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労務管理

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総務の森イチオシ記事が満載: 経営ノウハウの泉(人事労務~働き方対策まで)

雇用契約に関して

著者 hiratak さん

最終更新日:2006年10月28日 22:51

仕事は医師です。大学医局より某民間病院に職員として派遣されていますが、就職時に労働契約書も交付されていません。またある時大学の医局の人事担当者が、私自身の就職は医局と某民間病院との契約とほざいていました。法的には個人(私自身)と某病院との労働契約であるのが、当然と考えますが、いかがでしょう。また大学病院の医局自体は派遣業者としての許可を受けていないので、このような人事を実際は行っていますが、研修医などの身分のものは別として、10年以上も医師として働いているものを、民間病院に派遣する行為は違法ではないのでしょうか。(たいていは個人の意思として就職したことにはなっていますが)。また医局が某民間病院に異動を行う伝え、その医者が解雇されるということは、解雇をすることの相当たる理由ではないと考えますが、いかがでしょう。

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Re: 雇用契約に関して

著者三木経営労務管理事務所さん (専門家)

2006年12月09日 20:10

あなたに賃金を支払っているのは某民間病院なのですから、あなたと某民間病院の間に労働契約がなければなりません。労働契約書が当然必要です。それがないのなら、今からでも作成すべきものと考えます。ただ、なくても労働基準法は適用されます。
もし、以前より医局から民間病院への異動が行われていて、前例があるのなら事情がわかるのですが。

相談内容から判断すると、転籍出向という感じです。労働者出向転籍を命じる場合は、ご存知のように就業規則などで出向転籍についての規定がなければなりません。大学病院にもあるはずですから確認しましょう。

★「転籍」とは、企業との現在の労働契約関係を終了させて、新たに他の企業との間に労働契約関係を成立させ、当該他企業の業務に従事させる人事異動です。
出向の場合には出向元企業との労働契約が維持されるのに対して、転籍出向元企業との労働契約関係を終了させる点が決定的に異なります。労働者の個別的な同意が必要です。

★包括的同意で転籍命令が認められる場合
入社時に関連会社への転籍もあることを了解していた場合に、改めて本人の同意を得ていなくても移籍命令が認められたケースがありますが、レアケースといえます。

原則として労働者の個別的な同意がないときは、転籍命令権は会社にはありませんから、転籍を命じたり強要することはできません。転籍拒否を理由とする整理解雇も無効とされる場合が多いようです。

これらを踏まえて、どうか納得のいく状態で仕事に励んでいただきたいと思います。

医局は親睦団体のもの

著者hiratakさん

2006年12月14日 17:14

返信ありがとうございます。先生の回答の中に転籍等が書いてありますが、医局というものは基本的に親睦団体みたいなもので、雇用関係などは全くありませんので、出向転籍等の以前の問題だと考えます。私自身の考えとしては、昔からの慣行で医局人事ということが行われていますが、職場の斡旋という以外の何者でもないと考えますが。

Re: 医局は親睦団体のもの

著者まゆち☆さん

2006年12月16日 10:49

私見としてコメントを。
医局は「産学協働システム」であると捉えています。医局が人事権を含め、その医局員である医師をコントロールすることで、地方の病院でも安定した医師の確保が可能となり、臨床研究結果は医局に集約される。医師自身も相当額の先行投資をして医師になっていますから、一定水準の就職先を保障されることで学生時点から勉学に専念できる。ここに医療界や製薬業界の巨額の利権が絡みますから、医療、学閥という特権的かつ閉鎖的な世界を支える強権的な枠組みです。しかも国の政策上でも、今日の医療水準の向上や地域医療の安定など、医局の存在が寄与している部分は多く、このシステム自体を是認しているので、『この業界の常識』になっているように感じています。

 しかし一方、内部的には医局→医師の徒弟制度です。研修医や勤務医の若い時期には低賃金で長時間労働に晒されるが、後年には地位と名誉、多額の報酬が期待される。医局には絶対服従である見返りとしての保護されている訳です。よってこのシステムの中では、医師は『医局の方針を追認する』ことを求められ、事実そう動いています。

 医局は親睦団体という生易しいものではなく、その地域のその診療科ごとにある頂点の意思決定機関で、学閥たる医学部教授がその実権を握っていることと思います。先般、徒弟制度と述べましたが、失礼ながら極論すれば任侠の業界と似たシステムでもある。この頂点の意思に従うか否かの話であって、従わない者は放逐され得る。最近は医師不足問題があり、民間の紹介会社もあるので医局の影響力は低下していますが、医師が自分で一定額の報酬や将来を保証された勤務先を探すのは、依然、困難と思います。

 労働契約に関しては、当然、医師が民間病院に勤務すればその病院が、医学部附属病院など国公立病院なら地方公共団体や独立行政法人など、病院の経営母体が契約当事者(使用者)です。医局はこの契約内容を保証する仲介人の立場で、労使双方の反論を押さえ込む存在でもあります。当然、病院側が書面で契約内容を明示しない場合、労働基準法第15条の違反を構成しますが、違反行為の主体は使用者。ここで医師と医局の間に労働契約はないので、出向や派遣という概念が存在する余地は全くありません。また、病院間は経営上、客観的には利害対立関係にあるので転籍という概念も馴染みません。

 なお、当初の設問にあった「たいていは個人の意思として就職…」の部分は先述のとおり、医師が医局と病院の意向を追認するか否かの問題であり、異動による解雇も双方が合意の上での契約解除として取り扱われていると思います。よって解雇たる相当の理由かどうかを論じる前提に、労働者としての医師が、医局等の意向を追認せず、病院との労働契約を解除する意思がないことを主張することが必要。その上で解雇された場合に、争点として浮上します。客観的にはこの解雇の合理性はないものと考えますが、後々に大きな社会的、経済的不利益を被る争いとなることが確実に懸念されます。

 それだけにご質問者が医師として、どのように自分の将来像を描き、地位、名誉、報酬、医療への思いなど、どの価値観を優先するのか、さらにどう実現するか、その障害は何か…を自問自答されることから方針が見えてくると思います。 上手くまとまらない長文&駄文で、済みません。

Re: 医局は親睦団体のもの

著者三木経営労務管理事務所さん (専門家)

2006年12月16日 17:10

医局人事について大した知識もないままに、労働法上だけの問題として回答してしまいました。hiratak,まゆち両氏からの返信をいただき、学習機会を与えられたことに感謝したいと思います。

長い間かかって形成された「医局」システムについては、メリットも多いけれど弊害が多く噴出しているようですね。名義貸し、研究費の流用などの不祥事も発覚しています。

あなたが医局に所属している以上、たとえ10年間大学病院に勤務していたとしても、そのまま継続勤務できると思うのは早計だと思います。医局に入局した時点から人事権を握られているのですから、医局と民間病院との派遣契約のようなものがあっての民間病院勤務なのでしょう。再度医局に戻されるかもしれません。

医師は社会的な地位も貢献度も高く、仕事はきついと思いますがやりがいのある立派な仕事であり、志が高くなければ到底なれるものでなく、続けられるものでもありません。あなたとしても、今すぐに法的な解決を望むものではないのだろうと私は考えています。(しかし自分で決断するしかない。)
今後、より良い解決が図られ、仁術に励まれる事を私としては祈念致します。

いいたかった事

著者hiratakさん

2006年12月16日 21:32

色々とご意見ありがとうございます。まず最初に言いたかったことは、医局という団体には法律上に構成員を拘束する人事権というのは、存在せず、もし医局が個人の意思を無視して病院を異動を命じることは、労働基準法等の労働法、強いては憲法違反であるということです。今までの医局は法律などは無視して、社会の暗黙上の了解でこの様なこと行ってきた事実が現にあるとのことです。まゆち氏よりも意見をいただきましたが、現在の医局の力は昔と比較して格段に落ちています。だから医局の意向に対して反抗しても、やめられるのが怖いので、それ以上の無理強いはできない状況です。昨今の大学病院の現状の報道を見えれば明らかです。最後に今回なぜこんな質問をしたかというと、旧態の大学人はこの様な労働法規に関して全く無知であり、過剰労働などを美徳とする馬鹿な集団であることを、理解して頂きたかったからです。私自身の考えはごっさしの通り、今やめるやめないということはありません。今後理不尽なことを言ってくればその時点でやめる。それだけです。

Re: いいたかった事

著者三木経営労務管理事務所さん (専門家)

2006年12月17日 18:18

名古屋大学では大学紛争などの影響もあり、30年以上研修医を医局に入局させてこなかったにもかかわらず、かえって市中病院の実力が上がったなどメリットがあったとの記事もありました。医局制度が今後なくなることは無いにしても変革途上にあることは間違いないでしょう。少なくとも患者にとって良い方向に変化していってほしいものですね。

Re: いいたかった事

著者まゆち☆さん

2006年12月17日 21:54

本論から外れますが、私見としてコメントを。 
患者にとってのよい方向…これが難しいテーマなんです。

 前述のとおり医局制度は、中央集権型の徒弟制度で、製薬業界等も組み込んだ一大利権組織です。ご存知のとおり日本医師会は政治的背景を持つ圧力団体です。ただ現実にはこの構造の中で医学・薬学研究の進歩があり、現在の医療レベルを維持しているんです。

 医局の力が強いと僻地の医師は確保され、大学病院を頂点とする地域医療が円滑化します。治験にも反映し、地域医療は安定します。でも医師は酷使されて疲弊するため、今回の設問のような問題となる。

 一方、医局の力が落ちると僻地での医師確保が困難となり、特に診療報酬勤務時間が滅茶苦茶な老人科、産婦人科、小児科、緊急医療の診療科にしわ寄せが来ます。こうして僻地の産科で分娩できなかったり、救急患者をたらい回しすることがある。尾鷲市が市民病院の医師を招聘するために高額の報酬を計上して市議会が紛糾したり、新聞屋が救急患者のたらい回しを批判しますが、批判するだけでこの問題は片付きません。患者側に受益者の応分負担の考え方や、医師も生身の人間であるという基本的な意識がないからです。

 医師の不足問題は今後、医師過剰に転ずる要素はありません。過去には過剰の時期(約20年前)がありましたが、2007年問題や少子化による大学定員の削減があり、医師自身の職業観の多様化、国の診療報酬基準の改定や大学の独立行政法人化もありました。本来は、国がその政策の中で医師不足への対応、特に特定診療科の医師の確保と処遇改善を行なうべきなのですが、マスコミの批判の矛先や世論の関心が間違ったほうに向いていて、本質的、構造的な問題(利益・損失の両面)を理解せず、無批判に感情論で考えているため、国側もむやみに動けないように感じています。

 私自身は医局制度を支持します。医局の支配力低下で市中病院の実力が上がったとしても、市中病院の力は所詮、知れています。通常分娩する妊婦さんと、異常出産で母子ともに生死の境をさまよう妊婦さんは、紙一重でありながら医療機会に対する価値観が全く違う。パイが限られた中で患者自体の利害が対立しますが、優先順位は後者です。

 いまの世の中では、特定の医師や警察官が酷使されています。医療過誤や警察不祥事はマスコミに大げさに叩かれる。個人的に思うのは日本医師会の指示、指導に問題があり、若手医師や研修医が酷使される環境がある。さらに日本医師会が国会議員を輩出しているため、政官業の癒着的関係も否定できない。若手医師が開業医や自立的な民間病院に流れるのがいいのか、否か…ですが、これほど世の中の誤った締め付けたけが多くなると、若手医師の方に無理をお願いできないですよね。

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