◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.327-2016.02.29
☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
こんにちは、エキスパーツリンクの紺野です。日本の
会計基準は、今、IFRS
で揺れ動いています。一方で税制も改正されており、上場会社及び上場準備会
社の
決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく変化していきます。これ
らのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理担当者の皆さん向けに、
出来る限り分かりやすくお伝えします。何らかの「気づき」をご提供すること
が出来れば幸いです。仕事の合間に軽くどうぞ!
文中意見にわたる部分は私どもの私見にもとづきます。このメールマガジン
の情報をもとに実務に適用される場合には、
監査法人さんや顧問
税理士さん等
にご確認ください。もちろん、エキスパーツリンクでもまずは無料で検討させ
ていただきます。
===================================
移転価格文書の作成、更新はお済ですか?
・移転価格文書の作成、どうすればいいかわからない。
・一度作成してあるけど、その後、更新していない。
など、移転価格に関するご相談は
税理士法人エキスパーツリンクにどうぞ!
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エキスパーツリンク、
公認会計士紺野良一にご意見、ご要望、ご相談など
ありましたら、こちらにどうぞ。紺野に直接届きます。
http://clap.mag2.com/hesouwraga
===================================
◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[税務]移転価格文書(ローカルファイル)はどのように作成するのか
- 取引内容の把握
2.[最新J-GAAP&税務]
税効果会計等の対応はどうなるか?
3.[税務]D&O保険
4.[編集後記]
===================================
1.[税務]移転価格文書(ローカルファイル)はどのように作成するのか
- 取引内容の把握
===================================
これまで、移転価格分析の背景となる事実関係の記載方法について説明してき
ました。
今回は、移転価格分析の対象となる国外関連取引の内容の記載について説明し
ます。
ここでの大事なポイントは、
(1)国外関連取引の内容(どんな取引か)
(2)取引の商流(誰との取引か)
(3)取引の規模(取引金額はいくらか)
(4)取引価格の設定方法(取引条件はどうなっているか)
をどう記載するかです。
ここで記載した内容が、移転価格分析上最も重要な「機能およびリスク分析」
に大きな影響を与えますので、矛盾のないように記載する必要があります。
移転価格分析を行うためには、移転価格税制の対象となる取引に関与している
グループ企業及び取引の内容を特定する必要があります。まず、グループ企業
間取引をすべて洗い出したうえで、金額の少ない取引(とりあえず100万円
を基準としましょう)を除外し、規模が大きな取引等移転価格上重要度の高い
取引を抽出します。
取引の内容が特定できたら、取引の大きな流れがわかるように商流図を作成し
ます。ただし、多くの関連会社が絡んでいるような場合や、日本の親会社を通
さない海外子会社同士の取引があるような場合は、1つの商流図に収まらない
可能性がありますので、地域別や、取引の種類ごとに分けてもいいでしょう。
商流図を作成したら取引金額を記載し、併せて価格の設定方法を記載します。
通常、移転価格の分析対象となる取引は
1.
棚卸資産取引
2.ロイヤルティ等の無形
資産取引
3.
役務提供取引
4.金銭の貸借取引
に分けられます。
いずれも、各取引に関連するグループ企業や取引の対象となっている
資産や役
務を
契約書等から明確に記載しますが、詳細な記載方法は次回説明します。
===================================
2.[最新J-GAAP&税務]
税効果会計等の対応はどうなるか?
===================================
現在どのような状況か、そして、この三月
決算以降、どのような対応をすれば
よいのか、再確認しておきましょう。
以下、基本的に週刊税務通信No.3396よりお送りします。
○基準、税制等適用状況
「
税効果会計に適用する税率に関する適用指針(案)」(以下「新基準」)
https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/documents/exposure_draft/zeikouka2015_2/index.shtml
→H28/3/31までに確定され、H28/3/31以後終了事業年度の年度末から適用
される見込み。
「平成28年度税制改正」
→「
所得税法等の一部を改正する法律」(以下「新
国税法律」)及び「
地方税
法等の一部を改正する法律」(以下「新
地方税法律」)がH28/3/31までに
国会で成立する可能性が高い。
「超過税率を
採用している一部の地方自治体(全国で8自治体)の超過税率を定
める条例の改正」(以下「新
地方税条例」)
→H28/3/31までに成立しない可能性もある。
という状況と思います。
○H28/3
決算(四半期含む)の
税効果会計に適用すべき
法定実効税率
「新基準」により、公布日基準から成立日基準に変更されます。この可能性
は高いわけです。
○各税率
・
法人税率
「新
国税法律」により以下となる可能性が高いです。
→H28/4/1以後開始事業年度は 23.4%
→H30/4/1以後開始事業年度は 23.2%
・
法人住民税法人税割
「新
地方税法律」により以下となる可能性が高いです。
→H27/4/1~H29/3/31開始事業年度
道府県民税
法人税割標準税率 3.2%
市町村民税
法人税割標準税率 9.7%
地方
法人税 4.4%
計 17.3%
→H29/4/1~開始事業年度
道府県民税
法人税割標準税率 1.0%
市町村民税
法人税割標準税率 6.0%
地方
法人税 10.3%
計 17.3%
・
法人事業税
「新
地方税法律」により以下となる可能性が高いです。
→
外形標準課税適用
法人の皆さんは以下のとおりになります。
→H27/4/1~H28/3/31開始事業年度(変わっていません)(括弧内は地方
法人
特別税を含まない税率です。)
付加価値割標準税率 0.72%
資本割標準税率 0.3%
所得割(年400万円以下)標準税率 3.1%(1.6%)
所得割(年400万円超800万円以下)標準税率 4.6%(2.3%)
所得割(年800万円超)標準税率 6.0%(3.1%)
→H28/4/1~開始事業年度(変わりました!) (括弧内は地方
法人特別税を含
まない税率です。)
付加価値割標準税率 1.2%
資本割標準税率 0.5%
所得割(年400万円以下)標準税率 1.9%(0.3%)
所得割(年400万円超800万円以下)標準税率 2.7%(0.5%)
所得割(年800万円超)標準税率 3.6%(0.7%)
・地方
法人特別税
「新
地方税法律」により以下となる可能性が高いです。
→H27/4/1~H28/3/31開始事業年度 93.5%
→H28/4/1~開始事業年度 414.2%(変わりました!)
・
法定実効税率
で結局、
税効果会計の
法定実効税率は、標準税率で、
→H28/4/1~H29/3/31に解消が見込まれる分
法定実効税率=(23.4%×(1+12.9%+4.4%)+0.7%+0.7%×414.2%)
/(1+0.7%+0.7%×414.2%)
=29.97%
→H29/4/1~H30/3/31に解消が見込まれる分
法定実効税率=(23.4%×(1+7%+10.3%)+3.6%)/(1+3.6%)
=29.97%
地方
法人特別税が廃止されるのですが、
法人事業税所得割に吸収されるの
で、
法定実効税率に影響はないはずです。
→H30/4/1以後に解消が見込まれる分
法定実効税率=(23.2%×(1+7.0%+10.3%)+3.6%)/(1+3.6%)
=29.74%
こまごまと書いてきましたが、要は、
法定実効税率は、標準税率で、直近二
年は29.97%、その後は29.74%ということですね。こうなる可能性は高いわ
けです。
○H28/3/31で「新
国税法律」、「新
地方税法律」が成立しているが、「新地
方税条例」が成立していない場合
この可能性は結構あるわけです。この場合に絞って「新基準」の考え方を整
理します。
この場合、いいですか、「新
国税法律」、「新
地方税法律」が成立している
が、「新
地方税条例」が成立していない場合ですよ。
・既存の条例が標準税率で課税すると規定している。
→「新
地方税法律」の標準税率
・既存の条例が超過税率で課税すると規定している。
→「新
地方税法律」の標準税率に、「既存の条例の超課税率が旧法律の標
準税率を超える差分を考慮する。」
・「既存の条例の超課税率が旧法律の標準税率を超える差分を考慮する。」
方法は二通りあります。いずれも制限税率を上限とします。
(第1の方法)
「新
地方税法律」の標準税率+「既存の条例の超過税率」
-「旧法律の標準税率」
(第2の方法)
「新
地方税法律」の標準税率
×(「既存の条例の超過税率」/「旧法律の標準税率」)
要は、新標準税率に従前の超過税率と標準税率の差額を足すか、
新標準税率に従前の超過税率と標準税率の比率を乗ずるか、
ということです。研究しておきましょう。
ちなみに税務通信には、東京都の場合で、上記の計算をした結果が記載されて
いますからご確認ください。
===================================
3.[税務]D&O保険
===================================
会社
役員賠償責任保険(D&O保険)は、会社
役員としての業務の遂行に起因して、
保険期間中に
損害賠償請求がなされたことによって被る損害を保険期間中の総
支払限度額(保険金の最高限度額)の範囲内でお支払いする保険です。
このD&O保険の税務上の取扱いについてですが、
(従来)
支払
保険料のうち、
基本
契約の
保険料
第三者訴訟及び
株主代表訴訟(
役員勝訴の場合)の争訴
費用を補償
→
役員個人に対する
給与課税を行う必要はない。
株主代表訴訟(
役員敗訴の場合)の争訴
費用の保証
→
役員に対して経済的
利益の供与があったものとして
給与課税を要する。
とされていましたが、
「
コーポレート・ガバナンス・システムの在り方に関する研究会(経済産業省
の研究会)」の報告書「
コーポレート・ガバナンスの実践~企業価値向上
に向けたインセンティブと改革~」(平成27年7月24日公表)において、
会社が利益相反の問題を解消するため次の手続を行えば、会社が
株主代表
訴訟敗訴時
担保部分に係る
保険料を
会社法上適法に負担することができる
との解釈が示されました。
(1)
取締役会の承認
(2)
社外取締役が過半数の構成員である任意の
委員会の同意又は
社外取締役
全員の同意の取得
で、これを受けて、経済産業省が、
国税庁に、
会社法上適法に処理された場
合、税務上どうなるのですか、という照会をしてくれたわけです。
これに対する答えが以下です。
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/160218/index.htm
1 上記(1)(2)の手続きを行うことにより
会社法上適法に負担した場合には、
役員に対する経済的
利益の供与はないと考えられることから、
役員個人に
対する
給与課税を行う必要はありません。
2 上記1以外の会社
役員賠償責任保険の
保険料を会社が負担した場合には、
従前の取扱いのとおり、
役員に対する経済的
利益の供与があったと考え
られることから、
役員個人に対する
給与課税を行う必要があります。
経済産業省のレスポンス
http://www.meti.go.jp/press/2015/02/20160224004/20160224004.pdf
D&O保険に関して、
役員に
給与課税を行ってきた会社さんは、見直しが必要
かもしれません。また、
外形標準課税においても注意が必要です。
===================================
4.[編集後記]
===================================
今は金庫売れるんでしょうね。
マイナンバーで必要でしょうし、マイナス金利で銀行ではなく、金庫に入れる
人も増えているといいますから。
それでちょっと調べてみると、ありますね。色々。ブック型隠し金庫(よくあ
る英語の辞書に見える)、本の書籍の内部をくりぬいたもの、時計型のもの、
レッドブル(あの飲料ですね)型、ペットボトル型、ハンガー型、プリングルス
型(?)、などなど、アイデア次第でヒット商品を生みだすことも可能かもしれ
ませんよ。一方で、老後の箪笥
預金がオレオレ
詐欺で狙われるケースも増えて
いるようですからね。マイナス金利が間接的に犯罪を助長するようなことにな
らないことを祈ります。
公認会計士紺野良一事務所のHPを作りましたので、是非ご覧ください。
トップページ
http://kaishaho-kansa.com/
個人
会計士による
会社法監査
http://kaishaho-kansa.com/audit/personal/
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*発行人: エキスパーツリンク
公認会計士・
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内部監査人(CIA)inactive 紺野良一
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こんにちは、エキスパーツリンクの紺野です。日本の会計基準は、今、IFRS
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社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく変化していきます。これ
らのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理担当者の皆さん向けに、
出来る限り分かりやすくお伝えします。何らかの「気づき」をご提供すること
が出来れば幸いです。仕事の合間に軽くどうぞ!
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移転価格文書の作成、更新はお済ですか?
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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[税務]移転価格文書(ローカルファイル)はどのように作成するのか
- 取引内容の把握
2.[最新J-GAAP&税務]税効果会計等の対応はどうなるか?
3.[税務]D&O保険
4.[編集後記]
===================================
1.[税務]移転価格文書(ローカルファイル)はどのように作成するのか
- 取引内容の把握
===================================
これまで、移転価格分析の背景となる事実関係の記載方法について説明してき
ました。
今回は、移転価格分析の対象となる国外関連取引の内容の記載について説明し
ます。
ここでの大事なポイントは、
(1)国外関連取引の内容(どんな取引か)
(2)取引の商流(誰との取引か)
(3)取引の規模(取引金額はいくらか)
(4)取引価格の設定方法(取引条件はどうなっているか)
をどう記載するかです。
ここで記載した内容が、移転価格分析上最も重要な「機能およびリスク分析」
に大きな影響を与えますので、矛盾のないように記載する必要があります。
移転価格分析を行うためには、移転価格税制の対象となる取引に関与している
グループ企業及び取引の内容を特定する必要があります。まず、グループ企業
間取引をすべて洗い出したうえで、金額の少ない取引(とりあえず100万円
を基準としましょう)を除外し、規模が大きな取引等移転価格上重要度の高い
取引を抽出します。
取引の内容が特定できたら、取引の大きな流れがわかるように商流図を作成し
ます。ただし、多くの関連会社が絡んでいるような場合や、日本の親会社を通
さない海外子会社同士の取引があるような場合は、1つの商流図に収まらない
可能性がありますので、地域別や、取引の種類ごとに分けてもいいでしょう。
商流図を作成したら取引金額を記載し、併せて価格の設定方法を記載します。
通常、移転価格の分析対象となる取引は
1.棚卸資産取引
2.ロイヤルティ等の無形資産取引
3.役務提供取引
4.金銭の貸借取引
に分けられます。
いずれも、各取引に関連するグループ企業や取引の対象となっている資産や役
務を契約書等から明確に記載しますが、詳細な記載方法は次回説明します。
===================================
2.[最新J-GAAP&税務]税効果会計等の対応はどうなるか?
===================================
現在どのような状況か、そして、この三月決算以降、どのような対応をすれば
よいのか、再確認しておきましょう。
以下、基本的に週刊税務通信No.3396よりお送りします。
○基準、税制等適用状況
「税効果会計に適用する税率に関する適用指針(案)」(以下「新基準」)
https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/documents/exposure_draft/zeikouka2015_2/index.shtml
→H28/3/31までに確定され、H28/3/31以後終了事業年度の年度末から適用
される見込み。
「平成28年度税制改正」
→「所得税法等の一部を改正する法律」(以下「新国税法律」)及び「地方税
法等の一部を改正する法律」(以下「新地方税法律」)がH28/3/31までに
国会で成立する可能性が高い。
「超過税率を採用している一部の地方自治体(全国で8自治体)の超過税率を定
める条例の改正」(以下「新地方税条例」)
→H28/3/31までに成立しない可能性もある。
という状況と思います。
○H28/3決算(四半期含む)の税効果会計に適用すべき法定実効税率
「新基準」により、公布日基準から成立日基準に変更されます。この可能性
は高いわけです。
○各税率
・法人税率
「新国税法律」により以下となる可能性が高いです。
→H28/4/1以後開始事業年度は 23.4%
→H30/4/1以後開始事業年度は 23.2%
・法人住民税法人税割
「新地方税法律」により以下となる可能性が高いです。
→H27/4/1~H29/3/31開始事業年度
道府県民税法人税割標準税率 3.2%
市町村民税法人税割標準税率 9.7%
地方法人税 4.4%
計 17.3%
→H29/4/1~開始事業年度
道府県民税法人税割標準税率 1.0%
市町村民税法人税割標準税率 6.0%
地方法人税 10.3%
計 17.3%
・法人事業税
「新地方税法律」により以下となる可能性が高いです。
→外形標準課税適用法人の皆さんは以下のとおりになります。
→H27/4/1~H28/3/31開始事業年度(変わっていません)(括弧内は地方法人
特別税を含まない税率です。)
付加価値割標準税率 0.72%
資本割標準税率 0.3%
所得割(年400万円以下)標準税率 3.1%(1.6%)
所得割(年400万円超800万円以下)標準税率 4.6%(2.3%)
所得割(年800万円超)標準税率 6.0%(3.1%)
→H28/4/1~開始事業年度(変わりました!) (括弧内は地方法人特別税を含
まない税率です。)
付加価値割標準税率 1.2%
資本割標準税率 0.5%
所得割(年400万円以下)標準税率 1.9%(0.3%)
所得割(年400万円超800万円以下)標準税率 2.7%(0.5%)
所得割(年800万円超)標準税率 3.6%(0.7%)
・地方法人特別税
「新地方税法律」により以下となる可能性が高いです。
→H27/4/1~H28/3/31開始事業年度 93.5%
→H28/4/1~開始事業年度 414.2%(変わりました!)
・法定実効税率
で結局、税効果会計の法定実効税率は、標準税率で、
→H28/4/1~H29/3/31に解消が見込まれる分
法定実効税率=(23.4%×(1+12.9%+4.4%)+0.7%+0.7%×414.2%)
/(1+0.7%+0.7%×414.2%)
=29.97%
→H29/4/1~H30/3/31に解消が見込まれる分
法定実効税率=(23.4%×(1+7%+10.3%)+3.6%)/(1+3.6%)
=29.97%
地方法人特別税が廃止されるのですが、法人事業税所得割に吸収されるの
で、法定実効税率に影響はないはずです。
→H30/4/1以後に解消が見込まれる分
法定実効税率=(23.2%×(1+7.0%+10.3%)+3.6%)/(1+3.6%)
=29.74%
こまごまと書いてきましたが、要は、法定実効税率は、標準税率で、直近二
年は29.97%、その後は29.74%ということですね。こうなる可能性は高いわ
けです。
○H28/3/31で「新国税法律」、「新地方税法律」が成立しているが、「新地
方税条例」が成立していない場合
この可能性は結構あるわけです。この場合に絞って「新基準」の考え方を整
理します。
この場合、いいですか、「新国税法律」、「新地方税法律」が成立している
が、「新地方税条例」が成立していない場合ですよ。
・既存の条例が標準税率で課税すると規定している。
→「新地方税法律」の標準税率
・既存の条例が超過税率で課税すると規定している。
→「新地方税法律」の標準税率に、「既存の条例の超課税率が旧法律の標
準税率を超える差分を考慮する。」
・「既存の条例の超課税率が旧法律の標準税率を超える差分を考慮する。」
方法は二通りあります。いずれも制限税率を上限とします。
(第1の方法)
「新地方税法律」の標準税率+「既存の条例の超過税率」
-「旧法律の標準税率」
(第2の方法)
「新地方税法律」の標準税率
×(「既存の条例の超過税率」/「旧法律の標準税率」)
要は、新標準税率に従前の超過税率と標準税率の差額を足すか、
新標準税率に従前の超過税率と標準税率の比率を乗ずるか、
ということです。研究しておきましょう。
ちなみに税務通信には、東京都の場合で、上記の計算をした結果が記載されて
いますからご確認ください。
===================================
3.[税務]D&O保険
===================================
会社役員賠償責任保険(D&O保険)は、会社役員としての業務の遂行に起因して、
保険期間中に損害賠償請求がなされたことによって被る損害を保険期間中の総
支払限度額(保険金の最高限度額)の範囲内でお支払いする保険です。
このD&O保険の税務上の取扱いについてですが、
(従来)
支払保険料のうち、
基本契約の保険料
第三者訴訟及び株主代表訴訟(役員勝訴の場合)の争訴費用を補償
→役員個人に対する給与課税を行う必要はない。
株主代表訴訟(役員敗訴の場合)の争訴費用の保証
→役員に対して経済的利益の供与があったものとして給与課税を要する。
とされていましたが、
「コーポレート・ガバナンス・システムの在り方に関する研究会(経済産業省
の研究会)」の報告書「コーポレート・ガバナンスの実践~企業価値向上
に向けたインセンティブと改革~」(平成27年7月24日公表)において、
会社が利益相反の問題を解消するため次の手続を行えば、会社が株主代表
訴訟敗訴時担保部分に係る保険料を会社法上適法に負担することができる
との解釈が示されました。
(1)取締役会の承認
(2)社外取締役が過半数の構成員である任意の委員会の同意又は社外取締役
全員の同意の取得
で、これを受けて、経済産業省が、国税庁に、会社法上適法に処理された場
合、税務上どうなるのですか、という照会をしてくれたわけです。
これに対する答えが以下です。
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/160218/index.htm
1 上記(1)(2)の手続きを行うことにより会社法上適法に負担した場合には、
役員に対する経済的利益の供与はないと考えられることから、役員個人に
対する給与課税を行う必要はありません。
2 上記1以外の会社役員賠償責任保険の保険料を会社が負担した場合には、
従前の取扱いのとおり、役員に対する経済的利益の供与があったと考え
られることから、役員個人に対する給与課税を行う必要があります。
経済産業省のレスポンス
http://www.meti.go.jp/press/2015/02/20160224004/20160224004.pdf
D&O保険に関して、役員に給与課税を行ってきた会社さんは、見直しが必要
かもしれません。また、外形標準課税においても注意が必要です。
===================================
4.[編集後記]
===================================
今は金庫売れるんでしょうね。
マイナンバーで必要でしょうし、マイナス金利で銀行ではなく、金庫に入れる
人も増えているといいますから。
それでちょっと調べてみると、ありますね。色々。ブック型隠し金庫(よくあ
る英語の辞書に見える)、本の書籍の内部をくりぬいたもの、時計型のもの、
レッドブル(あの飲料ですね)型、ペットボトル型、ハンガー型、プリングルス
型(?)、などなど、アイデア次第でヒット商品を生みだすことも可能かもしれ
ませんよ。一方で、老後の箪笥預金がオレオレ詐欺で狙われるケースも増えて
いるようですからね。マイナス金利が間接的に犯罪を助長するようなことにな
らないことを祈ります。
公認会計士紺野良一事務所のHPを作りましたので、是非ご覧ください。
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