2009年6月10日号 (no. 249)
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■3分労働ぷちコラム(今回だけは3分では読めません)
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本日テーマ【
1ヶ月単位の変形労働時間制度では「特定」を忘れてはいけない】
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■「特定」せずに
変形労働時間制度を使うな。
1ヶ月という単位で
勤務時間をやり繰りしたいために、
1ヶ月単位の変形労働時間制度を使っている会社もありますね。
ただ、中には、「とりあえず1ヶ月間働いて、1ヶ月分をまとめて
変形労働時間制度を使って清算する(
勤務時間の総枠を使って清算)」という運用をしているところもあるのではないでしょうか。
確かに、このように運用すれば便利です。
しかし、これは運用の誤りです。
変形労働時間制度は、「予定を立てて、予定通りに勤務させるという条件を満たせば、
法定労働時間を超えて勤務することを許す」という制度です。
それゆえ、予定を立てずに勤務して、事後的に
勤務時間をまとめて清算するのは
変形労働時間制度ではないわけです。
中には、「時間外手当を減らせるから、
1ヶ月単位の変形労働時間制度を使おう」と考える会社もありますが、そう簡単には事は進みません。
■利点を享受すれば、制約がある。
毎日、
勤務時間が流動的に変わるような仕事の場合は、
変形労働時間制度は使えません。
なぜならば、
変形労働時間制度は「予測可能な勤務スケジュール」を前提にした制度だからです。
例えば、1日8時間、1
週40時間と前提を置くと、1ヶ月の
法定労働時間の総枠は「40×(31/7)=177.1h」となります。
また、土日は
休日と設定します。
1ヶ月単位の変形労働時間制度を、スケジュールを使って説明します。
まずは、
変形労働時間を前提にして、「予定」を立てます(これが大事!)。
1日(月):10時間勤務
2日:10時間勤務
3日:9時間勤務
4日:9時間勤務
5日:9時間勤務
6日(土)
7日(日)
第1週は47時間勤務。
8日(月):7時間勤務
9日:7時間勤務
10日:7時間勤務
11日:7時間勤務
12日:7時間勤務
13日(土)
14日(日)
第2週は35時間勤務。
15日(月):6時間勤務
16日:6時間勤務
17日:6時間勤務
18日:6時間勤務
19日:6時間勤務
20日(土)
21日(日)
第3週は30時間勤務。
22日(月):7時間勤務
23日:7時間勤務
24日:7時間勤務
25日:8時間勤務
26日:8時間勤務
27日(土)
28日(日)
第4週は37時間勤務。
29日(月):8時間勤務
30日:8時間勤務
31日(水):8時間勤務
第5週は24時間勤務。
よって、totalで173時間の勤務予定となますね。
以上が勤務の予定です。
では、次に、「予定に基づいて実際に勤務した結果」です。
1日(月):10時間勤務
2日:10時間勤務
3日:9時間勤務
4日:9時間勤務
5日:9時間勤務
6日(土)
7日(日)
第1週は47時間勤務しました(予定通りです)。
この第1週は、時間外手当は無しです。
事前に
時間外勤務を予定して、その通りに勤務しましたので、時間外手当は不要となるわけです。
8日(月):9時間勤務(予定では7時間)
9日:8時間勤務(予定では7時間)
10日:7時間勤務
11日:7時間勤務
12日:7時間勤務
13日(土)
14日(日)
第2週は38時間勤務しました(予定では35時間)。
この第2週では時間外手当が出ます。
8日と9日ですが、まず8時間までは
法内超勤(法定内だが予定は超えているという意味)ですので、時間外手当は不要です。
ただ、8日の1時間分だけは時間外手当が必要なんですね。
1週40時間の枠内に収まっているのですが、1日8時間は超えてしまっているためです。
もちろん、9時間勤務を事前に予定していれば、時間外手当は不要になる可能性があります(ただ、予定していないので変形効果は無いということです)。
15日(月):6時間勤務
16日:6時間勤務
17日:6時間勤務
18日:6時間勤務
19日:6時間勤務
20日(土)
21日(日)
第3週は30時間勤務しました(予定通りです)。
ここは何の問題もありませんよね。
予定通りですし、1
週40時間、1日8時間も超えておらず、時間外手当は不要です。
22日(月):8時間勤務(予定では7時間)
23日:8時間勤務(予定では7時間)
24日:8時間勤務(予定では7時間)
25日:8時間勤務
26日:8時間勤務
27日(土)
28日(日)
第4週は40時間勤務しました(予定では37時間)。
ここが今回の最大のポイントになります。
まず、1
週40時間、1日8時間の枠にはピッタリ収まっています。
この点だけを考えると、何の問題もなさそうですが、そうはなりません。
確認しますと、予定した
勤務時間の総枠は「totalで173時間の勤務予定」でしたね。
また、
法定労働時間の総枠は、「40×(31/7)=177.1h」ですから、177.1時間でしたね。
第2週の8日と9日で、
法内超勤が発生しましたよね(7時間を予定していたが、8時間まで到達してしまった。8日は1時間分だけ8時間を超えていますが、これは除きます)。
つまり、予定した
勤務時間の総枠は「totalで173時間の勤務予定」であり、第2週で2時間だけ、その総枠に加算されます(173+2=175時間になる)。
さらに、第4週の22日、23日、24日も、
法内超勤である3時間が上記の総枠に加算されます(175+3=178時間)。
となると、
法定労働時間の総枠である(40×(31/7)=177.1h)177.1時間を超えてしまいます(詳しく言えば、24日分の1時間の
法内超勤だけが177.1の枠を超えているんですね)。
ゆえに、「178-177.1=0.9」ですから、0.9時間分だけ時間外手当が必要になるわけです。
29日(月):9時間勤務(予定では8時間)
30日:9時間勤務(予定では8時間)
31日(水):9時間勤務(予定では8時間)
第5週は27時間勤務しました(予定では24時間)。
第4週の時点で既に、
法定労働時間の総枠である(40×(31/7)=177.1h)177.1時間を超えていますので、時間外手当が必要です。
また、1日8時間の枠も超えていますので、この点でも時間外手当が必要であると説明できますね(この説明の方が簡単です)。
ゆえに、
変形労働時間制度では、法定
時間外勤務をするならば、キチンと「予定」を立てて、実際に勤務しなければいけないわけです。
予定も立てていないのに、その場その場で
時間外勤務をしてはいけないんですね。
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メールマガジン【本では読めない
労務管理の"ミソ"】のご紹介
内容の一例・・・
『定額
残業代で
残業代は減らせるのか』
『15分未満の
勤務時間は切り捨て?』
『4週4日以外の
変形休日制度もある』
『長時間残業を減らす方法は2つある』
『管理職は週休3日が理想』
『日曜日=
法定休日と思い込んではいけない』
『
半日有給休暇と
半日欠勤の組み合わせはダメ?』
『寸志は
賃金or贈り物?』
『ケータイは仕事道具か遊び道具か』
など、その他盛りだくさんのテーマでお送りしています。
本に書いていそうなんだけど、書いていない。
そんな内容が満載。
【本では読めない
労務管理の"ミソ"】
▽ ▽ <登録はこちら> ▽ ▽
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カードを使わないタイムカード Clockperiod のご紹介です。
タイムカードを使うときに負担なのは、専用の打刻機を用意しなければいけないし、
新しい紙のカードを毎月作らないといけない。さらに、カードを見ながら、電卓や
表計算ソフトで
勤務時間を集計しないといけない。
しかも、給与の締め日から支給日までの短期間で集計作業をしないといけないので、
作業する人にとっては
勤務時間の集計は悩みのタネですよね。
そんな悩みをどうやって解決するか。
そこで、電子タイムカードの Clockperiod が登場です。
Clockperiod は、紙のカードと打刻機を使わない電子タイムカードですから、
打刻機を用意しなくても
勤務時間を記録できますし、給与計算のためにカードを
集める必要はありません。さらに、毎月、新しい紙のカードに社員全員の名前を
書いてカードストッカーに入れることもなくなります。
始業や終業、
時間外勤務や
休日勤務の出勤時間を自動的に集計できれば勤怠集計
の作業は随分とラクになるはず。
Clockperiodは、出退勤の時刻をタイムカード無しで記録できます。タイムカード
や
出勤簿で
勤務時間を管理している企業にオススメです。
さらに、タイムカードのコピーをメールで送信して社員ごとに保存することができ
ますので、個人別に毎月の勤務記録を取り置くことができます。
また、勤務記録の改ざんや不正な打刻を把握できるログ機能もあります。
▽ ▽ < Clockperiodの利用はこちら > ▽ ▽
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「長時間の残業が続いている」
「
残業代の支払いが多い」
「残業が減らない」
こういう悩み、よくありますよね。
ニュースでも未払い
残業代の話題がチラホラと出てくるぐらい、残業に対する関心は高くなっています。
法律では、1日に8時間まで、1週間では40時間までしか仕事ができません。その水準を超えてしまうと、残業となり、
割増賃金が必要になります。
とはいえ、1日で8時間と固定されていると不便だと感じませんか? 1週間で40時間と固定されていると不便だと感じませんか?
毎日8時間の時間制限があると、柔軟に
勤務時間を配分できませんよね。
例えば、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。
仕事に合わせて、ある日は
勤務時間を短く、ある日は
勤務時間を長くできれば、便利ですよね。
でも、実は、「月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務なので、残業は無し」こんなことができる仕組みがあるんです。
「えっ!? そんな仕組みがあるの?」と思った方は、ぜひ『残業管理のアメと罠』を読んでみてください。
『残業管理のアメと罠』
http://www.growthwk.com/entry/2012/05/22/162343?utm_source=soumu&utm_medium=cm&utm_campaign=soumu_cm20160308HT
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■3分労働ぷちコラム(今回だけは3分では読めません)
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■「特定」せずに変形労働時間制度を使うな。
1ヶ月という単位で勤務時間をやり繰りしたいために、1ヶ月単位の変形労働時間制度を使っている会社もありますね。
ただ、中には、「とりあえず1ヶ月間働いて、1ヶ月分をまとめて変形労働時間制度を使って清算する(勤務時間の総枠を使って清算)」という運用をしているところもあるのではないでしょうか。
確かに、このように運用すれば便利です。
しかし、これは運用の誤りです。
変形労働時間制度は、「予定を立てて、予定通りに勤務させるという条件を満たせば、法定労働時間を超えて勤務することを許す」という制度です。
それゆえ、予定を立てずに勤務して、事後的に勤務時間をまとめて清算するのは変形労働時間制度ではないわけです。
中には、「時間外手当を減らせるから、1ヶ月単位の変形労働時間制度を使おう」と考える会社もありますが、そう簡単には事は進みません。
■利点を享受すれば、制約がある。
毎日、勤務時間が流動的に変わるような仕事の場合は、変形労働時間制度は使えません。
なぜならば、変形労働時間制度は「予測可能な勤務スケジュール」を前提にした制度だからです。
例えば、1日8時間、1週40時間と前提を置くと、1ヶ月の法定労働時間の総枠は「40×(31/7)=177.1h」となります。
また、土日は休日と設定します。
1ヶ月単位の変形労働時間制度を、スケジュールを使って説明します。
まずは、変形労働時間を前提にして、「予定」を立てます(これが大事!)。
1日(月):10時間勤務
2日:10時間勤務
3日:9時間勤務
4日:9時間勤務
5日:9時間勤務
6日(土)
7日(日)
第1週は47時間勤務。
8日(月):7時間勤務
9日:7時間勤務
10日:7時間勤務
11日:7時間勤務
12日:7時間勤務
13日(土)
14日(日)
第2週は35時間勤務。
15日(月):6時間勤務
16日:6時間勤務
17日:6時間勤務
18日:6時間勤務
19日:6時間勤務
20日(土)
21日(日)
第3週は30時間勤務。
22日(月):7時間勤務
23日:7時間勤務
24日:7時間勤務
25日:8時間勤務
26日:8時間勤務
27日(土)
28日(日)
第4週は37時間勤務。
29日(月):8時間勤務
30日:8時間勤務
31日(水):8時間勤務
第5週は24時間勤務。
よって、totalで173時間の勤務予定となますね。
以上が勤務の予定です。
では、次に、「予定に基づいて実際に勤務した結果」です。
1日(月):10時間勤務
2日:10時間勤務
3日:9時間勤務
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5日:9時間勤務
6日(土)
7日(日)
第1週は47時間勤務しました(予定通りです)。
この第1週は、時間外手当は無しです。
事前に時間外勤務を予定して、その通りに勤務しましたので、時間外手当は不要となるわけです。
8日(月):9時間勤務(予定では7時間)
9日:8時間勤務(予定では7時間)
10日:7時間勤務
11日:7時間勤務
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13日(土)
14日(日)
第2週は38時間勤務しました(予定では35時間)。
この第2週では時間外手当が出ます。
8日と9日ですが、まず8時間までは法内超勤(法定内だが予定は超えているという意味)ですので、時間外手当は不要です。
ただ、8日の1時間分だけは時間外手当が必要なんですね。
1週40時間の枠内に収まっているのですが、1日8時間は超えてしまっているためです。
もちろん、9時間勤務を事前に予定していれば、時間外手当は不要になる可能性があります(ただ、予定していないので変形効果は無いということです)。
15日(月):6時間勤務
16日:6時間勤務
17日:6時間勤務
18日:6時間勤務
19日:6時間勤務
20日(土)
21日(日)
第3週は30時間勤務しました(予定通りです)。
ここは何の問題もありませんよね。
予定通りですし、1週40時間、1日8時間も超えておらず、時間外手当は不要です。
22日(月):8時間勤務(予定では7時間)
23日:8時間勤務(予定では7時間)
24日:8時間勤務(予定では7時間)
25日:8時間勤務
26日:8時間勤務
27日(土)
28日(日)
第4週は40時間勤務しました(予定では37時間)。
ここが今回の最大のポイントになります。
まず、1週40時間、1日8時間の枠にはピッタリ収まっています。
この点だけを考えると、何の問題もなさそうですが、そうはなりません。
確認しますと、予定した勤務時間の総枠は「totalで173時間の勤務予定」でしたね。
また、法定労働時間の総枠は、「40×(31/7)=177.1h」ですから、177.1時間でしたね。
第2週の8日と9日で、法内超勤が発生しましたよね(7時間を予定していたが、8時間まで到達してしまった。8日は1時間分だけ8時間を超えていますが、これは除きます)。
つまり、予定した勤務時間の総枠は「totalで173時間の勤務予定」であり、第2週で2時間だけ、その総枠に加算されます(173+2=175時間になる)。
さらに、第4週の22日、23日、24日も、法内超勤である3時間が上記の総枠に加算されます(175+3=178時間)。
となると、法定労働時間の総枠である(40×(31/7)=177.1h)177.1時間を超えてしまいます(詳しく言えば、24日分の1時間の法内超勤だけが177.1の枠を超えているんですね)。
ゆえに、「178-177.1=0.9」ですから、0.9時間分だけ時間外手当が必要になるわけです。
29日(月):9時間勤務(予定では8時間)
30日:9時間勤務(予定では8時間)
31日(水):9時間勤務(予定では8時間)
第5週は27時間勤務しました(予定では24時間)。
第4週の時点で既に、法定労働時間の総枠である(40×(31/7)=177.1h)177.1時間を超えていますので、時間外手当が必要です。
また、1日8時間の枠も超えていますので、この点でも時間外手当が必要であると説明できますね(この説明の方が簡単です)。
ゆえに、変形労働時間制度では、法定時間外勤務をするならば、キチンと「予定」を立てて、実際に勤務しなければいけないわけです。
予定も立てていないのに、その場その場で時間外勤務をしてはいけないんですね。
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『残業管理のアメと罠』
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