━━☆━━━━━━━━━━━━━━ その
固定残業制は有効か ━━━━━━━━━━━━━━━
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固定残業制とは
┏┏ ◇ 判例からみる
固定残業制
┏┏ ◇ タクシー運転手に対する
固定残業代
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固定残業制とは
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実際に残業したかどうかや、その時間数に関係なく、
残業代を毎月定額で支給する方法です。
定額残業制とも言います。
しかし給料に
残業代が含まれているといっても、その金額はいくらで、何時間分の
残業代であるの
かをはっきりさせておかなければいけません。
年俸制でも同様です。
ですから例えば、実際の残業時間に基づいて決定通りに計算した
残業代が、定額
残業代を上回ると
きには、不足額を追加支給しなければなりません。また、
残業代が決定の額かどうかを後から計算
できるような支給方法でなければ認められませんし、給与のうち、どの部分が
残業代にあたるのか
が明確になっていなければなりません。
そして、既存の社員の
基本給の一部を定額残業制度に移行することは、「
不利益変更」に該当する
ため、導入にあたっては、社員への説明を徹底し、個別に同意を取らなければなりません。
結構面倒です。
正しく理解し、適切に導入することが必要になります。
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判例からみる
固定残業制
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判例でも「
時間外労働手当を固定額(定額)で支払うことは、実際の
時間外労働等によって算出
した
割増賃金に相当する金額が支払われている限り、必ずしも違法ではない」(関西ソニー販売事
件 大阪地裁昭63.10.26)
とされており、また別の判例でも「
基本給に
割増賃金が含まれているというためには1.
割増賃金
にあたる部分が明確に区分されていること2.法所定の
割増賃金との差額を支払う旨が合意されて
いること、が必要である」(国際情報産業事件 東京地裁平3.8.27)
と、きちんとルールを定めて行えば、
割増賃金分を定額で支給することは違法ではないとされてい
ます。
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タクシー運転手に対する
固定残業代
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高知県観光
割増賃金等請求
上告事件(平成24年3月8日)の最高裁判決でも、通常の
労働時間
の
賃金に当たる部分と時間外及び深夜の
割増賃金に当たる部分とを判別し得ることが必要であると
判断し、歩合給にくみ込んで支払っているという会社側の主張に対し、
「本件請求期間に
上告人らに支給された前記の歩合給の額が、
上告人らが時間外及び深夜の労働を
行った場合においても増額されるものではなく、通常の
労働時間の
賃金に当たる部分と時間外及び
深夜の
割増賃金に当たる部分とを判別することもできないものであったことからして、この歩合給
の支給によって、
上告人らに対して法37条の規定する時間外及び深夜の
割増賃金が支払われたと
することは困難なものというべきであり、被
上告人は、
上告人らに対し、本件請求期間における上
告人らの時間外及び深夜の労働について、法37条及び
労働基準法施行規則19条1項6号の規定
に従って計算した額の
割増賃金を支払う義務があることになる。」
としました。
この判決ではこれに留まらず補足意見で
「便宜的に毎月の給与の中にあらかじめ一定時間(例えば10時間分)の
残業手当が算入されてい
るものとして給与が支払われている場合は、
・その旨を
雇用契約上も明確にされていなければならない。
と同時に、
・支給時に支給対象の
時間外労働の時間数と
残業手当の額が
労働者に明示されていなければならな
い。
さらに、
・10時間を超えて残業が行われた場合には、当然その支給日に別途上乗せして
残業手当を支給す
る旨もあらかじめ明らかにされていなければならない。」
とまで言っています。
つまり、個別の合意や
就業規則の定め(
不利益変更の場合は別途同意)では足りず、何時間分の残
業代に相当するのかを毎月の
給与明細などで明らかにし、
労働者のチェックを容易にし得るような
導入実態までをも要求するようになってきたのです。
これから
固定残業制を導入しようという企業の方、制度をよく理解した上での慎重な対応を。
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固定残業制とは
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実際に残業したかどうかや、その時間数に関係なく、残業代を毎月定額で支給する方法です。
定額残業制とも言います。
しかし給料に残業代が含まれているといっても、その金額はいくらで、何時間分の残業代であるの
かをはっきりさせておかなければいけません。年俸制でも同様です。
ですから例えば、実際の残業時間に基づいて決定通りに計算した残業代が、定額残業代を上回ると
きには、不足額を追加支給しなければなりません。また、残業代が決定の額かどうかを後から計算
できるような支給方法でなければ認められませんし、給与のうち、どの部分が残業代にあたるのか
が明確になっていなければなりません。
そして、既存の社員の基本給の一部を定額残業制度に移行することは、「不利益変更」に該当する
ため、導入にあたっては、社員への説明を徹底し、個別に同意を取らなければなりません。
結構面倒です。
正しく理解し、適切に導入することが必要になります。
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判例からみる固定残業制
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判例でも「時間外労働手当を固定額(定額)で支払うことは、実際の時間外労働等によって算出
した割増賃金に相当する金額が支払われている限り、必ずしも違法ではない」(関西ソニー販売事
件 大阪地裁昭63.10.26)
とされており、また別の判例でも「基本給に割増賃金が含まれているというためには1.割増賃金
にあたる部分が明確に区分されていること2.法所定の割増賃金との差額を支払う旨が合意されて
いること、が必要である」(国際情報産業事件 東京地裁平3.8.27)
と、きちんとルールを定めて行えば、割増賃金分を定額で支給することは違法ではないとされてい
ます。
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タクシー運転手に対する固定残業代
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高知県観光割増賃金等請求上告事件(平成24年3月8日)の最高裁判決でも、通常の労働時間
の賃金に当たる部分と時間外及び深夜の割増賃金に当たる部分とを判別し得ることが必要であると
判断し、歩合給にくみ込んで支払っているという会社側の主張に対し、
「本件請求期間に上告人らに支給された前記の歩合給の額が、上告人らが時間外及び深夜の労働を
行った場合においても増額されるものではなく、通常の労働時間の賃金に当たる部分と時間外及び
深夜の割増賃金に当たる部分とを判別することもできないものであったことからして、この歩合給
の支給によって、上告人らに対して法37条の規定する時間外及び深夜の割増賃金が支払われたと
することは困難なものというべきであり、被上告人は、上告人らに対し、本件請求期間における上
告人らの時間外及び深夜の労働について、法37条及び労働基準法施行規則19条1項6号の規定
に従って計算した額の割増賃金を支払う義務があることになる。」
としました。
この判決ではこれに留まらず補足意見で
「便宜的に毎月の給与の中にあらかじめ一定時間(例えば10時間分)の残業手当が算入されてい
るものとして給与が支払われている場合は、
・その旨を雇用契約上も明確にされていなければならない。
と同時に、
・支給時に支給対象の時間外労働の時間数と残業手当の額が労働者に明示されていなければならな
い。
さらに、
・10時間を超えて残業が行われた場合には、当然その支給日に別途上乗せして残業手当を支給す
る旨もあらかじめ明らかにされていなければならない。」
とまで言っています。
つまり、個別の合意や就業規則の定め(不利益変更の場合は別途同意)では足りず、何時間分の残
業代に相当するのかを毎月の給与明細などで明らかにし、労働者のチェックを容易にし得るような
導入実態までをも要求するようになってきたのです。
これから固定残業制を導入しようという企業の方、制度をよく理解した上での慎重な対応を。
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