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○中小企業戦略【
総務の知恵】 2021.5.1
バイデン大統領の施政方針演説について vol.362
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なかはしです。
ゴールデンウイークは、皆様いかがお過ごしでしょうか。
なかはしは、図書館も大型書店も休業ですので、古い本の整理とアマゾン
でネットショッピングと巣ごもりの連休の予定です。
4月29日で就任100日となるバイデン大統領が施政方針演説を行いました。
なかはしが注目する政策は、第1に
最低賃金を15ドルへの引き上げです。
27日には、連邦政府と
契約する企業の
最低賃金を時給10.95ドル
(約1200円)から15ドル(約1600円)に引き上げる大統領令に署名しました。
第2に子育て教育支援に10年で1.8兆ドル(約200兆円)を充てる
「ファミリー・プラン 米国家族計画」を発表し、この財源を富裕層への
増税とし、個人の
所得税の最高税率と高所得者の株式の
売却益(キャピタル
ゲイン)に対する税率を、いずれも39.6%まで引き上げるとしています。
第3に「米国
雇用計画」というインフラなどに8年で2兆ドル(約220
兆円)を投資し、企業増税を財源に充てるとのことです。
2大政党下の大統領制のドラスティックな政治運営が際立ちます。日本の政
策は、米国追従とも揶揄されますので、少なからず影響は出るでしょう。
日米比較して各制度をご紹介してきます。
<
最低賃金について>
先に署名したバイデン大統領の
最低賃金の引き上げ額は、4.05ドル(約450円)と
衝撃的でした。これは、連邦政府と
契約する企業で、「公
契約条例
最低賃金」と呼ばれるもので、
地域別に適用される「法定
最低賃金」とは、別制度です。
演説では、「週に40時間働いても貧困水準を下回ったままで生活する人がいてはならない」とし、
州別の
最低賃金引き上げも視野に入っていると考えます。
<日米の州別の
最低賃金の比較>
2020年1月時点の米国の
最低賃金(抜粋)
ワシントン特別区14.00ドル
カルフォルニア州12.00ドル/13.00ドル(企業規模によって異なる)
ニューヨーク州11.80ドル/13.00ドル/15.00ドル
(企業規模・都市によって異なる)
連邦法で定められている
最低賃金は7.25ドル(約790円)です。
日本の
最低賃金は、2020年改定で、東京、大阪などは、コロナの影響で
引き上げなしです。
東京1,013円
大阪 964円
秋田、鳥取、島根、高知、佐賀、大分、沖縄792円
現状では、都市部で差がありますが、あまり変わり映えしない印象です。
今後、バイデン政権が、連邦法の
最低賃金を引き上げるのか注目です。
<ファミリー・プラン 米国家族計画>
米国家族計画とは、具体的には、
1)2年制のコミュニティ・カレッジの授業料を無償化
2)託児所の利用料の
補助および
育児休業の
賃金の補てん
3)子育て世帯向けに8000億ドルの減税措置
となっています。
<日本の一般的な子育て支援策について>
1)子ども手当
0-3歳 支給月額 15,000円
3歳から小学校修了前 第1子・第2子月額 10,000円 第3子15,000円
中学校 月額 一律 10,000円
2)
産前産後休業及び
育児休業の
賃金助成
出産日以前42日から最大
出産後、
育児休業期間、最長で子が2歳に達する
まで、
健康保険制度から
出産手当金が、
雇用保険制度から
育児休業給付金が
休業前の
賃金の3分の2が助成されます。
休業期間は、
健康保険料及び
厚生年金保険料は、免除になります。
また、分娩費にあてる
出産手当一時金の支給があります。
3)高校無償化は、公立高校で世帯収入が910万円未満、私立高校で世帯収入が
590万円未満と所得制限があります。
子ども手当にも所得制限があり、わかり難い政策と言えます。
<米国の税制案について>
1)個人
所得税の最高税率は、39.6%に引き上げ、但し、
年間所得40万ドル
以下は増税対象とならないとしています。
2)
年間所得100万ドル以上の富裕層に対して、キャピタルゲイン税(金融
資産の値上がり
益税)を39.6%と現行の20%から引き上げるとしています。
付加税3.8%と合わせ、最高43.4%となるとしています。これを医療保険制度改革
(オバマケア)の資金への充当を目的とした投資収入に充てます。
3)
法人税について、トランプ前政権下で行った大型減税を見直し、連邦
法人税
を21%から28%に引き上げる案を示しています。演説で「米国の大企業の
うち55社は、前年の連邦
所得税の納付額がゼロだった」と述べています。
<日本の税制はどのようになっているでしょうか>
1)個人
所得税の最高税率は、2015年に税制改正があり、従来の40%から45%
に引き上げられました。復興特別
加算税を合わせると45.945%になります。
その他、
住民税が10%別途課税となりますが、米国との比較のため、計算に
いれません。
年間所得195万円以下であれば、5%になり、所得により段階
的に税率が上がっています。
2)日本の
有価証券の譲渡による所得(キャピタルゲイン)に対する課税は、
20.315%で、内訳は、
所得税15.315%+
住民税5%となっています。
3)
法人税は、23.40%ですが、
資本金1億円以下の
法人で、
年800万円以下の
所得金額の場合、特例による税率15%となります。
地方
法人税、
法人住民税、事業税、特別
法人事業税を含めると、30%を超え
ます。比較のため、23.4%とします。
バイデン大統領が
法人税引き下げ競争にストップするとのことですが、
その政策には、エールを送ります。
最後までお読み頂きましてありがとうございます。
ご不明の点は何でもお気軽にお尋ね下さい。
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○中小企業戦略【総務の知恵】 2021.5.1
バイデン大統領の施政方針演説について vol.362
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なかはしです。
ゴールデンウイークは、皆様いかがお過ごしでしょうか。
なかはしは、図書館も大型書店も休業ですので、古い本の整理とアマゾン
でネットショッピングと巣ごもりの連休の予定です。
4月29日で就任100日となるバイデン大統領が施政方針演説を行いました。
なかはしが注目する政策は、第1に最低賃金を15ドルへの引き上げです。
27日には、連邦政府と契約する企業の最低賃金を時給10.95ドル
(約1200円)から15ドル(約1600円)に引き上げる大統領令に署名しました。
第2に子育て教育支援に10年で1.8兆ドル(約200兆円)を充てる
「ファミリー・プラン 米国家族計画」を発表し、この財源を富裕層への
増税とし、個人の所得税の最高税率と高所得者の株式の売却益(キャピタル
ゲイン)に対する税率を、いずれも39.6%まで引き上げるとしています。
第3に「米国雇用計画」というインフラなどに8年で2兆ドル(約220
兆円)を投資し、企業増税を財源に充てるとのことです。
2大政党下の大統領制のドラスティックな政治運営が際立ちます。日本の政
策は、米国追従とも揶揄されますので、少なからず影響は出るでしょう。
日米比較して各制度をご紹介してきます。
<最低賃金について>
先に署名したバイデン大統領の最低賃金の引き上げ額は、4.05ドル(約450円)と
衝撃的でした。これは、連邦政府と契約する企業で、「公契約条例最低賃金」と呼ばれるもので、
地域別に適用される「法定最低賃金」とは、別制度です。
演説では、「週に40時間働いても貧困水準を下回ったままで生活する人がいてはならない」とし、
州別の最低賃金引き上げも視野に入っていると考えます。
<日米の州別の最低賃金の比較>
2020年1月時点の米国の最低賃金(抜粋)
ワシントン特別区14.00ドル
カルフォルニア州12.00ドル/13.00ドル(企業規模によって異なる)
ニューヨーク州11.80ドル/13.00ドル/15.00ドル
(企業規模・都市によって異なる)
連邦法で定められている最低賃金は7.25ドル(約790円)です。
日本の最低賃金は、2020年改定で、東京、大阪などは、コロナの影響で
引き上げなしです。
東京1,013円
大阪 964円
秋田、鳥取、島根、高知、佐賀、大分、沖縄792円
現状では、都市部で差がありますが、あまり変わり映えしない印象です。
今後、バイデン政権が、連邦法の最低賃金を引き上げるのか注目です。
<ファミリー・プラン 米国家族計画>
米国家族計画とは、具体的には、
1)2年制のコミュニティ・カレッジの授業料を無償化
2)託児所の利用料の補助および育児休業の賃金の補てん
3)子育て世帯向けに8000億ドルの減税措置
となっています。
<日本の一般的な子育て支援策について>
1)子ども手当
0-3歳 支給月額 15,000円
3歳から小学校修了前 第1子・第2子月額 10,000円 第3子15,000円
中学校 月額 一律 10,000円
2)産前産後休業及び育児休業の賃金助成
出産日以前42日から最大出産後、育児休業期間、最長で子が2歳に達する
まで、健康保険制度から出産手当金が、雇用保険制度から育児休業給付金が
休業前の賃金の3分の2が助成されます。
休業期間は、健康保険料及び厚生年金保険料は、免除になります。
また、分娩費にあてる出産手当一時金の支給があります。
3)高校無償化は、公立高校で世帯収入が910万円未満、私立高校で世帯収入が
590万円未満と所得制限があります。
子ども手当にも所得制限があり、わかり難い政策と言えます。
<米国の税制案について>
1)個人所得税の最高税率は、39.6%に引き上げ、但し、年間所得40万ドル
以下は増税対象とならないとしています。
2)年間所得100万ドル以上の富裕層に対して、キャピタルゲイン税(金融
資産の値上がり益税)を39.6%と現行の20%から引き上げるとしています。
付加税3.8%と合わせ、最高43.4%となるとしています。これを医療保険制度改革
(オバマケア)の資金への充当を目的とした投資収入に充てます。
3)法人税について、トランプ前政権下で行った大型減税を見直し、連邦法人税
を21%から28%に引き上げる案を示しています。演説で「米国の大企業の
うち55社は、前年の連邦所得税の納付額がゼロだった」と述べています。
<日本の税制はどのようになっているでしょうか>
1)個人所得税の最高税率は、2015年に税制改正があり、従来の40%から45%
に引き上げられました。復興特別加算税を合わせると45.945%になります。
その他、住民税が10%別途課税となりますが、米国との比較のため、計算に
いれません。年間所得195万円以下であれば、5%になり、所得により段階
的に税率が上がっています。
2)日本の有価証券の譲渡による所得(キャピタルゲイン)に対する課税は、
20.315%で、内訳は、所得税15.315%+住民税5%となっています。
3)法人税は、23.40%ですが、資本金1億円以下の法人で、
年800万円以下の所得金額の場合、特例による税率15%となります。
地方法人税、法人住民税、事業税、特別法人事業税を含めると、30%を超え
ます。比較のため、23.4%とします。
バイデン大統領が法人税引き下げ競争にストップするとのことですが、
その政策には、エールを送ります。
最後までお読み頂きましてありがとうございます。
ご不明の点は何でもお気軽にお尋ね下さい。
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