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コンプライアンス違反の事例 日銀セクハラ事件

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 第98号 ━ 2021.1.26━

コンプライアンス専門メルマガ        -中川総合法務オフィス 発行-

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 ※本日のテーマ 【コンプライアンス違反の事例 日銀セクハラ事件】
……………………………………………………………………………………
都ホテルを舞台にした「日本銀行京都支店」でのセクシュアル・ハラスメント事件(京
都地裁平成13年3月22日)

1.【日本銀行セクシュアル・ハラスメント事件】とは

・概要 : 銀行Y1の行員であったXが、支店長であったY2からセクシュアル・ハラ
スメントを受けたために精神的に不調をきたした等と主張し、(1)Y1に対して不法行
為又は債務履行に基づく損害賠償、(2)Y2に対して不法行為に基づく損害賠償、(3)
Y1、Y2に対して謝罪文の作成、交付及び掲示を求めた。裁判の結果、(3)以外は認
められた。

・判決理由 :

「‥‥被告Y2は、原告に対し、職場における上下関係を背景に、既に本件第一セクハ
ラ行為による被害を受けており、嫌がる原告をしつこく食事などに誘い、原告をして、
これを角の立つ形で断れば、自分の労働条件ないし労働環境の悪化を心配せざるを得な
いというのっぴきならない立場に追い込み、精神的苦痛を与えたもので、典型的なセク
シャル・ハラスメントの一種というべきであって、これが原告の人格権を侵害する不法
行為に当たることは明らかである。

とりわけ、本件においては、原告は、既に本件第一セクハラ行為の被害を受けているか
ら、その後の誘いは、これに応じれば本件第一セクハラ行為と同様ないしそれ以上の被
害を受けることを想像させるものであって、その苦痛は深刻なものであったと考えられ
る。

〔中略〕本件第一セクハラ行為は、勤務時間外に、職場でなく、本件クラブで行われた
ものである。

しかしながら、‥‥

(1)被告Y2は、かねて職場内のコミュニケーションを図るためと称して女性職員と二
人だけで食事に出かけており、「A」での食事の誘いもその一環としてのものであった
と考えられること、

(2)被告Y2は、原告を「A」での食事に誘った目的は「部下との意思疎通を図ること
と、原告が書類整理で頑張ってくれたことに対する感謝の意を表すこと」であったと主
張していること、

(3)被告Y2は、勤務時間中に原告を支店長室まで呼び出して、日程を決めたこと、

(4)原告が食事の誘いに応じた理由は、所属する京都支店の最高責任者である被告Y2
に自分を理解してもらい、働きやすい環境をつくりたいと考えたためであること、

(5)本件クラブは、都ホテルにとっての重要人物しか利用できない部屋であって、被告
Y2は、被告銀行の京都支店長であるからこそこれを利用できたものであること、

(6)被告Y2は、本件クラブを、仕事上の打ち合わせや接待、京都支店の行員らとの飲
み会の二次会などに頻繁に使用していたこと

などの事実を指摘することができ、

これらの事情を総合勘案すれば、本件第一セクハラ行為は、被告Y2の京都支店長とし
ての職務と密接に関連するものと認めるのが相当であるから、これによって原告が被っ
た損害は、被告Y2が被告銀行の事業の執行につき加えた損害に当たるというべきであ
る。

‥‥本件第二セクハラ行為は、被告Y2が、勤務時間中に、京都支店内で、支店長室か
ら京都支店の内線電話や電子メールシステムを利用して行ったものであることを考慮す
ると、被告Y2の職務と密接に関連するものと認めるのが相当であるから、これによっ
て原告が被った損害は、被告Y2が被告銀行の事業の執行につき加えた損害に当たると
いうべきである。

〔中略〕本件第一セクハラ行為は、被告Y2が京都支店で最高の地位にあることを背景
にし、一従業員である原告にとってはその理不尽な要求に容易に抗い難い状況の中で行
われた卑劣なものであり、その態様も悪質であったこと、

本件第二セクハラ行為も、原告の精神状態を無視するか、若しくは全く理解せず、一か
月余にわたってしつこく行われたものであること、

これによって、原告は精神的に苦しむのみならず、身体的不調にまで陥り、挙げ句に被
告銀行の退職のやむなきにまで追い込まれ、その人生設計に大きな狂いを生じたこと、

その他本件に現れた一切の事情を総合勘案すると、

原告が被った精神的苦痛を慰謝するために金一五〇万円をもってするのが相当である。

‥‥民法七二三条は、名誉が害された場合に、裁判所が被害者の名誉を回復するための
適当な処分を命じることができる旨を定めているが、ここにいう「名誉」とは、人がそ
の人格的価値について社会から受ける客観的評価をいうと解されるところ、被告Y2の
本件各セクハラ行為によって原告の客観的評価が毀損したとは認められない。

また、原告は、謝罪文の交付及び掲示を求める根拠として人格権を主長するが、人格権
に基づいて謝罪文の交付及び掲示を求めることができるとしても、本件において、金銭
による損害賠償のほかに謝罪文の交付及び掲示によらなければ回復し得ない損害を原告
が受けたとまでは認められない。‥‥」

 なお、判決文によれば、

 1997年11月、支店長は女性行員を夜間食事に 誘ったのち、ホテルの会員制クラブ(日
銀支店長として会員となっていたクラブであり、

業務上の接待等に利用)の個室において、女子行員の手を握るなどして、嫌がる同人を
ソファーに押し付けてキスをし、

着衣上から同人の胸に触るのみならず、

上着 の下から手を入れて同人の乳房を触るなどの行為をした他、

支店内に おいて、支店長が女子行員に対し電子メールや支店内線電話を用いて、1週間
に2回 ほどの頻度で食事に誘い、

約1か月間にわたって私的な付き合いを求めた結果、

女性行員は、前記のセクハラ行為により、心身に不調を来すようになり、

メニエー ル症候群・右低音障害型感音難聴との診断を受け、

診断後約1年間にわたり通院と投薬を継続した。

女性行員が上司に本件につき相談したことで、支店長のセクハラ行為 に関する調査が
なされ、下記の譴責処分になった。女性行員は処分が軽すぎるとして支店長への謝罪を
求めようとしたが、

相談した上司らに思いとどまるよう促され、職場に おいても同僚から避けられるよう
になった。

孤立感を深めた女性行員は、日銀を退職 せざるをえない状況に陥った。

・結果的に、民事責任として日銀支店長と日銀に対し、連帯して約680万円の支払いを
命じた判決が確定(大阪高判平成14・2・27、京都地判平成13・3・22判例時報1754
号125頁/判例タイムズ1086号211頁)。

しかし日銀は、当事者である支店長に対し譴責処分をしたのみである。

再発防止策も不明、この支店長は退職金も 支給され、大阪証券取引所に再就職した。


2.日本銀行の現在のハラスメント対策は十分になされているのか。


男女雇用機会均等法のみならず労働施策総合推進法で優越的言動問題としてパワーハ
ラスメントが扱われるように2020年6月からなっており、

この案件はハラスメントによって弱い立場のものを追い込む典型例であろう。

ハラスメントの相談窓口やきちんとした再発防止策の公表もない最低レベルの日本銀行
の対応である。

情けない。


……………………………………………………………
※新型コロナウイルスの日本社会全体への甚大な影響

 新常態(New Normal)に移行するのか、当たり前の日常( Natural everyday life)
に戻るのか。武漢ウイルス(COVID-19)パンデミック蔓延の終息あればの話だが。

どうにも憂鬱な日が続く。巡り合わせが自分の人生の間にあるとは思わなかった。この
ような伝染病が蔓延するとは思いもしなかった。

自宅での孤独な仕事に疲れたら、自宅のある長岡京市の街を毎日散歩したりしている。


問題は、私の人生の行方も含めて、武漢ウイルス(COVID-19)パンデミック蔓延の終息
あれば、新常態(new Normal)に移行するのか、当たり前の日常( Natural everyday l
ife)に戻るのか。

終息時期の問題が大きいのである。時期が遅ければ、それまでに、これまでの当たり前
が消えて二度と戻らないかもしれない。私と私の家族生活にも甚大な影響を与えよう。

人と人がウイルスの感染を恐れて離れて過ごさざるを得ない時期がこれからずっとなの
か、1年なのか、これまでに接近して生活していたものが新常態では消えざるを得ない
のか。

そうなれば、社会全体に大きな変化が発生するし、経済のみならず、文化やスポーツに
も大きな影響を与えよう。教育現場で教室にはいって一斉授業ということも非常にやり
にくくなろう。

私の研修や講演でも同じことである。会場にたくさんの人が席を詰めて講演を聞くこと
や研修を受けることもなくなろうか。

相続における相談業務にも大きな影響が出てこよう。書類を見ながら話すには接近せざ
るを得ないからである。


 新型コロナウイルスの影響が企業や地方公共団体への運営にも大きな影響を及ぼす中
で、コンプライアンスとともに、意欲をもって積極的に全国の地方公共団体等で危機管
理(インフルエンザ対策を含む災害リスクマネジメント)態勢構築の普及のための講演
や研修講師活動も続けていくので、私の講演の主要項目17原則下記に挙げておく。


 このような網羅的で統合的リスクマネジメントが地方公共団体に必要になっている時
代なのである。

1.災害対策本部の組織・運営

2.通信の確保

3.被害情報の収集

4.災害情報の伝達

5.応援の受入れ

6.広報活動

7.救助・救急活動

8.避難所等、被災者の生活対策

9.特別な配慮が必要な人への対策

10.物資等の輸送、供給対策

11.ボランティアとの協働活動

12.公共インフラ被害の応急処置等

13.建物、宅地等の応急危険度判定

14.被害認定調査、罹災証明の発行

15.仮設住宅

16.生活再建支援

17.廃棄物処理 


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公務員の教科書 道徳編─不祥事・トラブルに巻き込まれないために
 
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法務・労働法務・ダイバーシティ・模擬記者会見等の講演や研修講師実績があります。


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コンプライアンス等の講演や研修講師を700件以上担当しました。自治体・企業・金
融機関等での豊富な実績があります。詳細な講演会記録等はこちらをご覧ください。
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