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国民健康保険加入者の高齢者比率が4割に~急がれる医療保険改革

昨日の日経新聞に、国保の加入者に占める高齢者(65歳~74歳)の比率が、2020年度には4割に迫るという厚生労働省の見通しが掲載されていました。
(75歳以上は、後期高齢者医療保険に移りますから、この中には入りません)。

2009年度は31%ですから、約10年で10%近く上昇するということになります。

震災復興が現下の最大の問題であることは言うまでもありませんが、医療保険の財政の問題も、待ったなしです。

「無駄遣いを減らせば何とかなるさ」なんて、どこかのマニフェストみたいなことを言う人は、もういないでしょうし。

健康保険には、企業などに雇用されている人を被保険者とする健康保険(被用者保険)と、自営業者などを被保険者とする国民健康保険があります。
被用者保険には、企業が単独または複数で設立する健康保険組合が保険者となる「組合健保」と、全国健康保険協会という公法人被保険者となる「協会けんぽ」があります。

組合健保の被保険者は大企業に勤める人が中心、協会けんぽ被保険者は中小・零細企業が中心となります。
一方、国民健康保険は市区町村が保険者となります。

このうち、財政状況が深刻なのが国民健康保険です。

さきほど、国保の被保険者は自営業者と書きましたが、実はそれだけではありません。
企業を定年退職した人、それ以外の理由で退職・解雇となり、職を得ていない人や、被用者保険に入る資格を満たしていない短時間労働者・季節労働者といった人が、国民健康保険に流れ込んでくるのです。つまり、国民健康保険被保険者の多くは、高齢者などの低所得者なのです。

医療保険の特徴は、保険給付と保険料が無関係ということです。保険料は、本人の収入におおむね比例しますが、保険給付は収入とは無関係に受けられます。同じ病気で医者にかかっても、保険料を多く支払っている人の方がいい治療を受けられるということはありませんし、窓口負担も、医療費の3割で変わりはありません。窓口負担が異なるのは、高齢者、障害者などの場合だけです。

これが、社会保険の所得再分配機能と言われるものです。

このことは、社会保障制度としての医療保険制度の機能ということを考えれば妥当性のある話なのですが、保険財政のことを考えた場合、大きな問題を引き起こします。

前述の通り、国民健康保険被保険者は低所得者が多いため、保険料収入も少ないわけです。しかし、医療費がその分少なくなるわけではありません。
むしろ、国民健康保険は高齢者が多いため、病院にかかる人も多いため、当然、保険財政は苦しくなります。

そのため、保険料だけでは保険給付などの支出を賄うことは到底できず、巨額の公費負担が発生しており、平成19年度では、国と都道府県の支出金が4.2兆円にのぼっています。それでも、平成19年度の国民健康保険の単年度収支は1290億円の赤字となっています。(厚生労働省「平成20年度国民健康保険の財政状況について」。

こうした状況から、昨年、医療保険改正が行われましたが、抜本的な対策とは言えません。

少子高齢化がますます進む中、今後の医療保険をどうしていくのか、真剣な議論が必要です。


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