相談の広場
①外回りの営業マンの移動時間や客先訪問の合間の空白時間は、労働時間から差し引いて構わないのでしょうか?出張のための旅行時間を通勤時間とみなすという行政通達があると聞いていますが…。
例えば、9:00~18:00(休憩1時間)という勤務時間の会社の場合、営業マンが8:00~20:00(11時間労働+1時間休憩)働いたとします。このうち、移動や休憩時間を3時間見て11-3の8時間労働とし、これを超えた部分について残業手当を支給する。といったことが労基法上可能なのでしょうか?
②また、労働基準法では「労働者が労働時間の全部または一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす。」(38条の2前段)と規定していますが、この条文の趣旨は、労働時間を把握できない事業場外で働く社員にも所定労働時間分の給与を払うというものだと思います。
逆に考えると携帯電話などを使い、客先への入出時間や移動時間を管理し、勤務時間からこれらの時間を差し引くことが可能でしょうか?
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出張の場合の移動と、会社業務としての営業の移動とは違います。
出張の際の往復の旅行時間が労働時間に該当するかどうかについては、
・おっしゃるような通勤時間と同じ性質のものであって労働時間でないとする説、
・移動は出張に必然的に伴うものであるから使用者の拘束のもとにある時間とみて労働時間であるとする説、
・使用者の拘束のもとにあるが特に具体的な業務に従事することを命じられているわけでないから労働時間とはいえないとする説
などがあります。
業務としての通常の営業移動時間や客先訪問の合間の空白時間は、敢えて言えば2番目の、使用者の拘束のもとにある時間とみて労働時間である、という理解でよいと思います。
しかしすべてを労働時間として算入すると、残業代がかなり高額になる場合も出てくるわけです。ですから多くの会社は、営業マンの労働時間については、みなし労働時間制を採用したり、専門職には裁量労働制を採用するなど、あらゆる方法を考慮しつつ、会社独自の労働時間制度を導入しているのだと思います。
ただし次のような場合は、労働時間の算定が可能であるため、みなし労働時間制の対象とはなりません。
・何人かのグループで働くとき、そのメンバーの中に労働時間を管理する者がいる場合
・携帯電話等によって、随時使用者の指示を受けながら労働する場合
・会社で、訪問先や帰社時刻等当日の具体的指示を受け後、指示どおりに勤務し、その後会社に戻る場合
つまり、労基法上の‘労働時間を算定し難いとき’とは上記のような場合以外ということです。上記においては労働時間を把握・管理できるわけですから。
ともあれ、たとえば、業務が終わったときに、携帯電話等で会社に連絡を入れるようなことをしているのであれば、休憩時間は別としても、移動に費やしたであろう時間は差し引くことはできず、労働時間に算入する必要があります。また帰社時間なども報告しているのであればみなし労働時間制も適用できないのではないかと思います。
会社側で携帯電話などを使い、客先への入出時間や移動時間を管理するのであればなおさらです。
> ①外回りの営業マンの移動時間や客先訪問の合間の空白時間は、労働時間から差し引いて構わないのでしょうか?出張のための旅行時間を通勤時間とみなすという行政通達があると聞いていますが…。
>
> 例えば、9:00~18:00(休憩1時間)という勤務時間の会社の場合、営業マンが8:00~20:00(11時間労働+1時間休憩)働いたとします。このうち、移動や休憩時間を3時間見て11-3の8時間労働とし、これを超えた部分について残業手当を支給する。といったことが労基法上可能なのでしょうか?
>
> ②また、労働基準法では「労働者が労働時間の全部または一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす。」(38条の2前段)と規定していますが、この条文の趣旨は、労働時間を把握できない事業場外で働く社員にも所定労働時間分の給与を払うというものだと思います。
> 逆に考えると携帯電話などを使い、客先への入出時間や移動時間を管理し、勤務時間からこれらの時間を差し引くことが可能でしょうか?
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出張時の労働時間確認については、各部署から確認を求められる場合が多々あります。
ご質問のご回答にはならないかもしれませんが、出張時の労働時間確認について下記ご返事ををさせていただいております。
出張は,事業場外で業務に従事するものですから,使用者がその実際の労働時間を確認することはむずかしい場合が通常です。このような場合,労働基準法は,所定労働時間労働したものとみなすと規定しています(第38条の2第1項)。
出張時の移動時間についてのご案内ですが、出張の際の往復の旅行時間が労働時間に該当するかどうかについては,
1)通勤時間と同じ性質のものであって労働時間でないとする説
2)移動は出張に必然的に伴うものであるから,使用者の拘束のもとにある時間とみて,労働時間であるとする説
3)使用者の拘束のもとにあるが,特に具体的な業務に従事することを命じられているわけでないから,労働時間とはいえないとする説があります。
この点について裁判例ですが,「出張の際の往復に要する時間は,労働者が日常出勤に費やす時間と同一性質であると考えられるから,右所要時間は労働時間に算入されず,したがってまた時間外労働の問題は起こり得ないと解するのが相当である」とするものがあります。(日本工業検査事件・横浜地判川崎支判昭49.1.26)
このように説は分かれていますが,移動時間中に,特に具体的な業務を命じられておらず,労働者が自由に活動できる状態とすれば,労働時間とはならないと考えるのが良いと思います。
出張の目的が物品の運搬自体であるとか,物品の監視等について特別の指示がなされているとかの場合には,使用者の指揮監督下で労働していると認められますので,労働時間に含まれると考えることが妥当でしょう。
ここで、お問い合わせがある事例ですが、出張中の休日の扱いです。出張日程の途中に休日がある場合や,休日が移動日に当たる場合の労働時間についです。
出張中に休日がある場合,その当日に用務を処理すべきことを明示的にも黙示的にも指示していない場合は,その当日は休日として取り扱うことが妥当と考えます。
また,「出張中の休日はその日に旅行する等の場合であっても,旅行中における物品の監視等別段の指示がある場合の外は休日労働として取扱わなくても差し支えない」とする行政解釈がありますので注意してください。(昭23.3.17基発461号,昭33.2.13基発90号)。
出張中の移動時間については,その時間中に処理すべき用務について特段の指示がある場合を除き,労働時間とみなしません。したがって,時間外手当の対象とはならないとする説が相当と考えます。
会社の出張規程などに,出張時の移動時間を勤務とみなす規定や,出張時にも時間外手当を支給する規定がある場合には,それに准ずる事が良いと思います。
会社の規程はどの様に決められていますか。まずはそれの確認からすることですね。
分かり易い解説を頂き有難うございます。
出張についてはよく分かりました。
>業務としての通常の営業移動時間や客先訪問の合間の空白>時間は、敢えて言えば2番目の、使用者の拘束のもとにある時間とみて労働時間である、という理解でよいと思います。
> しかしすべてを労働時間として算入すると、残業代がかなり高額になる場合も出てくるわけです。ですから多くの会社は、営業マンの労働時間については、みなし労働時間制を採用したり、専門職には裁量労働制を採用するなど、あらゆる方法を考慮しつつ、会社独自の労働時間制度を導入しているのだと思います。
> ただし次のような場合は、労働時間の算定が可能であるため、みなし労働時間制の対象とはなりません。
> ・何人かのグループで働くとき、そのメンバーの中に労働時間を管理する者がいる場合
> ・携帯電話等によって、随時使用者の指示を受けながら労働する場合
> ・会社で、訪問先や帰社時刻等当日の具体的指示を受け後、指示どおりに勤務し、その後会社に戻る場合
上記のように、営業マンの労働時間をこの程度とみなす場合に、出社時刻と退社時刻をタイムカードで管理している場合、退社時刻から出社時刻を引き、これ以外にどんなものをみなして差し引くことが妥当なのでしょうか?
みなし労働時間制の「時間のみなし方」が今ひとつよくわかりません。
例えば、客先訪問の合間の時間や客先訪問後、食事をしたり個人的な所要で寄り道をした後、会社に戻り、事務作業をしてからタイムカードを打刻してしまうと記録上の労働時間が長くなってしまいます。
この際、個人的な所要に費やした分を労働時間から差し引こうとすると、現実的には労働時間をできることになり、みなし労働時間制を適用できないということになるのでしょうか?
労基法上の‘労働時間を算定し難いとき’ということは、どういうことを言うのでしょうか?みなし残業手当と実際の労働時間と乖離している場合は、みなし残業手当の変更が必要と思いますが、そもそも労働時間算定が難しいのに、どうやって乖離していると証明するのでしょうか?
逆に乖離していると証明できるということは、労働時間を管理できる状態にあり、みなし労働制を採用できないということでしょうか?
労働時間を提供する代わりに給料をもらうというのが一般的な労働者の働き方ですが、労働時間が把握しづらい一部の職種には、みなし労働時間制度が適用される事があります。
<みなし労働時間の基本>について確認してみましょう。
みなし労働時間制の基本は、「この仕事には大体○○時間くらい必要だから、細かい労働時間の計算はおいといて、1日あたり8時間働いた事とみなしましょう」というのがみなし労働時間制という制度です。
みなし労働時間制が適用されるのは大きく分けると事業場外労働と裁量労働という2つのケースです。
事業場外労働ですが、例えば一日の大半を客先回りなどに費やす営業マンの場合とか、会社や上司の目の届かないところで労働活動しているわけですから、労働時間を正確にカウントする事は困難ですね。
このように事業所外で仕事の直接的な命令・監督を受けずに働く場合はみなし労働時間制で予め決められた所定労働時間働いたと「みなす」事ができます。ただし、事業外労働であっても仕事の進行を指揮・監督する立場の上司などが同行したり、あらかじめ行き先や業務内容などを具体的に指示されている場合、携帯電話などで命令を受けながら働く場合はこの制度は適用できません。
裁量労働とは、特殊な技術などを研究・開発している場合、仕事の進み具合によって日々の労働時間が大きく異なります。映画やゲームソフトの製作に関わる労働者や、会社の事業展開そのものを取り仕切る労働者は、激務が続く事もある反面、仕事に区切りが付けばある程度まとまった休みが取れたりもします。
このように、いちいち指示を受けて働くよりも労働者の判断で自由に仕事を進めたほうが合理的な職種に関しては、その仕事を行うに当たって通常必要とされる時間を予め計算しておき、その時間分働いたと「みなす」事が可能です。ただし、企画・製作などの仕事であってもチーム単位でプロジェクトを進める場合など、労働者個人に仕事の進め方に関する裁量が無い場合にはこの制度を適用することはできません。
では、みなし労働制と時間外労働残業代はどうなる管理するかですが、みなし労働時間制の場合、あらかじめ「○○時間働いたとみなす」わけですから、基本的には残業時間は「みなした」時間に含まれていることになります。
例えば定時出社・退社だと月に160時間労働になり、これを180時間働いたとみなす場合、20時間分の残業代が含まれていることになるので、会社は労働時間が180時間までの労働者には残業代を支払わなくても良い事になります。
ただし、労働者がみなした時間以上働いた場合はやはりその時間に対して残業代支払いの義務があるので、会社は労働時間の管理をしなくてよいという事にはなりません。
タイムカードも日時働いたことを証明する行為と見ます。
残業にいたることを証明することも必要と思います。つまり、何らかの理由により残業をしなければならない旨の承認を求めることも必要でしょう。つまり上席責任者の承認を求めておかなければ残業とは看做さないと言うことでしょう。。
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