相談の広場
社員との金銭貸借について。
以前、社員へ五十万円貸した事があります。その際、「利息の代わりにその社員の休日を毎週一日、向こう二ヶ月間(実際は金を貸す者の強みでその後一ヶ月半延長させたのですが・・)ただ働きする。(朝から夕方のチャーターの仕事)」、「返済は給料天引きということで」。双方納得の上での貸借関係になりました。
この方法だと、貸し倒れの心配が無く、お互いの利益にもなると思うのですが、法律的にはどうなのでしょう。
宜しくお願い致します。
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労働基準法第17条では、
使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない。
としています。つまり、労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺することを認めてしまうと、不当に労働者の身分を拘束することになりかねなません。
このような不当な身分拘束を防止するため前借金と賃金の相殺を禁止してるのです。
ただし、労働者が自己の意思によって自主的に相殺することは禁止されていません。
労働者の身分的拘束の手段にならないこと等が明白な場合、「前借金その他労働することを条件とする前貸の債権」には当たらず、同条違反とはならないこともあります。
労働者の自己の意思による場合であれば、労働者の不利益となる危険が少なく、労働者にとっても会社にとっても事務処理上便宜的だからと考えられるようです。しかし、ここでいう自己の意思による場合とは、単なる同意や合意ではなく、より積極的な労働者の意思表示です。
ご質問では、たとえ双方納得の上でも、
>ただ働き
>給料天引き
からして「前借金その他労働することを条件とする前貸の債権」を賃金相殺する行為そのもので、法に抵触し、問題あり、と考えます。
原則として、使用者が一方的に給料から天引きすることはできませんが、書面による労使協定がある場合には、その協定に従う限り、給料からの天引きが認められます。
給料その他の賃金は、労働者にその全額を支払うことが必要です。
ただし、使用者は、事業場の労働者の過半数を代表する労働組合との間で労使協定(賃金控除協定)を締結した場合には、その協定に従う限り、賃金の一部を天引き(控除)することができます。
労使協定は、労働者の過半数を代表する労働組合がない事業場においては、当該事業場の労働者の過半数を代表する者との間で締結します。
判例によると、ここでいう「天引き」には、使用者からの一方的な相殺が含まれます。
使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸しの債権については、賃金と相殺することができません。
違反した場合は、6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられます。
もっとも、労働者の求めに応じて当座の生活費を前貸しした場合など、使用者による労働の強制や不当な身分的拘束の手段でないことが明白な場合は、労使協定に基づく賃金との相殺が認められます。
ただし、労使協定に基づく場合でも、給料の額の4分の1を超える部分は、相殺することができません。
社員への多額の貸し付け、回収が適切に行えないとすれば、弁護士、司法書士、社労士ご専門家の方々とご相談されることが必要でしょう。
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