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労働組合法上の「使用者」

■Vol.250(通算489)/2012-7-16号:毎週月曜日配信           
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■■■知って得する! 1分間で読める~税務・労務・法務の知恵袋
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■■■     【労働組合法上の「使用者」】
□□■                 週刊(毎週月曜日発行)
■■■                 http://www.c3-c.jp
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         労働組合法上の「使用者
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労働組合法7条は、
使用者は次の各号に掲げる行為をしてはならない。」

として、次のような行為を禁止しています。これを不当労働行為
いいます。

(1)不利益取扱い

 (a)正当な組合活動を理由とする不利益取扱い(1号)

 (b)黄犬契約
   (労働組合への不加入・脱退を雇用条件とする労働契約)(1号)

 (c)報復的不利益取扱い(4号)

(2)団体交渉拒否(2号)

(3)支配介入(3号)・経費援助(3号)

そして、もし「使用者」が禁止されている不当労働行為を行った
場合には、労働委員会に対して救済の申立をすることができます。
(27条)
しかし、労働組合法は、この「使用者」が何を意味するか定義して
くれていませんので、解釈するしかありません。


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● 労働契約上の雇用
=============================================================

個人企業における個人事業主法人企業における法人など労働契約
上の雇用主(労働契約の当事者である使用者)が労働組合法上の
使用者」に当たることは間違いありません。


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● 労働組合法7条の趣旨に照らした拡張
=============================================================

最高裁判決は、労働契約の一方当事者である雇用主であるかどうか
を中心的な基準としつつも、労働契約上の雇用主に限定されるべき
ものではなく、不当労働行為制度の趣旨・目的に照らして実質的に
判断されるべきものとして拡張を認めてきました。

【1】下請業者から派遣された社外工とその受入会社の関係
   :油研工業事件(最高裁s51.5.6判決)

   油圧器の製造販売を目的とする会社が、油圧装置の設計図
   作成させるため、社外の設計請負業者から長期にわたりその
   従業員の派遣を受け、これをいわゆる社外工として会社の
   作業場内で就労させている場合において、右請負業者が
   実質的に社外工の単なるグループにすぎないものであって
   独立の使用者としての実体を有せず、各社外工はそれぞれ
   個人の技能、信用によって会社に受け入られているもので
   あり、その勤務及び作業に関して専ら会社が自己の従業員
   同様に指揮監督を行い、また、社外工の賃金額についても
   会社が実質的にこれを決定しているなどの事実関係があった
   事例。

このような事実関係のもとにおいては、たとえ下請業者から派遣
された社外工らに受入会社の就業規則が適用されていなくても、
両者の間には労働組合法の適用を受けるべき雇用関係が成立して
いたものとして、受入会社は社外工らとの関係において労組法7条
にいう使用者にあたると解するのが相当である。

【2】キャバレーで演奏する楽団の楽団員とキャバレーを経営する
   会社の関係
   :阪神観光事件(最高裁s62.2.26判決)

   飲食店営業を目的とする会社が、その経営するキャバレーに
   おいてバンドマスターと数人の楽団員で構成される楽団に
   長期間継続してダンス音楽等の演奏を行なわせている場合
   において、バンドマスターも含め右楽団の楽団員が年間を
   通じキャバレーに必要な楽団演奏者としてその営業組織に
   組み入れられ、キャバレーの営業に合わせ、会社の指定
   する時間にその包括的に指示する方法に従って演奏を行い、
   会社からバンドマスターに一括して支払われる演奏料は、
   各楽団員の楽団演奏という労務提供の対価とみられるなどの
   事実関係があった事例。

これらの諸点に照らせば、楽団員は対価を得てその演奏労働力を
会社の処分にゆだね、会社は演奏労働力に対する一般的な指揮命令の
権限を有していたものというべきである。そうすると、会社は、
楽団員に対する関係において労働組合法7条にいう使用者に当たると
解するのが相当である。

【3】下請会社から派遣された従業員と派遣を受けている
   事業主会社の関係
   :朝日放送事件(最高裁h7.2.28判決)

   事業主が雇用主との間の請負契約により派遣を受けている
   労働者をその業務に従事させている場合において、労働者
   従事すべき業務の全般につき、作業日時、作業時間、作業場所、
   作業内容等その細部に至るまで事業主が自ら決定し、労働者
   事業主の従業員と共に作業に従事し、その作業の進行がすべて
   事業主の指揮監督の下に置かれているなどの事実見解があった
   事例。

労組法7条にいう「使用者」の意義については、一般に使用者とは
労働契約上の雇用主をいうものであるが、同条が団結権の侵害に当たる
一定の行為を不当労働行為として排除、是正して正常な労使関係を
回復することを目的としていることにかんがみると、雇用主以外の
事業主であっても、雇用主から労働者の派遣を受けて自己の業務に
従事させ、その労働者の基本的な労働条件等について、雇用主と
部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定
することができる地位にある場合には、その限りにおいて、
右事業主は同条の「使用者」に当たると解するのが相当である。


     (弁護士 緒方義行  http://www、fuso-godo、jp/)




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