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賞与は支給日在籍者のみに支給する旨の規定は有効か?

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 経営・労務管理ビジネス用語の
   あれっ! これ、どうだった?!

  第41回  賞与は支給日在籍者のみに
            支給する旨の規定は有効か?

<第56号>      平成23年4月4日(月)
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発行人のプロフィル⇒ http://www.ho-wiki06.com
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こんにちは! 
メルマガ初訪問の皆さま、ありがとうございます。

1週間のご無沙汰でした。
亥年のアラ還、小野寺です。

日本経団連が大手企業(165社)の平成22年冬季賞与・一時金の
平均妥結額が77万4654円(前年同期比2.52%増)と
3年ぶりの増加となったと発表した。

ただし、全企業の97%を占めるとされている中小企業の
実態は不明ですが、どうなのでしょうか。

今回は賞与に関する相談について考えてみます。

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◆◆ 賞与の位置づけとその性格的側面 ◆◆

○ 賞与は、毎月決まって支給される賃金とは別に、
通常、年2回特別給与として支給され、
ボーナス、一時金などとも呼ばれています。

また、労基法上の取扱いは「定期又は臨時に、原則として
労働者の勤務成績に応じて支給されるものであって、

その支給額があらかじめ確定されていないものをいうこと。」
(昭22.9.13発基第17号)とされています。

○ さらに賞与の性格について、裁判では次のように
判示しています。(「梶鋳造所事件」昭55.10.8名古屋地裁)

賞与勤務時間で把握される勤務に対する直接的な
対価ではなく、従業員が一定期間勤務したことに対して

その勤務成績に応じて支給される本来の給与とは別の
包括的対価であって、一般にその金額はあらかじめ確定して
いないものである。

したがって、・・・契約によって賞与を支払わないものもあれば
一定条件のもとで支払う旨定めるものもあって、

賞与を支給するか否か、支給するとしていかなる条件のもとで
支払うかは、すべて当事者間の特別の約定(ないし就業規則等)
によって定まるというべきである。」と。

つまり賞与は、毎月決まって支払われる賃金とは異なり、
必ず支給しなければならないものではなく、

その支給基準、支給対象者、支給額、支給日などは
原則として労使間の特別な約定(労働協約等)ないし
就業規則等で自由に決めることができるものです。

従って、会社の業績や労働者の勤務成績(人事考課等)が
一定の水準に達しない場合には、賞与を支給しない旨を
定めることも自由とされています。

◆◆ 支給日現在在籍者にのみ賞与支給は有効か ◆◆

○ 通常、年2回の賞与は6月と12月に支給されることが
多いようです。

その場合、具体的な支給日を例えば、夏季賞与の支給日を
6月10日とした場合、

支給日の6月10日に在籍していない者には支給しないとの
規定があったとすると、その規定は有効なのでしょうか。

一般に6月賞与の支給基準(算定対象期間)は通常、
12月~5月の勤務評定に基づき決定されるものであり、
5月末退職者は支給基準を満たしていると考えられるからです。

○ この点について裁判例では次のように判示しています。
(「大和銀行事件」昭57.10.7最高裁第一小法廷)

「銀行においては、本件就業規則32条の改訂前から年2回の
決算期の中間時点を支給日と定めて当該支給日に

在籍している者に対してのみ・・・賞与が支給されるという
慣行が存在し、右規則32条の改訂は・・・右慣行を
明文化したにとどまるものであって、

その内容においても合理性を有するというのであり・・・・
退職した後である日を支給日とする各賞与については

受給権を有しないとした原審(筆者注:高裁判決)の判断は
正当として是認することができる。」と。

つまり、従来より労使の話し合いにより、
支給日現在の在籍者のみに支給するという慣行が定着している
場合は有効であるとの判断を示したものです。

○ このような賞与の支給日在籍要件を不合理なものと
することは出来ないとして、その有効性を認める判例は、
最近に至るまで数多くあるようです。

しかもこの判断基準は、自己都合退職はもとより、
定年退職者や解雇者についても正当としています。

ただし、学説の中には、
自発的退職者の事案で適法としているのは是認できるが

退職日を自ら選択できない定年退職者についても
適法とすることは、賞与賃金としての性格から
疑問が多いとしています(菅野和夫著『労働法』第8版P216)。

○ ちなみに、国家公務員について「一般職の職員の給与に
関する法律」第19条の3には、一般職職員の期末手当について
次の規定が置かれています。

「期末手当は、3月1日、6月1日及び12月1日(・・基準日)に
それぞれ在職する職員に対して・・・支給する。これらの基準日前
1箇月以内に退職し、又は死亡した職員・・についても同様とする」と。

一般に、定年退職者はその会社に40年前後奉職し、
会社の発展のために必死に働いた方が多いと思います。

従って、せめて国家公務員一般職の方と同じく
支給日前1か月以内の定年退職の場合は、支給対象に加えても
良いものと思料しますが、いかがでしょうか。

○ なお、支給在籍要件でいう支給日とは、
賞与支給が予定されている日のことであり、

実際の賞与支給が予定された日から遅れて行われた場合、
支給予定日に在籍していた従業員がその後に退職したとしても

その賞与を受ける権利があると解されています。
(「須賀工業事件」平12.2.14東京地裁判決)

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■■ 編集後記 ■■
きょうも最後までお読みいただきありがとうございます。

東日本大震災の復興の絵柄がまだまだ見えません。

それより何よりも、行方不明者の一日も早い確認こそ
重要と思います。全国の身内、親戚、友人等は落ち着かない
日々を送っていることと思います。

ところで、想定を大幅に上回る津波に襲われた東京電力第一
原発について、津波の専門家が2009年に今回の大被害を
予想していたといいます。

指摘したのは、産業技術総合研究所の岡村行信・活断層研究
センター長です。

岡村さんは史料に津波被害の記録が残っている貞観地震(西暦
869年、マグニチュード8.4と推定)について研究した結果、

2009年6月に開かれた経済産業省の審議会で、福島原発に
ついて、「津波に関しては東電の想定と比べものにならない非常に
でかいものがくる」と指摘していたという。また、「(東電がこの
点について)まったく触れられていないのはおかしい」と再検討も
求めていたが、

東電側は「被害がそれほど見当たらない。歴史上の地震であり
研究では課題として捉えるべきだが、設計上考慮する地震に
ならない」と消極的な姿勢を示したといいます。

小事が大事といい、アリの一穴ともいいますが、真の指導者とは、
常に最悪の状況を想定して、現在の最善を尽くすものと言われます。

東電側の経営陣に、こういう姿勢の方がいないのは残念なことです。

確かに、原発は人類に多大な恩恵をもたらすが、反面、扱い方に
よっては非常に恐ろしいものにもなります。今が、まさに
その事態です。

一日も早く、国民が安心できる状況の構築を願ってやみません。

では、また次号でお会いしましょう。
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