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残業禁止命令中の残業

みなさん、こんにちは!
栄光の人生を歩んでいたスーパーエリートたちが、破廉恥行為により、折角登りつめた人生のテッペンから
転がり落ちて行くような事件が、最近相次いで報じられています。
これら事件のように、チョッとした「心の隙」から「人生の落し穴」に自ら飛込んでしまう人がいます。
でも、私たちだって何時そんな落し穴に嵌まってしまうかは分かりません。今まで何とか無事に過ごせて来られたのは、
たまたま運が良かっただけで、これから先も落ちずに済むかどうかは、実は紙一重の差なのかもしれません。

 聖人君子ではない私たちが転落人生と無縁であるはずはないのかもしれません。
だから、「人は誰しもその人生の行く手には、明日か来月かそれとも来年かに落ちてしまうかもしれない落し穴が
待っている」と喝破する先達もいます。

「好事魔多し」とも言います。
これは、順風満帆なときこそ人生の落し穴に落ちてしまうことが多いことへの警句です。人は順調なときは、
これからも順調に行くだろうと思い込みがちです。だから、「順調なときこそ落し穴には注意すべき」という
古くからの教えなのでしょう。
そう考えると人生というのは実に恐ろしいもので、蜘蛛の糸一本でかろうじて吊り下がっているのかもしれません。

退職したら“カミさんとゆっくり旅行にでも行って、夫婦水入らずの時間を過ごそう”、そうすれば、
“カミサンはきっと喜ぶはずだ”とサラリーマン時代と同じように「奥さんは、自分と一緒の生活をしたいはずだ」
と勝手に思い込んでいる人は、ある日突然、奥さんからの手痛いシッペ返しを受けて、“なんで?どうして?”と
慌ててしまうかもしれません。
「人生の落し穴」は、いつ口を開けて待っているか分らないのです。
だから結局、
「人生は、棺に蓋をするまでは油断してならない」ということなのでしょう。

もっとも、ついに花を満開に咲かせることもなく、もうじき半開きのままひっそりと散らして行く私の場合は、
人生の高みなどには登ったこともなく、地べたをジックリと睨みながら淡々と歩いてきただけに、行く手に潜む
落し穴はすぐに目に入ります(いや、目に入るはずです)。
だから、「落し穴に落ちることはない・・・」と固く信じています!

“落ちるはずがない?・・、ウーン、まぁ、きっと落ちないでしょう・・・”


さて、
前回の「嘱託社員への退職金不支給」についての話、如何でしたでしょうか。
今回は、「残業禁止命令中の残業」についての話をします。

──────────◆ 目 次 ◆──────────────
○ 「残業禁止命令中の残業」
───────────────────────────────
会社が残業を禁止しているにも拘らず、社員が残業した場合、会社は残業代を支払う必要
があるのでしょうか?実務ではよく問題になりますね。
これについては、平成17年3月30日に東京高裁で下された労働時間に関する判決
(神代学園ほか事件)が、なかなか興味深い内容を含んでいます。
そのポイントは、以下の通りです。
 この判決にはいくつかの論点があるのですが、その中から「残業禁止命令に違反して
行われた残業に対する割増賃金支払義務の有無」という点を見ることとします。
この事案では、労働組合と会社の間で36協定締結に関する交渉がまとまらない状態において、
会社が従業員に対し、
(1)朝礼等の機会および役職者を通じて繰り 返し、36協定が締結されるまでの残業禁止と
   いう業務命令を出した上で、
(2)残務がある場合には役職者に引き継ぐことを命じ、徹底していました。
このような状況下において、業務命令に反して行われた残業について、労働者側が割増賃金
支払いを要求していたのですが、東京高裁は以下のように判事し、その請求を棄却しました。
-------------------------------------------------------------------------------------
賃金(割増賃金を含む。以下同じ)は労働の対償であるから、賃金が労働した時間によって
算定される場合に、その算定の対象となる労働時間とは労働者使用者の指揮命令下にある時間、
または使用者の明示または黙示の指示により業務に従事する時間であると解すべきものである。
従って、使用者の明示の残業禁止の業務命令に反して労働者が時間外または深夜にわたり業務を
行ったとしても(中略)賃金算定の対象となる労働時間と解することはできない」
---------------------------------------------------------------------------------------
特 に今回の事件では36協定未締結という状況であり、この残業禁止命令は労働者時間外労働
させない法的義務を履行するためのものであったこと、そして残務がある場合には役職者に
引き継ぐという実務的な対応まで命令し、徹底していたことが決め手になったと考えられます。
だから、ある意味では、本件は特殊な要素があることは否めませんが、“労働時間の大原則は
使用者からの業務命令に基づくものであるということ”を確認している点は実務を行う上においても、
重要なポイントとなるでしょう。

改めて、御社においても、時間外労働および休日労働を行う際の申請および許可プロセスについて、
問題がないかを再確認することをお勧めします。

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