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有期雇用契約・
契約更新の
期待権 ━━━━━━━━━━━━
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有期雇用契約
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期待権が認められるケース
┏┏ ◇
契約書に更新しない旨があっても
┏┏ ◇ 判 例
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有期雇用契約
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有期雇用契約とは
雇用期間の定めのある
契約です。期間の満了とともに終了するのが原則です
が、実際は有期
契約であっても人員調整を容易にするための便宜上使われていることも多く、
更新の手続きが機械的に行われたり更新手続きさえされずに長期間
雇用されるケースもありま
す。
また、
契約社員として
採用されるときの面接で「長く働いて欲しい」「がんばってくれればい
ずれ正社員へ登用する気持ちも持っている」などと言われたなら、期待も持ちます。
以上のような場合、期間の定めが一応あっても、更新することへの期待ができる事情があると
いえるでしょう。
契約更新に合理的な期待が認められる場合には、安易な更新拒絶(雇い止め)は許されず、い
わゆる「
解雇権濫用法理」が類推適用され、会社側からの一方的な更新拒否は解雇と同様とみ
なされ、期間の定めがない
契約における解雇と同様、合理的な理由が必要となります。
また場合によっては、実質的には
期間の定めのない契約と見なされる場合もあります。
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期待権が認められるケース
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判断基準としては、次のようなケースが考えられます。
(1)
業務の種類・内容、
雇用形態(職務の臨時性・季節性・常用性、正社員との同一性)
(2)
従事する業務の種類・内容・勤務の継続性
(3)実際の更新の有無・回数、
雇用年数
(4)期間の上限の有無
(5)実際の
契約更新手続の有無
(6)更新手続が形式的か、実質的か
(7)当事者の主観的態様(
雇用継続の期待を持たせる言動・認識の有無と内容)
(8)同様の地位にある他の
労働者の更新状況
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
契約書に更新しない旨があっても
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
最近は会社が更新時に交わす
労働契約書に「本
契約期間については更新しない」と盛り込まれ
ている場合があります。
更新しないこと自体を無効とされ、責任を追及されない為の便宜的措置とも考えられますが、
こうした一文によって簡単に期間満了による雇止めができることとなれば、有期
雇用者の立場
はますます不安定なものになりかねません。
不更新条項はそれ自体が公序良俗に反し無効であると批判する説もあるくらいです。
何の説明も無く、
期待権を裏切り、さらに合意が成立していないとして争う余地は残されてい
ます。
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判 例
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【H17.10.28 名古屋地裁 地位確認請求事件】
概要:A大学とB(外国人教師)との間では、平成6年4月1日から、期間を1年とする
雇用
契約が締結され、9回更新を繰り返した。
A大学は平成15年12月24日付でBに対し、平成16年度(平成17年3月31日)
をもって原告との間の
雇用契約を終了させる旨通知した。
これに対しBが、「平成17年4月1日以降も
労働契約上の権利を有する地位にあるこ
とを確認する」ことを求める訴訟を起こしたもの。
争点:(1)BがA大学と締結した
雇用契約は更新が繰り返されることにより、期間の定めの
無いものとなったか
(2)BがA大学との間で締結した期間の定めのある
雇用契約をA大学が打ち切ること
は許されないか
判決:請求棄却
●争点(1)について⇒A大学とBとの間の
雇用契約は,期間の定めのない
雇用契約に転化し
たものと認めることはできない。
①BがA大学総長と締結した
雇用契約書には、
雇用期間を1年とすることが明示されていた
②
契約を更新する際に、その都度新たに
雇用期間を1年とする
契約書が作成されていた
③
契約更新の都度、Bと他の教授が具体的勤務条件を協議し、教授会の決定の上、
契約更新の
際に職務内容、給与額が変更となった
④Bは、
契約書を自宅に持ち帰って注意深く読んでからサインをしたことがあった
●争点(2)について⇒Bとしては、BとA大学との間で締結される
雇用契約についてある程
度の継続を期待する合理的理由があった。
①
雇用契約が9回の更新により10年間継続してきた
②Bが従事していた職務は臨時的な職務ではなく、恒常的に存在する職務であった
③外国人教師の中には、
雇用契約が5年間を超えて更新されないものと明示されていた者がい
たが、Bの場合には相互の合意により1年ごとに
契約を更新できるとされ,更新継続期間の
限定はされていなかった
③外国人教師の中には、20年以上にわたって
雇用契約の更新継続がされた者がいた
④関係者も、
雇用契約が更新されるものと認識していた
A大学がBの
雇用契約の更新を拒絶する場合、解雇に関する法理が類推され、その更新拒絶に
は合理的な理由が必要であるが、有期
契約である以上その更新拒絶の基準は、期間の定めのな
い
従業員を解雇する基準よりは緩やかなものである。
つまり
期待権を認めつつも、結果的には更新を拒絶できる合理的な理由があるとしたものです。
この判決から、
有期雇用契約であっても更新が繰り返されればされるほど、また、更新手続が
形式的であればあるほど、事実上終了できない
契約となる可能性があることが解ります。
更新の都度、業務内容や
契約条件について話し合うなど実質的な更新手続が必要とされること
の認識が必要です。その上で更新が繰り返されるならば、
労働者の更新への期待が法的に保護
されることとなるでしょう。
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┏┏ ◇ 判 例
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有期雇用契約
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有期雇用契約とは雇用期間の定めのある契約です。期間の満了とともに終了するのが原則です
が、実際は有期契約であっても人員調整を容易にするための便宜上使われていることも多く、
更新の手続きが機械的に行われたり更新手続きさえされずに長期間雇用されるケースもありま
す。
また、契約社員として採用されるときの面接で「長く働いて欲しい」「がんばってくれればい
ずれ正社員へ登用する気持ちも持っている」などと言われたなら、期待も持ちます。
以上のような場合、期間の定めが一応あっても、更新することへの期待ができる事情があると
いえるでしょう。
契約更新に合理的な期待が認められる場合には、安易な更新拒絶(雇い止め)は許されず、い
わゆる「解雇権濫用法理」が類推適用され、会社側からの一方的な更新拒否は解雇と同様とみ
なされ、期間の定めがない契約における解雇と同様、合理的な理由が必要となります。
また場合によっては、実質的には期間の定めのない契約と見なされる場合もあります。
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期待権が認められるケース
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判断基準としては、次のようなケースが考えられます。
(1)業務の種類・内容、雇用形態(職務の臨時性・季節性・常用性、正社員との同一性)
(2)従事する業務の種類・内容・勤務の継続性
(3)実際の更新の有無・回数、雇用年数
(4)期間の上限の有無
(5)実際の契約更新手続の有無
(6)更新手続が形式的か、実質的か
(7)当事者の主観的態様(雇用継続の期待を持たせる言動・認識の有無と内容)
(8)同様の地位にある他の労働者の更新状況
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契約書に更新しない旨があっても
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最近は会社が更新時に交わす労働契約書に「本契約期間については更新しない」と盛り込まれ
ている場合があります。
更新しないこと自体を無効とされ、責任を追及されない為の便宜的措置とも考えられますが、
こうした一文によって簡単に期間満了による雇止めができることとなれば、有期雇用者の立場
はますます不安定なものになりかねません。
不更新条項はそれ自体が公序良俗に反し無効であると批判する説もあるくらいです。
何の説明も無く、期待権を裏切り、さらに合意が成立していないとして争う余地は残されてい
ます。
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
判 例
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
【H17.10.28 名古屋地裁 地位確認請求事件】
概要:A大学とB(外国人教師)との間では、平成6年4月1日から、期間を1年とする雇用
契約が締結され、9回更新を繰り返した。
A大学は平成15年12月24日付でBに対し、平成16年度(平成17年3月31日)
をもって原告との間の雇用契約を終了させる旨通知した。
これに対しBが、「平成17年4月1日以降も労働契約上の権利を有する地位にあるこ
とを確認する」ことを求める訴訟を起こしたもの。
争点:(1)BがA大学と締結した雇用契約は更新が繰り返されることにより、期間の定めの
無いものとなったか
(2)BがA大学との間で締結した期間の定めのある雇用契約をA大学が打ち切ること
は許されないか
判決:請求棄却
●争点(1)について⇒A大学とBとの間の雇用契約は,期間の定めのない雇用契約に転化し
たものと認めることはできない。
①BがA大学総長と締結した雇用契約書には、雇用期間を1年とすることが明示されていた
②契約を更新する際に、その都度新たに雇用期間を1年とする契約書が作成されていた
③契約更新の都度、Bと他の教授が具体的勤務条件を協議し、教授会の決定の上、契約更新の
際に職務内容、給与額が変更となった
④Bは、契約書を自宅に持ち帰って注意深く読んでからサインをしたことがあった
●争点(2)について⇒Bとしては、BとA大学との間で締結される雇用契約についてある程
度の継続を期待する合理的理由があった。
①雇用契約が9回の更新により10年間継続してきた
②Bが従事していた職務は臨時的な職務ではなく、恒常的に存在する職務であった
③外国人教師の中には、雇用契約が5年間を超えて更新されないものと明示されていた者がい
たが、Bの場合には相互の合意により1年ごとに契約を更新できるとされ,更新継続期間の
限定はされていなかった
③外国人教師の中には、20年以上にわたって雇用契約の更新継続がされた者がいた
④関係者も、雇用契約が更新されるものと認識していた
A大学がBの雇用契約の更新を拒絶する場合、解雇に関する法理が類推され、その更新拒絶に
は合理的な理由が必要であるが、有期契約である以上その更新拒絶の基準は、期間の定めのな
い従業員を解雇する基準よりは緩やかなものである。
つまり期待権を認めつつも、結果的には更新を拒絶できる合理的な理由があるとしたものです。
この判決から、有期雇用契約であっても更新が繰り返されればされるほど、また、更新手続が
形式的であればあるほど、事実上終了できない契約となる可能性があることが解ります。
更新の都度、業務内容や契約条件について話し合うなど実質的な更新手続が必要とされること
の認識が必要です。その上で更新が繰り返されるならば、労働者の更新への期待が法的に保護
されることとなるでしょう。
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