★
定年の定め★
他の
人事系メルマガでも多く触れられていますが、高齢者
雇用安定法の改正
により、現在60歳と定められている
定年を65歳まで段階的に延長することが義
務付けられました。国は高齢者の活用云々と言ってますが、
厚生年金の支給開
始年齢が65歳に繰り下がるため、それまでの空白期間を企業に埋めさせ、コス
ト負担させようとの魂胆です。
定年延長の分くらいは企業の
社会保険料の免除
をするとかないのかね。まっ、役人の頭には浮かばないか。
ともかく、現在
定年を60歳としている企業は、来年4月からは62歳とせざる
を得ず、その後も段階的に65歳まで延長しなければなりません。あと1年チョ
イしか猶予期間がないので、
社労士等もやっきになって営業かけてるようです。
じゃ、具体的に何をすればいいのかと言うと、次の3方法の何れかを選択す
ることになります。
1.
定年を延長し、65歳まで引き上げる。
2.65歳までの
継続雇用制度を導入する。
3.
定年制を廃止する。
1番目の65歳までの引き上げは、全員の
定年を65歳とすることです。体力の
ある企業でないと導入は困難です。というより、会社潰れます。
たとえ60歳以降の
賃金を減額させたにしても、新たな
雇用発生の期間は
賃金
コストが生じ、企業によっては
退職金のへの影響も考えられます。役職や指揮
命令系統も見直しが必要となるでしょう。
いずれにせよ、この方法を選ぶには事前に十分なシミュレーションを行って
からの導入が絶対条件です。
2番目の
継続雇用制度は、従来も類似の制度を採っている企業も多いことか
ら、一番とっつきやすいかも知れません。但し、本来の趣旨は「本人が希望す
れば全員引き続き
雇用する」のが建前です。それじゃ会社にとってあんまりだ
ということで、次のような抜け道も用意されています。
それは、一定の基準を設ければ、対象者を限定することが可能です。そうす
れば希望者全員を継続
雇用する必要はありません。
具体的には、その基準として、職種、社内資格、等級で一律に足切りすると
か、もう少しファジーなら、意志体力とも健全たること、とか、職務に必要な
知識、スキル等を有する等の定めをして限定することも可能です。
但し、この場合は
労使協定を結ぶことが要件とされます。でも、揉めたりし
て協定できない場合、一定期間までは会社側が
就業規則で基準を決めることも
認められています。最悪、会社が一方的に決めてもいいということ。
なお、継続
雇用に際し、65歳までの
雇用が確保されていれば、
雇用形態はも
ちろん、
就業時間や
賃金等の
労働条件については、基準法や
就業規則に触れな
ければ特に制限はありません。多くは嘱託化して
賃金ダウンの方法を選ぶので
しょうね。
3番目の
定年制の廃止は恐ろしくてできません。
定年がないということは、
死亡、自己都合
退職、解雇等以外の
退職はないと言うことです。どんなにヨボ
ヨボになっても本人がまだ働きたいと言ったら、辞めさせるには解雇するしか
ありません。会社を老人ホームにしたいと言う社長さんだけにお勧めです。
ともかく、この何れかの方策を採ることが急務です。ただ、批判を承知で言
えば、
罰則の規定はありません。確信犯的に対応しない方法も可能ですが、違
反企業には強力な行政指導が行われ、企業名の公表もあり得ます。ここはぐっ
とこらえるしか・・・。
ところで、
定年の定めはあるものの、以前の
就業規則のままで60歳未満とな
っている場合は、大至急改定が必要です。法的には60歳未満の
定年制は無効と
されます。無効ということは、
定年の定めがないとみなされ、上記3番目と同
様、辞めてもらうには大変な労力を要することとなります。ご心配な向きは今
一度、点検してみて下さい。
こういう状況なので、「今のうちに
定年延長すると
助成金がもらえますよ~」
と営業されている
社労士の方も多くいます。パンフレットもらい説明を良く聞
いてから進めるべきです。
なぜなら「継続
雇用定着促進
助成金」の受給には、希望者全員を65歳以上ま
で
雇用する制度を定めることが必要になります。希望者全員ですよ~。専門家
に相談するなら、その場合の
賃金制度変更や
労務費シミュレーションまで提案
してくれる方を選ぶべきです。
ついでに以前から思っていた私見を一つ。
高齢者の
雇用確保には一定の意味があるものの、新規学卒者や若年層の
雇用
を阻害する要因にもなりかねません。人件費コストには限度があり、高齢者に
ばかりコストがかかれば、若年層へのコストは当然に削減方向に行かざるを得
ないはずです。
今後少子化により若年
労働者は劇的に減少していきます。働き方や価値観も
多種多様になり流動的となっています。若年層の
採用は既に2極分化が始まっ
ており、優秀な人材の獲得は激烈を極め、それ以外はフリーターをあてがう構
図が一般化してきています。
このまま大多数の若年層が不安定な状態なままで、高齢者だけが保護される
ことが続けば、将来、世代間対立が発生する可能性も濃厚です。
そうした時代の動きの中で、気の利いた若者の中には、会社に依存せず自立
する方法を選択する者も現れ始めています。企業側もこれに呼応した就業方法
を提供していくことが課題となります。
当座しのぎとしては、高齢者の労働力を活かそうとする方向に異論はありま
せんが、将来的な方向性も併せて考えておくことが肝要です。暫くは、会社と
しても役人の政策に乗っかるか、新たな道を模索するかの狭間に立たされるこ
とでしょう。
女性が子供を生まない傾向はますます強まるのは確実です。負け犬うんぬん
の問題より、子供を育てても将来に希望が持てないというのが本当のところで
しょう。実際、私の場合でも、教育費はかかるわ、仕事に就けるかわからない
わで、いいことありません。
将来の国を担うべき子供より、高齢者ばかりに偏ってきた政策に重大な誤り
があると考えます。いずれ歴史の中で明らかにされるでしょう。
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労務の劇薬
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★定年の定め★
他の人事系メルマガでも多く触れられていますが、高齢者雇用安定法の改正
により、現在60歳と定められている定年を65歳まで段階的に延長することが義
務付けられました。国は高齢者の活用云々と言ってますが、厚生年金の支給開
始年齢が65歳に繰り下がるため、それまでの空白期間を企業に埋めさせ、コス
ト負担させようとの魂胆です。定年延長の分くらいは企業の社会保険料の免除
をするとかないのかね。まっ、役人の頭には浮かばないか。
ともかく、現在定年を60歳としている企業は、来年4月からは62歳とせざる
を得ず、その後も段階的に65歳まで延長しなければなりません。あと1年チョ
イしか猶予期間がないので、社労士等もやっきになって営業かけてるようです。
じゃ、具体的に何をすればいいのかと言うと、次の3方法の何れかを選択す
ることになります。
1.定年を延長し、65歳まで引き上げる。
2.65歳までの継続雇用制度を導入する。
3.定年制を廃止する。
1番目の65歳までの引き上げは、全員の定年を65歳とすることです。体力の
ある企業でないと導入は困難です。というより、会社潰れます。
たとえ60歳以降の賃金を減額させたにしても、新たな雇用発生の期間は賃金
コストが生じ、企業によっては退職金のへの影響も考えられます。役職や指揮
命令系統も見直しが必要となるでしょう。
いずれにせよ、この方法を選ぶには事前に十分なシミュレーションを行って
からの導入が絶対条件です。
2番目の継続雇用制度は、従来も類似の制度を採っている企業も多いことか
ら、一番とっつきやすいかも知れません。但し、本来の趣旨は「本人が希望す
れば全員引き続き雇用する」のが建前です。それじゃ会社にとってあんまりだ
ということで、次のような抜け道も用意されています。
それは、一定の基準を設ければ、対象者を限定することが可能です。そうす
れば希望者全員を継続雇用する必要はありません。
具体的には、その基準として、職種、社内資格、等級で一律に足切りすると
か、もう少しファジーなら、意志体力とも健全たること、とか、職務に必要な
知識、スキル等を有する等の定めをして限定することも可能です。
但し、この場合は労使協定を結ぶことが要件とされます。でも、揉めたりし
て協定できない場合、一定期間までは会社側が就業規則で基準を決めることも
認められています。最悪、会社が一方的に決めてもいいということ。
なお、継続雇用に際し、65歳までの雇用が確保されていれば、雇用形態はも
ちろん、就業時間や賃金等の労働条件については、基準法や就業規則に触れな
ければ特に制限はありません。多くは嘱託化して賃金ダウンの方法を選ぶので
しょうね。
3番目の定年制の廃止は恐ろしくてできません。定年がないということは、
死亡、自己都合退職、解雇等以外の退職はないと言うことです。どんなにヨボ
ヨボになっても本人がまだ働きたいと言ったら、辞めさせるには解雇するしか
ありません。会社を老人ホームにしたいと言う社長さんだけにお勧めです。
ともかく、この何れかの方策を採ることが急務です。ただ、批判を承知で言
えば、罰則の規定はありません。確信犯的に対応しない方法も可能ですが、違
反企業には強力な行政指導が行われ、企業名の公表もあり得ます。ここはぐっ
とこらえるしか・・・。
ところで、定年の定めはあるものの、以前の就業規則のままで60歳未満とな
っている場合は、大至急改定が必要です。法的には60歳未満の定年制は無効と
されます。無効ということは、定年の定めがないとみなされ、上記3番目と同
様、辞めてもらうには大変な労力を要することとなります。ご心配な向きは今
一度、点検してみて下さい。
こういう状況なので、「今のうちに定年延長すると助成金がもらえますよ~」
と営業されている社労士の方も多くいます。パンフレットもらい説明を良く聞
いてから進めるべきです。
なぜなら「継続雇用定着促進助成金」の受給には、希望者全員を65歳以上ま
で雇用する制度を定めることが必要になります。希望者全員ですよ~。専門家
に相談するなら、その場合の賃金制度変更や労務費シミュレーションまで提案
してくれる方を選ぶべきです。
ついでに以前から思っていた私見を一つ。
高齢者の雇用確保には一定の意味があるものの、新規学卒者や若年層の雇用
を阻害する要因にもなりかねません。人件費コストには限度があり、高齢者に
ばかりコストがかかれば、若年層へのコストは当然に削減方向に行かざるを得
ないはずです。
今後少子化により若年労働者は劇的に減少していきます。働き方や価値観も
多種多様になり流動的となっています。若年層の採用は既に2極分化が始まっ
ており、優秀な人材の獲得は激烈を極め、それ以外はフリーターをあてがう構
図が一般化してきています。
このまま大多数の若年層が不安定な状態なままで、高齢者だけが保護される
ことが続けば、将来、世代間対立が発生する可能性も濃厚です。
そうした時代の動きの中で、気の利いた若者の中には、会社に依存せず自立
する方法を選択する者も現れ始めています。企業側もこれに呼応した就業方法
を提供していくことが課題となります。
当座しのぎとしては、高齢者の労働力を活かそうとする方向に異論はありま
せんが、将来的な方向性も併せて考えておくことが肝要です。暫くは、会社と
しても役人の政策に乗っかるか、新たな道を模索するかの狭間に立たされるこ
とでしょう。
女性が子供を生まない傾向はますます強まるのは確実です。負け犬うんぬん
の問題より、子供を育てても将来に希望が持てないというのが本当のところで
しょう。実際、私の場合でも、教育費はかかるわ、仕事に就けるかわからない
わで、いいことありません。
将来の国を担うべき子供より、高齢者ばかりに偏ってきた政策に重大な誤り
があると考えます。いずれ歴史の中で明らかにされるでしょう。
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