◆事例:勝手に
退職
ある
従業員が突然出社しなくなりました。
退職願の提出もありません。本人
を呼び出し問いただしたところ、仕事に嫌気がさしたのでもう出社しないと言
います。会社としてはどのような措置を取ればいいでしょうか。
◇回答----------------------------------------------------------------
自己都合
退職は、
就業規則の定めがあればその定めによる事前の申し出が必
要です。
就業規則に定めがなければ、
民法の規定により
退職申し出の2週間後
に
退職となり、それまでの間は就労義務があります。どうしても出社しないの
であれば就労拒否として
懲戒対象にもなり得ます。ただ会社にとって何らメリ
ットがないため、実務上は即時
退職を認め、会社が泣き寝入りするケースも多
いようです。
■解説----------------------------------------------------------------
退職とは
従業員がその身分を失うことですが、
定年、解雇、期間満了、任意
退職等種々の形態があります。解雇については各方面で参考情報がありますが、
任意(自己都合)
退職については件数が多い割には意外と情報が少ないようで
す。
従業員が自分の意思で任意に
退職することが自己都合
退職です。一般的には、
本人が
退職願を会社に提出し、しかるべき期間経過後に
退職となります。なお、
類似のケースとして、人員整理に至る前に希望
退職を募り、これに応募した者
に
退職を認めることも任意(合意)
退職として扱われることもあります。
自己都合
退職は本人の申し出が前提となるため、その旨の
意思表示が必要で
す。口頭でも構わないのですが、後々トラブルとなるのを防ぐ意味から通常は
就業規則で書面による
退職願等の提出を義務付けています。もちろん
退職願を
提出した日に即辞められても困るので、提出日から
退職日までの期間も定める
のが普通です。
この期間は、
就業規則に定めがあればその期間になりますが、
就業規則がな
いとか、定めがない場合には
民法の規定が適用されます。
民法第627条によれば、「期間の定めのない
雇用契約はどちらからでもいつで
も解約ができる。この場合
雇用は2週間経過後に終了する」旨定められていま
す。もちろん会社側からの解約(解雇)は基準法の制約を受けるので、
民法の
規定は排除されます。
事例の場合、
就業規則がなく、また
雇用期間の定めがないのであれば、本人
が「辞める」と申し出た日から2週間は
雇用が継続することになります。従っ
てこの間は本来の
雇用契約に基づき就労義務があるので、本人に対し労働する
ようにと命ずることができます。本人がどうしても応じない場合は、
懲戒処分
(
就業規則の定めが必要)も可能です。
しかしながら、もう働く気がない者に会社が延々と手間をかけるのもバカら
しいことです。法的には就労させることが可能でも、実際に首に縄かけて連れ
てくる訳にも行きません。無理に働かせた挙げ句、ハネ品の山を作ったり、労
災起こすとか機密を盗まれたりと、ロクなことはありません。
会社としてはシャクですが、いっそのこと即時
退職を認め、早々に関係を解
消した方がよいこともあります。本人が即時
退職を申し出て、これを会社が認
めることは、お互い合意の上なので
民法のカヤの外です。特に、年休を保有し
ている場合に目一杯請求されたりすると、まさに「泥棒に追い銭」状態になる
恐れもあります。
なお、このような
退職者が発生した場合、職場への経過説明は必ずしておく
べきです。そのまま放っておくと「何~だ、いつでも辞めていいんだ」と、思
わぬ方向へ向かってしまいます。
本人が相当の期間を置かず一方的に
退職したことにより、会社が実際に損害
を被った場合、それ相応の
損害賠償の請求は可能と考えられますが、実際の手
間暇を考慮すると徒労に終わる恐れもあり、実際に請求するケースはほとんど
耳にしません。
このように
労務に関してはTVの法律相談所のようにズバっと行かないケー
スがままあります。
労務が泥臭いといわれる所以です。
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⇒
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◆事例:勝手に退職
ある従業員が突然出社しなくなりました。退職願の提出もありません。本人
を呼び出し問いただしたところ、仕事に嫌気がさしたのでもう出社しないと言
います。会社としてはどのような措置を取ればいいでしょうか。
◇回答----------------------------------------------------------------
自己都合退職は、就業規則の定めがあればその定めによる事前の申し出が必
要です。就業規則に定めがなければ、民法の規定により退職申し出の2週間後
に退職となり、それまでの間は就労義務があります。どうしても出社しないの
であれば就労拒否として懲戒対象にもなり得ます。ただ会社にとって何らメリ
ットがないため、実務上は即時退職を認め、会社が泣き寝入りするケースも多
いようです。
■解説----------------------------------------------------------------
退職とは従業員がその身分を失うことですが、定年、解雇、期間満了、任意
退職等種々の形態があります。解雇については各方面で参考情報がありますが、
任意(自己都合)退職については件数が多い割には意外と情報が少ないようで
す。
従業員が自分の意思で任意に退職することが自己都合退職です。一般的には、
本人が退職願を会社に提出し、しかるべき期間経過後に退職となります。なお、
類似のケースとして、人員整理に至る前に希望退職を募り、これに応募した者
に退職を認めることも任意(合意)退職として扱われることもあります。
自己都合退職は本人の申し出が前提となるため、その旨の意思表示が必要で
す。口頭でも構わないのですが、後々トラブルとなるのを防ぐ意味から通常は
就業規則で書面による退職願等の提出を義務付けています。もちろん退職願を
提出した日に即辞められても困るので、提出日から退職日までの期間も定める
のが普通です。
この期間は、就業規則に定めがあればその期間になりますが、就業規則がな
いとか、定めがない場合には民法の規定が適用されます。
民法第627条によれば、「期間の定めのない雇用契約はどちらからでもいつで
も解約ができる。この場合雇用は2週間経過後に終了する」旨定められていま
す。もちろん会社側からの解約(解雇)は基準法の制約を受けるので、民法の
規定は排除されます。
事例の場合、就業規則がなく、また雇用期間の定めがないのであれば、本人
が「辞める」と申し出た日から2週間は雇用が継続することになります。従っ
てこの間は本来の雇用契約に基づき就労義務があるので、本人に対し労働する
ようにと命ずることができます。本人がどうしても応じない場合は、懲戒処分
(就業規則の定めが必要)も可能です。
しかしながら、もう働く気がない者に会社が延々と手間をかけるのもバカら
しいことです。法的には就労させることが可能でも、実際に首に縄かけて連れ
てくる訳にも行きません。無理に働かせた挙げ句、ハネ品の山を作ったり、労
災起こすとか機密を盗まれたりと、ロクなことはありません。
会社としてはシャクですが、いっそのこと即時退職を認め、早々に関係を解
消した方がよいこともあります。本人が即時退職を申し出て、これを会社が認
めることは、お互い合意の上なので民法のカヤの外です。特に、年休を保有し
ている場合に目一杯請求されたりすると、まさに「泥棒に追い銭」状態になる
恐れもあります。
なお、このような退職者が発生した場合、職場への経過説明は必ずしておく
べきです。そのまま放っておくと「何~だ、いつでも辞めていいんだ」と、思
わぬ方向へ向かってしまいます。
本人が相当の期間を置かず一方的に退職したことにより、会社が実際に損害
を被った場合、それ相応の損害賠償の請求は可能と考えられますが、実際の手
間暇を考慮すると徒労に終わる恐れもあり、実際に請求するケースはほとんど
耳にしません。
このように労務に関してはTVの法律相談所のようにズバっと行かないケー
スがままあります。労務が泥臭いといわれる所以です。
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