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試用期間だからこそ安易な解雇は禁物

━━☆━━━━━━━━━━━ 試用期間だからこそ安易な解雇は禁物 ━━━━━━━━━━━━━
         
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┏┏    ◇ 適性判断の必要性
┏┏    ◇ 有期雇用に設定された試用期間
┏┏    ◇ 正当な解雇理由と判断されるためには
┏┏    ◇ 期待外れでもすぐに解雇は禁物
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                        適性判断の必要性
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 多くの会社では通常、就業規則採用後一定の期間に実際に採用者を就業させることで、その人となり及び業務遂行能力等を観察する期間を設定し、適性がないと判断すれば、本採用を見合わせるという試用期間と呼ぶ段階をおいているかと思います。

 そして試用期間中であれば、簡単に解雇できると考える向きもあるようですが、それは間違いです。試用とはいえ、労働契約が成立しているのですから、同期間中の労働契約の解除は解雇なのです。ただし、通常の解雇よりは、規制が緩やかになっていることは事実
です。つまり試用期間中は評価期間中であり、会社としては解約権を留保していると認められるのです。そのうえで、試用中の勤務状態等によって、当初は知ることができず、また知ることが期待できないような事実を知るに至っ場合に、引き続き雇用しておくのが
適当でないと判断することが、前出の解約権留保の趣旨、目的に徴して、客観的に相当であると認められる場合には、さきに留保した解約権を行使することができるが、その程度に至らない場合には、これを行使することはできない、ということです。

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                      有期雇用に設定された試用期間
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 判例の中には1年契約労働者採用し、使用者側がOKと認めた人だけを正社員として雇用するという制度が問題になった事例があります(神戸弘陵学園事件(最判平2・6・5 労判564号7)。

 判決では、これは1年の労働契約と後続の無期雇用というよりも、実質的に見れば1つの雇用契約で最初の1年は試用期間にすぎないのではないかとされました。
 ですから、この1年契約が終わった際も、「1回目の更新だから、簡単に切ることができるだろう」と安易に考えてはいけないということになります。更新拒絶というよりも実質的には試用期間中の解雇ということになりますので、正当な理由なく、労働契約終了というわけにはいきません。

 3か月だけ有期契約にして、それで良かった人だけ無期雇用契約をしようなどとする会社は結構多いと思いますが、最初の3か月が単に労働者を審査するだけの期間という場合には、上記事件のような解釈をされてしまいますので、注意が必要です。

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                     正当な解雇理由と判断されるためには
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 それではどの程度ならば正当な解雇になるかというと、次の事例のような場合です。

 ブレーンベース事件(東京地判平13・12・25)は、試用期間中に、後述のようなかなりひどい態度をとっていた労働者解雇されたという事例です。

 裁判所は、原告には、緊急の業務指示に対し速やかに応じない態度をとったこと、採用面接時にはパソコン使用に精通していると言っていたにもかかわらず満足に行うことができなかったこと、代表取締役の業務上の指示について、応じないことがあったこと、会社の業務にとって重要な商品発表会の翌日に2回休暇を取ったこと等の事情が存在し、会社の期待に沿う業務が実行される可能性を見出しがたく、解雇は有効であるとしています。

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                     期待外れでもすぐに解雇は禁物
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 期待外れだった労働者をすぐに解雇できるかというと、そうでもありません。

 ニュース証券事件(東京地判平21・1・30)は試用期間中の解雇を無効とした事例です。
 確かに労働者の仕事の成績は振るわなかったのですが、試用期間中は、サブプライムローン問題などの経済状況も悪かったということや、かつての勤務先であるA証券から『当社顧客への投資勧誘行為の停止要求について』と題する書面を送付され、同社の手前、当時はA証券の顧客には遠慮しながら投資勧誘を行うことを余儀なくされていたという事情も存在するのであるから、原告の成績が今後改善される見込みがなかったと断ずることはできない、とされています。

 この2つの事件が何をいっているかというと、要は程度問題であるということです。立ち直りの可能性、改善の可能性がなければ試用期間中で解雇してもよいが、その可能性が不明であれば、少なくとも試用期間中の解雇は避けたほうがいいということでしょう。


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名無し

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