相談の広場
最終更新日:2008年09月29日 10:44
12月で退職する社員が10月に退職金を欲しいと言ってきました。
退職金規程は「退職の発令があった日から原則として1ヶ月以内に支給する」とありますが、この規程からは例外として認めるものとして支払うつもりです。
この場合
1.12月まで勤務期間として計算をして退職金を支払ってよいか(社内的にはクリアにします)。
2.税制上問題はないか。
3.社会保険料、年金については通常通りでよいか。
以上についてご指導いただければと思います。
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> 12月で退職する社員が10月に退職金を欲しいと言ってきました。
> 退職金規程は「退職の発令があった日から原則として1ヶ月以内に支給する」とありますが、この規程からは例外として認めるものとして支払うつもりです。
●1 繰り上げ支給すること自体に、敢えて反対と申し上げます。
他に労働者が1人もいないのであれば別として、不公平の誹りを免れません。今後同様の申し出があったときに、対応が困難になります。「例外」とした理由の説明責任が果たせるでしょうか。結果的に今後の労務管理上取り返しのできない、予測不能の禍根を残すことになります。
野球のイチローでさえ、チームの中に彼を妬む不穏な空気があると報じられています。監督はイチローを擁護していますが、それは彼の高い功績を万人が認めているからです。優秀な従業員であるからと言って、うかつに例外処理をすることは感心しません。
万一、退職日前に死亡した場合、勤務期間計算の問題も生じます。
> この場合
> 1.12月まで勤務期間として計算をして退職金を支払ってよいか(社内的にはクリアにします)。
> 2.税制上問題はないか。
● 国税庁のHPに次の記載があります。この文言を極めて厳密に解釈するならば、事実上の退職前の支払は「退職したことにより支払われ」るのでは無く「退職前する前に支払われ」るものなので、税法に言うところの「退職金」にはあたらないように思えます。「した」と言うのは過去形ですから、退職前は該当しないと言えるのではないでしょうか。本人とって最悪の場合は、「賞与」とみなされるのではないかと心配します。是非、管轄税務署で、係員の言質をとってお尋ねになることを強くお勧めします。
● [平成20年5月1日現在法令等]
役員又は使用人に退職金を支払うときには、所得税を源泉徴収して、原則として、翌月の10日までに納めなければなりません。
この退職金には、含まれますので、本来の退職手当のほかに功労金などを渡しても退職金に含めなければなりません。
(注) 死亡退職により支払う退職金で相続税の課税の対象となるものは、所得税の源泉徴収は必要ありません。
退職金に対する源泉徴収のしかたは、退職する人から「退職所得の受給に関する申告書」の提出を受けている場合と受けていない場合とで違います。
● 国税庁のHPにもあるように「死亡により支払う退職金で相続税の対象となるものは」別の税金の扱いだと言っています。
本来の退職日前に支払った退職金が、万一の場合は税法上どうなるか、これも考慮する必要があるようです。
> 3.社会保険料、年金については通常通りでよいか。
● 労災・雇用・健康・厚生年金などの公的保険においては「退職金」は一切保険料徴収・給付の対象にしていません。
公的保険は労働者・被保険者の福祉を主目的としていますから、問題は生じないと思われます。
一応、念のた各所管官庁などにお尋ねになることをお勧めします。賞与とみなされる場合は、高額な保険料負担を会社・本人とも必要とします。
● 前述の各般のことを考慮するならば「退職金」として繰上支払はやめて、貸付金とすることをお勧めします。
退職日に、貸付金を返済してもらい、退職金にかかる所得税を税法の規定に従って徴収し、税額控除後の現金を支払えば何の心配もありません。
会社には何の負担も生じません。
●労働基準法
(前借金相殺の禁止)
第十七条 使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない。
● 上記の規定はありますが、労働することを条件としない場合には、前借金、いわゆる労働者に対する企業からの貸付金などは禁止されません。
社会保険労務士 日高 貢
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