◆事例:
残業代の支払対象者
当社では、係長以上の役職者は管理職として
残業代は支給しないこととして
います。一部の役職者から不満の声がでていますが、このままでよろしいでし
ょうか。
◇回答----------------------------------------------------------------
基準法でいう「
管理監督者」は経営側の立場にあり一体となって業務遂行す
る者に限られています。社内の職位名称だけで判断してはなりません。
通常、係長レベルでは
残業代(時間外手当)を支給する必要があります。
■解説----------------------------------------------------------------
いわゆる「
管理監督者」の取扱いについては
労働基準法第41条2号に定め
があり、
労働時間、
休憩、
休日の規定は
適用除外となっています。
このことから、1日8時間労働の原則が除外され、8時間以上労働させても、
また
休日に労働させても
割増賃金を支払う必要がないこととなります。
なぜ
管理監督者には
労働時間等の適用がないかというと、「これらの者は経
営の管理的立場にあるか一体をなす者であり、
労働時間等の規制を超えて活動
しなければならない企業経営上の必要から認められるため」とされます。これ
らの者は「その地位から見て、労働法令の規制外にあっても
労働条件に及ぼす
影響が少ない」ともされます。
要は、経営者と同じ立場とみなされているわけです。
ここで問題となるのは、「
管理監督者」の範囲です。
詳細は行政
通達(S22.9.13発基第17号、他)にありますが、概略次のとおり
です。
-総論的には-
・部長・工場長等
労働条件の決定や
労務管理について経営者と一体的な立場に
ある者で、名称にとらわれず実態に即して判断する。
-具体的には-
・役職者全てが
管理監督者となるわけではない。
・法規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な職務と責任があること。
・実態的な職務内容、責任と権限、勤務態様に着目して判断すること。
・
賃金等の待遇面でも一般職に比べ優遇されていること。
等があり、また多くの判例もあります。
管理監督者の実態は企業により多種多様であり一概に決められませんが、多
くの判例に共通する部分を抜粋すると、
・出退勤、
勤務時間について自由裁量。無論タイムカードはない。
・経営方針の決定に参画している。あるいは
人事権を有している。
・職務に見合う高い
賃金を受けている。
・職務遂行について自ら重要事項を決定する権限がある。
等となっています。
これらのことから、一般的には工場長、支店長、部長等、組織の長であれば
問題はないでしょう。またその直属部下である課長や
代理も、その上司の職務
代行権限があれば
管理監督者の範囲に入ります。しかし、係長レベルでは無理
がありそうです。
もちろん会社の規模にもよります。ここで言ったのは100人以上の比較的大
きな規模での話ですが、小規模の会社では係長クラスでも大きな権限を有する
場合があるので、一概には言えません。あくまでも実態に即して検討すること
となります。
最近は組織のフラット化や業務の専門化に伴い、ラインに所属しないいわゆ
るスタッフ職が増えていますが、これらの者を
管理監督者として取り扱う際に
も前記の考え方が当てはまる他、経営上の重要事項に関する企画立案を担当し、
部課長等と同等の処遇がされている必要があります。
なお、時間外手当にかえて
役職手当を支給しているケースも多いですが、そ
の額が一般の
従業員の時間外手当に比べてかなり少なかったり、役職者の基本
給から算出した時間外
賃金に常に不足するような場合は問題が残ります。
職務にふさわしい額とすべきでしょう。
いずれにしても
管理監督者には職務や権限を明確にし、自らの意思で決定で
きる環境を整え、一般の
従業員とは異なる高いステータスを与えることが重要
といえます。
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◆事例:残業代の支払対象者
当社では、係長以上の役職者は管理職として残業代は支給しないこととして
います。一部の役職者から不満の声がでていますが、このままでよろしいでし
ょうか。
◇回答----------------------------------------------------------------
基準法でいう「管理監督者」は経営側の立場にあり一体となって業務遂行す
る者に限られています。社内の職位名称だけで判断してはなりません。
通常、係長レベルでは残業代(時間外手当)を支給する必要があります。
■解説----------------------------------------------------------------
いわゆる「管理監督者」の取扱いについては労働基準法第41条2号に定め
があり、労働時間、休憩、休日の規定は適用除外となっています。
このことから、1日8時間労働の原則が除外され、8時間以上労働させても、
また休日に労働させても割増賃金を支払う必要がないこととなります。
なぜ管理監督者には労働時間等の適用がないかというと、「これらの者は経
営の管理的立場にあるか一体をなす者であり、労働時間等の規制を超えて活動
しなければならない企業経営上の必要から認められるため」とされます。これ
らの者は「その地位から見て、労働法令の規制外にあっても労働条件に及ぼす
影響が少ない」ともされます。
要は、経営者と同じ立場とみなされているわけです。
ここで問題となるのは、「管理監督者」の範囲です。
詳細は行政通達(S22.9.13発基第17号、他)にありますが、概略次のとおり
です。
-総論的には-
・部長・工場長等労働条件の決定や労務管理について経営者と一体的な立場に
ある者で、名称にとらわれず実態に即して判断する。
-具体的には-
・役職者全てが管理監督者となるわけではない。
・法規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な職務と責任があること。
・実態的な職務内容、責任と権限、勤務態様に着目して判断すること。
・賃金等の待遇面でも一般職に比べ優遇されていること。
等があり、また多くの判例もあります。
管理監督者の実態は企業により多種多様であり一概に決められませんが、多
くの判例に共通する部分を抜粋すると、
・出退勤、勤務時間について自由裁量。無論タイムカードはない。
・経営方針の決定に参画している。あるいは人事権を有している。
・職務に見合う高い賃金を受けている。
・職務遂行について自ら重要事項を決定する権限がある。
等となっています。
これらのことから、一般的には工場長、支店長、部長等、組織の長であれば
問題はないでしょう。またその直属部下である課長や代理も、その上司の職務
代行権限があれば管理監督者の範囲に入ります。しかし、係長レベルでは無理
がありそうです。
もちろん会社の規模にもよります。ここで言ったのは100人以上の比較的大
きな規模での話ですが、小規模の会社では係長クラスでも大きな権限を有する
場合があるので、一概には言えません。あくまでも実態に即して検討すること
となります。
最近は組織のフラット化や業務の専門化に伴い、ラインに所属しないいわゆ
るスタッフ職が増えていますが、これらの者を管理監督者として取り扱う際に
も前記の考え方が当てはまる他、経営上の重要事項に関する企画立案を担当し、
部課長等と同等の処遇がされている必要があります。
なお、時間外手当にかえて役職手当を支給しているケースも多いですが、そ
の額が一般の従業員の時間外手当に比べてかなり少なかったり、役職者の基本
給から算出した時間外賃金に常に不足するような場合は問題が残ります。
職務にふさわしい額とすべきでしょう。
いずれにしても管理監督者には職務や権限を明確にし、自らの意思で決定で
きる環境を整え、一般の従業員とは異なる高いステータスを与えることが重要
といえます。
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