■Vol.289(通算528)/2013-4-22号:毎週月曜日配信
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労務・法務の知恵袋
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■■■ 【 定額残業料制度(判例) 】
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定額残業料制度(判例)
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時間外
割増賃金等を固定ないし定額で支払う定額残業料制度につい
ては2年余り前に取り上げましたが、今回は、昨年3月に出た最高
裁判所の判例を取り上げます。
=============================================================
■ 事案
=============================================================
次の場合に、Xは、月間180時間以内の
労働時間中の
時間外労働
についての時間外手当をYに請求することができるか。
1.Xは、人材派遣を業とするYに
雇用されて派遣
労働者として
就労していた
2.XY 間で締結された
雇用契約の内容は以下のようなものであった
(1)
基本給を月額41万円。
月間
総労働時間が180時間を超えた場合、その超えた時間に
つき1時間当たり2560 円を支払う。
(2)月間総労働時聞が140時間に満たない場合、その満たない
時間につき1時間当たり2920 円を控除する。
(3)X は、
雇用期間中、1週間当たり40時間を超える労働又は
1
日当たり8時間を超える労働をしたが、そのほとんどの月に
おいて月間総労働時聞は180時間以下に収まっていた。
=============================================================
■
最高裁判所の結論
=============================================================
本件
雇用契約の下において、月間180時間以内の
労働時間中の
時間外労働についても、本件
雇用契約に基づく
基本給とは別に、
割増賃金を支払う義務を負う。
=============================================================
■
最高裁判所の示した理由
=============================================================
1.約定によれば、月間180時間以内の
労働時間中の
時間外労働
がされても、
基本給自体の金額が増額されることはない。
また、
基本給の一部が他の部分と区別されて時間外の
割増賃金と
されていたなどの事情はうかがわれない上、
割増賃金の対象と
なる
時間外労働の時間は月によって相当大きく変動し得るもので
あって、通常の
労働時間の
賃金に当たる部分と時間外の
割増賃金
に当たる部分とを判別することはできない。これらによれば、
基本給の支払によって、月間180時間以内の
労働時間中の時間
外労働について
割増賃金が支払われたとすることはできない。
(最判平成6年6月13日参照)
2.
労働者による
賃金債権の放棄がされたというためには、その旨の
意思表示があり、それが当該
労働者の自由な意思に基づくもので
あることが明確でなければならないところ (最判昭和48年1月19日)、
Xが時間外手当の請求権を放棄する旨の
意思表示をしたことを
示す事情の存在はうかがわれないことに加え、Xの毎月の時間外
労働時聞は相当大きく変動し得るのであり、Xがその時間数を
あらかじめ予測することが容易ではないことからすれば、Xの
自由な意思に基づく時間外手当の請求権を放棄する旨の意思
表示があったとはいえない。
=============================================================
■ 有効な定額残業料制度の定め方(参考)
=============================================================
次のような定額残業料の定め方をして、その金額的内訳を明らかに
して支給していた場合には、定額残業料の支払として有効になると
考えられます。
各月について、
時間外労働に対応する
割増賃金が
固定残業代を上回って
いるか否か、いくら上回っているかを容易に判断することができる
からです。
1.
基本給を月額41万円。
1か月の
所定労働時間は140時間とし、
基本給月額のうち固定
残業代10万8020円は1か月40時間の
時間外労働に対する
割増賃金とする。
2.
割増賃金の基礎となる
賃金は
基本給月額から上記
固定残業代を
差し引いた本来の
基本給額を1か月の所定労時間数で割った
もの(2157円)とする。
(弁護士 緒方義行
http://www.fuso-godo.jp/)
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転載を希望される場合は発行者の承諾を得てください。
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■ 事案
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次の場合に、Xは、月間180時間以内の労働時間中の時間外労働
についての時間外手当をYに請求することができるか。
1.Xは、人材派遣を業とするYに雇用されて派遣労働者として
就労していた
2.XY 間で締結された雇用契約の内容は以下のようなものであった
(1)基本給を月額41万円。
月間総労働時間が180時間を超えた場合、その超えた時間に
つき1時間当たり2560 円を支払う。
(2)月間総労働時聞が140時間に満たない場合、その満たない
時間につき1時間当たり2920 円を控除する。
(3)X は、雇用期間中、1週間当たり40時間を超える労働又は
1日当たり8時間を超える労働をしたが、そのほとんどの月に
おいて月間総労働時聞は180時間以下に収まっていた。
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■ 最高裁判所の結論
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本件雇用契約の下において、月間180時間以内の労働時間中の
時間外労働についても、本件雇用契約に基づく基本給とは別に、
割増賃金を支払う義務を負う。
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■ 最高裁判所の示した理由
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1.約定によれば、月間180時間以内の労働時間中の時間外労働
がされても、基本給自体の金額が増額されることはない。
また、基本給の一部が他の部分と区別されて時間外の割増賃金と
されていたなどの事情はうかがわれない上、割増賃金の対象と
なる時間外労働の時間は月によって相当大きく変動し得るもので
あって、通常の労働時間の賃金に当たる部分と時間外の割増賃金
に当たる部分とを判別することはできない。これらによれば、
基本給の支払によって、月間180時間以内の労働時間中の時間
外労働について割増賃金が支払われたとすることはできない。
(最判平成6年6月13日参照)
2.労働者による賃金債権の放棄がされたというためには、その旨の
意思表示があり、それが当該労働者の自由な意思に基づくもので
あることが明確でなければならないところ (最判昭和48年1月19日)、
Xが時間外手当の請求権を放棄する旨の意思表示をしたことを
示す事情の存在はうかがわれないことに加え、Xの毎月の時間外
労働時聞は相当大きく変動し得るのであり、Xがその時間数を
あらかじめ予測することが容易ではないことからすれば、Xの
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次のような定額残業料の定め方をして、その金額的内訳を明らかに
して支給していた場合には、定額残業料の支払として有効になると
考えられます。
各月について、時間外労働に対応する割増賃金が固定残業代を上回って
いるか否か、いくら上回っているかを容易に判断することができる
からです。
1.基本給を月額41万円。
1か月の所定労働時間は140時間とし、基本給月額のうち固定
残業代10万8020円は1か月40時間の時間外労働に対する
割増賃金とする。
2.割増賃金の基礎となる賃金は基本給月額から上記固定残業代を
差し引いた本来の基本給額を1か月の所定労時間数で割った
もの(2157円)とする。
(弁護士 緒方義行
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