相談の広場
専門業務型裁量労働制の導入を検討しています。
現在、事業所の所定労働時間が1日7時間30分となっております。
また時間外割増賃金は、所定外労働に対し支払っています。
①今回裁量労働制を導入し、裁量労働制を適用するものについては
1日9時間のみなし労働をしたものとする予定です。
裁量労働制を適用するものに対しては、
事業所の所定労働時間という概念は存在しなくなると
考えていますが、正しい考え方でしょうか?
具体的には、割増賃金の考え方において
・引き続き、裁量労働制を適用しないものは、
現状どおり、所定外労働に対し割増賃金を支払う。
・裁量労働制を適用するものについては(所定外概念がないので)
法定外労働に対する割増賃金相当を裁量手当として支払う。
という考え方は成立するでしょうか?
※みなし労働時間が9時間なので36協定の提出が必要ですが、
同じ協定で上記の考え方が有効なのかを気にしています。
②現在はフレックスタイム制で、かつコアタイムを持っています。
裁量労働制にするとコアタイムのような考え方は、
全く持てないのでしょうか?
③現在は半日有給休暇制度を取り入れているのですが、
裁量労働制であると半日休暇概念がなくなるとおもいますが
正しいでしょうか?(1分でも出勤したら1日働いたこととなる)
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> 専門業務型裁量労働制の導入を検討しています。
>
> 現在、事業所の所定労働時間が1日7時間30分となっております。
> また時間外割増賃金は、所定外労働に対し支払っています。
>
> ①今回裁量労働制を導入し、裁量労働制を適用するものについては
> 1日9時間のみなし労働をしたものとする予定です。
> 裁量労働制を適用するものに対しては、
> 事業所の所定労働時間という概念は存在しなくなると
> 考えていますが、正しい考え方でしょうか?
所定労働時間の概念がなくなるのではなく、
所定労働時間に縛られなくなるだけです。
(協定書に1日の所定労働時間を記載しますから、
所定労働時間そのものは存在します)
> 具体的には、割増賃金の考え方において
> ・引き続き、裁量労働制を適用しないものは、
> 現状どおり、所定外労働に対し割増賃金を支払う。
> ・裁量労働制を適用するものについては(所定外概念がないので)
> 法定外労働に対する割増賃金相当を裁量手当として支払う。
> という考え方は成立するでしょうか?
> ※みなし労働時間が9時間なので36協定の提出が必要ですが、
> 同じ協定で上記の考え方が有効なのかを気にしています。
前述のとおり、所定労働時間の概念は存在します。
裁量労働制は、
実際の労働時間にかかわらず、みなし労働時間分労働したものとみなす、という制度であり、
所定労働時間が7.5時間であるのに対し、9時間勤務したものとみなすわけですから、
貴社の規定で所定外労働に割増を支払うと規定している以上は、
6時間しか勤務しなくても、10時間勤務しても、
1.5時間分の割増賃金の支払い義務があります。
また、裁量労働制にしても、深夜割増の支払い義務は依然としてありますので、
勤務時間が深夜時間帯におよんだ場合には、別途25%分の深夜割増を支払う義務があります。
> ②現在はフレックスタイム制で、かつコアタイムを持っています。
> 裁量労働制にするとコアタイムのような考え方は、
> 全く持てないのでしょうか?
裁量労働制は、始業・終業時刻の決定についても自由裁量を有するのが大前提です。
このため、コアタイムを設定すること自体は制度の趣旨に反しないものの、
その遵守を求めたり、違反者に遅刻・早退の賃金カットを行うことは、
制度の趣旨に反する、とされています。
> ③現在は半日有給休暇制度を取り入れているのですが、
> 裁量労働制であると半日休暇概念がなくなるとおもいますが
> 正しいでしょうか?(1分でも出勤したら1日働いたこととなる)
そうなりますね。
このため、弊社では、半日有給休暇の制度は、
裁量労働制以外の方のみ対象としています。
> 裁量労働制を導入するに当たり、それを適用する者については、
> 裁量労働制に対応した別途の規定を新たに制定して適用しようと
> 考えているのですが、
>
> 考え方としては
> この新たな規定に「法定外労働に割増を支払う」と規定すれば、
> 法定外労働に対する割増賃金相当のみの支払いで問題がないと
> いうことでしょうか?
確かに、規定を変更すれば、法定外のみ割増を支払うということは可能と言えますが、
現時点で所定外に割増を支払っている点から考えれば、
該当者にとっては、就業規則の不利益変更に当たります。
原則として、使用者からの一方的な不利益変更はできないことになっていますから、
なかなか難しいところかと思います。
不利益変更を行うだけの合理的な理由がある場合には、
該当者の合意がなくても不利益変更が認められるケースがありますが、
過去の判例では、就業規則の不利益変更の合理性の有無については、
以下の点を総合的に考慮して判断すべきとされています。
●変更によって被る従業員の不利益の程度
(不利益であっても軽微であれば問題ないとされる場合がある)
●変更との関連でなされた他の労働条件の改善状況
(労働者に不利な変更があったとしても、別の面で労働者に有利な変更があるような場合は認められるケースがある)
●変更の経営上の必要性
(変更しなければ経営状態に重大な悪化を及ぼす場合など、不利益変更がやむを得ないだけの理由がある場合は認められるケースがある)
●労働組合・労働者との交渉の経過
(変更にあたって労働者に対して十分な説明や交渉がなされたかどうかが重視される)
特に、休日や賃金にかかわる規定については、
労働者の待遇の根幹をなす部分である点から、
これらの不利益変更を行うには、
そのほかの部分の不利益変更に比べて、より高度な合理性・必要性が要求されます。
不利益変更を行うだけの合理性がない場合には、
該当者全員の合意が必要となるものとお考えください。
実際のところ、該当者の合意が得られるかどうかは、
貴社の勤務状況の実態によっても左右されるのではないかと思います。
たとえば、みなし労働時間が9時間と設定された場合、
勤務時間が短くても常に9時間分の賃金が支払われることとなりますから、
実際の業務は8時間で終わる場合が多いようなケースだと、
割増賃金が法定外部分になったとしても、
実質的には支払われる賃金が上がる可能性が高いですよね。
そのような場合は合意も得られやすいでしょう。
逆に、実際の業務が9時間を超えるケースが多いような場合だと、
9時間以上働いても9時間分の賃金しか支払われないうえに、
割増が法定外分のみになってしまうわけですから、
実質的に支払われる賃金が下がる可能性が高いですよね。
そのような場合は合意が得られにくいでしょうね。
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