こんにちは。
社会保険労務士の田中です。
人事・
労務の2019年を振り返ると、何と言っても「働き方改革」です。
時間外労働の削減や
有給休暇の取得が、これ程、世間一般に
関心を持たれた事は、私が記憶する限り、ここ25年程で最大でした。
一方、ひっそりとした改正もありますので、お伝えします。
☆☆☆☆ 過半数代表者の選出についての改正 ☆☆☆☆
この改正は
労働基準法ではなく、その施行規則であるためか、
あまり広くは認識されていないようです。
労働基準法施行規則 第6条の2(過半数代表者)では、
過半数代表者の選出について次のように定めています。
『法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして
実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であって、
使用者の意向に基づき選出されたものでないこと。』
36協定や、
裁量労働制の
労使協定、
変形労働時間の
労使協定などを
締結する際には
労働者代表を選出し、協定書に署名
捺印してもらいます。
その選出方法について定めているのが本条です。
☆☆☆☆ 選出方法のポイントは3つ ☆☆☆☆
選出方法は次の3点がポイントになります。
1 「
労使協定にサインしてもらう人を選びますよ」と明らかにする。
2 選出は、投票や挙手などの方法による。
3
使用者(会社)の意向に基づき選出してはいけない。
このうち、3の「
使用者の意向に基づき選出されたものでないこと」が
今年(2019年)の4月から新たに加わりました。
☆☆☆☆ 過半数代表者の選出は適切に行われているか ☆☆☆☆
「
使用者の意向に基づき選出されたものでないこと」という考え方は、
以前からありましたが、今回の改正で明文化されました。
選出方法の3点をきちんと行うこと容易ではありません。
毎年、同じ人が機械的に
36協定に署名
捺印しているケースも
決して少なくないのではないでしょうか?
労働者代表選出の3つの条件を満たさなければ、
労働者代表の適格性が
問題となり、
労使協定そのものが無効、と今後は判断されかねません。
☆☆☆☆ 「
労使協定無効の請求」が発生するか? ☆☆☆☆
1年単位の変形労働時間制の
労使協定、
裁量労働制の
労使協定、
36協定、フレックスタイムの
労使協定が多く取り交わされています。
労使協定が無効とされた時のリスクは何でしょうか?
裁量労働制の
労使協定であれば、みなし
労働時間ではなく、
実際の
労働時間に基づいた
時間外労働手当の支払いが発生します。
フレックスタイムの
労使協定においても1ヶ月単位ではなく、
1日ごとに
時間外労働を集計する必要が生じるので、
追加の
時間外労働手当の支払いは避けられません。
1年単位の
変形労働時間の
労使協定では、例えば年に数回ある、
土曜日出勤が全て
時間外労働の扱いとされてしまいます。
労使協定が無効となることによる金銭的リスクは少なくありません。
1年単位の
変形労働時間のケースで具体的な金額を検証してみます。
月給25万円の社員が、年間10回の土曜日出勤をしたとします。
土曜日は8時間勤務で
時間外労働が無かった場合でも、8時間×10日、
80時間分の
時間外労働が発生します。金額にして15万円程です。
対象人数が多ければ多いほど、金額は大きくなります。
かつて消費者金融に対して「
過払い金請求」が多く行われました。
また、
時間外労働手当の未払いがある企業に対しては、
「未払い
残業代請求」も一部で行われました。
今後、「
労使協定無効の請求」が多発しないことを祈るばかりです。
☆☆☆☆☆☆☆☆ 企業の対策 ☆☆☆☆☆☆☆☆
毎年、前述の3つのポイントを踏まえて、
労働者代表の選出を確実に行う必要があります。
自発的に立候補してくれる
従業員がいて、
その人を全体会議などの場で挙手によって承認、
という手順となれば、大変にスムーズですが、
現実はそう簡単にはいかないでしょう。
適切な選出方法は会社によって異なります。
もしも現在の選出方法に不安がございましたら、当所にご相談ください。
今回も最後までお読み頂き、ありがとうございました。
(2019.12.17)
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田中事務所 特定
社会保険労務士 田中理文
従業員 50人~300人企業の、
手続の電子申請・
労務相談はお任せください!
http://www.tanakajimusho.biz/
東京都渋谷区渋谷3-5-16 スクエアビル2階
東京都立川市錦町2-6-7 ヨネカワビル2階
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こんにちは。社会保険労務士の田中です。
人事・労務の2019年を振り返ると、何と言っても「働き方改革」です。
時間外労働の削減や有給休暇の取得が、これ程、世間一般に
関心を持たれた事は、私が記憶する限り、ここ25年程で最大でした。
一方、ひっそりとした改正もありますので、お伝えします。
☆☆☆☆ 過半数代表者の選出についての改正 ☆☆☆☆
この改正は労働基準法ではなく、その施行規則であるためか、
あまり広くは認識されていないようです。
労働基準法施行規則 第6条の2(過半数代表者)では、
過半数代表者の選出について次のように定めています。
『法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして
実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であって、
使用者の意向に基づき選出されたものでないこと。』
36協定や、裁量労働制の労使協定、変形労働時間の労使協定などを
締結する際には労働者代表を選出し、協定書に署名捺印してもらいます。
その選出方法について定めているのが本条です。
☆☆☆☆ 選出方法のポイントは3つ ☆☆☆☆
選出方法は次の3点がポイントになります。
1 「労使協定にサインしてもらう人を選びますよ」と明らかにする。
2 選出は、投票や挙手などの方法による。
3 使用者(会社)の意向に基づき選出してはいけない。
このうち、3の「使用者の意向に基づき選出されたものでないこと」が
今年(2019年)の4月から新たに加わりました。
☆☆☆☆ 過半数代表者の選出は適切に行われているか ☆☆☆☆
「使用者の意向に基づき選出されたものでないこと」という考え方は、
以前からありましたが、今回の改正で明文化されました。
選出方法の3点をきちんと行うこと容易ではありません。
毎年、同じ人が機械的に36協定に署名捺印しているケースも
決して少なくないのではないでしょうか?
労働者代表選出の3つの条件を満たさなければ、労働者代表の適格性が
問題となり、労使協定そのものが無効、と今後は判断されかねません。
☆☆☆☆ 「労使協定無効の請求」が発生するか? ☆☆☆☆
1年単位の変形労働時間制の労使協定、裁量労働制の労使協定、
36協定、フレックスタイムの労使協定が多く取り交わされています。
労使協定が無効とされた時のリスクは何でしょうか?
裁量労働制の労使協定であれば、みなし労働時間ではなく、
実際の労働時間に基づいた時間外労働手当の支払いが発生します。
フレックスタイムの労使協定においても1ヶ月単位ではなく、
1日ごとに時間外労働を集計する必要が生じるので、
追加の時間外労働手当の支払いは避けられません。
1年単位の変形労働時間の労使協定では、例えば年に数回ある、
土曜日出勤が全て時間外労働の扱いとされてしまいます。
労使協定が無効となることによる金銭的リスクは少なくありません。
1年単位の変形労働時間のケースで具体的な金額を検証してみます。
月給25万円の社員が、年間10回の土曜日出勤をしたとします。
土曜日は8時間勤務で時間外労働が無かった場合でも、8時間×10日、
80時間分の時間外労働が発生します。金額にして15万円程です。
対象人数が多ければ多いほど、金額は大きくなります。
かつて消費者金融に対して「過払い金請求」が多く行われました。
また、時間外労働手当の未払いがある企業に対しては、
「未払い残業代請求」も一部で行われました。
今後、「労使協定無効の請求」が多発しないことを祈るばかりです。
☆☆☆☆☆☆☆☆ 企業の対策 ☆☆☆☆☆☆☆☆
毎年、前述の3つのポイントを踏まえて、
労働者代表の選出を確実に行う必要があります。
自発的に立候補してくれる従業員がいて、
その人を全体会議などの場で挙手によって承認、
という手順となれば、大変にスムーズですが、
現実はそう簡単にはいかないでしょう。
適切な選出方法は会社によって異なります。
もしも現在の選出方法に不安がございましたら、当所にご相談ください。
今回も最後までお読み頂き、ありがとうございました。
(2019.12.17)
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田中事務所 特定社会保険労務士 田中理文
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