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【学会報告】不誠実産業医想定事例①:名義貸し型

 こんにちは、産業医・労働衛生コンサルタントの朝長健太です。
 弊社が、働く人の健康管理の事業を開始して、3年以上が経過しました。
 その中で、身体的・精神的健康を優先するあまり、社会的健康がおろそかになっている事例を多数見ることになりました。
 身体的健康を優先するあまり、精神的・社会的に不健康になった社会的新型コロナウイルス禍という事例を、皆様も多く実感されたことでしょう。
 WHO憲章にあるように、健康とは、身体的・精神的・社会的に健康であることです。さらに、職域では企業と労働者の双方を健康にすることが必要です。
 休職者ゼロ・新型コロナ関連倒産ゼロを達成した労働衛生コンサルタント技術の提供に関して、『企業利益をわかりやすく向上させる新規サービス』を用意しました。
 是非、弊社を利用し、健康の向上を図ってください。
https://www.kenpomerit.com/
 さらに、文末のように令和元日(5月1日)に、「令和の働き方 部下がいる全ての人のための 働き方改革を資産形成につなげる方法」も作成してます。是非、ご覧ください。

 今回は、「【学会報告】不誠実産業医想定事例①:名義貸し型」について作成しました。
 企業利益の向上という、精神的・社会的健康を向上させるために、弊社をご活用ください。
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【学会報告】不誠実産業医想定事例①:名義貸し型
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 令和3年9月23日~24日に、日本産業保健法学会第1回学術大会が開催されました。弁護士、社労士、医師、保健師、公認心理師等の国家資格者と企業の労働衛生担当者が、働く人の健康管理のために一堂に会する。他に例の無い学会になります。
 弊社も、協賛セミナー「産業医の誠実義務をめぐる法的リスクの検討」として参加させていただきましたので、その報告をさせていただきます。
 なお、セミナーの座長は、泌尿器科専門医、社会医学系指導医及び医学博士であり、厚生労働省労働基準局専門官、九州厚生局課長を経て、花王株式会社において全社産業医をされている北田昇平先生。
 講師は、東京労働局労働基準監督官として着任後、厚生労働省労働基準局出向し、東京労働局過重労働撲滅特別対策班(いわゆる「かとく」)を経て、弁護士(社労士及び労働衛生コンサルタントも登録済み)として活躍されている西脇巧先生です。
 セミナーでは、産業医が義務を違反し、医師免許停止等の罰を受ければ、事業者にも法的リスクがおよぶ指摘がありました。さらに、産業医の不誠実さを『名義貸し型』『違法行為黙認型』『調査不十分型』に区分し、その想定事例と具体策を示していただきました。
 学会セミナー報告として、今回は不誠実産業医想定事例①:名義貸し型について示させていただきます。

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不誠実産業医という経営リスク:名義貸し型
◎事案の概要
 常時50人以上の労働者を使用している事業者が、産業医委任契約を締結し、選任の上、所轄労働基準監督署に選任報告をしていたが、当該産業医は、特に事業者から求められなかったため、月1回の作業場の巡視をせず、化学物質等の有害物質の取扱いがあるにもかかわらず、これによる労働者の健康への影響について調査(使用している化学物質の性状・有害性、作業環境や作業方法の確認等)をせず、特殊健康診断有所見者に対する就業上の意見を述べなかったことなどにより、当該有害物質に起因して複数の労働者が癌を発症して死亡するという事態が発生した。

◎留意点
 産業医側の不誠実対応として、産業医が安衛法上求められる事項(巡視、労働者の健康管理等へへの関与)を実施していないことから、明らかに誠実に職務を行っていないものとして安衛法13条3項に違反する可能性が高く、産業医の職務違反については産業医個人の刑事罰はないものの、行政当局から行政指導及び『医師法に基づく行政処分を受ける可能性』がある。民事上、同条項(誠実義務)違反により重篤な健康障害が生じたとして、労働者(又は遺族)から不法行為による損害賠償責任を問われる可能性もある。
 事業者は、産業医に対して、労働者の健康管理等を行わせていないとして、安衛法13条1項違反で行政上の措置(是正勧告)を受けるとともに、重大性を考慮して、刑事罰が課される可能性がある。
 また、労働者(又は遺族)から、上記法違反及び不適正な(医師法による行政処分を受ける程度の)産業医を選任しているとして安全配慮義務違反又は使用者責任不法行為)による損害賠償請求、取締役への責任追及を受ける可能性がある。
 複数の労働者が被災した場合、社会問題化することにより(例:胆管がん)、レピュテーションリスクに大きく影響するおそれがある。
 対策としては、産業医を選任しただけではなく、「労働者の健康管理等」を行わせる必要がある。
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◎補足
 医師の名義貸しについては、以下の事例のように、勤務実態が問われることになります。医師は、健康保険や医療法の仕組みにより、行政や勤務先医療機関に勤務情報を既に握られていることから、勤務実態を追いかけることは比較的容易です。
 過去は、不誠実産業医は違法ではないため、行政等の持つ情報にアクセスすることは困難でしたが、現在は不誠実産業医は法違反になります。なので、適切な手順を踏めば、行政等が持っている情報を労働者や遺族が確認することは十分に見込めます。産業医の名義貸しは容易に発覚すると思って良いでしょう。
 労働者寄りの弁護士が、企業を直接攻撃しても『証拠不十分なことが多く』民事上の違法性を証明することは困難です。ですが、その弁護士が『産業医の名義貸しを証明すること』は、比較的容易です。
 不誠実な産業医は、不健康な労働者を生み出すだけでなく、報酬を払っている事業者に後ろから弓を引くことになります。関わらないようにしましょう。

【参考事例】無資格手術の元事務長に名義貸しの疑い 医師2人書類送検
https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1201A_S3A310C1CC0000/
【参考事例】第2回地域医療に関する関係省庁連絡会議資料
https://www.wam.go.jp/wamappl/bb13gs40.nsf/0/49256fe9001ac4c749256deb001bc17a/$FILE/siryou.pdf
【参考事例】愛知県警が名義貸しの疑いで名古屋大学大学院教授と、医師の男女ら計3人を医療法違反の疑いで書類送検
https://www.yakujihou.com/yakujinews/2696/

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令和の働き方 部下がいる全ての人のための 働き方改革を資産形成につなげる方法
http://miraipub.jp/books/%E3%80%8C%E4%BB%A4%E5%92%8C%E3%80%8D%E3%81%AE%E5%83%8D%E3%81%8D%E6%96%B9-%E9%83%A8%E4%B8%8B%E3%81%8C%E3%81%84%E3%82%8B%E5%85%A8%E3%81%A6%E3%81%AE%E4%BA%BA%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE-%E5%83%8D/

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