◆事例:届出と違う経路で起きた
通勤災害
当社では
通勤経路を事前に届けさせています。先日、届けと違う経路で
通勤
していた
従業員が交通事故に遭ってしまいました。会社としては
通勤災害とは
無関係の個人的事故として取り扱いたいのですが。
◇回答----------------------------------------------------------------
労災法上の
通勤は合理的な経路、方法であればよく、会社に届け出ていない
方法であっても適用されます。事故の原因に故意や重過失がなければ労災給付
の対象となるので、会社は所定の手続きをしなければなりません。
なお、正規の届出をしていなかった件については、社内規程違反として制裁
の対象となり得ます。
■解説----------------------------------------------------------------
事例のように、
通勤経路を事前に届けさせいる会社はかなりの数にのぼるよ
うです。中規模以上のある程度の体制が整っている会社ではまず100%
通勤届を
徴求しています。
これは、
通勤手当算出の基礎としていることに端を発したものですが、一般
的には届出の経路以外は
通勤災害として認められないとの誤解もあります。
しかしながら、労災法で給付対象となる
通勤とは「
労働者が就業に関し住居
と就業の場所との間を、合理的な経路及び方法により往復すること」と定めて
います。
事例における問題点は「合理的な経路及び方法」に関する部分となりますが、
これは会社への届出とは関係なく一般に通常用いられる経路や方法であれば労
災はクリアできます。極端な例では、
マイカー通勤を禁止しているのに車で通
勤し、途中で事故った場合でも労災補償が受けられます。もちろん無免許や酒
酔い状態であれば
給付制限がかかります。
まれに、届出と違う方法なので会社が労災の手続きをしてくれないという話
を聞きますが、大きなトラブルになります。会社としては「勝手なことをして
くれた奴に何で」と思う気持ちもありますが、放置したままではまずいことに
なります。労災の
時効と
民法の
時効は異なるので、後になって労災でもらえた
はずの額を請求されたりする恐れもあります。
以上のように、
通勤届自体の位置づけは労災とは無関係なものと言えます。
但し、あくまでも労災との関係であり、
従業員と会社との関係は残ります。も
し、
通勤災害に遭遇した人に見舞金を支給するような制度があれば、届出と異
なる経路の場合は不支給とすることもできます。
もちろん正規に届出をしていなかったことを理由に制裁を行うことも可能で
す。この場合、
就業規則に制裁の定めが必要です。
なお、
労災保険料の
算定には
通勤災害の発生状況は全く関係せず一律です。
業務上災害では色々面倒なことになりますが、
通勤災害は事業主の管理下でな
いことから、保険料の増減はなく、よほど頻発していなければ監督署の立ち入
りも通常はありません。
とはいえ、
従業員が突然就業不能になるのは困りもの。どんな災害もないに
越したことはありません。
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◆事例:届出と違う経路で起きた通勤災害
当社では通勤経路を事前に届けさせています。先日、届けと違う経路で通勤
していた従業員が交通事故に遭ってしまいました。会社としては通勤災害とは
無関係の個人的事故として取り扱いたいのですが。
◇回答----------------------------------------------------------------
労災法上の通勤は合理的な経路、方法であればよく、会社に届け出ていない
方法であっても適用されます。事故の原因に故意や重過失がなければ労災給付
の対象となるので、会社は所定の手続きをしなければなりません。
なお、正規の届出をしていなかった件については、社内規程違反として制裁
の対象となり得ます。
■解説----------------------------------------------------------------
事例のように、通勤経路を事前に届けさせいる会社はかなりの数にのぼるよ
うです。中規模以上のある程度の体制が整っている会社ではまず100%通勤届を
徴求しています。
これは、通勤手当算出の基礎としていることに端を発したものですが、一般
的には届出の経路以外は通勤災害として認められないとの誤解もあります。
しかしながら、労災法で給付対象となる通勤とは「労働者が就業に関し住居
と就業の場所との間を、合理的な経路及び方法により往復すること」と定めて
います。
事例における問題点は「合理的な経路及び方法」に関する部分となりますが、
これは会社への届出とは関係なく一般に通常用いられる経路や方法であれば労
災はクリアできます。極端な例では、マイカー通勤を禁止しているのに車で通
勤し、途中で事故った場合でも労災補償が受けられます。もちろん無免許や酒
酔い状態であれば給付制限がかかります。
まれに、届出と違う方法なので会社が労災の手続きをしてくれないという話
を聞きますが、大きなトラブルになります。会社としては「勝手なことをして
くれた奴に何で」と思う気持ちもありますが、放置したままではまずいことに
なります。労災の時効と民法の時効は異なるので、後になって労災でもらえた
はずの額を請求されたりする恐れもあります。
以上のように、通勤届自体の位置づけは労災とは無関係なものと言えます。
但し、あくまでも労災との関係であり、従業員と会社との関係は残ります。も
し、通勤災害に遭遇した人に見舞金を支給するような制度があれば、届出と異
なる経路の場合は不支給とすることもできます。
もちろん正規に届出をしていなかったことを理由に制裁を行うことも可能で
す。この場合、就業規則に制裁の定めが必要です。
なお、労災保険料の算定には通勤災害の発生状況は全く関係せず一律です。
業務上災害では色々面倒なことになりますが、通勤災害は事業主の管理下でな
いことから、保険料の増減はなく、よほど頻発していなければ監督署の立ち入
りも通常はありません。
とはいえ、従業員が突然就業不能になるのは困りもの。どんな災害もないに
越したことはありません。
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