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健康情報を管理する産業保健業務従事者について

 こんにちは、産業医・労働衛生コンサルタントの朝長健太です。
 産業医として化学工場、営業事務所、IT企業、電力会社、小売企業等で勤務し、厚生労働省において労働行政に携わり、臨床医として治療を行った複数の健康管理の視点で情報発信をしております。多くの企業様に労働衛生法、従業員の健康、会社の利益を守るお手伝いが出来ればと、新ブランド産業医EX(エキスパート)を立ち上げさせて頂きました。
https://www.sangyouiexpert.com/
 さらに、文末のように令和元日(5月1日)に、「令和の働き方 部下がいる全ての人のための 働き方改革を資産形成につなげる方法」を出版し、今まで高価であった産業医が持つ情報を、お手頃な価格にすることができました。
 今回は、「健康情報を管理する産業保健業務従事者について」について作成しました。
 労働衛生の取組を行うことで、従業員に培われる「技術」「経験」「人間関係」等の財産を、企業が安定して享受するためにご活用ください。
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健康情報を管理する産業保健業務従事者について
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 雇用管理をするにあたり、様々な個人情報を取り扱う中で、健康管理情報は特に注意する必要があります。個人情報保護法(以下「保護法」という。)に基づいて、厚生労働省より平成16年10月29日付け基発第1029009号「雇用管理に関する個人情報保護のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項について」(以下「留意通達」という。)が発出されていますが、その中で、健康情報を管理する「産業保健業務従事者」が定義されています。今回は、「保護法に規定される健康情報の利用」及び「留意通達のうち、産業保健業務従事者が係る業務」について整理します。

○保護法に規定される健康情報の利用について
 保護法第17条第2項に、本人の同意を得ないで、健康情報を含む要配慮個人情報を取得してはならない旨が定められています。しかし、業務の実効性を考慮に入れて、法令に基づく場合や生命等の保護のために必要であって、本人の同意を得ることが困難な場合は、同意を取得する必要がないとされています。
 従って、雇用管理分野における健康情報の取扱いについては、原則、労働安全衛生法令等の法令を遵守する際に限って、同意を得ることなく個人情報を取得しても良いことになっており、留意通達第3の2の(1)にも、「事業者は、法令に基づく場合を除き、労働者の健康情報を取得する場合は、あらかじめ本人の同意を得なければならない。」と示されています。
 健康情報の利用をする際は、どの法令に係る業務であるかを逐次整理する必要があるでしょう。
 なお、「生命等の保護のために必要であって、本人の同意を得ることが困難な場合」については、重篤な疾病により意識消失した時等を想定しております。事業者は、原則、医療の専門家ではないため、現実的には医師や消防署の救急隊等の意見を聴き判断することになると思います。

○産業保健業務従事者の定義
 留意通達第2の(1)に、産業保健業務従事者は、産業医、保健師、衛生管理者その他の労働者の健康管理に関する業務に従事する者と定義されています。
 健康情報の取り扱いは、医師や保健師等の法律において、業務上知り得た人の秘密について守秘義務規定が設けられている医療職種が行うべきですが、事業所の膨大な情報を医療職種だけで処理することは現実的に困難なことから、衛生管理者やその他の労働者の健康管理に関する業務に従事する者も含まれています。
 事業者によっては、医療職種と人事等に分けて健康情報を取り扱わせている場合がありますが、その場合、細かい整理が求められることになります。業務の効率化のためにも、留意通達に基づき、産業保健業務従事者と人事権を持つ人事等に分けて整理すると良いでしょう。
 また、留意通達第3の1の(2)において、「健康情報は、労働者の健康確保に必要な範囲で利用されるべきものであり、事業者は、労働者の健康確保に必要な範囲を超えてこれらの健康情報を取り扱ってはならない。」とされていることから、事業者は、「その他の労働者の健康管理に関する業務に従事する者」の定義を明確にしておくことが良いでしょう。

○留意通達のうち、産業保健業務従事者が係る業務について
 留意通達のうち、産業保健業務従事者に関する業務について、以下の様に概要を示します。
 なお、「保護法に規定される健康情報の利用について」に示しましたように、産業保健業務従事者であっても、本人の同意を得ないで健康情報を取得できるのは、法令に基づく場合に限ります。
 正確な文章は、URLの留意通達本文をご確認下さい。
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12600000-Seisakutoukatsukan/0000167762.pdf
・留意通達第3の3の(1)
 事業者は、健康情報のうち産業医等により加工されていない健康情報の取扱いについては、産業保健業務従事者に行わせることが望ましい。
・留意通達第3の3の(2)
 事業者は、産業保健業務従事者からそれ以外の者に健康情報を提供させる時は、産業保健業務従事者に適切に加工させる等の措置を講ずること。
・留意通達第3の7
 保護法第35条に、「個人情報の取扱いに関する苦情の適切かつ迅速な処理に努めなければならない。」とされており、この苦情を処理するための窓口については、必要に応じて産業保健業務従事者と連携を図ることができる体制を整備しておくことが望ましい。

【補足】健康情報のうち、ストレスチェック結果について
・留意通達第3の3の(4)
 ストレスチェック結果は、詳細な医学的情報を含むものではないため、事業者は、その情報を産業保健業務従事者以外の者にも取り扱わせることができるが、同意を得ていない場合には、直属の上司とった人事に直接の権限を持つ者に取り扱わせてはならない。その他の、人事を担当する者に取り扱わせる際も、健康確保に必要な範囲を超えて人事に利用されることのないように一定の周知をする必要がある。

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令和の働き方 部下がいる全ての人のための 働き方改革を資産形成につなげる方法
http://miraipub.jp/books/%E3%80%8C%E4%BB%A4%E5%92%8C%E3%80%8D%E3%81%AE%E5%83%8D%E3%81%8D%E6%96%B9-%E9%83%A8%E4%B8%8B%E3%81%8C%E3%81%84%E3%82%8B%E5%85%A8%E3%81%A6%E3%81%AE%E4%BA%BA%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE-%E5%83%8D/

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