1.「合理的」とは?
前回は
就業規則の
不利益変更を見てみました。
その中で、
就業規則の変更は、それが不利益なものであっても、合理的な変更であれば可能だということを述べ、さらに、その「合理的」とは何か、という問いかけで終わりました。
そこでも述べましたが、この「合理的」とはどのようなことを指すのか、それは誰が判断するのかというのが、重要な問題となってきます。
就業規則は、基本的に
使用者が一方的に定めることができます。
労働基準法第90条には「
使用者は、
就業規則の作成又は変更について、当該
事業場に、
労働者の過半数で組織する
労働組合がある場合においてはその
労働組合、
労働者の過半数で組織する
労働組合がない場合においては
労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない」という定めがあり、これは、
労働者の意見も尊重しなくてはならないということを意味しますが、
使用者に義務付けられているのはあくまでも、「意見を聴くこと」です。
仮に
労働者代表が
就業規則の内容について反対であっても、反対意見を
労働基準監督署への届出に添付すれば、法的には問題ありません。
労務管理面や労使関係面で問題が生じることや、
民法上、「
権利の濫用」の法理が適用されることもあり得ますが、それは別問題です。
そうなると、もし会社が、一方的に「合理的」だと判断して、自由に
就業規則を変更できるとなると、働く側にとっては不安なことこの上ないでしょう。
2.判例では
こうした問題に対して、最高裁は次のような判断を下しました。(平成12年9月7日、みちのく銀行事件)
「合理性の有無は、具体的には、
就業規則の変更によって
労働者が被る不利益の程度、
使用者側の変更の必要性の内容・程度、変更後の
就業規則の内容自体の相当性、代償措置その他関連する他の
労働条件の改善状況、
労働組合等との交渉の経緯、他の
労働組合または他の
従業員の対応、同種事項に関する我が国社会における一般的状況等を総合考慮して判断すべきである」
使用者側の変更の必要性とは、変更をしないままでいた場合に経営に与える悪影響の度合いということです。また、代償措置とは、たとえば
賃金の中のある手当項目を廃止する場合、その原資を別の
賃金項目に振り向けるとか、一定期間激変緩和措置を取るなどの施策を指します。
これまでのことを総合すると、次のようなことが言えます。
①
就業規則の
不利益変更は、合理性があれば可能である。合理的な変更であれば、変更後の
就業規則が、新たな
労働契約として個々の
労働者を拘束する。
②合理性の有無は、次の要素を総合的に考慮して判断する。
1)
労働者が被る不利益の程度
2)
使用者側の変更の必要性の内容・程度
3)変更後の
就業規則の内容自体の相当性
4)代償措置その他関連する他の
労働条件の改善状況
5)
労働組合等との交渉の経緯
6)他の
労働組合または他の
従業員の対応
7)同種事項に関する我が国社会における一般的状況
3.良好な労使関係が基本
就業規則の
不利益変更は、労使ともに痛みを伴うことです。これを好き好んでやる会社はあまりないでしょう。経営上の必要に迫られるとか、競争力強化のために
賃金体系改革を行ったが、結果的に不利益を被る
従業員が出た(制度改革を行う場合に避けて通ることのできない問題です)、など、必要に迫られた結果であることがほとんどでしょう。
経営者側に求められるのは、
従業員に対する誠意ある対応に尽きますし、そうなる以前からの良好な労使関係、適切な人材マネジメントということになります。
http://www.hrm-solution.jp
1.「合理的」とは?
前回は就業規則の不利益変更を見てみました。
その中で、就業規則の変更は、それが不利益なものであっても、合理的な変更であれば可能だということを述べ、さらに、その「合理的」とは何か、という問いかけで終わりました。
そこでも述べましたが、この「合理的」とはどのようなことを指すのか、それは誰が判断するのかというのが、重要な問題となってきます。
就業規則は、基本的に使用者が一方的に定めることができます。
労働基準法第90条には「使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない」という定めがあり、これは、労働者の意見も尊重しなくてはならないということを意味しますが、使用者に義務付けられているのはあくまでも、「意見を聴くこと」です。
仮に労働者代表が就業規則の内容について反対であっても、反対意見を労働基準監督署への届出に添付すれば、法的には問題ありません。
労務管理面や労使関係面で問題が生じることや、民法上、「権利の濫用」の法理が適用されることもあり得ますが、それは別問題です。
そうなると、もし会社が、一方的に「合理的」だと判断して、自由に就業規則を変更できるとなると、働く側にとっては不安なことこの上ないでしょう。
2.判例では
こうした問題に対して、最高裁は次のような判断を下しました。(平成12年9月7日、みちのく銀行事件)
「合理性の有無は、具体的には、就業規則の変更によって労働者が被る不利益の程度、使用者側の変更の必要性の内容・程度、変更後の就業規則の内容自体の相当性、代償措置その他関連する他の労働条件の改善状況、労働組合等との交渉の経緯、他の労働組合または他の従業員の対応、同種事項に関する我が国社会における一般的状況等を総合考慮して判断すべきである」
使用者側の変更の必要性とは、変更をしないままでいた場合に経営に与える悪影響の度合いということです。また、代償措置とは、たとえば賃金の中のある手当項目を廃止する場合、その原資を別の賃金項目に振り向けるとか、一定期間激変緩和措置を取るなどの施策を指します。
これまでのことを総合すると、次のようなことが言えます。
①就業規則の不利益変更は、合理性があれば可能である。合理的な変更であれば、変更後の就業規則が、新たな労働契約として個々の労働者を拘束する。
②合理性の有無は、次の要素を総合的に考慮して判断する。
1)労働者が被る不利益の程度
2)使用者側の変更の必要性の内容・程度
3)変更後の就業規則の内容自体の相当性
4)代償措置その他関連する他の労働条件の改善状況
5)労働組合等との交渉の経緯
6)他の労働組合または他の従業員の対応
7)同種事項に関する我が国社会における一般的状況
3.良好な労使関係が基本
就業規則の不利益変更は、労使ともに痛みを伴うことです。これを好き好んでやる会社はあまりないでしょう。経営上の必要に迫られるとか、競争力強化のために賃金体系改革を行ったが、結果的に不利益を被る従業員が出た(制度改革を行う場合に避けて通ることのできない問題です)、など、必要に迫られた結果であることがほとんどでしょう。
経営者側に求められるのは、従業員に対する誠意ある対応に尽きますし、そうなる以前からの良好な労使関係、適切な人材マネジメントということになります。
http://www.hrm-solution.jp