こんにちは
社会保険労務士の三木です。
梅雨に逆戻りしたような今日この頃の天候で皆既日食を楽しみにしていた天文ファンはがっかりしたでしょうね。今回は「派遣の2009年問題」ならぬ「
退職金の2012年問題」を取り上げます。
--------------------------------------------------------------------------------
「適格年金は平成24年で廃止される。」こう言われていますが、実際には平成14年4月1日の「
確定給付企業年金法」の施行により「税制
適格退職年金」は法律の後ろ盾を失いました。現在は、「
法人税法施行令」附則16条による
経過措置に拠っているに過ぎません。そして、その平成24年3月31日には
経過措置の終了により税制上の優遇措置がなくなり、
損金算入は出来なくなります。
☆適年はどうして廃止されたのか
廃止された理由を一言で言えば、「受給権(
従業員が
退職金を受ける権利)の保全措置が十分でなかった」ということに尽きます。
そもそも適年は、企業が独自に実施していた
退職金(一時金制度)を移行して導入されたケースがほとんどで、積立不足を埋めることが義務付けられていないなど、「受給権の保全」という概念はあまり考慮されていなかったといえます。 (節税目的?)
他の制度への移行を選択せずに適格年金を解約すると、残金は
解約返戻金として
従業員に直接支払われます。このお金は
退職金とはみなされないので、
退職所得としての税制メリットが受けられず
一時所得とされます。よって50万円の控除額を超えた2分の1が
総合課税として課税対象となってしまいます(
総合課税とは他の所得と合わせて
所得税を計算すること→
分離課税の反意語)。
以上のことから、「わたしの
退職金はどうなってしまうのか」ということになるわけです。
----------------------------------------------------------------------------------
☆適年を解約しても積立金は事業主に返還されない
廃止まで適格年金を維持して、平成24年3月31日が来たときには、
退職金資産が
従業員に支給されることになりますが、これには、
退職を伴うものではないため
退職所得としてではなく
一時所得として課税されます。そして
確定申告により
総合課税となります。
退職所得課税は、勤続20年を超えると控除額が倍近く(40→70万円/年)に増えて、
定年まで勤めるような人たちを優遇しています。適年が廃止されたからといって
退職もしていないのに
退職金受給をさせられることで、社員は予想以上の課税を受けることとなります。(
所得税・
住民税)
----------------------------------------------------------------------------------
☆適年を解約しても
退職給付債務は残る
適格年金
契約を解約しても、「
退職年金規程」はなくなりません。
退職年金規程は
就業規則の一部であり、これをなくすことは
労働条件の不利益変更となり、合理的な理由がないと認められません。したがって、適格年金を廃止しても、
退職金給付
債務は残るのです。
退職金を払えるように準備しておく必要があります。当然に積立不足が残っていますから、結果として支給減額か、会社が追加的に資金を拠出するほかはありません。
----------------------------------------------------------------------------------
☆「
退職金倒産」の恐れもある
適格年金
契約時に作成された
退職年金規程では「
退職年金支給額=
退職時の
基本給×勤続年数」となっていることが多く、勤続年数の長い社員が多いと
退職時の支給額が大きな金額となり、「
退職金倒産」が懸念されます。
----------------------------------------------------------------------------------
今回は問題提起ということでここまでにして、次回では中小企業を前提に「
適格退職年金後」の最良の方策は何であるかを考えたいと思います。
----------------------------------------------------------------------------------
【免責条項】
記載内容については細心の注意を払っておりますが、記載内容によって
生じた損害につきましては責任を負いかねますのでご了承ください。
三木経営
労務管理事務所
http://www012.upp.so-net.ne.jp/palm/
こんにちは 社会保険労務士の三木です。
梅雨に逆戻りしたような今日この頃の天候で皆既日食を楽しみにしていた天文ファンはがっかりしたでしょうね。今回は「派遣の2009年問題」ならぬ「退職金の2012年問題」を取り上げます。
--------------------------------------------------------------------------------
「適格年金は平成24年で廃止される。」こう言われていますが、実際には平成14年4月1日の「確定給付企業年金法」の施行により「税制適格退職年金」は法律の後ろ盾を失いました。現在は、「法人税法施行令」附則16条による経過措置に拠っているに過ぎません。そして、その平成24年3月31日には経過措置の終了により税制上の優遇措置がなくなり、損金算入は出来なくなります。
☆適年はどうして廃止されたのか
廃止された理由を一言で言えば、「受給権(従業員が退職金を受ける権利)の保全措置が十分でなかった」ということに尽きます。
そもそも適年は、企業が独自に実施していた退職金(一時金制度)を移行して導入されたケースがほとんどで、積立不足を埋めることが義務付けられていないなど、「受給権の保全」という概念はあまり考慮されていなかったといえます。 (節税目的?)
他の制度への移行を選択せずに適格年金を解約すると、残金は解約返戻金として従業員に直接支払われます。このお金は退職金とはみなされないので、退職所得としての税制メリットが受けられず一時所得とされます。よって50万円の控除額を超えた2分の1が総合課税として課税対象となってしまいます(総合課税とは他の所得と合わせて所得税を計算すること→分離課税の反意語)。
以上のことから、「わたしの退職金はどうなってしまうのか」ということになるわけです。
----------------------------------------------------------------------------------
☆適年を解約しても積立金は事業主に返還されない
廃止まで適格年金を維持して、平成24年3月31日が来たときには、退職金資産が従業員に支給されることになりますが、これには、退職を伴うものではないため退職所得としてではなく一時所得として課税されます。そして確定申告により総合課税となります。退職所得課税は、勤続20年を超えると控除額が倍近く(40→70万円/年)に増えて、定年まで勤めるような人たちを優遇しています。適年が廃止されたからといって退職もしていないのに退職金受給をさせられることで、社員は予想以上の課税を受けることとなります。(所得税・住民税)
----------------------------------------------------------------------------------
☆適年を解約しても退職給付債務は残る
適格年金契約を解約しても、「退職年金規程」はなくなりません。退職年金規程は就業規則の一部であり、これをなくすことは労働条件の不利益変更となり、合理的な理由がないと認められません。したがって、適格年金を廃止しても、退職金給付債務は残るのです。退職金を払えるように準備しておく必要があります。当然に積立不足が残っていますから、結果として支給減額か、会社が追加的に資金を拠出するほかはありません。
----------------------------------------------------------------------------------
☆「退職金倒産」の恐れもある
適格年金契約時に作成された退職年金規程では「退職年金支給額=退職時の基本給×勤続年数」となっていることが多く、勤続年数の長い社員が多いと退職時の支給額が大きな金額となり、「退職金倒産」が懸念されます。
----------------------------------------------------------------------------------
今回は問題提起ということでここまでにして、次回では中小企業を前提に「適格退職年金後」の最良の方策は何であるかを考えたいと思います。
----------------------------------------------------------------------------------
【免責条項】
記載内容については細心の注意を払っておりますが、記載内容によって
生じた損害につきましては責任を負いかねますのでご了承ください。
三木経営労務管理事務所
http://www012.upp.so-net.ne.jp/palm/