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【レジュメ編】 地方自治法(その4〔その2〕)

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     ★★★ 新・行政書士試験 一発合格! Vol. ’06-40 ★★★
           【レジュメ編】 地方自治法(その4〔その2〕)

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■■■ 地方自治法 ■■■
■■■ 関与
■■■ 住民投票 ■■■
■■■ 民法(特別損害賠償) ■■■
■■■ お願い ■■■
■■■ 編集後記 ■■■

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

■■■ 地方自治法 ■■■
今回の地方自治法では、憲法や行政法(行政手続法行政不服審査法)と「横」比較を
行うことが理解につながります。それぞれの事項の異同をしっかり理解することで、確
実に高得点を狙うことが可能になります。どうか憲法、行政手続法行政不服審査法
復習を兼ねて「横」比較を徹底してください。

■■■ 関与
■ 関与の意義(245条)
・普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与:普通地方公共団体の事務の処理に
 関し、国の行政機関又は都道府県の機関が行う次に掲げる行為をいう。
(ア)普通地方公共団体に対する次に掲げる行為
(a)助言又は勧告
(b)資料の提出の要求
(c)是正の要求
(d)同意
(e)許可、認可又は承認
(f)指示
(g)代執行
(イ)普通地方公共団体との協議
(ウ)前二号に掲げる行為のほか、一定の行政目的を実現するため普通地方公共団体に
   対して具体的かつ個別的に関わる行為

(1)国の行政機関:内閣府、宮内庁、内閣府設置法に規定する機関(金融庁、公正取
   引委員会等)、国家行政組織法に定められた各省・委員会・庁(中央労働委員
   会、国税庁等)、人事院等
→ 国会、裁判所は含まれない。また、内閣、内閣官房、内閣法制局、会計検査院等も
  含まれない。
(2)都道府県の機関が行う次に掲げる行為:普通地方公共団体がその固有の資格にお
   いて当該行為の名あて人となるものに限り、国又は都道府県の普通地方公共団体
   に対する支出金の交付及び返還に係るものを除く。
→ 「固有の資格」とは、一般私人では行うことができず、地方公共団体であることに
   より名あて人となることができる特別の立場をいう(例えば、起債の協議)。
→ 行政手続法4条1項、行政不服審査法57条4項の「固有の資格」を確認のこと。
(3)助言又は勧告(a):いずれも非権力的な関与であるが、勧告には、その尊重義
   務が伴うため、助言よりは強力。
(4)協議(イ)と同意(d):協議には合意まで求められないが、同意には、協議し
   て合意に達することまでも求められる。
(5)許可、認可又は承認(e):国の行政機関や都道府県の機関が応諾しなければな
   らないので、同意と同じであるが、同意には協議することが含まれる。
(6)指示(f):国の行政機関や都道府県の機関が地方公共団体に対して一定の行為
   に従うように求めるもので、法的拘束力を伴う。

■ 関与の法定主義(245条の2)
普通地方公共団体は、その事務の処理に関し、法律又はこれに基づく政令によらなけれ
ば、普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与を受け、又は要することとされる
ことはない。

★ 省令や通達を根拠とする関与は認められない。
→ 地方公共団体は、「法律又はこれに基づく政令」に根拠がない関与には、従う義務
  はない。
★ 法律:個別法のほか、地方自治法も含まれる(245条の4から245条の8まで)。

■ 関与の基本原則(245条の3)
(1)比例原則
国は、普通地方公共団体が、その事務の処理に関し、普通地方公共団体に対する国又は
都道府県の関与を受け、又は要することとする場合には、その目的を達成するために必
要な最小限度のものとするとともに、普通地方公共団体の自主性及び自立性に配慮しな
ければならない(1項)。
(2)代執行および「具体的かつ個別的に関わる行為」(2項)
・自治事務:原則として代執行と「具体的かつ個別的に関わる行為」は不可
・法定受託事務:原則として「具体的かつ個別的に関わる行為」は不可
(3)協議(3項)
・自治事務、法定受託事務:国又は都道府県の施策と普通地方公共団体の施策との間の
 調整が必要な場合を除き、原則として不可。
(4)同意(4項)
・自治事務:国又は都道府県の施策と普通地方公共団体の施策との整合性を確保しなけ
 ればこれらの施策の実施に著しく支障が生ずると認められる場合を除き、原則として
 不可。
(5)許可、認可又は承認(5項)
・自治事務:それ以外の方法によってその処理の適正を確保することが困難であると認
 められる場合を除き、原則として不可。
(6)指示(6項)
・自治事務:特に必要と認められる場合を除き、原則として不可。

■■ 地方自治法に定める関与
■ 技術的な助言及び勧告並びに資料の提出の要求(245条の4)
(1)各大臣又は都道府県知事その他の都道府県の執行機関は、その担任する事務(自
   治事務&法定受託事務)に関し、普通地方公共団体に対し、適切と認める技術的
   な助言若しくは勧告をし、又は当該助言若しくは勧告をするため若しくは普通地
   方公共団体の事務の適正な処理に関する情報を提供するため、必要な資料の提出
   を求めることができる。
(2)各大臣は、その担任する事務に関し、都道府県知事その他の都道府県の執行機関
   に対し、市町村に対する助言若しくは勧告又は資料の提出の求めに関し、必要な
   指示をすることができる。
(3)普通地方公共団体の長その他の執行機関は、各大臣又は都道府県知事その他の都
   道府県の執行機関に対し、技術的な助言若しくは勧告又は必要な情報の提供を求
   めることができる。

■ 是正の要求(245条の5)
(1)各大臣は、都道府県の自治事務の処理が法令の規定に違反していると認めると
   き、又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるときは、
   違反の是正又は改善のため必要な措置を講ずべきことを求めることができる。
→ 内閣総理大臣ではなく、各大臣が関与の主体である。
(2)各大臣は、市町村の事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、又は
   著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるときは、都道府県
   の執行機関に対し、当該事務の処理について違反の是正又は改善のため必要な措
   置を講ずべきことを当該市町村に求めるよう指示をすることができる(市町村教
   育委員会・選挙管理委員会の担任する事務については、都道府県教育委員会・選
   挙管理委員会)。
→ 都道府県が、独自の判断で市町村に対して是正の要求をすることは認められていな
  い。
(3)各大臣は、市町村の事務(第一号法定受託事務を除く。)の処理が法令の規定に
   違反していると認める場合、又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害し
   ていると認める場合において、緊急を要するときその他特に必要があると認める
   ときは、自ら当該市町村に対し、当該事務の処理について違反の是正又は改善の
   ため必要な措置を講ずべきことを求めることができる。
(4)普通地方公共団体は是正の要求を受けたときは、違反の是正又は改善のための必
   要な措置を講じなければならない。
→ ただし、どのような措置を講じるかは、地方公共団体の裁量に任されている。

■ 是正の勧告(245条の6)
都道府県の執行機関は、市町村の自治事務の処理が法令の規定に違反していると認める
とき、又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるときは、当該
市町村に対し、当該自治事務の処理について違反の是正又は改善のため必要な措置を講
ずべきことを勧告することができる。
(ア)都道府県知事:市町村長その他の市町村の執行機関(教育委員会及び選挙管理委
   員会を除く。)の担任する自治事務
(イ)都道府県教育委員会:市町村教育委員会の担任する自治事務
(ウ)都道府県選挙管理委員会:市町村選挙管理委員会の担任する自治事務
→ 「是正の勧告」には法的拘束力がないので、国の関与がなくても、都道府県の裁量
  で行うことができる。なお、「是正の要求」はできない。

■ 是正の指示(245条の7)
(1)各大臣は、都道府県の法定受託事務の処理が法令の規定に違反していると認める
   とき、又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるとき
   は、違反の是正又は改善のため講ずべき措置に関し、必要な指示をすることがで
   きる。
(2)都道府県の執行機関は、市町村の法定受託事務の処理が法令の規定に違反してい
   ると認めるとき、又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認
   めるときは、違反の是正又は改善のため講ずべき措置に関し、必要な指示をする
   ことができる(市町村教育委員会・選挙管理委員会の担任する法定受託事務につ
   いては、都道府県教育委員会・選挙管理委員会)。
→ 「是正の要求」は各大臣からの指示があった場合にのみ可能であるが、「是正の指
   示」は各大臣の指示がない場合にも可能である。
(3)各大臣は、市町村の第一号法定受託事務の処理について、都道府県の執行機関に
   よる市町村に対する指示に関し、必要な指示をすることができる。
(4)各大臣は、市町村の第一号法定受託事務の処理が法令の規定に違反していると認
   める場合、又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認める場
   合において、緊急を要するときその他特に必要があると認めるときは、自ら当該
   市町村に対し、違反の是正又は改善のため講ずべき措置に関し、必要な指示をす
   ることができる。

★ 「是正の要求」は自治事務が対象であるが、「是正の指示」は法定受託事務が対象
  である。両者の要件は同じであるが、「是正の要求」は「必要な措置」を講じるこ
  とを求めるのに対して、「是正の指示」は「講ずべき措置に関し、必要な指示」を
  する。

■ 代執行等(245条の8)
(1)各大臣は、都道府県知事の法定受託事務の管理若しくは執行が法令の規定若しく
   は当該各大臣の処分に違反するものがある場合又は当該法定受託事務の管理若し
   くは執行を怠るものがある場合において、その是正を図ることが困難であり、か
   つ、それを放置することにより著しく公益を害することが明らかであるときは、
   文書により、当該都道府県知事に対して、その旨を指摘し、期限を定めて、当該
   違反を是正し、又は当該怠る法定受託事務の管理若しくは執行を改めるべきこと
   を勧告することができる。
(2)各大臣は、都道府県知事が期限までに勧告に係る事項を行わないときは、文書に
   より、当該都道府県知事に対し、期限を定めて当該事項を行うべきことを指示す
   ることができる。
(3)各大臣は、都道府県知事が期限までに当該事項を行わないときは、高等裁判所
   対し、訴えをもつて、当該事項を行うべきことを命ずる旨の裁判を請求すること
   ができる。

■■ 関与等の手続
行政手続法:国の機関等に対する処分等の適用除外(4条1項)
国の機関又は地方公共団体若しくはその機関に対する処分(これらの機関又は団体がそ
の固有の資格において当該処分の名あて人となるものに限る。)及び行政指導並びにこ
れらの機関又は団体がする届出(これらの機関又は団体がその固有の資格においてすべ
きこととされているものに限る。)については、この法律の規定は、適用しない。


・地方自治法:普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与の手続の適用(246条)
次条から第二百五十条の五までの規定は、普通地方公共団体に対する国又は都道府県の
関与について適用する。ただし、他の法律に特別の定めがある場合は、この限りでない

→ 行政手続法が適用されないことによる。なお、地方自治法に基づく関与に限定され
  ず、個別法に基づく関与も対象になる。

■ 助言等の方式等(247条)
(ア)国の行政機関又は都道府県の機関は、普通地方公共団体に対し、助言、勧告その
   他これらに類する行為を書面によらないで行った場合で、当該助言等の趣旨及び
   内容を記載した書面の交付を求められたときは、これを交付しなければならな
   い。
★ 「責任者」(行政手続法35条1項、2項)は含まれていない。
★ 「行政上特別の支障がない限り」(行政手続法35条2項)という制限がない。
(イ)普通地方公共団体に対しその場において完了する行為を求める助言等、および既
   に書面により当該普通地方公共団体に通知されている事項と同一の内容である助
   言等については、適用しない。
(ウ)国又は都道府県の職員は、普通地方公共団体が国の行政機関又は都道府県の機関
   が行った助言等に従わなかつたことを理由として、不利益な取扱いをしてはなら
   ない。

行政手続法
(行政指導の方式)
第三十五条 行政指導に携わる者は、その相手方に対して、当該行政指導の趣旨及び内
容並びに責任者を明確に示さなければならない。
2 行政指導が口頭でされた場合において、その相手方から前項に規定する事項を記載
した書面の交付を求められたときは、当該行政指導に携わる者は、行政上特別の支障が
ない限り、これを交付しなければならない。
3 前項の規定は、次に掲げる行政指導については、適用しない。
一 相手方に対しその場において完了する行為を求めるもの
二 既に文書(前項の書面を含む。)又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他
人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機
による情報処理の用に供されるものをいう。)によりその相手方に通知されている事項
と同一の内容を求めるもの

(行政指導の一般原則)
第三十五条
2 行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、
不利益な取扱いをしてはならない。

■ 是正の要求等の方式(249条)
(ア)国の行政機関又は都道府県の機関は、普通地方公共団体に対し、是正の要求、指
   示その他これらに類する行為をするときは、同時に、当該是正の要求等の内容及
   び理由を記載した書面を交付しなければならない。
★ 助言等の場合には「助言等の趣旨及び内容」を記載しなければならないが、是正の
  要求等の場合には「是正の要求等の内容及び理由」を記載しなければならない。
(イ)ただし、当該書面を交付しないで是正の要求等をすべき差し迫った必要がある場
   合は、この限りでない。この場合には、国の行政機関又は都道府県の機関は、是
   正の要求等をした後相当の期間内に、同項の書面を交付しなければならない。
★ 行政手続法(14条3項)と異なり、書面主義を採用している。

行政手続法
(不利益処分の理由の提示)
第十四条 行政庁は、不利益処分をする場合には、その名あて人に対し、同時に、当該
不利益処分の理由を示さなければならない。ただし、当該理由を示さないで処分をすべ
き差し迫った必要がある場合は、この限りでない。
2 行政庁は、前項ただし書の場合においては、当該名あて人の所在が判明しなくなっ
たときその他処分後において理由を示すことが困難な事情があるときを除き、処分後相
当の期間内に、同項の理由を示さなければならない。
3 不利益処分を書面でするときは、前二項の理由は、書面により示さなければならな
い。

■ 許認可等の基準(250条の2)
(ア)国の行政機関又は都道府県の機関は、普通地方公共団体からの法令に基づく申請
   又は協議の申出があつた場合に、許認可等をするかどうかを法令の定めに従って
   判断するために必要とされる基準を定め、かつ、行政上特別の支障があるときを
   除き、これを公表しなければならない。
(イ)国の行政機関又は都道府県の機関は、普通地方公共団体に対し、許認可等の取消
   し等をするかどうかを法令の定めに従って判断するために必要とされる基準を定
   め、かつ、これを公表するよう努めなければならない。
(ウ)国の行政機関又は都道府県の機関は、これらの基準を定めるに当たつては、その
   性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。

行政手続法
(審査基準)
第五条 行政庁は、審査基準を定めるものとする。
2 行政庁は、審査基準を定めるに当たっては、許認可等の性質に照らしてできる限り
具体的なものとしなければならない。
3 行政庁は、行政上特別の支障があるときを除き、法令により申請の提出先とされて
いる機関の事務所における備付けその他の適当な方法により審査基準を公にしておかな
ければならない。

(処分の基準)
第十二条 行政庁は、処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければな
らない。
2 行政庁は、処分基準を定めるに当たっては、不利益処分の性質に照らしてできる限
り具体的なものとしなければならない。

■ 許認可等の標準処理期間等(250条の3)
(ア)国の行政機関又は都道府県の機関は、申請等に係る標準処理期間を定め、かつ、
   これを公表するよう努めなければならない。
(イ)国の行政機関又は都道府県の機関は、申請等が法令により当該申請等の提出先と
   されている機関の事務所に到達したときは、遅滞なく当該申請等に係る許認可等
   をするための事務を開始しなければならない。

行政手続法
(標準処理期間)
第六条 行政庁は、申請がその事務所に到達してから当該申請に対する処分をするまで
に通常要すべき標準的な期間(法令により当該行政庁と異なる機関が当該申請の提出先
とされている場合は、併せて、当該申請が当該提出先とされている機関の事務所に到達
してから当該行政庁の事務所に到達するまでに通常要すべき標準的な期間)を定めるよ
う努めるとともに、これを定めたときは、これらの当該申請の提出先とされている機関
の事務所における備付けその他の適当な方法により公にしておかなければならない。

(申請に対する審査、応答)
第七条 行政庁は、申請がその事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始
しなければならず、かつ、申請書の記載事項に不備がないこと、申請書に必要な書類が
添付されていること、申請をすることができる期間内にされたものであることその他の
法令に定められた申請の形式上の要件に適合しない申請については、速やかに、申請を
した者(以下「申請者」という。)に対し相当の期間を定めて当該申請の補正を求め、
又は当該申請により求められた許認可等を拒否しなければならない。

■ 許認可等の取消し等の方式(250条の4)
国の行政機関又は都道府県の機関は、普通地方公共団体に対し、申請等に係る許認可等
を拒否する処分をするとき又は許認可等の取消し等をするときは、その内容及び理由を
記載した書面を交付しなければならない。
★ 行政手続法と異なり(書面で処分をするときのみ)、書面交付義務が課されてい
  る。

行政手続法
(理由の提示)
第八条 行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請
者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならない。ただし、法令に定められ
た許認可等の要件又は公にされた審査基準が数量的指標その他の客観的指標により明確
に定められている場合であって、当該申請がこれらに適合しないことが申請書の記載又
は添付書類その他の申請の内容から明らかであるときは、申請者の求めがあったときに
これを示せば足りる。
2 前項本文に規定する処分を書面でするときは、同項の理由は、書面により示さなけ
ればならない。

■ 届出(250条の54)
普通地方公共団体から国の行政機関又は都道府県の機関への届出が届出書の記載事項に
不備がないこと、届出書に必要な書類が添付されていることその他の法令に定められた
届出の形式上の要件に適合している場合は、当該届出が法令により当該届出の提出先と
されている機関の事務所に到達したときに、当該届出をすべき手続上の義務が履行され
たものとする。

行政手続法
第三十七条 届出が届出書の記載事項に不備がないこと、届出書に必要な書類が添付さ
れていることその他の法令に定められた届出の形式上の要件に適合している場合は、当
該届出が法令により当該届出の提出先とされている機関の事務所に到達したときに、当
該届出をすべき手続上の義務が履行されたものとする。


■■■ 住民投票 ■■■
住民投票には、憲法および地方自治法等に規定されたものと、条例に基づくものがあり
ます。

■ 地方自治特別立法
(1)憲法
一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公
共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定する
ことができない。(95条)

(2)地方自治法
第二百六十一条 一の普通地方公共団体のみに適用される特別法が国会又は参議院の緊
急集会において議決されたときは、最後に議決した議院の議長(衆議院の議決が国会の
議決となつた場合には衆議院議長とし、参議院の緊急集会において議決した場合には参
議院議長とする。)は、当該法律を添えてその旨を内閣総理大臣に通知しなければなら
ない。
2 前項の規定による通知があつたときは、内閣総理大臣は、直ちに当該法律を添えて
その旨を総務大臣に通知し、総務大臣は、その通知を受けた日から五日以内に、関係普
通地方公共団体の長にその旨を通知するとともに、当該法律その他関係書類を移送しな
ければならない。
3 前項の規定による通知があつたときは、関係普通地方公共団体の長は、その日から
三十一日以後六十日以内に、選挙管理委員会をして当該法律について賛否の投票を行わ
しめなければならない。
4 前項の投票の結果が判明したときは、関係普通地方公共団体の長は、その日から五
日以内に関係書類を添えてその結果を総務大臣に報告し、総務大臣は、直ちにその旨を
内閣総理大臣に報告しなければならない。その投票の結果が確定したことを知つたとき
も、また、同様とする。
5 前項の規定により第三項の投票の結果が確定した旨の報告があつたときは、内閣総
理大臣は、直ちに当該法律の公布の手続をとるとともに衆議院議長及び参議院議長に通
知しなければならない。

■ 直接請求・地方自治法
(1)議会の解散請求
第七十六条 選挙権を有する者は、政令の定めるところにより、その総数の三分の一
(その総数が四十万を超える場合にあつては、その超える数に六分の一を乗じて得た数
と四十万に三分の一を乗じて得た数とを合算して得た数)以上の者の連署をもつて、そ
の代表者から、普通地方公共団体の選挙管理委員会に対し、当該普通地方公共団体の議
会の解散の請求をすることができる。

(2)議員の解職請求
第八十条 選挙権を有する者は、政令の定めるところにより、所属の選挙区におけるそ
の総数の三分の一(その総数が四十万を超える場合にあつては、その超える数に六分の
一を乗じて得た数と四十万に三分の一を乗じて得た数とを合算して得た数)以上の者の
連署をもつて、その代表者から、普通地方公共団体の選挙管理委員会に対し、当該選挙
区に属する普通地方公共団体の議会の議員の解職の請求をすることができる。この場合
において選挙区がないときは、選挙権を有する者の総数の三分の一(その総数が四十万
を超える場合にあつては、その超える数に六分の一を乗じて得た数と四十万に三分の一
を乗じて得た数とを合算して得た数)以上の者の連署をもつて、議員の解職の請求をす
ることができる。

(3)長の解職請求
第八十一条 選挙権を有する者は、政令の定めるところにより、その総数の三分の一
(その総数が四十万を超える場合にあつては、その超える数に六分の一を乗じて得た数
と四十万に三分の一を乗じて得た数とを合算して得た数)以上の者の連署をもつて、そ
の代表者から、普通地方公共団体の選挙管理委員会に対し、当該普通地方公共団体の長
の解職の請求をすることができる。

(4)役員の解職請求
第八十六条 選挙権を有する者は、政令の定めるところにより、その総数の三分の一
(その総数が四十万を超える場合にあつては、その超える数に六分の一を乗じて得た数
と四十万に三分の一を乗じて得た数とを合算して得た数)以上の者の連署をもつて、そ
の代表者から、普通地方公共団体の長に対し、副知事若しくは助役、出納長若しくは収
入役、選挙管理委員若しくは監査委員又は公安委員会の委員の解職の請求をすることが
できる。

■ 市町村合併・市町村の合併の特例等に関する法律
合併協議会設置の請求)
第四条
11(議会の審議により、合併協議会設置協議について、合併請求市町村の議会がこれを
否決し、かつ、すべての合併対象市町村の議会がこれを可決した)場合において、基準
日から十三日以内に前項後段の規定による公表がなかったときは、選挙権を有する者
は、政令で定めるところにより、その総数の六分の一以上の者の連署をもって、その代
表者から、合併請求市町村の選挙管理委員会に対し、合併協議会設置協議について選挙
人の投票に付するよう請求することができる。
→ 投票の結果、合併協議会設置協議について有効投票の総数の過半数の賛成があった
  ときは、合併協議会設置協議について合併請求市町村の議会が可決したものとみな
  される(17項)。

■ 住民投票条例
地方公共団体が、住民投票条例に基づいて、特定の政策(原子力発電所の設置、産業廃
棄物処理施設の設置等)の是非を問うために行われる。これまでのところ、住民投票の
結果に法的拘束力は持たせない住民投票条例が制定されている。
→ 住民投票の結果に法的拘束力を持たせる住民投票条例の制定が可能かどうかについ
ては、議論が分かれている。なお、地裁レベルであるが、市長が住民投票の結果に従わ
ないことは違法ではないとした判決がある。

そもそも、選挙ではないので公職選挙法の適用はなく、投票者についても、法的な制限
はない(未成年者でも、外国人でも可能)。

なお、8月28日(月)付の朝日新聞に「住民投票10年」と題する社説が掲載されていま
した。これによれば、新潟県旧巻町で、原子力発電所の立地をめぐって日本で初めて条
例に基づく住民投票が行われてから、今年でちょうど10年になるとのことです。詳しく
は、朝日新聞の http://www.asahi.com/paper/editorial.html を参照してください。


■■■ 民法(特別損害賠償) ■■■
今月14日に旧江戸川において、曳船及びクレーン台船が送電線に接触し、東京都の広範
囲において停電事故を起こし、東京の私鉄や地下鉄等が止まる等の被害が生じました。
この不法行為によって生じた損害の賠償については、どうなるのでしょうか。

民法では、不法行為による損害賠償について「故意又は過失によって他人の権利又は法
律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」
(709条)と規定されています。

そして、この損害賠償の範囲については、416条(損害賠償の範囲)の規定が類推適用
されます。具体的には、「(債務の不履行に対する)損害賠償の請求は、これによって
通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。」(1項)とともに、「特別
の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見し、又は予見すること
ができたときは、債権者は、その賠償を請求することができる。」(2項)と規定され
ています。

したがって、今回の停電事故が予見可能であったかどうかがポイントになります。一般
的には、曳船及びクレーン台船によって生じる停電事故は予見可能とはいえないと考え
られるので、そうすると、特別損害の賠償請求はできないということになりそうです。

この事故を起こした三国屋建設株式会社も、ホームページ上で、これと同様の主張をし
ています。詳しくは http://www.mikuniya-web.co.jp/sonbai.htmをご覧ください。法
的には当然の主張でしょうが、そうすると、行政書士にとっては、自分自身および顧客
のリスク管理体制のあり方についても、再考を迫るものになりそうです(特に、今日の
社会で一般化している継続的な契約関係を維持し、求められるサービスや取引を継続的
に提供するためには、どういったリスクを想定して、あらかじめ対策を講じる必要であ
るのかという問題です。)。


■■■ お願い ■■■ 
継続して発刊するためには読者の皆様のご支援が何よりの活力になります。ご意見、ア
ドバイス、ご批判その他何でも結構です。内容、頻度、対象の追加や変更等について
も、どうぞ何なりと e-mail@ohta-shoshi.com までお寄せください。

質問は、このメールマガジンの趣旨の範囲内のものであれば、大歓迎です。ただし、多
少時間を要する場合があります。


■■■ 編集後記 ■■■
暑い夏も終わろうとしています。しっかりとした成果が得られたでしょうか。幸いなこ
とに、今年から試験日が約3週間延びましたので、まだ必ずしも十分な成果が得られて
いない場合であっても、9月上旬を(追加的な)充電期間に充てることができます。ぜ
ひ有効活用を図って下さい。

この短期間での一定分野の集中は、効率的な行政書士試験の受験には、必須です。得意
分野を確実な得点源にし、あるいは不得手な科目や分野を大事な得点源にする(たとえ
高得点を狙うのではなくとも、一定の得点を見込める科目や分野にしてしまう)貴重な
期間ですから、必ず(対象となる科目や分野を慎重に選択のうえ)実施してください。

なお、地方自治法は4回の予定でしたが、いろいろな事情からもう1回必要になり、次
回も引き続き地方自治法です。その後に商法を予定しています。


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 マガジンタイトル:新・行政書士試験 一発合格!
 発行者:行政書士 太田誠   東京都行政書士会所属(府中支部)
 発行者Web:http://www.ohta-shoshi.com
 発行者メールアドレス:e-mail@ohta-shoshi.com
 発行協力「まぐまぐ」:http://www.mag2.com/
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