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派遣「専門26業務」と「複合業務」解釈

━━☆━━━━━━━━━ 派遣「専門26業務」と「複合業務」解釈 ━━━━━━━━━━
         
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┏┏    ◇ 期間制限無しだが
┏┏    ◇ いわゆる「複合業務
┏┏    ◇ いわゆる「関連業務」
┏┏    ◇ いよぎんスタッフサービス事件(松山地裁平15.5.22判決)        
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                 期間制限無しだが
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労働者派遣における「政令26業務」とは、労働者派遣法の施行令(政令)で定められた「派
遣期間制限の無い26種類の業務」のことを指します。2004年(平成16年)3月1日施行の改正
法で期間の制限が撤廃されました。
派遣法第40条2では「その業務を迅速かつ的確に遂行するために専門的な知識、技術または経
験を必要とする」および「その業務に従事する労働者について、就業形態、雇用形態等の特殊
性により、特別の雇用管理を行う必要があると認められる業務」と定義し、詳細に26業務を定
めています。
この「政令26業務」の中では、事務用機器操作業務(5号業務)が全体の約4割を占めてお
り、次いで財務処理業務(10号業務)、取引文書作成業務(11号業務)、ファイリング業
務(8号業務)の順で多く、この4つの業務で全体の2/3を占めています。

余談ですが、
昨年9月に示された厚労省案によると、日雇い派遣については、原則禁止した上で、「日雇い
派遣が常態であり、かつ、労働者の保護に問題ない業務」を例外的に認めることとしました。
専門性が高いとの理由で派遣期間の制限がない26業務の中から、建築物の清掃や駐車場管理
などのほか、アナウンサーやインテリアコーディネーターなど日雇い派遣がほとんどない業務
を除いた18業務を政令でリスト化するとしています。

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                 いわゆる「複合業務
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派遣労働者が、専門26業務とそれ以外の受入れ期間制限のある業務を併せて行う場合、これを
制限の無い業務として扱うことができるのでしょうか。

法改正後の(業務取扱要領)では
「受け入れ期間の制限がある業務の割合が通常の場合の1日あたりまたは1週間あたりの就業
時間数で1割以下の場合には全体として派遣受け入れ期間の制限を受けない業務として差し支
えない」とされています。
 なおこの場合には、派遣契約において派遣労働者が行うそれぞれの業務の内容および、通常
の場合の1日または1週間あたりの就業時間数、またはその割合を定めることが必要となって
きます。
 
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                 いわゆる「関連業務」
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例えば、本来の事務用機器の操作のみならず、この業務と密接に関連し、その遂行のため不可
欠または必要な業務、あるいは密接に関連するとはいえなくても、業務の円滑な遂行のため、
職場での人間関係の維持を含めて必要な関連性のある業務、などが該当するとされています。
そして、これらの業務が1割を超えると派遣受入期間制限のある業務として取り扱われます。

もっと具体的事例:
OA機器操作に従事するという派遣契約を結んだGは、ホームページを作ったり、表計算ソフ
ト使ってプログラミングをしたり、データベースの作成を行っている。
しかし実際には来客対応や会議の準備として椅子の並べ替えをしたりすることで1日の半分く
らいを費やしてしまうこともある。
この場合は全体として受入期間制限のある業務に従事しているとみなされます。

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              いよぎんスタッフサービス事件
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派遣労働をめぐる裁判例のうち、一番いろいろと論点の多い事件です。
この派遣労働者は登録型派遣労働者として、為替業務、預金業務、金融商品の販売業務など、
伊予銀行の正社員と変わらない仕事を13年間もしていました。が、上司のハラスメントに謝
罪を求めたところ雇用契約を打ち切られ、訴訟に至った経緯があります。
(以下「情報と事例 20041」より)

【事件の概要】
昭和62年2月当時から被告いよぎんスタッフサービス株式会社(以下「被告ISS」)に
派遣労働者として雇用され、派遣先である伊予銀行(以下「被告伊予銀行」)の支店業務に携
わっていた原告が、平成12年5月31日をもって、被告ISSから雇用契約の更新を拒絶さ
れたことから、当該更新拒絶は権利濫用として許されず、また、原告と被告伊予銀行との間に
も黙示の労働契約が成立しているとして、被告らに対し、労働契約上の権利を有することの確
認及び毎月11万円の賃金の支払いを求めるとともに、被告伊予銀行に対し、不法行為責任
使用者責任)又は労働者派遣契約における派遣先としての信義則上の責任に基づき、慰謝料
400万円の支払いを、被告ISSに対し、派遣先における良好な就労関係を維持するために
配慮すべき注意義務(雇用契約上の付随義務)を怠ったとして、慰謝料300万円の支払いを
それぞれ求めた。

【判旨】請求棄却

【争点】
(1) 原告と被告ISSとの間の雇用契約は、いわゆる常用型か、いわゆる登録型か、後者であ
る場合、被告ISSのした雇用契約の更新拒絶が許されず、雇用契約関係がなお継続している
と解すべき事情があるか、
(2) 原告と被告伊予銀行との間に黙示の労働契約が成立していたか否か、
(3) 被告らの原告に対する損害賠償責任の有無、

【裁判所の判断】
(1) 13年余にわたり派遣元との雇用契約を反復更新してきた原告が雇用継続の期待を抱いて
いたとしても、同一労働者の同一事業所への派遣を長期間継続することによって派遣労働者
雇用の安定を図ることは、常用代替防止の観点から派遣法の予定するところではなく、原告の
雇用継続に対する期待は、派遣法の趣旨に照らして、合理性を有さず、保護すべきものとはい
えない。
 そして、原告と被告ISSとの登録型雇用契約は、派遣元派遣先との派遣契約の存在を前
提として存続するものであり、当該雇用契約の前提たる派遣会社と派遣先との派遣契約が期間
満了により終了したという事情は、当該雇用契約が終了となってもやむを得ないといえる合理
的な理由に当たる。原告と派遣元との間の登録型雇用契約の雇止めが有効である。

(2) 被告ISSは形式のみではなく、社会的実体を有する企業であり、原告の就業条件、採用
の決定、さらには原告に対する賃金(慰労金を含む)の支払いは、すべて被告ISSにおいて
行っているのであるから、原告と被告ISSとの雇用契約が有名無実のものであるとはいいが
たく、被告伊予銀行と原告との間で黙示の労働契約が成立していたとは認められない。

(3) 派遣先(被告伊予銀行)における不法行為責任(使用者責任)又は派遣先としての信義
則上の責任及び派遣元(被告ISS)における債務履行ないし不法行為責任は認められな
い。

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