平成23年5月15日 第92号
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人事のブレーン社会保険労務士レポート
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目次
1.私傷病による復職について
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東北関東大震災で無くなられた方に対し心より哀悼の誠を捧げると共に、被災
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1.私傷病による復職について
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1.休職とは
休職とは私傷病により一定期間労務の提供が出来ない労働者に対して、労務の
提供を免除して、退職を猶予する制度です。
一定期間治療に専念すれば治癒することが明らかな労働者を、私傷病により労
務の提供が出来ないということをもって解雇することは酷であり、会社が恩恵
的に休職期間を設けて退職を猶予しているのです。
2.復職とは
一定期間退職を猶予されている期間内に治癒して、従前の業務に従事できるよ
うになれば復職です。
従前の業務とは、労働契約で取り決められた業務と考えて下さい。
正社員であれば正社員の業務であり、正社員でゼネラリストであればゼネラリ
ストの配属される可能性のある業務です。
スペシャリストであれば、その特定の業務と原則的に考えます。
たまたま休職期間に入る前に現場監督であり、復職については事務職は可能で
あるというケースで裁判所は、ゼネラリストとして採用されたのであれば、た
またま私傷病になったときの業務ではなく、ゼネラリストとして配属可能と思
われる業務に復職させるようにという判断をしました。(片山組事件)。
3.治癒とは
復職の条件は治癒です。
従前の業務に従事可能な程度の回復がなされているかがポイントです。
回復がなされていなければ、休職期間満了をもって退職となります。
では回復が80%であった場合にはどの様に考えればよいのでしょうか。
4.不完全な回復の状態で労務提供をさせるべきか
答えは否です。
80%しか回復していない場合には、復職させる必要はありません。
あくまで労働契約に定めている労務の提供が出来るかどうかなのです。
しかしこれは原則です。
例えば100%回復しているが、再発防止のために80%から業務に従事する
ということや、短期間のリハビリ勤務により100%の回復が可能であれば復
職をさせなければならないと裁判所が判断する場合があります。
しかし、完全な回復がなされていない状態で労働者を復職させれば、その労働
者の私傷病を悪化させない安全配慮義務を使用者は負うことになります。
5.治ったかの証明は労働者の責任
この様に復職にあたりどの程度回復したのかを検討する必要があります。
使用者が、主治医と面会したり、産業医に労働者を診察させたりすることは問
題ありません。
むしろ使用者に課されている安全配慮義務や労働者の職場復帰に向けて、積極
的に医師と面談すべきです。
どの程度回復していて、通常の業務は出来るのかどうか。
仮に出来ないのであれば、リハビリ勤務で回復できる見込みはあるのかどうか。
ここをしっかりと把握する責任は使用者にあります。
中途半端な回復で復職させて、結果として私傷病を悪化させた場合には安全配
慮義務違反に使用者は問われるからです。
では、労働者が主治医に面会させてくれない場合や産業医の診察を拒否した場
合はどうすればいいのでしょうか。
これは復職させる必要はありません。
使用者は労働者に対し安全配慮義務責任を負っています。
そして、私傷病とは労働者の都合により労務の提供がなされていない状態です。
退職を猶予しているにすぎません。
治癒したかどうかの証明責任は労働者にあります。
主治医との面談や産業医の診察を拒否したら、拒否する理由があるはずです。
それによって復職可能と会社が判断できないことはやむを得ないことなのです。
6.まとめ
復職は慎重に判断すべきです。
医師の判断を必ず仰ぐべきであるとも考えます。
そして労働者としっかりとコミュニケーションをして、復職の判断の根拠を説
明し、復職できないのであれば、しっかりと納得してもらう努力は必要です。
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