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費用管理の基礎的要件(1)

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2009年8月17日発行 第1・第3週月曜日発行
メールマガジン:経営のパートナー VOL4
<経営学で企業を再生する>
【発行責任者】経営テクノ研究所 代表 舘 義之
【E-mail】tate@agate.plala.or.jp
【H P】http://www9.plala.or.jp/keiei-techno
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■CONTENTS■
VOL4.コスト・ダウン
費用管理の基礎的要件(1)
●閑話休題「企業浮沈のキーポイント」
●編集後記
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
費用管理の基礎的要件(1)

 費用というのは、それ自身で存在しているものでもなく、何らかの意図の
もとに、成果をあげるために発生したものなのです。だから重要なのは、費
用の絶対額ではなく、その企業の努力対成果の比率なのです。

 企業がその努力をいかに能率的に、かつ、安上がりな費用で行ったしても、
成果を上げられなかったとしたら、それは費用というよりは浪費というべき
です。したがって、費用管理のテクニックは、企業の努力対成果の比率を、
どう高めるかにかかっています。

 まず、企業努力の成果をあげようとするには、古い知識にこだわることな
く、企業の成長力を育成し、伸長するように心がけることです。そこに、費
用管理の基礎的要件が存在し、テクニックを駆使するための人間的関係を円
滑にならしめる出発点があります。これを具体的にどう行うか、費用管理の
基礎的要件につてい2回に分けて考えてみることにします。

1.費用管理のテクニック
(1)古い作業方法を固守しないこと。現場作業者などの意見にも耳をかし、
万事スムーズにいくよう、欠陥の原因を追究する。うまくいくための研究を、
関係者全員でやるようにする。

(2)新しい発想による意見やアイデアが、どしどし出るような雰囲気を作
り出す。

(3)創意工夫の必要性を知り、伝統的価値を失う苦痛に耐えられなければ
ならない。伝統という輝かしさだけに酔うことなく、正しいと思うことを実
践する勇気を持つことだ。

(4)新鮮な達成目標を定め、努力を集中せよ。

(5)問題解決に当たって、全ての人びとが、反省力を持つようにする。自
己反省こそ、人間関係の出発点と知るべきである。

(6)古い制度主義をやめ、新しい活力を生かし、組織力を十分に活用する
ための各人の対話を重んずる習慣を作る。

(7)なにごとにも積極的であること。

(8)経営者から従業員に至るまでの企業内の全ての人びとが、我への投資
に固執しないこと。他の人々のアイデアにはみみを傾ける。

(9)他人の批判や意見具申は謙虚に聞き、これを抑圧してはならない。

 そして、費用管理を効果的にするためには、企業全体についての費用効果
を考えなければなりません。同時に、費用の発生状況や、その要素別に分析
し、管理することが大切です。

 具体的には、費用の流れを全体的にとらえ、その基本的性格に応じて分類
します。さらに、費用効果をあげ得る領域を見極め、努力と成果のつながる
ポイントを発見することが、重要な問題点を見出すのに役立ちます。

 このように費用を分析し、診断することから、費用効果の有効性を生み出
すことができ、費用管理の技術的方法も検討することができるようになるか
らです。 

2.資金の回転率をスピード化せよ
 資金の回転率を高めることは、コスト・ダウンにつながり、費用管理の面
からも重要であるということをつけ加えておかなければなりません。

 企業の経営成果をあげる上において、資本費用の管理の重要性は見逃すこ
とはできません。この方面の費用管理は、企業努力の方向としても力を入れ
やすく、意味のある成果を期待できる唯一の費用領域でもあるのです。それ
は利益率を云々するよりも、資金の回転率を高めることを計るほうが、より
やさしい面が多分にあるともいえるからです。

 しかし、意外に、この資金管理をなおざりにしている企業が多く見受けら
れます。特に、赤字会社の場合、この面で乱脈をきわめていることが多いの
です。これがコスト高を招いているのです。

 費用効果の測定を、企業努力対成果の比率によって求めるとすれば、企業
の経営効率を測る基準として付加価値の問題を取り上げることができます。

 付加価値とは、企業の経営成果によって加えられた価値、という意味を持
ち、二つの計算方法があります。すなわち、人件費、金融費用減価償却費、
賃貸料、租税公課、および当期利益金を加算した加算法で、日銀の主要企業
経営分析はこの方法によっています。他の一つは、純売上高から、直接材料
費、購入部品費、外注工賃、補助材料費を控除した残額(加工高とも呼ばれ
る)による控除法であり、中小企業庁の経営指標はこれによっています。

 この付加価値を利用しての経営効率の測定には、次のようなものがありま
す。このような算式によって得られた数値によって、コスト高になっている
原因が、どのような部門にあるかの判定を容易にします。したがって、費用
管理の上からも、この算式は極めて重要なものです。

(1)付加価値率=付加価値額÷純売上高×100
 この算式は、付加価値が増大すればするほど、経営成果があがったことを
示し、資本の還元をよくします。

 付加価値率を向上させるためには、次のような施策が必要になります。
●売値の引上げ
・加工度の高い製品の開発。
・デザインの優れた製品の開発。
・消費者のニーズに合った製品の開発。
●付加価値の増加
・外製から内製へ切換え。 
・VEによる原材料の切下げ。
・購入部品の購入方法の切換え。

(2)労働生産性=付加価値額÷常用従業員
 付加価値は、人間を投入することによって、その効果を期待し得るもので
すから、1人当たりの効果率をその加工高で算出します。これは、高利潤、
賃金の基礎となるものであり、企業経営において、最も重要なものの一つ
です。

 労働生産性を高めるには、次のような施策が必要になります。
●原材料費の節減。
●製品の改良、新製品の開発。
●工数低減・歩留の向上。
●外注費の引下げ。
●市場開拓と拡売の推進。
●新分野への多角化。

(3)機械装備率=付加価値額÷機械および工具器具類×100
 機械の使用効率も、経営成果を実現する付加価値にとって重要です。機械
の果たしている役割を検討するためには、ぜひ必要な数値であり、固定資産
過大病ともいうべき、遊休施設の利用度や資金の回転率を低下させている原
因を調査することです。

 機械装備率を高めるには、次のような施策が必要になります。
付加価値率を高める。
●機械設備の利用度を高める。

(4)投資資本効率=付加価値額÷総資本×100
 企業の目的が投下資本に対する利益を最大にすることである以上、この投
資本に対する付加価値は言うまでもありません。また、資本の回転率にも
大いに関係がある比率であり、利益の労使配分の比率にも関係が生じます。

 投資資本効率を高めるには、次のような施策が必要になります。
資本の回転率を高める。
資本の運用面における効率を上げる。

(5)各科目の費用効率=各科目の費用額÷付加価値額×100
 この算式は、各科目の消費した費用の効果を測定するのに、大いに役立つ
ものです。この数値が、費用管理を容易にすることも考えられます。

 各科目の費用効率を高めるには、次のような施策が必要になります。
付加価値率を高める。
●各科目の費用を下げる。

 利益に対する労使の配分の計算も、この付加価値を基準として算出され、
資金・給料の昇給問題や、賞与報酬などについても、この比率を用いて
調査検討することが多くなってきています。次式がそれをあらわします。
あわせて紹介しておきます。
●労働分配率=人件費÷付加価値額×100
●利益配分率=純利益÷付加価値額×100
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●閑話休題「企業浮沈のキーポイント」

 現代の企業に必要なのは資本金でも、設備でもありません。アイデアであ
り、不確定期を乗り切っていく創意とバイタリティです。ただやる気だけで
は、企業にメリットを与える人にはなれません。

 創意力のある人は、たとえ構造的大変化に直面した場合でも新しいやり方
を考え出す人です。時代にマッチした新製品の思いつきも創意力がないと生
まれません。販売の仕方も、コストの引下げもアイデアがないと新しいやり
方は生まれません。

 変化の激しい時代においては、こだわったり、人の新しいやり方を排除す
る人ではアイデアマンにはなれません。アイデアマンほど人の新しいやり方
に注目し、そこから何かを得ようとするものです。もし人の新しいやり方が
失敗に終わっても、そこから何かヒントを得ようとするものです。

 同僚が何か新しいやり方をしようとする時、ただ排除する人はアイデアマ
ンになれません。実践的アイデアマンとは、人の新しいやり方に同調し、そ
れを土台に自分も工夫していく人なのです。

 経営者はもちろん、幹部や従業員に創意と実行力があるかないかが、企業
浮沈のキーポイントになる時代だと思うのです。

 ここで皆さんのアイデアの流暢さをテストしてみましよう。
●問題1:ここに赤レンガが1個あります。何に使えるか、5分間にできる
だけあげてください。
●問題2:ここに1枚の新聞紙があります。何に使えるか、5分間にできる
だけあげてください。
 5分間のアイデアの総数が
5以下……あなたの独創力は大分錆びついています。
10以下……まあ普通です。しかし平凡。
20まで……相当素質があります。
それ以上……立派です。訓練すればもっと伸びます。
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●編集後記
 メルマガの読者会社2社から販売数量拡大策の依頼を受けて講演を行って
きました。
●A社は、セールスマン管理による販売数量拡大策
●B社は、市場セグメンテーションの活用による販売数量拡大策

 一般に販売数量の拡大策について、その内容を挙げれば次のとおりです。
 1.セールスマン管理による販売数量拡大策
 2.広告宣伝による販売数量拡大策
 3.製品化計画による販売数量拡大策
 4.市場調査による販売数量拡大策
 5.販売店援助(代理店・特約店援助)による販売数量拡大策
 6.販売経路の調整による販売数量拡大策
 7.市場セグメンテーションの活用による販売数量拡大策
 8.新規得意先開発の経営戦略による販売数量拡大策
 9.その他の販売促進による販売数量拡大策
10.新規事業開発の経営戦略による販売数量拡大策
11.業務提携の経営戦略による販売数量拡大策

 ところで、利益を確保するには、前回のメルマガで説明したとおり、販売
数量を拡大するか、コスト・ダウンを行うかのいずれかにあります。この双
方が実現できれば、その効果は大変なものです。 

 現在のメルマガは、コスト・ダウンがテーマになっていますので、販売数
量の拡大策についてのやり方についてははふれませんが、検討すべき内容で
あることには間違いありません。
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★生産方式の改善・セル生産方式への移行したい!
★部品・仕掛品・製品在庫の削減をしたい!
★開発・設計期間の短縮をしたい!
★セールス活動の効率化を図りたい!
★商談技術を強化したい!
★市場開拓への戦略構想をつくりあげたい!
目標管理の導入・定着を図りたい!
人事評価制度を策定したい!「経営テクノ研究所」にご相談ください。
【ホームページ】http://www9.plala.or.jp/keiei-techno/
【お問合せ】tate@agate.plala.or.jp
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【発行元】経営テクノ研究所〒110-0008 東京都台東区池之端1-4-29      
     ライオンズマンション池之端305TEL&FAX:03-5913-9197 
【発行責任者】経営テクノ研究所 代表 舘 義之
【事業内容】コンサルティング・企業内研修・講演会・経営顧問・執筆
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