◆事例:
経歴詐称で
懲戒処分。
大卒として雇い入れた者が、後日になり卒業していないことが判明しました。
就業規則に基づき
経歴詐称を理由に
懲戒解雇しようと思います。注意点はあり
ますか。
◇回答----------------------------------------------------------------
大学を卒業していることが企業にとって重要な要件であり、その事実がなけ
れば
採用しなかったであろうことが明白である場合は、
懲戒解雇を含む処分が
できます。なお
懲戒解雇する際は、その理由となる事実関係を十分に確認して
から行うことが重要です。
■解説----------------------------------------------------------------
多くの会社では、
経歴詐称を
懲戒理由の一つとして定めています。解釈例規
も「雇入れの際の
採用条件の要素となるような経歴を詐称した場合及び雇入の
際、
使用者の行う調査に対し、不
採用の原因となるような経歴を詐称した場合」
を解雇予告除外認定としています。
これだけ見れば、いかなる
経歴詐称も即、
懲戒処分ができるようにも思えま
すが、判例の世界はそう甘くありません。定説は「
経歴詐称により企業の
賃金、
職種、地位その他の
労働条件を著しく乱し、企業の健全な運営を阻害する等企
業秩序に対し具体的な損害ないし侵害を及ぼした場合に、はじめてその程度に
応じて
懲戒が許される」となっています。
経歴詐称に限って言えば判例の方が厳しい考え方のようですが、実際の判例
を見るとかなり揺れ動いています。単なる
経歴詐称云々の問題だけでなく、信
義即を侵した度合いによっても変わるようです。
いずれにしても、
経歴詐称だけを以ての
懲戒処分は危険です。
懲戒処分する
だけの理由付けも併せて考えておくべきです。一般的にこの場合の処分は
懲戒
解雇になることが多いので、揉めると裁判にまで発展し、処分の理由付けが大
きく影響します。
元々、企業に
雇用されようとする
労働者には、自己の経歴について真実を述
べる信義即上の義務があります。
経歴詐称は、まずこの信義即に違反する行為
です。また、
懲戒処分するためには企業秩序侵害の事実が必要ですが、経歴詐
称によって
従業員の身分を得た場合、言い換えれば本当の経歴を企業が知って
いれば
採用しなかった場合は、それ自体で企業秩序に重大な影響を与えたもの
として、
懲戒解雇事由に該当すると考えられます。(S60.5.24東京地裁)
経歴詐称するような者と信義即を論じてもラチがあきません。
採用時の
採用
基準とその理由付け、具体的にはこの職種にはこの科目の履修が必要であると
かの基準作りが非常に重要になってきます。いかに人材の
採用が重要であるか
の好例です。
最近の
人事屋はリストラばかりやらされ、
採用経験が少なくなっているのが
不安材料です。
採用業務及びこれらに付随する作業は本来、企業内で行う性格
のものですが、業界事情に詳しい外部専門家に協力を願うのも効果があります。
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◆事例:経歴詐称で懲戒処分。
大卒として雇い入れた者が、後日になり卒業していないことが判明しました。
就業規則に基づき経歴詐称を理由に懲戒解雇しようと思います。注意点はあり
ますか。
◇回答----------------------------------------------------------------
大学を卒業していることが企業にとって重要な要件であり、その事実がなけ
れば採用しなかったであろうことが明白である場合は、懲戒解雇を含む処分が
できます。なお懲戒解雇する際は、その理由となる事実関係を十分に確認して
から行うことが重要です。
■解説----------------------------------------------------------------
多くの会社では、経歴詐称を懲戒理由の一つとして定めています。解釈例規
も「雇入れの際の採用条件の要素となるような経歴を詐称した場合及び雇入の
際、使用者の行う調査に対し、不採用の原因となるような経歴を詐称した場合」
を解雇予告除外認定としています。
これだけ見れば、いかなる経歴詐称も即、懲戒処分ができるようにも思えま
すが、判例の世界はそう甘くありません。定説は「経歴詐称により企業の賃金、
職種、地位その他の労働条件を著しく乱し、企業の健全な運営を阻害する等企
業秩序に対し具体的な損害ないし侵害を及ぼした場合に、はじめてその程度に
応じて懲戒が許される」となっています。
経歴詐称に限って言えば判例の方が厳しい考え方のようですが、実際の判例
を見るとかなり揺れ動いています。単なる経歴詐称云々の問題だけでなく、信
義即を侵した度合いによっても変わるようです。
いずれにしても、経歴詐称だけを以ての懲戒処分は危険です。懲戒処分する
だけの理由付けも併せて考えておくべきです。一般的にこの場合の処分は懲戒
解雇になることが多いので、揉めると裁判にまで発展し、処分の理由付けが大
きく影響します。
元々、企業に雇用されようとする労働者には、自己の経歴について真実を述
べる信義即上の義務があります。経歴詐称は、まずこの信義即に違反する行為
です。また、懲戒処分するためには企業秩序侵害の事実が必要ですが、経歴詐
称によって従業員の身分を得た場合、言い換えれば本当の経歴を企業が知って
いれば採用しなかった場合は、それ自体で企業秩序に重大な影響を与えたもの
として、懲戒解雇事由に該当すると考えられます。(S60.5.24東京地裁)
経歴詐称するような者と信義即を論じてもラチがあきません。採用時の採用
基準とその理由付け、具体的にはこの職種にはこの科目の履修が必要であると
かの基準作りが非常に重要になってきます。いかに人材の採用が重要であるか
の好例です。
最近の人事屋はリストラばかりやらされ、採用経験が少なくなっているのが
不安材料です。採用業務及びこれらに付随する作業は本来、企業内で行う性格
のものですが、業界事情に詳しい外部専門家に協力を願うのも効果があります。
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