相談の広場
標題についてご教授下さい。
私は総務担当のものですが先日、営業統括者(A)から相談を受けました。その内容は下記のものです。
当社では住宅建材などを工務店に販売をしているのですが、顧客と折衝した当社の営業担当者(B)の誤発注がしばしば発生します。その(B)に対し、上司である(A)も注意を促しその都度改善策を指示していますが、度々、発注ミスが起こっています。
そこで(A)は誤発注した商品を一度(B)に買い取らせて、その商品が売れれば、(B)に返金するという方法はどうだろうか?というものです。
取り敢えず、会計上の問題は度外視しておき、上記のように通常の営業活動上でのミスを弁償させるというのは何かの法律に抵触するのでしょうか。又抵触するならばその法律もお教えいただけますでしょうか?宜しくお願いいたします。
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結論から考えますと、損害賠償の請求をすることができます。が、全額を請求するには問題があります。
第三者に損害を与えた場合は、会社がその損害賠償をしなくてはなりません。判例でも認めています。
ここで問題なのは、社員に対する損害賠償の請求ですが、民法第715条第3項は、「使用者は当該従業員に対して求償権を行使することができる」と定めています。
この求償権の法的性質は従業員の行為によって会社が損害を被ったことを理由とする損害賠償請求です。
この求償権行使として会社が得意先に支払った費用について
従業員に請求することができます。
但し、判例では企業と労働者の間で損害を公平に分担すると言うことから、求償を一定の範囲で制限する立場を取ることを求めています。
その背景には、誤発注による危険性が内在する企業の営業活動によって収益を上げているのだから損失も企業がある程度負担すべきであるという考え方や労働条件(社員への教育など)や会社の設備、売買契約上の発注確認不備などが、今回の事件の原因になっているようにも拝見できます。
判例は、求償を全損害の四分の一に制限しています。
裁判になるまでなるのは稀だと思いますが、従業員との話合で金額を決める場合であっても公平な解決を図るべきでしょう。
このようなことから全額賠償させるというのは、特別事情(今回が初めてでない等)がない限り適性ではないといえます。
ご質問では、何回かの事件発生との報告ですが、通例では懲罰委員会、人事委員会等で担当部署の変更、その間の社員教育の実施が求められるでしょう。
最終判断では、幾度となく起きた場合には、会社として就業規則上の懲罰、あるいは解雇等の行為等も考えるべきでしょう。
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中小企業経営者への法務実務アドバイス(第14回)
~社員への損害賠償請求はどこまでできる?
会社の管理責任の限界は?~
http://www.srup21.or.jp/room/advice14_1.html
法律論は、他の方が答えておられますので省略しますが、誤発注が起こる御社の仕組みをまずお考えください。
本来、営業担当者が直接発注業務を行うことは防ぐべきです。
規模等の観点から調達部門がないとしても、営業担当者が発注する前に上司が確認するのは当然の抑止かと考えます。
(A)さんは上司とのことですので、(B)さんが懲罰を受けたり損害賠償請求されるのであれば、一定の割合で(A)さんにも同様に懲罰や損害賠償請求をすべきですよ。
システムの変更や発注書に上司の押印欄をつくるなどチェックする仕組み作りが先じゃないですか?
商品を買い取らせるなんて論外だと思います。
ミスを起こした従業員に損害賠償すると、従業員は怖くて仕事できなくなりますし、今後、優秀な人材は入社を敬遠するでしょうし、取引先もかまえるでしょうね。
ですから、明らかな不正などの場合のみ損害賠償をお考えになったほうがよいと思います。
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