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コラムの泉

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手続きに問題ある派遣の労使協定は、ないのと同じ

前回まで派遣に係る労使協定について説明しましたが、今回は、労使協定で最も留意すべき過半数代表の選出方法について解説します。

令和3年度用の局長通達公表と同日に「過半数代表の適切な選出を」の主旨で厚労省からリーフレットが公表されています。↓
https://www.mhlw.go.jp/content/000685451.pdf

併せて「労使協定方式に関するQ&A【第3集】」も 同日に公表されており、問1の9から11はいずれも過半数の信任に関する内容です。↓
https://www.mhlw.go.jp/content/000685364.pdf

この2つの公表から推察できるのは、労使協定方式における代表者選出はかなり厳格であるということです。
派遣の同一労働同一賃金は、法律上は第一義的には派遣先均等均衡方式ですが、本音は労使協定方式です。過去の労働政策審議会の議事録からも読み取れますが、待遇は最終的には労使の自主的解決に委ねるとの姿勢があります。

従って、労使で対等に協議ができることが不可欠であり、そのための労働者の代表が適正に選出されていることが大前提となります。よくある、会社で指名した「社長の腰巾着」ではダメなんです。

では、具体的にどのような点に留意するかですが、先に紹介したリーフレットに概要が載っています。その中で特に重要なのが、1から3の項目です。

1は、管理監督者労働者代表になれない、ということです。当然立候補も不可です。但し、選挙権はあるので、過半数の定義における「労働者」の分母には入れることになり、投票にも参加してもらいます。

2は極めて重要で、労働者代表が全ての労働者(会社と雇用関係にある人全て=派遣労働者は勿論、プロパー社員やパート、アルバイトも含む全ての労働者)の過半数の支持を受けていることが必要で、且つ民主的な手続が求められます。

民主的な手続の意義として、管理監督者以外の労働者の誰もが選出の機会を与えられていることが必要です。要は誰でも立候補でき、被選挙者になれることが保証されていることです。あいつは気に食わないから立候補させないとか、圧力をかけて諦めさせるのは論外です。

具体的な選出方法としては、候補者に対して、可能なら投票による選挙がベストですが、回覧で○をつけるような方法、集会時に挙手を求める方法でも差し支えありません。要は全ての労働者が投票等に参加し、その過半数が賛成したとの結果を残す事が重要です。

これらの経過(投票用紙、回覧結果、挙手なら日時と何人中何人が挙手したとのメモ等)は、後日当局の指導が入った際には間違いなく提示を求められるでしょう。もし提示できないと最悪、直接労働者に選挙の状況を聴取される可能性もあり、労働者が「選挙なんて知らない」と言えば派遣法違反としての対応となります。当然、協定は要件違反で無効と判断されるでしょう。

なお、、選出方法として労働者の話し合いや持ち回り決議もあり、とされていますが、投票等に比べ結果の証拠が残しにくいのであまりお勧めできません。

それと、事業主が労働者を指名した場合は、使用者の意向によるものになるので、これも協定は無効とされます。専門家のサイトで、指名ではなく推薦として立候補させて過半数取れば大丈夫、との記載を見かけますが、大変危険です。当局の担当者によって温度差があるようですが、指名であれ推薦であれ、少なくとも全ての労働者に選出の機会(立候補を受け付ける旨の告知)を与えることは必要です。

具体的には、「これから過半数代表を選出するので希望者は手ぇ挙げろ」とお触れを出し、希望者がいなかったら会社が推薦し、「こいつでいいか」と信任を取る方法とした方が安全です。

最後に、リーフレットの3ですが、2の拡張的な内容で、メール等による過半数の確認において、従来一般的に行われていた「返信なければ賛成とみなす」は明確にアウトとなります。従来、基準法関係の過半数代表においては、監督署によっては黙認していたケースもあったようですが、この点で派遣法は明確にダメとなっています。

以上のように、過半数代表の選出が不適切な場合は、派遣法違反となり、その場合は派遣先均等均衡方式が強制適用されます。いい加減な対応が判明した会社では恐らく過半数代表の選出は困難となり、当局の是正期限までに協定締結に至らなければ営業停止や最悪許可取消。

慌てて協定を締結したとしても遡及はできないので、それまでの期間は派遣先方式の期間とみなされ、派遣先から比較対象労働者の情報を受けないまま派遣契約を締結したカドで派遣法の別条で違反。更には派遣先も同様の違反で派遣先へも是正指導が入ります。派遣法違反だけでなく「お前のせいでどうしてくれる」と派遣先から切られるのは必定。

ちなみに派遣の労使協定の手続要件は、基準法関係の労使協定就業規則の意見に関わる過半数代表とは別で、派遣法自体に定めがあります。よって、派遣協定の手続にミスがあればモロに派遣法違反となり,この点で当局は基準行政と同等の剣を持つことになりました。

まだ当局の隅々までに行き渡っていないかも知れませんが、本省ベースの指導方針として、協定締結の手続について重点を置いた監査指導となることは容易に予想されるので、労使協定方式を選択した事業所にあっては確実な対応が望まれます。

なお、本コーナーの次回は過半数代表選出のひな形を提示する予定です。

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