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事業場外のみなし労働制及び裁量労働制の導入の検討について

平成19年10月15日 第48号
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人事のブレーン社会保険労務士レポート
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目次

1.事業場外のみなし労働制及び裁量労働制の導入の検討について

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ブログもよろしくお願い致します。
人事のブレーン社会保険労務士日記」です。
http://norifumi.cocolog-nifty.com/blog/
是非見てみて下さい!

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1.事業場外のみなし労働制及び裁量労働制の導入の検討について

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1.はじめに

事業場外のみなし労働制と裁量労働制について混同されているケースがある。
一度知識の整理が必要と考え今回のテーマとした。

2.事業場外のみなし労働制

(1)事業場外のみなし労働制の概要

 事業場外のみなし労働時間制とは、労働者事業場外で業務に従事している
為に、何時間労働したのか使用者が把握できない事を前提に導入が出来る。
 事業場外で業務に従事する場合には、このみなした時間を労働時間として計
算することになる。
注意点としては、みなし労働時間制についてはあくまで「事業場外」で労働し
た場合に限るということである。
事業場内、いわゆる事務所内で業務に従事した労働時間は除く。
この「除く」ということは別勘定という意味である。
例えば建設業の現場監督のケースでは、事業場外労働に対するみなし労働制を
導入する場合には、事務所内で見積もりや関連業者との打ち合わせをする場合
には別途みなした労働時間に、事務所内での労働時間を付加しなければならな
い。
 具体的には、みなし労働時間を7時間とした場合、事業場外労働が午前中に
終わり、事務所内で5時間業務に従事した場合、7時間に加え事務所内の5時
間を付加しますので、12時間労働したことになる。
 みなし労働時間制ではない場合、9時始業を前提にすると午前は3時間です
から8時間労働でこの日は残業は発生していないということになる。
 このみなし時間については、随時変更するということは出来ない。
みなし労働時間制を適用する場合には労使協定の提出が1年ごとに必要である
から、基本的には1年間はみなし時間の変更は出来ないということになる。

(2)事業場外のみなし労働時間制を見送るケース

 このように事業場外で労働していたとしても、事務所内で業務に従事した場
合は事務所内での実労働時間をみなし労働時間に加えなければならない。
 法律用語で「みなし」とは反証があっても覆ることがない制度を意味する。
ですから、仮に3時間しか事業場外労働に従事していなくても、一度決めたみ
なし時間労働したことになる。
 「事業場外のみなし時間を何時間とするのか決めることが出来ない。」「事
業場外のみなし労働時間を決めたとしても、事務所内での業務に従事した時間
が別勘定であれば人件費が増える」という理由で導入を見送るケースが多いの
である。

(3)導入の動向

 上記の理由から私のクライアントで事業場外のみなし労働制を導入している
企業は多くない。
建設業をはじめ、医療機器メンテナンス、事務機メンテナンス、人材派遣会社
等、事業場外労働と事務所内労働が混在し、1日何時間というみなし時間を一
律で決めることが出来ない業種は導入していない。

(4)事業場外のみなし労働時間制が導入可能なケース

 直行の場合、自宅を出てはじめて訪問する客先で業務を開始した時間が始業
時間である。直帰の場合、最後の客先で業務が終了した時間が終業時間である。

 自宅と客先の移動時間は通勤時間になるわけである。

このような直行直帰を常態としている労働者事業場外のみなし労働時間は適
用可能である。

また事業場外労働が毎日一定時間である場合についても、適用は可能である。

要するに事務所内で業務に従事した労働時間は別計算であるから、事業場外労
働の時間が一定していないと事務所内での作業をさせることが人件費の増加に
繋がるのである。

3.裁量労働制

(1)裁量労働制の概要

 裁量労働制とは、企画型と専門型に分かれている。
どちらの制度でも、労働者の業務が労働時間管理に馴染まないという理由で、
実際の勤務の有無にかかわらず一定時間労働したものとみなすという制度であ
る。
 労働時間管理に馴染まないということはどの様なことかというと、労働者
人の発想に基づく企画等が労働の成果であり、職場だけではなく、入浴中に良
い発想が生まれる等、時間と成果に相関関係のない業務であり、なおかつ使用
者が労働時間管理を行わないことが前提になる。

 例えば建築士の場合、専門型裁量労働制では建築士の業務もその対象となり
ますが、建築士であり、現に設計の業務に従事しており、労働時間管理の適用
を受けないことの要件を満たせば導入可能である。
 労働時間管理の適用を受けないこととは、遅刻、早退、欠勤等の賃金控除
行われず、毎日一定時間職場にいることを義務づけないということである。
 このように労働者労働時間についての裁量を広範囲に持っているというこ
とが特徴である。

 ただし、裁量労働制でも深夜手当の支給は必要であり、22時以降に会社に
いた場合には当該時間に対する深夜手当の支給は必要になってくる。

(2)裁量労働制の導入の検討

 企画型裁量労働制は、全社的な制度の立案や営業戦略に携わることが条件で
あり、実際には導入したとしても中小企業の場合、各部門の長と企画部門の幹
部クラスのみが該当するという、極めて狭い範囲での導入になります。
 「全社的な」とは個々の製品や各部門の企画ではなく、企業全体の人事制度
や財務戦略、営業戦略に携わるものという限定的なものであり、労働基準監督
官の臨検の際も、厳格に調査するケースもあることから慎重に導入をしなけれ
ばならない。

(3)導入の動向
 裁量労働制の導入に関しては、メーカーの開発部門で導入が進んでいる。
そもそも基幹業務が裁量労働制の対象となるので、その対象範囲も拡大解釈し
やすい傾向にある事が理由である。
 基幹業務が対象業務ではない場合については、拡大解釈の余地が無く、個々
の業務の検討となるので、いわゆるグレーゾーンの問題については対策が難し
く導入する企業はありません。

 また、研究所も裁量労働制の適用については慎重な使用者もいる。
理由としては、労働時間管理を労働者に委ねる為、組織として管理がルーズに
なる為である。
昼寝て、夜出社することも使用者は否定できないわけであるから、24時間
施設を開放することも極端な例ではあるが、深夜手当は支給しなければならな
いことから、夜型人間は結果として賃金が高くなる。
 この様な理由により研究所でも裁量労働制を導入せず、7時から22時まで
の間に自由に働いて良いですよという様なフレックスタイム制度を導入する企
業も多い。

4.定額残業と変形労働時間制

 定額残業制度とは、残業の有無に拘わらず一定の金額を支給する制度である。
事業場外のみなし労働時間制裁量労働制において、1日8時間、1週40時
間を超える場合にはこの定額残業制度を併用して導入するケースが多い。
 
この定額残業制度と「労働時間のみなし制度」を混同されている方も多い。
前述の通り、みなし労働時間制とは一定時間労働したとみなすわけであり、そ
れは反証があってもみなした時間労働したものとして賃金を支払うわけである。
 しかし、定額残業は「みなし」ではなく一定時間残業したものとして固定的
手当をつけているに過ぎず、その手当の額を実残業手当が超過した場合には、
当該超過分を支給しなければならない。
 
ここが非常に誤解の多い点である。

5.まとめ
 
 今回は、事業場外のみなし労働時間制度と裁量労働時間制度を説明した。
誤解のない運用をして頂きたいし、最適な労働時間制度の選択をして頂きたい。

この様な観点から今回のテーマとした。

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編集責任者 特定社会保険労務士 山本 法史
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