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雇用の維持から年金支給へ直結するには

━━☆━━━━━━━━ 雇用の維持から年金支給へ直結するには ━━━━━━━━━
         
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┏┏    ◇ 雇用から年金への連動が課題 
┏┏    ◇ 基準設定の問題    
┏┏    ◇ エイジフリー雇用はどうか
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              雇用から年金への連動が課題 
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年金の支給開始年齢が引き上げられた場合、雇用と年金が事実上切断される。
つまり、定年をきっかけに労働者が、自分の年金をもらえる年齢に到達するまでの間の生活が
困窮する事態が発生するのである。

ドイツでは判例法理により、原則として年金と接続する定年制のみが有効とされてきた。
すなわち、
  1.解雇に拠らず定年制により労働関係を終了させることは、解雇制限法の脱法行
  為でである。だから定年制は客観的な理由が無ければ無効となる。
  2.客観的理由は、解雇制限法に照らして判断され、定年と年金が接続する場合は
  解雇制限法による労働者に対する経済的保障(生存保障)が年金によって行われて
  いると判断できる。
  3.それを前提とすると、定年使用者にとっては、事業所の合理的な年齢構成を
  維持する為に必要なものであり、その利益は、労働者定年後に労働を通じて得ら
  れる精神的な利益よりも優先されるべきである。よって、年金と接続する定年制
  有効となる。

つまり‘生存権の保障は、労働市場においては年金との連続性があって成立する’という。ド
ラスティックな理論だ。

そしてわが国を振り返ってみれば。現在の高年齢雇用確保措置に照らせば、継続雇用再雇用
により、65歳までの雇用は一応確保されてはいる。

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 (高年齢者雇用確保措置)
  第9条  定年(65歳未満のものに限る。以下この条において同じ。)の定めを
  している事業主は、その雇用する高年齢者の六十五歳までの安定した雇用を確保す
  るため、次の各号に掲げる措置(以下「高年齢者雇用確保措置」という。)のいず
  れかを講じなければならない。
  一  当該定年の引上げ
  二  継続雇用制度(現に雇用している高年齢者が希望するときは、当該高年齢者
  をその定年後も引き続いて雇用する制度をいう。以下同じ。)の導入
  三  当該定年の定めの廃止
  2  事業主は、当該事業所に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合に
  おいてはその労働組合労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては
  労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、継続雇用制度の対象とな
  る高年齢者に係る基準を定め、当該基準に基づく制度を導入したときは、前項第二
  号に掲げる措置を講じたものとみなす。
    ********************************

上条三の2いわゆる「基準」の設定であるが、継続雇用制度を導入する企業のうち58.6%が基
準を設け、結果として希望者全員が65歳まで働ける企業の割合は46.2%に留まる。
そして、継続雇用を希望したものの、基準外のため離職に至った人は定年到達者の2%にのぼ
る。また、継続雇用の期間は1年が最も多く83%を占めるという。(労働政策研究・研修機
構調査)

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                  基準設定の問題 
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厚労省労働政策審議会では労使を交えた具体的な審議が始まっている。
9月12日に行われた職業安定分科会・雇用対策基本問題部会におけるその後の報告書によると、労働者側は希望者全員の継続雇用の為に基準制度の廃止を主張しているが、使用者側は、現行
雇用確保措置の3選択肢を維持、連合は基準制度の廃止、経団連は維持、と使用者側でも基
準設定では意見が割れた。
また使用者側は、企業のみに責任を押し付ければ、企業の競争力が損なわれる。年金支給開始
年齢の引き上げへの対応については、雇用確保のみに限定されることなく、国や個人の自助努
力など負担分担が必要という。
世界経済が低迷、円高で製造業などは円高損益が問題になるなか、これも尤もな主張と思われ
る。

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               エイジフリー雇用はどうか  
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定年が無くなり、いつまででも働くことができ、かつリタイア時期も自ら決定できる。
エイジフリーである。一見問題解決には最適な選択肢のようだ。年金との継続性が自ら決定で
きる。
しかし弊害はどうであろう。当然ながら、政策的・法制的な雇用保障は弱くなりまた、能力評
価がこれまでより厳格かつ頻繁に行われるようになるであろう。
高齢者の健康状態の多様性を考慮すれば、時間外労働深夜労働休日出勤などへの対応能力
は若い世代に比べると客観的・合理的に劣ることが多いと思われる。結果、成果主義において
は高年齢者は能力の低い者と評価される可能性が高くなる。これではエイジフリー社会の意味
は無いのではなかろうか。

このような選択肢が出てきた場合にはやはり法的保護や救済策を講じる必要があろう。時間外
労働の上限規制、深夜労働の制限など健康状態への配慮、転居を伴う配置転換への配慮等であ
る。


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名無し

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