相談の広場
配偶者の体調不良(うつ症状)を理由に、転勤前の事業所への配転希望を申し出ている従業員がいます。本人の率直な気持ちとして、元の(長年住み慣れた)地域の事業所へ戻るのが望ましい、という心境なのかもしれませんが、社会通念上会社が配慮すべきという範疇には当たらないと考えますがいかがでしょうか?また、その家族にとって今の居住地が病気療養上望ましくないということであれば、当該家族だけを元の居住地に戻し、従業員本人はあくまでも社命により転勤した先での勤務を継続することが従業員としての責任ではないかとも考えますがいかがでしょうか?
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昨今、事業継承および大規模な事業計画などにより、配置転換を行うことによる訴訟等も起きています。
通常、配置転換を行うには労働契約上、職種や勤務場所を限定するような特約がない場合には、「労働契約はその労働力の使用を包括的に使用者に委ねることを内容とするものであり、個々の具体的労働を直接約定するものではないので、使用者が給付すべき労働の種類、態様、場所などについてこれを決定する権限を有する」と認められています。
ただし、職種を限定しない雇用契約なので配置転換を自由にできるという訳ではなく、「労働の種類についても従事すべき職務の範囲もしくは職種も労働契約の内容であり、その変更は労働条件に影響を及ぼすので、法的根拠が必要である」とも為しています。
ただし、配置転換や転勤について、いくら就業規則に規定として記載してあるといっても
①業務上必要性のないもの
②合理的理由のないもの
③労働条件が著しく低下するもの
④職種・勤務場所について合理的な予想範囲を超えたもの
⑤技術・技能の著しい低下になるもの
⑥私生活に著しい不利益を生ずるもの
⑦不当労働行為あるいは差別的待遇に当たるもの
である場合は、使用者は労働者の同意なくして配置転換や転勤をさせることはできないと、判例等でも認めています。
ご質問の経緯から拝見しますと、就業規則、労働者契約および労働者の家庭環境等を企業責任者として判断し、個々の労働契約を結ぶことが容認される場合には企業責任者としては判断すべきでしょう。
先の限定事項としては、職務権限つまり降格人事要権および職責等による減給等が両者容認される場合には配置転換も企業責任として行うべきでしょう。
やまゆさんのお考えもごもっともだと思いますし、うつ病のご家族がいる社員の方のご希望もありだと思います。うつ病に何が有効かなんて、これっ!というものはないでしょうし、なんでも手探りでやってみたいと思われても仕方ないと思います。ただ、そうしたからと言って、すぐに結果がでるものでもないですから、ご家族も大変だと思います。手探りの中の一つ、発病の前に戻ったらいいのでは?とお考えになったのも理解できないわけではないのでは?
配属希望を出されているからといっても、今の配属先の仕事がおろそかになっているわけではないのですよね?仕事に対する責任や姿勢がおろそかになっているのでは問題もありますが。
後は会社がどう判断されるかだと思います。
会社が配慮の範疇にないとして、希望はうけいれられないとご判断されれば、その旨ご本人にお伝えすれば良いでしょう。一人の異動で波及していくリスクが大きければ、致し方ない判断ですし、本人もそれは承知しているでしょう。そうなれば、別の手段をご本人がお考えになることでしょう。
会社がリスクがあっても配慮してあげようとお思いになれば、配慮して転属してあげれば良いでしょう。ご本人は感謝して、改めて仕事にきちんと取り組まれるかもしれません。配慮されなくても、会社の判断ですから、仕事をおろそかにするという、後に自分に跳ね返ってくるようなことはされないでしょう。仕事をおろそかにすれば色々な面で自分の首をくるしめることになりますから。
一人異動をすることで波及していくものが大きい会社なら、配慮も難しいかもしれませんね。小さくても他のリスクがありますが。会社側としても、どんな希望でも一度配慮した判断をしてしまうと、それが社員全員の意識をかえたり、不満の種になることもありますからきちんとした線引きなどが必要だと思います。
当社では大きな異動の時期に希望をつのり再考します。ご相談のような理由では、異動の時期以外には難しいですね。異例としては、社員本人の事故とか、退職とか、での中途異動はありますが。会社の都合で異動して1年で元に戻るということもありました。希望でも会社が良しとした理由によっては、異動して1年でも配慮してあげた例もあります。
とりとめがありませんが、結局は、会社のお考え次第だと思います。
akijin様
返信が遅れまして失礼致しました。
早速のアドバイスありがとうございます。
人事担当者の端くれとして、わかっていたつもりではありましたが、改めて従業員を異動させる上での難しさを痛感致しました。
頂いたご回答についてですが、1回目に従業員を異動させようとするときには確かにおっしゃる通りかと思うのですが、今回のご相談は、転勤を命じた時点では何ら問題もなく本人も同意した上で転勤をしたものの、その後になってから発生した個人的都合によって「元のところへ戻りたい」という趣旨の希望申し出だったということで、あくまでも「本人都合」であり「会社が配慮しなければならない範囲」には当たらないのではないか?という疑問からのご質問でした。
いずれにしても、最終的には会社が諸事情を考えた上で判断すべき内容ということで、更に熟考したいと思います。
ありがとうございました。
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