相談の広場
皆様、ちょっと困った問題が発生していて、他社様ではどのような取扱いをされているかお伺いしたく書き込みました。
退職する社員が労基署に相談したうえで「私は通常夜勤勤務だけをしており、年次有給休暇を使用した際に深夜割増賃金が支払われていないのはおかしい。過去2年分支払ってくれ。」と申し出てきました。
そこで、労基署担当官に対して”法的な根拠”を示して欲しいと申し出たのですが、担当官は法的な根拠ではなく「労働調査会」が出版した本『労働基準法実務問答(厚生労働省労働基準局賃金時間課監修)』を持ち出し、「これが労基署の解釈です」と言っていました。
労基署の解釈とは次のとおりです。
「深夜労働が常態となっている夜警業務の場合などは、その深夜労働自体が通常の労働(所定労働)と解されますから、この夜警業務に就く人が年休を行使したような場合は、深夜割増賃金も当然含んだ賃金を支払わなければならない。」
当方、このような本が出されている事は知りませんでしたが、そもそもこの本は厚労省が監修しているというだけで、法的な拘束力があるものではありません。
私は、割増賃金の計算における「通常の賃金」に関するコンメンタールの記述のとおりだと考えています。
「厚生労働省労働基準局編 労働法コンメンタール『改定新版 労働基準法上』」の502ページの解釈では、「割増賃金を支払うべき労働が深夜でない所定労働時間中に行われた場合に支払われる賃金」のことを「通常の賃金」としています。
割増賃金の計算における「通常の賃金」も年次有給休暇における「通常の賃金」も同一のものであると考えるのが普通だと私は思っています。
そこで、皆様に伺いたかったのですが、上記の是非はともかくとして、実態の運用として皆様の会社ではどのように扱っていらっしゃいますか?
私の感覚では、普通は払わないと思うのですが、いかがでしょうか。
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こんにちは。
専門家ではありませんが私見を述べさせていただきます。
当事業所ならば、労基署の解釈通りに支給します。
法律は、すべてを線引きする画一的なものではありません。法律は様々な解釈がなされています。それぞれの解釈に不服がある場合、不利益を被ったものに対して、民事裁判を起こす事ができます。その、判例を持って法的解釈が固められていきますが、時代の流れや状況によって判例が変化する場合があるので画一的なものではありません。
今回のケースでは、労基署の解釈が支払わなければならないという解釈しています。もし、支払わずに民事裁判を起こされた場合、労基署の解釈が間違っていると証明しなければなりません。
「通常の賃金」を払えば割増賃金は払わなくて良い、という他の解釈をもってしても、それが年次有給休暇も適用される事を証明しなくてはなりません。もし、同じだったとしても労基署の解釈は、あくまでも「常態となっている」という条件付きでの話で、その人にとって深夜割増込みの賃金が「通常の賃金」と解釈することもできます。最終的には裁判所の決定になりますが、年次有給休暇の本来の目的や公的機関(労基署)の解釈を鑑みると覆すのは難しいと思われます。
ただし、支払う場合にも注意が必要になります。たまに夜勤を行う人は「常態となっている」とは言えないので、おっしゃるように支払う義務はありません。よって、まず「常態となっている」を定義しきちんと差別化しないといけません。支払たくない場合は、その定義から外れるような勤務体系に変化させれば良いと考えられます。定義した「常態」の基準に不服があれば、民事裁判を起こされる事も有りますので安心はできませんが・・・
「普通は払わないと思う」というのはあなたの考えです。また、そうであったとしてもそれが法的に正しいとは言えません。法に触れたくないのか、法に触れたとしても支払たくないのかどちらなのでしょうか?
A:年次有給休暇の賃金は就業規則にどのように定められていますか?就業規則に基づき支給する必要があります。
就業規則の一例:
第○○条(休暇等の賃金)
1 年次有給休暇の期間は、所定労働時間労働したときに支払われる賃金(or平均賃金or健康保険の標準報酬日額)を支給する
2 産前産後の休業期間、母性健康管理のための休暇、育児・介護休業法に基づく育児休業及び介護休業の期間、育児時間、生理日の休暇の期間は、無給(or有給)とする
3 慶弔休暇の期間は第1項の賃金を支給する(or無給)
4 休職期間中は、賃金を支給しない(or○ヶ月までは○割を支給する)
労働基準法の附則136条
使用者は、有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない。
藤田行政書士総合事務所
行政書士 藤田 茂
http://www.fujita-kaishahoumu.com/
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