平成20年10月15日 第61号
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人事のブレーン
社会保険労務士レポート
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目次
1.小売店及び外食産業の店長に関する
管理監督者性についての
通達の検討
===================================
ブログもよろしくお願い致します。
「
人事のブレーン
社会保険労務士日記」です。
http://norifumi.cocolog-nifty.com/blog/
是非見てみて下さい!
***********************************
1.小売店及び外食産業の店長に関する
管理監督者性についての
通達の検討
***********************************
<1> はじめに
このメルマガでも取り上げたが、マクドナルドの判例等、小売店や外食産業に
おける店長の
管理監督者性について議論されている。
しかしながら
労働基準法第41条2号の規定による同法第6章及び6章の2の
適用除外を受ける
管理監督者に関する
通達は非常に曖昧である。
性格には曖昧にならざるを得ないのである。
同じ組織図でもワンマンの社長の場合とそうではない場合には
労働時間法制の
適用除外を受ける
管理監督者の範囲も違ってくる。
具体的に
通達で明記するのは「ワンマン」とは何かということまで明記しなけ
れば実効性のある
通達とならず、抽象的な
通達により個別判断に委ねるという
ことになる。
今回の
通達でも、労働弁護団や
労働組合から国がお墨付きを与えた名ばかり管
理職が増えるとの批判があり、桝添厚生労働大臣がこの
通達の見直しを示唆し
たが、基準を示すということはこの様な批判を受けることを覚悟しなければな
らない。
それぐらい基準を示すことは困難な作業なのである。
それを踏まえ今回の
通達の検討をしたい。
<2>
労働基準法第41条2号に規定する
管理監督者の基本的な考え方
(1)総論
まず
管理監督者とは会社が自由に決定出来る。
この職位以上は管理者である、監督者であるという決定をすることについては
何ら法に触れることはない。
しかし、これらの職位のものを
労働基準法第41条2号に規定する
管理監督者
として取扱、同法の
労働時間、
休日及び
休憩の規定を
適用除外とする場合に法
の規制がある。
それが
通達で示されているのである。
現行の
通達をまとめると以下の通りになる。
第一に、経営者と一体的な立場にあり、
労働時間、
休憩、
休日に関する規制の
枠を超えて活動することが要請せざるを得ない重要な職務と責任を有している
か。
第二に、現実の勤務態様について
労働時間等の規制になじまないような立場に
あるか。
そしてこの第一と第二を踏まえ、職務内容と責任と権限、勤務態様及び
賃金等
の待遇を踏まえ総合的に判断するとしている。
参考
通達
昭和22.9.13発基第17号
昭和63.3.14基発第150号
(2)金融機関に対する
通達
今回の
通達以前に個別の業種に関しては金融機関に対する
管理監督者性につい
ての
通達がある。
これは当時支店長
代理という肩書きを乱発し
労働基準法第41条2号に規定す
る
管理監督者としていたが、その実態を鑑みると
管理監督者とは認定出来ない
ような
労働者が多く、その為に
通達を出したということである。
都市銀行の場合 昭和52.2.28基発104号の2
都市銀行等以外の金融機関の場合 昭和52.2.28基発105号
この
通達では、支店、事務所等出先機関における組織の長は
管理監督者として
いる。
例外として法の適用単位と認められないような小規模出先機関の長は除かれる
としているが、
通達(昭和63.3.14基発150号、平成11.3.31
基発168号)により生命保険会社の支部、営業所は原則として法の適用単位
の事業所として取り扱うこととされている。
新聞社の地方通信機関については本社の直接指揮統轄のもとに取材送稿するに
過ぎず、その機関の長は
人事権限はなく事務も取り扱わない為に法の適用単位
とはならないという
通達(昭和23.5.20基発799号)がある。
よって法の適用単位とならない
事業場の規模も抽象的な
通達となっているが、
基本的には
人事権があり、事務を行っている
事業場は法の適用単位となる。
小売店や外食産業では、アルバイトや所属する社員のシフトを作成し、店舗の
事務や
棚卸しをしているわけであるから法の適用単位である。
よってその長は
労働基準法第41条2号に規定する
管理監督者であるという理
屈が成り立つ。
金融機関と外食産業を比べた場合に何か違いがあるのか。
金融機関の特殊性が明確に示され、その特殊性故にその長は
管理監督者である
ということが明確に示されない限り、外食においてもその店長は
管理監督者で
あると判断しても
労働基準法に違反しているとはいえないのである。
故にマクドナルドの裁判も民事裁判なのである。
<3>
通達の検討
この
通達の正式名称は「多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理
監督者の範囲の適正化について」(平成20.9.9基発0909001号)
である。
<4> 「職務内容、責任と権限」についての判断要素
(1)総論
店舗に所属するパート、アルバイト、社員等について、
採用、解雇、
人事考課、
労働時間管理は店舗における重要な職務であるとの判断から次のように判断基
準を示している。
(2)パート、アルバイトに関する
人事権
・店舗に所属するパートタイマー及びアルバイトについて
採用(人選のみを
行う場合を含む)に関する責任と権限が実質的にない場合
・解雇に関する事項が職務内容に含まれておらず、実質的にもこれに関与し
ない場合
上記の場合には
管理監督者性を否定する重要な要素となる。
(3)社員に関する
人事権
人事考課の制度がある企業において、その対象となっている部下の
人事考課に
関する事項が職務内容に含まれておらず、実質的にもこれに関与しない場合は
管理監督者性を否定する重要な要素になる。
(4)
労働時間管理
店舗における
勤務割表の作成又は
時間外労働の命令を行う責任と権限がない場
合には
管理監督者性を否定する重要な要素となる。
(5)まとめ
店舗内のパート、アルバイトの
採用と解雇の権限については、それを有してい
ない責任者は少ないと考えられる。
社員の
人事考課については、マクドナルドの裁判では一次考課には関与するが、
最終的な評価の決定には関与が出来ないという点で
管理監督者性が否定されて
いる。
この点についてはこの
通達は「関与していればよい」となっており、裁判例か
らするとやや経営者に有利な判断が出来る余地がある
通達である。
<5>勤務態様についての判断
(1)はじめに
管理監督者については、従前の
通達でも「現実の勤務態様について
労働時間等
の規制になじまないような立場にあるか」を一つの判断基準としている。
この勤務態様については以下の通りの判断基準を示している。
(2)遅刻、早退等に関する扱い
遅刻、早退等により減俸の制裁、
人事考課での負の評価など不利益な取扱がさ
れる場合には
管理監督者性を否定する重要な要素となる。
ただし、
管理監督者であっても
過重労働による健康障害防止や深夜業に対する
割増賃金の支払いの観点から
労働時間の把握や管理を受けている場合について
は
管理監督者性を否定する要素にはならない。
(3)
労働時間に関する裁量
営業時間中は店舗に常駐しなければならない、あるいはアルバイト・パート等
の人員が不足する場合にそれらの者の業務に自ら従事しなければならないなど
により長時間労働を余儀なくされている場合のように、実際には
労働時間に関
する裁量がほとんどないと認められる場合には
管理監督者を否定する補強要素
となる。
(4)部下の勤務態様との相違
管理監督者としての職務も行うが、会社から配布されたマニュアルに従った業
務に従事しているなど
労働時間の規制を受ける部下と同様の勤務態様が労働時
間の大半を占めている場合には
管理監督者性を否定する補強的要素となる。
(5)まとめ
この項では、遅早控除等の措置は重要な要素であるとしているが、他の2点に
おいては補強的要素としている点が重要である。
マクドナルドの判例でも原告側の責任により自らスタッフ不足の穴埋めをしな
ければならなくなったという点が取り上げられた。
小売店や外食産業とはアルバイトをどれだけ集められるかが店長の重要な能力
とされている。
例えばクリスマスイブの日はアルバイトは休みたい。
しかし店長の人望でどれだけシフトに入って貰えるかが能力なのである。
学生や生徒を
労働者としている場合には試験期間中も人員が少なくなる。
皆が出たくないような日や期間については店長の能力により人員不足となるか
どうかが決定する。
同じ権限を持っていたとしても、店長のコミュニケーション能力欠如により労
働時間に関する裁量や部下の勤務態様の相違については違ってくるのである。
この点を考慮し、「補強的要素」としたのであろうと推測される。
しかし実態としては、属人的な要素が強く、全社統一した運用というのは非常
に難しいということが筆者の率直な感想である。
<6>
賃金等の待遇についての判断要素
(1)はじめに
管理監督者性の判断にあたっては「一般
労働者に比し優遇措置が講じられてい
る」等の判断基準が従前の
通達にもあり、今回の
通達では以下の判断基準が示
された。
(2)
基本給、
役職手当等の優遇措置
基本給、
役職手当等の優遇措置が、実際の
労働時間数を勘案した場合に、割増
賃金の規定が
適用除外となることを考慮すると十分ではなく、当該
労働者の保
護に欠ける恐れがあると認められるときは、管理監督性を否定する補強要素と
なる。
(3)支払われた
賃金の額
一年間に支払われた
賃金の総額が、勤続年数、業績、専門職種等の特別な事情
が無いにもかかわらず、他店舗を含めた当該企業の一般
労働者の
賃金総額と同
程度以下である場合には
管理監督者性を否定する補強要素となる。
(4)
時間単価
実態として長時間労働を余儀なくされた結果、
時間単価に換算した
賃金額にお
いて、店舗に所属するアルバイト・パート等の
賃金額に満たない場合には、管
理監督者性を否定する重要な要素となる。
徳に、当該
時間単価に換算した
賃金額が
最低賃金額に満たない場合には、管理
監督者性を否定する極めて重要な要素となる。
(5)まとめ
この項については、労働弁護団や
労働組合から抗議が来た項目である。
最後の
時間単価について比較対象がパート・アルバイトの
賃金であるという点
である。
しかしこれは重要な要素であるとしているに過ぎず、補強的要素として
賃金の
優遇措置や支払われた
賃金額を挙げており、総合的に判断するということであ
る。
基本的には優遇措置のところで、
賃金の優遇措置が「十分ではなく、当該労働
者の保護に欠けるおそれがあると認められる」と判断されれば
管理監督者性は
否認されるであろう。
一般
労働者の定義が難しく、定義が容易であるパート・アルバイトの
賃金を比
較対象としたというだけであろう。
<7>まとめ
この
通達は抽象的なところもあるが、今迄の
通達より一歩踏み込んだ
通達であ
る。
企業サイドとしては、この
通達を活かせば
管理監督者性の対策に繋がると考え
る。
ポイントは<5>(3)(4)がしっかりと運用出来るかである。
コミュニケーション応力が不足している店長に対して上司がどれだけフォロー
出来るかどうかがポイントであると考える。
小売業や外食産業の実態をそれなりに反映した
通達であり、十分に対策は出来
ると筆者は考える。
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平成20年10月15日 第61号
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1.小売店及び外食産業の店長に関する管理監督者性についての通達の検討
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1.小売店及び外食産業の店長に関する管理監督者性についての通達の検討
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<1> はじめに
このメルマガでも取り上げたが、マクドナルドの判例等、小売店や外食産業に
おける店長の管理監督者性について議論されている。
しかしながら労働基準法第41条2号の規定による同法第6章及び6章の2の
適用除外を受ける管理監督者に関する通達は非常に曖昧である。
性格には曖昧にならざるを得ないのである。
同じ組織図でもワンマンの社長の場合とそうではない場合には労働時間法制の
適用除外を受ける管理監督者の範囲も違ってくる。
具体的に通達で明記するのは「ワンマン」とは何かということまで明記しなけ
れば実効性のある通達とならず、抽象的な通達により個別判断に委ねるという
ことになる。
今回の通達でも、労働弁護団や労働組合から国がお墨付きを与えた名ばかり管
理職が増えるとの批判があり、桝添厚生労働大臣がこの通達の見直しを示唆し
たが、基準を示すということはこの様な批判を受けることを覚悟しなければな
らない。
それぐらい基準を示すことは困難な作業なのである。
それを踏まえ今回の通達の検討をしたい。
<2> 労働基準法第41条2号に規定する管理監督者の基本的な考え方
(1)総論
まず管理監督者とは会社が自由に決定出来る。
この職位以上は管理者である、監督者であるという決定をすることについては
何ら法に触れることはない。
しかし、これらの職位のものを労働基準法第41条2号に規定する管理監督者
として取扱、同法の労働時間、休日及び休憩の規定を適用除外とする場合に法
の規制がある。
それが通達で示されているのである。
現行の通達をまとめると以下の通りになる。
第一に、経営者と一体的な立場にあり、労働時間、休憩、休日に関する規制の
枠を超えて活動することが要請せざるを得ない重要な職務と責任を有している
か。
第二に、現実の勤務態様について労働時間等の規制になじまないような立場に
あるか。
そしてこの第一と第二を踏まえ、職務内容と責任と権限、勤務態様及び賃金等
の待遇を踏まえ総合的に判断するとしている。
参考通達
昭和22.9.13発基第17号
昭和63.3.14基発第150号
(2)金融機関に対する通達
今回の通達以前に個別の業種に関しては金融機関に対する管理監督者性につい
ての通達がある。
これは当時支店長代理という肩書きを乱発し労働基準法第41条2号に規定す
る管理監督者としていたが、その実態を鑑みると管理監督者とは認定出来ない
ような労働者が多く、その為に通達を出したということである。
都市銀行の場合 昭和52.2.28基発104号の2
都市銀行等以外の金融機関の場合 昭和52.2.28基発105号
この通達では、支店、事務所等出先機関における組織の長は管理監督者として
いる。
例外として法の適用単位と認められないような小規模出先機関の長は除かれる
としているが、通達(昭和63.3.14基発150号、平成11.3.31
基発168号)により生命保険会社の支部、営業所は原則として法の適用単位
の事業所として取り扱うこととされている。
新聞社の地方通信機関については本社の直接指揮統轄のもとに取材送稿するに
過ぎず、その機関の長は人事権限はなく事務も取り扱わない為に法の適用単位
とはならないという通達(昭和23.5.20基発799号)がある。
よって法の適用単位とならない事業場の規模も抽象的な通達となっているが、
基本的には人事権があり、事務を行っている事業場は法の適用単位となる。
小売店や外食産業では、アルバイトや所属する社員のシフトを作成し、店舗の
事務や棚卸しをしているわけであるから法の適用単位である。
よってその長は労働基準法第41条2号に規定する管理監督者であるという理
屈が成り立つ。
金融機関と外食産業を比べた場合に何か違いがあるのか。
金融機関の特殊性が明確に示され、その特殊性故にその長は管理監督者である
ということが明確に示されない限り、外食においてもその店長は管理監督者で
あると判断しても労働基準法に違反しているとはいえないのである。
故にマクドナルドの裁判も民事裁判なのである。
<3>通達の検討
この通達の正式名称は「多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理
監督者の範囲の適正化について」(平成20.9.9基発0909001号)
である。
<4> 「職務内容、責任と権限」についての判断要素
(1)総論
店舗に所属するパート、アルバイト、社員等について、採用、解雇、人事考課、
労働時間管理は店舗における重要な職務であるとの判断から次のように判断基
準を示している。
(2)パート、アルバイトに関する人事権
・店舗に所属するパートタイマー及びアルバイトについて採用(人選のみを
行う場合を含む)に関する責任と権限が実質的にない場合
・解雇に関する事項が職務内容に含まれておらず、実質的にもこれに関与し
ない場合
上記の場合には管理監督者性を否定する重要な要素となる。
(3)社員に関する人事権
人事考課の制度がある企業において、その対象となっている部下の人事考課に
関する事項が職務内容に含まれておらず、実質的にもこれに関与しない場合は
管理監督者性を否定する重要な要素になる。
(4)労働時間管理
店舗における勤務割表の作成又は時間外労働の命令を行う責任と権限がない場
合には管理監督者性を否定する重要な要素となる。
(5)まとめ
店舗内のパート、アルバイトの採用と解雇の権限については、それを有してい
ない責任者は少ないと考えられる。
社員の人事考課については、マクドナルドの裁判では一次考課には関与するが、
最終的な評価の決定には関与が出来ないという点で管理監督者性が否定されて
いる。
この点についてはこの通達は「関与していればよい」となっており、裁判例か
らするとやや経営者に有利な判断が出来る余地がある通達である。
<5>勤務態様についての判断
(1)はじめに
管理監督者については、従前の通達でも「現実の勤務態様について労働時間等
の規制になじまないような立場にあるか」を一つの判断基準としている。
この勤務態様については以下の通りの判断基準を示している。
(2)遅刻、早退等に関する扱い
遅刻、早退等により減俸の制裁、人事考課での負の評価など不利益な取扱がさ
れる場合には管理監督者性を否定する重要な要素となる。
ただし、管理監督者であっても過重労働による健康障害防止や深夜業に対する
割増賃金の支払いの観点から労働時間の把握や管理を受けている場合について
は管理監督者性を否定する要素にはならない。
(3)労働時間に関する裁量
営業時間中は店舗に常駐しなければならない、あるいはアルバイト・パート等
の人員が不足する場合にそれらの者の業務に自ら従事しなければならないなど
により長時間労働を余儀なくされている場合のように、実際には労働時間に関
する裁量がほとんどないと認められる場合には管理監督者を否定する補強要素
となる。
(4)部下の勤務態様との相違
管理監督者としての職務も行うが、会社から配布されたマニュアルに従った業
務に従事しているなど労働時間の規制を受ける部下と同様の勤務態様が労働時
間の大半を占めている場合には管理監督者性を否定する補強的要素となる。
(5)まとめ
この項では、遅早控除等の措置は重要な要素であるとしているが、他の2点に
おいては補強的要素としている点が重要である。
マクドナルドの判例でも原告側の責任により自らスタッフ不足の穴埋めをしな
ければならなくなったという点が取り上げられた。
小売店や外食産業とはアルバイトをどれだけ集められるかが店長の重要な能力
とされている。
例えばクリスマスイブの日はアルバイトは休みたい。
しかし店長の人望でどれだけシフトに入って貰えるかが能力なのである。
学生や生徒を労働者としている場合には試験期間中も人員が少なくなる。
皆が出たくないような日や期間については店長の能力により人員不足となるか
どうかが決定する。
同じ権限を持っていたとしても、店長のコミュニケーション能力欠如により労
働時間に関する裁量や部下の勤務態様の相違については違ってくるのである。
この点を考慮し、「補強的要素」としたのであろうと推測される。
しかし実態としては、属人的な要素が強く、全社統一した運用というのは非常
に難しいということが筆者の率直な感想である。
<6>賃金等の待遇についての判断要素
(1)はじめに
管理監督者性の判断にあたっては「一般労働者に比し優遇措置が講じられてい
る」等の判断基準が従前の通達にもあり、今回の通達では以下の判断基準が示
された。
(2)基本給、役職手当等の優遇措置
基本給、役職手当等の優遇措置が、実際の労働時間数を勘案した場合に、割増
賃金の規定が適用除外となることを考慮すると十分ではなく、当該労働者の保
護に欠ける恐れがあると認められるときは、管理監督性を否定する補強要素と
なる。
(3)支払われた賃金の額
一年間に支払われた賃金の総額が、勤続年数、業績、専門職種等の特別な事情
が無いにもかかわらず、他店舗を含めた当該企業の一般労働者の賃金総額と同
程度以下である場合には管理監督者性を否定する補強要素となる。
(4)時間単価
実態として長時間労働を余儀なくされた結果、時間単価に換算した賃金額にお
いて、店舗に所属するアルバイト・パート等の賃金額に満たない場合には、管
理監督者性を否定する重要な要素となる。
徳に、当該時間単価に換算した賃金額が最低賃金額に満たない場合には、管理
監督者性を否定する極めて重要な要素となる。
(5)まとめ
この項については、労働弁護団や労働組合から抗議が来た項目である。
最後の時間単価について比較対象がパート・アルバイトの賃金であるという点
である。
しかしこれは重要な要素であるとしているに過ぎず、補強的要素として賃金の
優遇措置や支払われた賃金額を挙げており、総合的に判断するということであ
る。
基本的には優遇措置のところで、賃金の優遇措置が「十分ではなく、当該労働
者の保護に欠けるおそれがあると認められる」と判断されれば管理監督者性は
否認されるであろう。
一般労働者の定義が難しく、定義が容易であるパート・アルバイトの賃金を比
較対象としたというだけであろう。
<7>まとめ
この通達は抽象的なところもあるが、今迄の通達より一歩踏み込んだ通達であ
る。
企業サイドとしては、この通達を活かせば管理監督者性の対策に繋がると考え
る。
ポイントは<5>(3)(4)がしっかりと運用出来るかである。
コミュニケーション応力が不足している店長に対して上司がどれだけフォロー
出来るかどうかがポイントであると考える。
小売業や外食産業の実態をそれなりに反映した通達であり、十分に対策は出来
ると筆者は考える。
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