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【健康は専門家へ】テレビ局は健康経営優良法人2024

 こんにちは、産業医・労働衛生コンサルタントの朝長健太です。
 弊社が、働く人の健康管理の事業を開始して、約10年が経過しました。
 その中で、身体的・精神的健康を優先するあまり、社会的健康がおろそかになっている事例を多数見ることになりました。
 身体的健康を優先するあまり、精神的・社会的に不健康になった社会的新型コロナウイルス禍という事例を、皆様も多く実感されたことでしょう。
 WHO憲章にあるように、健康とは、身体的・精神的・社会的に健康であることです。さらに、職域では企業と労働者の双方を健康にすることが必要です。
 『企業利益をわかりやすく向上させる新規サービス』を用意しています。
 是非、弊社を利用し、健康の向上を図ってください。
https://www.kenpomerit.com/
 さらに、文末のように「令和の働き方 部下がいる全ての人のための 働き方改革を資産形成につなげる方法」及び「産業保健ストラテジーシリーズ第3版 第1巻 産業医ストラテジー(分担執筆者)」を成しています。是非、ご覧ください。

 今回は、「【健康は専門家に任せましょう】テレビ局は健康経営優良法人2024に認定」について作成しました。
 企業利益の向上という、精神的・社会的健康を向上させるために、弊社をご活用ください。
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【健康は専門家に任せましょう】テレビ局は健康経営優良法人2024に認定
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令和7年3月31日付で、テレビ局に関して第三者委員会報告書が公表されました。
第三者委員会報告書の事案は、2023年から2024年にかけて発生しましたが、その間、テレビ局は「健康経営優良法人2024」に認定されていました。
(2025年は認定されておりません。)
 今回は、健康管理は専門家に任せるべきことについて、まとめました。

●テレビ局の事案
 第三者委員会報告書に関して、テレビ局では、令和7年1月から3月にかけて、テレビ局の会長、副会長、社長をはじめ、役員が20人以上退任する事案が発生しました。
 その他、スポンサーのCM差し止めや契約解除、1月~3月期の損失試算が200億円、行政機関や民間との撮影協力が拒否、経営者へ株主代表訴訟が提起等、数多くの問題が出てきました。
 海外取引について言及するスポンサーも出ています。第三者委員会報告書の内容についてテレビ局側に改善が認められない間に、スポンサーを再開した場合、海外では取引停止や返品訴訟が発生するリスクがあります。従って、海外取引をしている企業が、現時点でのスポンサー再開することは、事実上不可能であるといえます。
 事案の原因概要については、第三者委員会報告書の本事案に対する評価において、「アナウンサーは、2023年6月に起こった被害をもとに、頻回なフラッシュバック、食欲不振、うつ症状等を伴う重篤な 病状が認められ、PTSDと診断され、精神科での入院・通院治療及びトラウマ治療を受けるに至った。」と、従業員の健康障害が認められた。健康障害を受けて、重大な人権侵害が発生したと評価されています。
危機管理対策については、弁護士と危機管理アドバイザーを起用したが、事案を抑圧できませんでした。
 なお、テレビ局には産業医及び心療内科医が居ましたが、当時のアナウンス室長から「本事案を上にあげたので、あとは僕たち上でやります。」と話しを受けた後は、介入が減り、最終的にアナウンサーが離職することになり、健康障害を回復する役割は果たせていませんでした
 産業医の介入が減った経緯は、以下のコラムに示しています。

【第三者委員会報告書】テレビ局産業医対応まとめ
https://www.soumunomori.com/column/article/atc-177542/

●テレビ局は健康経営優良法人2024に認定
 健康経営優良法人認定制度とは、特に優良な健康経営を実践している法人を顕彰する制度で、経済産業省及び日本健康会議が共同で実施する制度です。
そこで、第三者委員会報告書に関するテレビ局は「健康経営優良法人2024(大規模法人部門)」に認定されていました。

テレビ局の働き方改革への取り組みが評価
https://www.fujitv.co.jp/company/news/240311.html

 テレビ局は、「社員が健康であることを重要な経営課題の一つと捉え、これまで働き方改革を推進してきた。コロナ禍でも社員、スタッフが安全で前向きに働けるよう、2021年に全社横断の「ワークスタイル・イノベーション」プロジェクトをスタートし、時間・場所・意識のイノベーションを継続的に行っている。2022年度の男性育休取得率は76%となり、2023年3月には、NHK・民放キー局で初めてとなる「男性育休100%宣言(ワーク・ライフバランス社)」に賛同。また、2023年10月には「健康経営宣言」を発表、豊かで多彩なコンテンツを世の中に発信する企業として、社員、スタッフが心身ともに健康で活躍できる職場環境づくりを、積極的に支援してきた。」と発表しており、主な取り組みとして、次のものを示しています。
①男女の育休・産休取得率の向上、取得日数長期化を支援し、男女ともに働きやすい職場の実現(2022年度:男性育休取得率76%・平均取得日数26日、女性育休取得率90%)
②学びのポータルサイト「フジテレビカレッジ」で社員、スタッフが参加できる様々な健康セミナーを実施
③不妊治療支援:不妊治療の際に、失効した積立年休を取得できる制度の導入
④完全テレワーク制度、復職支援休暇など病休者サポート
 さらに、テレビ局は、「今後も生活者の心に寄り添ったコンテンツを届ける企業として、社員、スタッフが健康で活躍できる健康経営への取り組みを、積極的かつ継続的に行っていく。」と発表しています。
 しかし、前述の様な事案が発生することになりました。

●体制整備と運用に関して
 「【第三者委員会報告書】テレビ局産業医対応まとめ」にも示したように、テレビ局に産業医は居て、自死を避ける観点では多大なる成果を果たしています。
 しかし、テレビ局が標榜する「社員、スタッフが健康で活躍できる健康経営への取り組み」は、達成できたとは言い難いです。
 ですが、健康経営優良法人認定制度が、こういった事案を助長しているということは当然ありません。原則、健康経営優良法人認定制度は、体制整備について認定を行う制度です。つまり、産業医を選任していたことは、体制を整備していた観点で、評価されました。しかし、運用の問題として、テレビ局側は、途中で「本事案を上にあげたので、あとは僕たち上でやります」と、産業医の介入を減らしています。
 どのように素晴らしい体制でも、運用できていなければ、結果は伴いません。高額な最新システムを導入しても、従業員が使いこなせなければ、投資が無駄になります。そういった経験には、心当たりがあると思います。
 健康管理も同じです。体制が整っていても、専門家でない者が主体的に動いた時点で、機能しなくなるのは当然と言えます。

●【最高裁判例】解雇無効判例(東芝事件)
 体制が整備されていたが、運用に不備があり、企業側が敗訴した最高裁判例があります。
 平成12年11月にリーダーとなった労働者が、長時間労働によりうつ病を発症しました。業務の軽減等を申し出ても受け入れられず、さらに業務を追加される等した結果、体調が悪化しました。有給休暇をすべて取得した後に欠勤し、職場復帰のために相応の努力をしたが、休職期間が満了した平成16年9月に解雇されました。労働者は疾病の原因は過重な業務であることから、解雇無効と損害賠償等を求めて提訴しました。
 事業者は、一定の長時間労働に関する産業医面談を行わせ、上司や同僚が体調確認の声掛けを行い、メンタルヘルス相談を利用させ、休職中に定期的な上司の面談を行っていました。一方で、過重な業務負担を課し、体調不良の訴えを認識していたものの悪化予防の措置を行っていませんでした。従って、事業者安全配慮義務違反等が指摘され、解雇無効と損害賠償を支払うことが認定されました。
 さらに、最高裁判所において労働者が病名を事業者側に伝えていなかったことで、労働者過失相殺となる法的瑕疵(かし)があるかが争点となったが、必ずしも労働者からの申告がなくても,事業者は健康に関わる労働環境等に十分な注意を払うべき安全配慮義務を負っているとの考え方が示され、労働者に法的瑕疵はないと示されました。
 本判例は、体制整備だけでなく、その運用についても求められたものといえます。特に、体制整備していたことから、事業者側は繰り返し危険回避の機会を得ていたにも関わらず、それを活かせていませんでした。
 テレビ局の事案についても、危険回避の機会を得て、途中まで産業医による介入が進んでいたにも関わらず、途中で「本事案を上にあげたので、あとは僕たち上でやります」と、産業医の介入を減らしたことが、運用の不備を引き起こしています。

●健康は専門家に任せましょう
 健康の専門家になるためには、解剖学、生理学、生化学等の様々な学問を修め、実地訓練を繰り返すことが重要です。専門家になるために、数年間を捧げることになります。
 健康管理に失敗すると人の命が失われます。
 本当に人は、亡くなる時は、あっけなく、消える様に、簡単に亡くなってしまいます。
 そして、人の命が失われると戻ってきません。
 危機管理対策で事案の抑圧(時に隠蔽)は可能という意見もありますが、失われた命は帰ってきません。しかも、今回は、危機管理対策で弁護士と危機管理アドバイザーを起用しましたが、事案を抑圧できませんでした。
 テレビ局の事案は、被害者が生きていても、危機管理対策で事案の抑圧(時に隠蔽)できなかったというマイルストーンになったとも言えます。その被害も数百億円から数千億円になると危惧されています。
 昔から、「餅は餅屋」と言われています。
 健康のことは、国家資格を持った健康の専門家に任せましょう。

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令和の働き方 部下がいる全ての人のための 働き方改革を資産形成につなげる方法
http://miraipub.jp/books/%E3%80%8C%E4%BB%A4%E5%92%8C%E3%80%8D%E3%81%AE%E5%83%8D%E3%81%8D%E6%96%B9-%E9%83%A8%E4%B8%8B%E3%81%8C%E3%81%84%E3%82%8B%E5%85%A8%E3%81%A6%E3%81%AE%E4%BA%BA%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE-%E5%83%8D/

産業保健ストラテジーシリーズ第3版 第1巻 産業医ストラテジー(分担執筆者)
https://www.e-bio.co.jp/publication/book01.html

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