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台風で営業時間を短縮。これは休業か?





2012年6月21日号 (no. 692)
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http://www.soumunomori.com/profile/uid-20903/





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---3分労働ぷちコラム---
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本日のテーマ【台風で営業時間を短縮。これは休業か?】
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使用者の責任か。それとも不可抗力か。



2012年の6月19日に台風4号が日本にやってきて、風がビュウビュウ吹いて、雨がザーッと降った。

台風が来ると、商売の内容によっては影響がでる。例えば、飲食店だと来客数は減るだろうし、アミューズメントパークに来る人もおそらく減るはず。台風の中、動物園に来る人もおそらく少ないだろうし、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンに行く人も多分多くはないと思う。あとは、ショッピングセンターやスーパーも来客数が減るのではないでしょうか。台風の日ぐらいは買い物をしなくても大丈夫だろうと考えて、外出しない可能性があります。

6月19日の火曜日に、大阪のとある駅前のスーパーが台風接近のために、閉店時間を早めていた。通常だと、21時まで営業しているお店だけれども、18時に閉店していた。「台風接近のため、閉店時間は18時となります」という貼り紙をお店の自動ドアのところに貼っていた。営業していてもお客さんはあまり来ないだろうから、お店を閉めちゃったほうが良いと判断したため、閉店時間を早めたのでしょうね。


閉店時間を本来の時間よりも前倒しするとなると、問題になるのが「休業」という点です。

上記の例だと、通常だと21時まで仕事ができたけれども、台風のために18時までしか仕事ができなくなった。そのため、3時間分の勤務時間がなくなり、その時間に応じた賃金も発生しなかった。

さらに、閉店時間を早めたのは、使用者の判断でしょうから、使用者の責任で休業していると言えそうです。また、台風で営業ができなくなったわけではなく、台風によって来客数が減ると予想したため閉店時間を早めています。つまり、お客さんは少ないけれども、お店が風雨で壊れたわけではないので、営業しようと思えばできる状況なのですね。

しかし、台風は自然災害であって、使用者の能力や判断で回避できるものではないので、それにより営業時間を短縮しても、使用者の責任で休業していると判断するのは酷ではないかと考えることもできます。

台風という自然災害を強調すれば休業にならない方向へ傾き、営業を継続できる可能性を強調すれば休業になる方向へ傾く。

どちらもそれなりに納得できる立場ですから、簡単に判断しにくいですよね。



では、台風で営業時間を短縮するのは、労働基準法26条の「使用者責に帰すべき事由による休業」なのかどうか。今回は、この点が問題となります。






■営業しようと思えばできる。だけど、閉店時間を早めた。



営業しようと思えばできるけれども、何らかの理由でそうしないときに労働基準法26条の休業となる。


もし、台風で店舗が損壊して営業できなくなれば、それは使用者の責任ではないので、この場合に営業時間を短縮してもそれは休業ではない。飲食店ならば、風でお店の入り口のガラスが割れて、風や雨がお店の中に入り込む状態になり、お客さんを店の中に入れられないので、修繕のため営業を2日間停止した。これならば休業にはならない。

スーパーでも、風で外壁代わりの窓ガラスが割れてしまい、修繕のため一時的に営業を停止したとしたら、これも休業にはならないでしょう。


しかし、店舗や営業用の什器は台風によって壊れていないが、お客さんが少ないという理由で営業時間を短縮したり、営業そのものをヤメて休みにすれば、これは休業になる可能性が出てくる。


営業しようと思えばできる。しかし、お客さんは少ないだろうから、閉店時間を早めてお店を閉める。これは、「営業しようと思えばできるけれども、そうしない」場合に該当し、労働基準法26条の休業と判断するのが妥当だと思う。

ここで、「不可抗力で営業時間を短縮したのだから、休業じゃないだろう」と考える方もいるかもしれない。しかし、本当に不可抗力でしょうか。「台風でお客さんが少ない」という理由で閉店時間を早めたならば、それは回避することが可能な判断でしょう。つまり、台風で営業停止になっているわけではなく、自主的に営業時間を短縮している場面なのですね。


確かに、飲食店であれ小売店であれ、お店というのは開けているだけで光熱費や人件費が発生しますから、もしお客さんが少なければ、費用をカバー出来るだけの儲けを得られない。そのため、営業時間を短縮するのですね。

さらに、「なんで休んでいるのに手当が必要なの?」と思う方もいるでしょうね。仕事をしていなければ、賃金もない。だから、営業時間を短縮すれば、短縮した時間に相当する賃金もない。こう考えるのも無理のないことです。

しかし、雇用というのは思っているほど単純なものではなく、賃金も単純に「ノーワーク・ノーペイ」だと考えていてはいけないのです。仕事をすれば賃金が発生しますが、休ませても賃金は発生します。経営者の立場だと、納得しにくいところなのですが、それが法律なのです。


ゆえに、台風で閉店時間を21時から18時に短縮したときは、営業しようと思えばできる状況ならば、休業になる可能性が高い。しかし、台風によって設備が損壊した場合のように、営業を続けられないほどの理由があれば、休業にはならない可能性が高い。

可能性という表現を使っていますが、これは判断する人によって結論が変わるからです。今回のような事例では、休業になると判断する人もいれば、休業にならないと判断する人もいるはずです。

私の場合は、「営業の可能性があるかどうか」で休業かどうかを判断し、来客数が少ないという理由で閉店時間を早めるのは、休業に該当すると考えました。

とはいえ、現実には、閉店時間を早めてもおそらく休業手当を支給していないと思います。

会社と社員の間で合意して閉店時間を早めて、双方ともやむを得ないと納得して、お互いに休業にしないとの意志があるのではないでしょうか。


今回のような場面ときに労働基準法26条の取り扱いに悩みます。使い方によっては濫用される可能性を孕んだ制度ですから、休業かどうかが微妙なときは判断しにくいですね。






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