考え、先の「
失業等給付」を合わせても1兆6,936億円。これでも保険収入の68.8%にしかなりません。
あとは、業務取扱費、中小企業
退職金共済等事業費、労使関係安定形成促進費、個別労働紛争対策費などで1,959億円、さらには他の資金への繰入や徴収勘定への戻し1,979億円の他、独立行政
法人への支出として保険収入の3.7%に相当する979億円も計上されています。
なお、業務取扱費には、電子計算機等借料や職員の人件費等が含まれているとのことです。
収入総額から支出総額を差し引いた資金余剰(積立金の増加)は、4,927億円にも上っています。
以上の予算をざーっと見て、次のように感じました。
1
雇用保険が本来果たさなければならないセフティーネット機能の部分に保険収入の68.8%しか使われていない現実。約7割しか使われていないのです。
2 独立行政
法人への支出が979億円もあり、保険収入の3.7%にも相当すること。有効に活用されているのでしょうか?
3 積立金の増加が4,927億円もあり、保険収入の20.0%に相当すること。なんと5分の1も余しているのです。
以下、一つずつ検討しましょう。
でも、今日はこの位にしておきましょうか。あまり数字ばかり並んで、頭が痛くなった方がいらっしゃるかも・・・・。かくいう、私も・・・・。
先週末は叔父の1周忌、今週末はめいの結婚式、来週末は恩師の教授の
定年記念祝賀会と飲む機会が毎週続きます。表で飲むと抑制が効かずつい酒量も上がり気味。お酒は適度にたしなむ程度にしよう、と自戒。でも・・・・。あまり自信がないな?!
ここ北国でも日増しに日が長くなり、陽射しが少しずつ春を感じさせてくれるようになりました。春が近くなると、なぜか心がウキウキして来ます。みなさんはいかがですか?
なお、4月から予定されている
雇用保険料や
労災保険料の引下げについては以下のサイトの「お知らせ」をご覧下さい。
http://www.ksc-kaikei.com/
財務省の以下のサイトに特別
会計についての説明と予算等が掲載されていますのでご参照下さい。
http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/tokkai.htm
労働保険特別
会計の予算については、以下の厚生労働省のサイトをご覧下さい。
http://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/kaiji/roudou01.html
特別
会計の
剰余金・積立金等に関する質問に対する麻生首相の答弁書については、以下のサイトをご覧下さい。
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b170072.htm
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札幌
税理士 溝江 諭 KSC
会計事務所
http://www.ksc-kaikei.com/
札幌市豊平区美園12条7丁目7-1 011-812-1672
札 幌 学 院 大 学 客 員 教授
北海道情報大学大学院 非常勤講師 溝江 諭
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札幌市豊平区の税理士 溝江 諭(みぞえさとし) です。
わが国の国家予算を調べてみると、平成21年度の一般会計の予算額は88.5兆円です。これに対し、特別会計の歳出総額は169.4兆円(会計間相互の重複計上額を除いた「純額」。)となっており、一般会計予算の約2倍の規模になっています。一般会計を本来の財布とするならば、特別会計はへそくり用の財布にたとえると分かりやすいですね。現在ではへそくり用の財布を通過するお金の方が本来の財布を通過するお金より約2倍も多いことになります。
特別会計は、年金や労働保険などの社会保障関連の他に道路整備や港湾整備、空港整備などの社会資本整備関連、自賠責や車検などの自動車安全関連、食糧管理や農業経営基盤強化措置などの食料安定供給関連、その他、登記、財政投融資、外国為替資金などいろいろな分野で存在しています。その数は平成18年度で31。20年度で21。政府は23年度までに17会計まで減らそうとしています。
特別会計については、一部の官僚と族議員の利権の温床になっているのではないかと問題視されているところですが、今回は、現在21もあるとされているわが国の特別会計のうちから、労働保険特別会計を取り上げて、その中身について少し見てみましょう。
さて、平成21年度に予定されている雇用保険料や労災保険料の引下げについてはKSC会計事務所のホームページ上の「お知らせ」で触れましたが、その原稿を書くうちに、ふとした疑問が湧いてきました。それは、「労働保険料として徴収された保険料のうち、実際の保険給付にどの位使われているのか?社会保障制度として十分に活用されているのか?はたまた、労働保険の特別会計にはどれほどの積立金が積立てられているのか?」という点です。そこで早速これについて調べてみようと思い立ちました。
以下がその調べた内容です。
労働保険特別会計は、「労働者災害補償保険法」(昭22)による労働者災害補償保険事業及び「雇用保険法」(昭49)による雇用保険事業に関する経理を行うために設けられたもので,労災勘定、雇用勘定及び徴収勘定の3勘定より成っています。労働保険料は徴収勘定に集められ、そこから労災勘定と雇用勘定へ繰入れられています。
ここでは、平成20年度の予算の数字を使います。
まず、雇用保険についての雇用勘定を見てみましょう。
1 収入総額 2兆6,780億円
保険収入 2兆4,606億円
一般会計より 1,612億円
運用収入他 562億円
2 支出総額 2兆1,853億円
失業給付費 1兆4,853億円
職業紹介等 2,083億円
業務取扱費等 1,959億円
他の資金への繰入れ 1,979億円
独立行政法人の運営費等 979億円
3 資金余剰(積立金の増加) 4,927億円
収入総額は2兆6,780億円。「保険収入」が2兆4,606億円、運用収入や雑収入、さらには一般会計からの繰入などの保険料以外の収入が2,174億円あります。
支出総額は2兆1,853億円。雇用保険の本来の目的である失業給付に使われる「失業等給付金」は1兆4,853億円。なんと保険収入の60.4%しか本来の目的に使われていないことになります。雇用保険では、失業給付の他に職業紹介や職業能力開発、高齢者等雇用促進などの活動を行っており、これには2,083億円予算をとっています。これらも本来業務と考え、先の「失業等給付」を合わせても1兆6,936億円。これでも保険収入の68.8%にしかなりません。
あとは、業務取扱費、中小企業退職金共済等事業費、労使関係安定形成促進費、個別労働紛争対策費などで1,959億円、さらには他の資金への繰入や徴収勘定への戻し1,979億円の他、独立行政法人への支出として保険収入の3.7%に相当する979億円も計上されています。
なお、業務取扱費には、電子計算機等借料や職員の人件費等が含まれているとのことです。
収入総額から支出総額を差し引いた資金余剰(積立金の増加)は、4,927億円にも上っています。
以上の予算をざーっと見て、次のように感じました。
1 雇用保険が本来果たさなければならないセフティーネット機能の部分に保険収入の68.8%しか使われていない現実。約7割しか使われていないのです。
2 独立行政法人への支出が979億円もあり、保険収入の3.7%にも相当すること。有効に活用されているのでしょうか?
3 積立金の増加が4,927億円もあり、保険収入の20.0%に相当すること。なんと5分の1も余しているのです。
以下、一つずつ検討しましょう。
でも、今日はこの位にしておきましょうか。あまり数字ばかり並んで、頭が痛くなった方がいらっしゃるかも・・・・。かくいう、私も・・・・。
先週末は叔父の1周忌、今週末はめいの結婚式、来週末は恩師の教授の定年記念祝賀会と飲む機会が毎週続きます。表で飲むと抑制が効かずつい酒量も上がり気味。お酒は適度にたしなむ程度にしよう、と自戒。でも・・・・。あまり自信がないな?!
ここ北国でも日増しに日が長くなり、陽射しが少しずつ春を感じさせてくれるようになりました。春が近くなると、なぜか心がウキウキして来ます。みなさんはいかがですか?
なお、4月から予定されている雇用保険料や労災保険料の引下げについては以下のサイトの「お知らせ」をご覧下さい。
http://www.ksc-kaikei.com/
財務省の以下のサイトに特別会計についての説明と予算等が掲載されていますのでご参照下さい。
http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/tokkai.htm
労働保険特別会計の予算については、以下の厚生労働省のサイトをご覧下さい。
http://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/kaiji/roudou01.html
特別会計の剰余金・積立金等に関する質問に対する麻生首相の答弁書については、以下のサイトをご覧下さい。
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b170072.htm
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札幌 税理士 溝江 諭 KSC会計事務所
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札 幌 学 院 大 学 客 員 教授
北海道情報大学大学院 非常勤講師 溝江 諭
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