◆事例:勝手にやられた残業
自分の判断で勝手に残業してしまう
従業員が多く困っています。かといって
完全に禁止すると業務に支障が生じる恐れもあり、見て見ぬふりをしています。
この場合でも
残業代の支払いは必要でしょうか。
◇回答----------------------------------------------------------------
従業員が勝手に残業したとしても、それを黙認すれば事実上残業を命じたこ
とと見なされます。当然、
残業代の支払も必要となります。不要不急の残業で
あれば直ちに中止を命じて下さい。
■解説----------------------------------------------------------------
残業代の不払いについては各種報道で伝えられるとおり、場合によっては経
営者の逮捕にまで至ることがあります。監督署も特にこの問題に注力していま
すので、十分な対策をとっておくことが必要です。
本来、基準法でいう残業は
使用者が命ずることになっています。会社が命じ
たものであれば
割増賃金を支払うのは当然です。
しかし残業は業務内容や時期によって本人の判断で自発的に行われることも
多くあります。もちろんこの残業を会社が承認することもできますが、全ての
残業を認めていたら人件費がいくらあっても足りませんし、仕事がルーズにな
ってしまいます。
このような自発的残業について、会社が残業として認めたくない場合は、即
刻残業を中止させなければなりません。一般的には上司が口頭で中止を命ずる
こととなります。当然、
業務命令です。また、制度上では事前承認制を
採用す
ることも必要です。例外を認めると後々運用が困難になりますので要注意です。
なお事例のように、会社が自発的残業の存在を知りながら注意もせず放置し
ていた場合、これを容認したとされ、
残業手当の支払義務が生じることとなり
ます。
これと逆に、会社が自発的残業の存在を知らなかったような場合でも、「使
用者の具体的に指示した仕事が、客観的にみて正規の
勤務時間内ではなされ得
ないと認められる場合の如く、超過勤務の黙示の指示によって
法定労働時間を
超えて勤務した場合には、
使用者は
労働基準法第37条に規定する
割増賃金を支
払わなければならない」(S25.9.14基収第2983号)とされています。
要するに、残業しなければできないような仕事を与えた場合、その
残業代は
支払えということです。
蛇足ながら、
残業代を支払わないで済む「
裁量労働制」の導入を考える方も
多いようですが(この提案をするコンサルも実に多い)、この制度の対象は、
業務の具体的遂行方法を大幅に
労働者の裁量に委ねるため、
使用者の具体的な
指揮監督になじまず、通常の方法による
労働時間の
算定が適切でない場合に限
られ、少なくとも「これやっといて」というような業務にはなじみません。そ
の他にも導入には厳しい制約があります。何かの折りに役所に入られ、否認さ
れたら膨大な人件費負担となります。拙速は禁物です。
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◆事例:勝手にやられた残業
自分の判断で勝手に残業してしまう従業員が多く困っています。かといって
完全に禁止すると業務に支障が生じる恐れもあり、見て見ぬふりをしています。
この場合でも残業代の支払いは必要でしょうか。
◇回答----------------------------------------------------------------
従業員が勝手に残業したとしても、それを黙認すれば事実上残業を命じたこ
とと見なされます。当然、残業代の支払も必要となります。不要不急の残業で
あれば直ちに中止を命じて下さい。
■解説----------------------------------------------------------------
残業代の不払いについては各種報道で伝えられるとおり、場合によっては経
営者の逮捕にまで至ることがあります。監督署も特にこの問題に注力していま
すので、十分な対策をとっておくことが必要です。
本来、基準法でいう残業は使用者が命ずることになっています。会社が命じ
たものであれば割増賃金を支払うのは当然です。
しかし残業は業務内容や時期によって本人の判断で自発的に行われることも
多くあります。もちろんこの残業を会社が承認することもできますが、全ての
残業を認めていたら人件費がいくらあっても足りませんし、仕事がルーズにな
ってしまいます。
このような自発的残業について、会社が残業として認めたくない場合は、即
刻残業を中止させなければなりません。一般的には上司が口頭で中止を命ずる
こととなります。当然、業務命令です。また、制度上では事前承認制を採用す
ることも必要です。例外を認めると後々運用が困難になりますので要注意です。
なお事例のように、会社が自発的残業の存在を知りながら注意もせず放置し
ていた場合、これを容認したとされ、残業手当の支払義務が生じることとなり
ます。
これと逆に、会社が自発的残業の存在を知らなかったような場合でも、「使
用者の具体的に指示した仕事が、客観的にみて正規の勤務時間内ではなされ得
ないと認められる場合の如く、超過勤務の黙示の指示によって法定労働時間を
超えて勤務した場合には、使用者は労働基準法第37条に規定する割増賃金を支
払わなければならない」(S25.9.14基収第2983号)とされています。
要するに、残業しなければできないような仕事を与えた場合、その残業代は
支払えということです。
蛇足ながら、残業代を支払わないで済む「裁量労働制」の導入を考える方も
多いようですが(この提案をするコンサルも実に多い)、この制度の対象は、
業務の具体的遂行方法を大幅に労働者の裁量に委ねるため、使用者の具体的な
指揮監督になじまず、通常の方法による労働時間の算定が適切でない場合に限
られ、少なくとも「これやっといて」というような業務にはなじみません。そ
の他にも導入には厳しい制約があります。何かの折りに役所に入られ、否認さ
れたら膨大な人件費負担となります。拙速は禁物です。
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