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会社法のポイント(10)

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行政書士津留信康の『身近な法務サポートマガジン』<第66号/2005/10/15>■
 1.はじめに
 2.「会社法務」編(特別企画)―
   「中小企業経営者・ベンチャー創業者のための“会社法”のポイント(10)」
 4.編集後記
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 1.はじめに
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 皆様、こんにちは。行政書士の津留信康です。
 先月下旬、UFJ信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)とUFJ銀行が、
恒例の『第3回「遺言川柳」募集キャンペーン結果』(※)を、発表しました。
いずれ劣らぬ力作ばかりですが、個人的には、
「遺産分け 不思議な人が 席につく」(特選/65歳・女性)、
遺言書 開封迄は 仲が良い」(佳作/64歳・男性)の2作品が、
遺言相続を巡る様々な人間模様”をコミカルに表現しており、
とても印象に残りました。
 それにしても、相続が開始すると、当事者以上に外野の声がうるさかったり、
それまで面識の無かった方が突然相続人と称して現れたり、
親・兄弟・親戚といえども、一瞬にして利害関係人と化してしまうもの。
「家に限って・・・」と高をくくることの無いよう、くれぐれもご注意ください!
 ※) http://www.ufjbank.co.jp/ippan/campaign/yuigonsenryuu/
 
 それでは、今回も、どうぞ最後までお付き合いください。

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 2.「会社法務」編(特別企画)―
   「中小企業経営者・ベンチャー創業者のための“会社法”のポイント(10)」
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会社法施行後の「有限会社」(3)
 ―会社法施行時、既に設立されている有限会社をどうするのか?
<選択その2―通常の株式会社に移行する>
  ☆=会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律
 □商号変更による通常の株式会社への変更(☆第1章第2節第3款)
   特例有限会社は、定款を変更して、
  その商号中に、“株式会社”という文字を用いる「商号の変更」を、
  することができ(☆第45条第1項)、
  特例有限会社が、上記の定款変更について株主総会の決議をしたときは、
  その本店の所在地においては2週間以内(支店の所在地では3週間以内)に、
  「特例有限会社の解散の登記」と「商号変更後の株式会社の設立の登記」を、
  しなければなりません(☆第46条)。
   なお、商号の変更についての定款変更は、同登記によって、
  その効力を生じます(☆第45条第2項)。
   参照)法務省「会社法の施行に伴う会社登記についてのQ&A」
      http://www.moj.go.jp/MINJI/minji92.html
 □「特例有限会社」として存続、「通常の株式会社」への移行、どちらを選ぶ?
   この件について、複数の有限会社経営者様からいただいたご回答は、
  以下のとおりです。
   1.会社法施行後も、『当分の間、「特例有限会社」として存続させる』
     と回答された有限会社様が、大半を占めた。
     これらの会社様は、次の1)~3)に示す共通の特徴を有していた。
    1)会社組織ではあるが、役員は、経営者様お一人の場合が多く、
     実質的には、「会社=経営者ご自身」である。
    2)現在、業績は比較的安定しているが、
     当面、事業の拡大は考えておらず、
     新たに、役員を増やしたり、従業員を雇うことは考えていない。
    3)事業内容からして、仮に、株式会社に移行したとしても、
     営業上のメリットには乏しく、業績アップに直結するとは考えにくく、
     それほど会社形態にこだわる必要はない。
   2.会社法施行後、速やかに、『「通常の株式会社」への移行したい』
     と回答された有限会社様は、次の1)~2)に示す特徴を有していた。
    1)仮に、上記1-1)と同様の状況であっても、
     現在の安定した業績をベースに、更なる事業拡大を目指している。
    2)これまでの営業経験上、株式会社化によって、
     メリット(業績アップ等)を享受できる可能性が十分にある、
     と推測できる。
   ・・・以上のように、
  『ほとんどの方が、「通常の株式会社」への移行をご希望では?』
  という、私の当初の予想に反して、
  各社、経営者ご自身が、「会社の現状を踏まえ、今後どのようにしたいのか?」
  という観点から、冷静に自己分析されている点が、非常に印象的でした。
   現在、「会社法施行後、多くの有限会社が、一斉に株式会社化するのでは?」
  という意見も多いようですが、
  “まず形(会社組織)ありき”ではなく、“事業内容の吟味”が先決であり、
  各種手続き(組織変更登記、その後の決算公告役員変更登記等)上の
  の手間・金銭的負担を考慮しても、「経営上のメリット有」と判断されるのであれば、
  大いに株式会社化するべきですし、
  そうでなければ、当面、株式会社化を見送る方が賢明だといえます。
   漠然と、「株式会社になれば、何かいいことあるんじゃないの?」
  という過剰な期待感に踊らされて、くれぐれも経営判断を誤ることのないよう、
  くれぐれもご注意ください。
  (“釈迦に説法”とは、重々承知の上ですが・・・)

★本号では、「有限責任事業組合契約に関する法律」(全9章/全76条)のうち、
 「第4章 計算等」のポイントについて、ご紹介いたします。

■有限責任事業組合契約に関する法律(以下、LLP法)
 ―「第4章 計算等」(第28条~第36条)
 □会計の原則
   組合の会計は、LLP法および同法に基づく経済産業省令の規定によるほか、
  一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従うものとします(第28条)。
 □会計帳簿の作成・保存
   組合員は、経済産業省令の定めるところにより、
  各組合員の履行した出資の価額その他の事項を記載した「組合の会計帳簿」
  の作成(第29条第1項・第2項)および、各組合員に対する写しの交付を、
  行わなければならず(同条第3項)、同帳簿閉鎖の時から10年間、
  同帳簿および組合の事業に関する重要資料の保存が、
  義務づけられています(同条第4項)。
 □財務諸表の作成・備置き・閲覧等
   組合員は、経済産業省令の定めるところにより、
  組合の成立後速やかに、組合成立日における「組合の貸借対照表(B/S)」を、
  毎事業年度経過後2ヵ月以内には、
  その事業年度の「組合の貸借対照表(B/S)および損益計算書(P/L)等」を、
  作成し(第31条第1項・第2項)、
  組合契約書とあわせて、その作成時から10年間、
  主たる事務所に備え置かなければなりません(同条第4項・第5項)。
   また、組合の債権者は、組合の営業時間内は、いつでも、
  作成日から5年以内の財務諸表および組合契約書について、
  閲覧・謄写の請求をすることができます(同条第6項)。
 □組合員の損益分配の割合
   組合員の損益分配の割合は、総組合員の同意により、原則として、
  会計帳簿に記載された、各組合員の履行出資価額に応じて定めます(第33条)。
 □財産分配
  1.組合財産は、その分配の日における分配可能額を超えて、
    分配することができません(第34条第1項)。
  2.分配の日における組合の剰余金に相当する額として、
    経済産業省令で定める方法により算定される額を超えて分配するには、
    総組合員の同意によらなければならず(同条第2項)、
    組合契約書への記載義務もあります(同条第3項)。
  3.組合員は、組合財産の分配を受けた場合、
    一定の責任を負わなければならない場合があります(第35条・第36条)。

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 3.「市民法務」編―「遺言相続の法務に活かす、民法親族編の基礎(11)」
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★本号では、民法親族編「第5章 後見(全4節)」のうち、
 「第2節 後見の機関―第2款 後見監督人」を、ご紹介いたします。

後見監督人
 □未成年後見監督人の“指定&選任”
   未成年後見人を指定することができる者は、
  遺言で、未成年後見監督人を指定することができます(第848条)。
   また、指定した未成年後見監督人がない場合において、
  必要があると認めるときは、家庭裁判所は、
  未成年後見人、その親族もしくは未成年後見人の請求によって、
  または、職権で、未成年後見監督人を選任することができ、
  未成年後見監督人が欠けた場合も同様です(第849条)。
 □成年後見監督人の“選任”
   家庭裁判所は、必要があると認めるときは、
  成年被後見人、その親族もしくは成年後見人の請求によって、
  または、職権で、成年後見監督人を選任することができます(第849条の2)。
 □未成年後見監督人&成年後見監督人の共通事項
  1.後見監督人の欠格事由
    後見人の配偶者、直系血族および兄弟姉妹は、
   後見監督人となることができません(第850条)。
  2.後見監督人の職務(第851条第1号~第4号)
   1)後見人の事務の監督
   2)後見人が欠けた場合の、家庭裁判所への選任請求
   3)急迫の事情がある場合の、必要な処分
   4)後見人またはその代表する者被後見人との利益相反行為について、
    被後見人を代表すること
  3.準用条文・・・以下の規定は、後見監督人について、準用されます。
   1)委任における、受任者の善管注意義務注意義務(第644条)。
    他、第654条・第655条。
   2)成年後見人の選任(第843条第4項)
   3)後見人の辞任(第844条)・解任(第846条)・欠格事由(第847条)
   4)その他(第859条の2、第859条の3、第861条第2項、第862条)

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 4.編集後記
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■第66号は、いかがでしたか?
 ところで、2005/10/6、戸籍法の改正要綱案が、法制審議会に諮問されました。
今後、法務省では、2006年早々にも、同審議会の答申を受け、
次期通常国会に「戸籍法の改正法案」を提出する予定とのことです。
 よろしければ、一連の流れについてまとめたブログ(※)も、ご覧ください。
  ※) http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2005/10/post_2bf7.html
★事務所からのご案内
 「当メールマガジンへのご意見・ご要望」や「業務のご依頼・ご相談」は、
 事務所HP( http://www.n-tsuru.com )のメールリンクから、ご送信願います。
■次号(第67号)の発行予定⇒2005/11/1、
 「会社法務」編―「創業者・経営者のための資金調達情報源(13)」
■編集責任者:行政書士 津留信康 http://www.n-tsuru.com 
■ブログ:「徒然なるままに」 http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/
■発行システムは、「まぐまぐ」 http://www.mag2.com/ を利用しています。
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