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年金記録(標準報酬月額)改ざん問題について

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    平成20年10月9日

   知った日から利益を生み出す社会保険労務管理

                          第191号
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みなさま、こんにちは。
ネット社労士のミシマです(^o^)丿


今回は、年金記録(標準報酬月額)改ざん問題についてです。


10月3日の厚生労働省の発表で年金記録(標準報酬月額)の改ざんについて
発表がありました。


その発表によりますと昭和61年以降標準報酬月額が改ざんされたと見られる
数は次の通りです。


(1)標準報酬月額を一気に5等級以上引き下げた数→75万件

(2)過去6ヶ月以上遡り標準報酬月額を引き下げた数→53万3000件

(3)標準報酬月額の引下げ処理と同日もしくは翌日に厚生年金から脱退手続き
をとった数→15万6000件


上記(1)、(2)、(3)の全てに該当する数→6万9000件


上記の数のうち、全てが年金記録の改ざんとはいえませんが、これらの数字から
判断して年金記録の改ざんが行われたのは100万件超という報道もあります。


そもそも標準報酬月額とは何のことでしょう。


社会保険厚生年金保険健康保険、介護保険)では、月給の代わりに標準報酬
月額という概念を用い、保険料の決定と保険給付(年金給付)を行っています。


例えば、月給が29万円以上31万円未満の範囲内の人の標準報酬月額は30万
円と決定されます。


標準報酬月額は、最低98,000円から最高62万円の30等級に分かれます。


保険料は、毎月この標準報酬月額に所定の料率をかけて計算し、納付する必要が
あります。


こうして計算された保険料のうち半分は被保険者の負担ということで給料から天
引きされます。


被保険者負担分、会社負担分の保険料合計額の納付義務は、会社にあります。


月給30万円(18等級)の人の年金保険料は46,050円納付義務があります
が、これを5等級引下げ標準報酬月額20万円(13等級)とすると年金保険
は30,700円納付すれば済みます。


月額15,350円のコストダウンになります。従業員が10人いれば月額約15
万円、年間では約180万円のコストダウンに繋がります。


また、30万円に応じた保険料を従業員から天引きし、標準報酬月額は20万円と
して届出ると、30万円に応じた従業員の保険料は23,025円であり、一方会
社の納付義務額は30,700円なので、会社の負担額は7,675円で済みます。


会社としては、毎月23,025円(30,700円-7,675円)のコストダウ
ンとなり、従業員が10人いれば月額約23万円、年間では約276万円のコスト
ダウンを実現することが出来ます。


社会保険料の重い負担に悩む会社と社会保険料の納付率を上げたい社会保険事務所
の利害が一致し、こうした標準報酬月額の改ざんが横行していたのです。


一方、従業員の方は、標準報酬月額が引き下げられたため、受給する年金額がその
分減少してしまいます。


こうした犯罪行為が横行していたことは、消えた年金問題ではなく、消された年金
記録問題として糾弾すべき行為です。


関係した会社の経営者及び担当者、社会保険事務所の管理者及び担当者の処分は当
然として、こうして消された年金記録に基づき既に年金を受給している人の救済を
急ぐべきです。


標準報酬月額が正しいかどうかは、給与明細書と照合する必要があります。しかし
ながら、過去の給与明細書を保管している人はほとんどいないでしょう。


そして証拠書類がなくても被害を受けた従業員は救済されるべきですし、このよう
な不正から自分の身を守るためにも今後は給与明細書は全て保管することが必要だ
と思います。


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【編集後記】


国会の補正予算審議が始まりました。本文でも取り上げました年金記録改ざん問題
も審議されています。


社会保険庁は、年金記録改ざんの疑いが最も濃い6万9千件に対し、対象者の個別
訪問を行い、実態調査する様です。


年金記録改ざんの証拠書類として、改ざんが行われたと見られる期間の給与明細
が必要です。


しかし、多くの現役加入者、年金受給者は給与明細を残していないでしょう。


そこで、これを救済するためには年金記録確認第三者委員会に申立てしなければな
らないこととなります。


しかし、年金記録確認第三者委員会に申し立てても証拠書類等がないとなかなか容
認されないことが問題です。


年金記録改ざんに関しては、一応疑いがあれば、証拠書類がなくても申立てを容認
するようにして欲しいものです。


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